【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
「どうやら、みんな通過したようですね」
「うん。穂乃果ちゃんも通ったみたい」
「当たり前です。私の整理券を奪ったのですよ。こんなとこで落ちたら…」
「まぁまぁ、海未ちゃん、落ち着いて…」
「それより、一緒にいるのって…東堂英玲奈じゃない?A-RISEの…」
「真姫もそう思った?私も似てる人がいるとは思ってたんだけど…」
応援組の海未、ことり、真姫、絵里の4人は、なぜ英玲奈が参加しているのか知らない。
「アキバ枠?」
真姫が首を傾げながら呟いた。
ほどなくして、2次予選のルールが発表された。
基本的には、1次予選と変わらない。
10人ずつ前に出て、ご飯を食し、配られた用紙に回答する。
これは変わらない。
ただ先程と大きく違うのは、当てる銘柄が『5種類』に増えたことである。
そして、その5種類とは…
「ゆめぴりか…ふっくりんこ…ヒノヒカリ…出た!ミルキークイーンにゃ!」
「凛ちゃん、森のくまさんもあるよ!」
「こんなのわかる訳ないじゃない!」
「いや、にこちゃん…名前はわかってるんだから、当てずっぽうでなんとかなるかも」
「はぁ…穂乃果らしいわ…」
「まぁ、運も実力のうちやからね。…で、どうなん?花陽ちゃんはイケそう?」
「お米の特徴は頭に入ってますから、なんとかなると思います!」
「さすが、かよちん!」
「花陽ちゃん、その特徴を教えてよ!」
「高坂さん、今それを訊くのは反則では…」
μ'sから離れ損ない、その場に留まっていた英玲奈が、穂乃果の発言を咎めた瞬間、アナウンスが流れた。
《尚、回答順につきましては、不正防止の為、予め当方にて決めさせて頂きました。今から番号を読み上げますので、前列左から、順にご着席頂けますようお願い申し上げます。近くにスタッフがおりますので、確認できない場合はお声掛けください。では、参ります》
「どうやら、花陽ちゃんの緊急講義は聴けないみたいやね…」
「うう~ん、残念!」
穂乃果は足をジタバタさせて悔しがった。
予選通過者は67人。
1次予選同様、10人一組(最後は7人)で席に着く。
ただし、アナウンスの通り、読み上げられた番号はランダムだった。
その結果…
1組目に凛。
「かよちん、先に行ってるにゃ~」
「うん、凛ちゃん!またあとで」
凛が元気に前方へと走っていく。
2組目に希。
「ほな、お先に…。あ、花陽ちゃん!」
「は、はい?」
「頑張りや。希パワー、注入!はい、プシューっ!!」
「いただきましたぁ!」
「え~と…小泉さん…今のは?」
「一種のおまじない…ですね」
花陽は英玲奈の問いかけに、微笑んで答えた。
4組目には穂乃果。
「じゃあね、花陽ちゃん!ファイトだよ!」
「穂乃果ちゃんも頑張ってねぇ」
手を振り見送る花陽。
「え~と、小泉さん…」
「はい?」
「なぜ、みんな、あなたに挨拶していくのだ?」
「そ、それは…」
「なに言ってるのよ!リサーチが足りないわね…ウチの『お米担当』って言ったら花陽に決まってるじゃない」
「に、にこちゃん…恥ずかしいよ…」
「お米担当?」
「ここにいる小泉花陽は何を隠そう『三度の飯より白いご飯が好き』な…正真正銘の『ラブライサー』なのよ」
「『三度の飯より白いご飯が好き』って、使い方おかしいかも…」
「ラブライサー…ラブライスか…なるほど、良い言葉だな」
「つまり、今日は花陽にとって、うってつけの舞台」
「そういうことか。やはりμ'sは侮れない。つまり、私が今倒すべき相手は、リーダーの高坂さんではなく、小泉さんということか…。だが、そのラブライサーの称号は譲れないな」
心なしか英玲奈の口調に熱が帯びている。
「私も遊びでこのイベントに参加した訳ではない」
「ほら、ここは花陽がガツーンと言わないと!」
「あの…」
「なに?」
「…3人とも番号…呼ばれちゃいました…」
花陽が、申し訳なさそうに進言した。
…ということで、6組目に…にこと花陽…英玲奈…。
「花陽!負けるんじゃないわよ!これはμ's対A-RISEの、いわば前哨戦。なんとしても勝つのよ」
「受けて立とう。まさか、ここでμ'sとやりあうとは思っても見なかったが…。そして、その相手が小泉さんだとも」
移動した席上でも、にこと英玲奈は舌戦を繰り広げている。
花陽を挟んで左から3人目に英玲奈。
右から3人目ににこ。
自分の頭越しに交わされる熱い言葉の応酬に、困惑気味の花陽…。
《すみません、整理番号5番と148番の方、お静かに願いますか》
「あっ!」
にこと英玲奈は同時に声をあげ、静かに腰を下ろした。
「今、注意されたのは…にこですね」
「みたいね…」
「もうひとりは…A-RISEの統堂英玲奈さん?」
「揉め事を起こさなければいいのだけど…」
遠巻きに様子を見ている海未、真姫、ことり…そして絵里が口々に呟いた。
つづく