【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
《それでは、正解を発表します。皆さんに食して頂いたのは…Aがササニシキ、Bがあきたこまち、そしてCがコシヒカリです》
この瞬間、参加者から歓喜の声と悲鳴が同時にあがった。
その数は半々というところか。
《続いて合格者の番号を発表を致します》
「英玲奈さんは何番?」
「私は15番だ」
「早っ!」
「高坂さんは?」
「穂乃果は150番だよ」
「あぁ、そうか…ギリギリと言っていたもんな」
「ウチらは146番からやね」
《3番…8番…9番…15番…》
よし、通過!…と英玲奈。
μ'sの5人から拍手をされ
「まぁ、当然だ…」
と照れながら呟いた。
《…128番…131番…132番…136番…》
「そろそろにゃ」
「凛ちゃん、ドキドキするね」
《146番…147番…148番…149番…。以上、予備予選通過は66名です》
「えっ!?…」
と慌てて声をあげたのは、μ'sの5人。
「うそ!穂乃果の150番は?」
「穂乃果ちゃん、落ちたにゃ…」
「なんで?なんで?Aがササニシキでしょ…Bがあきたこまち…Cがコシヒカリ…でしょ」
「ちゃんと線を結んだんやろね」
「も、もちろんだよ!」
「穂乃果ちゃんの言うことは、当てにならないにゃ…」
と騒いでいると、再びアナウンスが流れた。
《失礼しました。見落としがございました。最後、150番…以上、67名が通過です》
ほらぁ!…と穂乃果が不貞腐れる。
「まぁ、穂乃果ちゃんやからね…」
「ちょっと、希ちゃん、どういう意味?」
「そこは、髪の毛クルクルしながら『何それ?意味わかんない』って言うのが正解にゃ~」
「凛ちゃん、真姫ちゃんがいないからって…」
と花陽。
長い付き合いだが、時折、凛が放つセリフに冷や汗をかく。
「そっちは5人全員通過か」
英玲奈がポツリと呟いた。
「ひとり、おまけがいるけどね」
「ん?おまけって穂乃果?…にこちゃん、それは酷いよ」
どこに居てもμ'sはμ'sである。
いつもの光景。
しかし、英玲奈は、それを物珍しそうに眺めていた。
…なんだ?高坂さんは弄られ役なのか…
…イメージと違うな…
と口には出さないものの、複雑な表情をしている。
「苦手…ですか?…」
ボーっとしていた英玲奈に声を掛けたのは花陽だった。
「えっ?あぁ…いや」
「騒がしいですよね…μ'sって」
「騒がしいというか、賑かというか…」
「A-RISEとは真逆ですよね」
「う~ん…まぁ、確かに。私たちはどう頑張っても3人しかいないからな。大人数には慣れていない」
「でも、その分、3人の信頼関係がないと、うまくはいかないですよね?」
「それはそうだが…お互いプライベートはあまり干渉しないんだ。だから今、この時間、ツバサとアンジュが何をやっているのか知らない」
そう言うと英玲奈は、軽く笑った。
「そうなんですか!?」
「四六時中一緒だからな。好き好んで、休日に連(つる)もうとは思わないのさ…」
「ふ~ん、意外と A-RISEって仲、悪いにゃ?」
「り、凛ちゃん…いつから聴いてたの?」
「いつからって…かよちんが珍しく積極的に話掛けてるな…と思って」
「かよちん?」
「あぁ、私のことです。名前が花陽なので音読みで…基本的に凛ちゃんだけですけどね、そう呼ぶの」
花陽はえへへ…と照れ笑いをした。
「かよちん、可愛いにゃ~」
かよちん…か…。
可愛い呼び方だな…。
私なら…英玲奈だから、えれちんか?
ふふふ、なんかロシア人ぽいな…
エリツィン大統領…違うか!
つばちん…あんちん…う~ん、語呂が悪い…
「どうかしました?」
「い、いや、なんでもない…」
「なに、なに?A-RISEの3人って仲悪いの?」
「にこちゃん、そんなことは言ってないよ」
花陽がプクッと頬を膨らませて否定する。
「A-RISEか?私たちは3人とも付き合いは長いし、仲が悪いわけではない。ただし、A-RISEに関しては遊びでやってるわけではないから、活動外のことについては、あまり余裕がない…というのは事実だ」
「それは暗に、ウチらが真剣にスクールアイドルをしてない…って言ってるん?」
英玲奈の言葉に、珍しく希が噛みついた。
「失礼!気を悪くしないでほしい。そういう意味で言ったのではない。A-RISEにはA-RISEの…μ'sにはμ'sのスタイルがある。それを否定するつもりはない。逆に3人とも、私たちとはまったく対照的なμ'sに、すごく興味を持っているんだ」
「そうなん?」
「前にも言ったと思うが…私たちはかなり早い段階から、注目していた。近いうちに、私たちのライバルになりうる存在になる…と」
「なんたって小悪魔のにこ様がいるグループだからね…」
にこの言葉に、英玲奈の時が一瞬止まった。
そして、一拍置いてから
「…そろそろ次の説明が始まるみたいだ」
と花陽の顔を見て言った。
「あ、そうですね…」
「安定のスルーにゃ」
「うるさいわよ」
「英玲奈ちんも、にこちゃんのキャラを良くわかってるにゃ」
「ふん!そりゃあ、ライバルってくらいだからね。研究してるのよ」
「にこちゃんは単なるファンだと思われてるんじゃないの?小悪魔って単語も、なんか取って付けた…」
「凛!それ以上言ったら、アンタ、こ○すわよ」
「にぁ~!アイドルにあるまじき言葉にゃ~」
小声で凛とにこがやりあう。
ほどなくして、英玲奈の言う通り、2次予選に関する説明が始まった。
~つづく~