【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
「どうやった?」
先に回答を終えて休憩室にいた凛のもとに、希がやって来た。
「激ムズにゃ~!…希ちゃんは?」
「自信があるのは…ミルキークイーンくらいやね」
「凛はどれもサッパリにゃ」
ショボンと項垂(うなだ)れる。
「まぁ、何事も経験やからね」
希はドリンクバーからアイスティーをチョイスし、口へと運んだ。
「凛ちゃんと2人きり…って、珍しいやね」
「えっ?2人きり?」
希が部屋に入ってきた…ということは、既に20人が回答を終えたわけだが…確かに他に知り合いはいない。
なるほど、そういう意味では、2人きりと言えなくもない。
「ホントにゃ。珍しいかも」
「ウチなぁ…前々から、凛ちゃんに訊きたいことがあって…」
「にゃ?」
「…いや、凛ちゃんにとって、その…の存在は…」
「む?良く聞き取れなかったにゃ?何の存在にゃ?」
「その…」
あかん!希!今ここで訊く話やないやろ?
でも、凛ちゃんと2人きりなんて、滅多にないチャンス!
本心を訊くなら今しか…
いやいや、そやけど…そうなんやけど…
「希ちゃん?」
「えっ!あ…」
「何か変だにゃ」
「変かな?」
「なんか悶えてたにゃ…」
「悶えてた!それは変やね…やっぱり…」
「らしくないにゃ…」
「そ、そうやね…。それなら、ズバリ訊けど…」
「?」
「凛ちゃんにとって…」
「凛にとって?」
「はな…」
「はな?」
「はなよ…」
「はなよ?」
「はなよ…花より団子…って好きな言葉?」
「にゃ?にゃ?…『にゃにそれ?意味わかんにゃい!』…どう?凛ちゃんバージョン…初披露なんだけど」
「ん?うん、いいやん、いいやん」
「…じゃなくて、ホントに質問の意味がわからないんだけど…」
「そやね…ウチもおかしなことを訊いたなぁ…って思ったけど…」
「そうだな…凛は『花より花陽』だよ」
「うまい!さすが凛ちゃん、面白いこと言うやん」
「ん?何の話?」
「あ、穂乃果ちゃん!終わったんやね…」
希は穂乃果が来て、ホッとした表情を見せた。
ちょっとした気の迷いで、危うく凛に、花陽への気持ちを確かめるところだった。
うまく、ごまかせたやろうか…
しかし、凛ちゃんは手強いねぇ…
花より花陽とは…相当やね…
「う~ん、全然わからなかったよう!わからないから『どれにしようかな…』してきた」
穂乃果は悪びれもせず、微笑む。
「それで通ったら、穂乃果ちゃんは神様にゃ」
「もしくは悪魔か…。むふふ、スピリチュアルやね」
「あぁ、喉渇いちゃった。希ちゃんは何飲んでるの?アイスティー?凛ちゃんは?コーラ?穂乃果は何にしようかな…」
そう言いながらドリンクバーへと向かって行った。
「あとはかよちん待ちだね」
「『♪かよちんなら、いつの日も大丈夫!』」
希が何気なく口ずさんだ。
そのメロディに合わせて、凛は軽くジャンプした。
周りの視線が、一瞬にして凛に集まる。
「にゃ、つい跳んじゃった…」
顔を赤くして小さくなる凛。
だがすぐに希の耳元で
「かよちんだったら…『♪隣にキミがいて』…じゃなくて…『隣にコメがいて…隣はコメなんだ…』だね」
「ぷっ!いや、凛ちゃん、それはダメや。これからキミって歌詞があったら、全部コメに脳内変換されちゃうやん」
凛と希は顔を見合わせて、クスクスと笑った。
「あれ?あれ?穂乃果に内緒で、なに話してるの?」
片手にお茶を持って戻ってきた穂乃果が、2人に問う。
「さぁ…ね」
と希が笑いを堪えながら、凛に顔を向けた。
すると凛が
「さぁ…今、希ちゃん、さぁ…って言った?」
「言ったけど…」
「『♪さぁ、コメを抱き締めたら、上を向いて…』」
「『夢』やし!」
そう言って、2人は、また顔を見合わせて笑った。
「えっ、なに?なに?」
「いや、なんでもないんよ。凛ちゃん、その替え歌はもう止めにせんと…」
「わかってるにゃ。自分でもくだらないと思ってる…『♪悔しいなまだ No brand ! 知られてないよ No brand!なにもかもコメから…熱い気分』」
「『これから』やって…って、凛ちゃん!」
「止まらないにゃ~」
いわゆる『ツボにハマった』という状態のようだ。
希も凛も、お互いの顔を見ては「にゃはは…」と笑い合う。
穂乃果だけが不思議な顔をして、2人を見ていた。
「ところで…にこっちは平気なんやろか…」
と希。
やっと『おかしな状態』から復帰したようだ。
「にこちゃん?」
「そういえば、なんか後ろの方で声が聴こえたにゃ」
「マイクで注意されてたよね」
「何かあったのかにゃ?」
「常にアイドルを意識してるにこっちやから、公衆の面前で変な真似はしないと思うんやけど」
「そうだよね…」
と言っているうちに、にこと花陽が休憩室に入ってきた。
「にこっち、どうやった?」
「訊くだけ野暮ってものよ…」
「かよちんは?」
「たぶん大丈夫じゃないかな?」
「だよねぇ、だよねぇ!さすが花陽ちゃん!」
「そういうみんなは?」
「凛はダメダメだったにゃ…」
「ウチも…」
「穂乃果はねぇ…」
「神頼み…やって」
「先に言われちゃった…」
「神頼みはアンタじゃないの?」
「ここでカードなんか使えないやろ…」
「そりゃそうね」
「あれ?英玲奈さんは?」
「さぁ…」
「さぁ…って、にこっち、何か揉めてなかった?」
「別に揉めてなんか…。ただちょっと花陽に頑張れって言っただけよ。そうしたら『ラブライサーの称号は渡せない』…とか言っちゃって」
「カズレーザー?」
「ラブライサー!!どういう耳してるのよ…」
「へへへへ…。でも、英玲奈さんて、そういうキャラだったんだ。もっと無口でクールな人かと思った」
「海未に似てるとこがあるかも。意外と熱いよ、花陽に対抗心剥き出しにしてたもの」
「それはにこちゃんが煽ったから…」
「海未ちゃん似?う~ん、それはちょっとヤダな…」
「は…はっくしょん!はっくしょん!」
「海未ちゃん、大丈夫?風邪?」
「いえ、そんなハズは…誰かが私の噂をしてるのでしょう」
「2回続けて…って良くない噂っていうけど」
「真姫、それは初耳だわ」
「知らないの。くしゃみが1回で良い噂。2回は悪い噂。3回目は…」
「3回目は?」
「風邪。そうしたらすぐ医者に行きなさいよ」
「ハラショー!」
「私が診てあげてもいいけど」
「まぁ、穂乃果でしょうね…」
「海未ちゃん、決めつけるのはよくないよ」
「いいえ、間違いありません。穂乃果です」
園田海未、正解!
~つづく~