【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
休憩室から再び外に集められた67人に、アナウンスが流れる。
《それでは、大変お待たせ致しました。見事全問正解した…決勝進出者を発表致します》
参加者、観覧者からワァーと歓声が上がった。
《番号を呼ばれた方は、ステージまでお越し願います》
「いきなり?」
「正解発表はないんやね」
「ドキドキしちゃうね」
「たぶん『呼ばれない』…ってわかってても『もしかしたら』…って期待したゃうよね」
「穂乃果ちゃんはないにゃ」
「決めつけないでよう」
「シーッ…また注意されるわよ」
「それは、にこちゃん、自分にゃん」
《では発表します!決勝進出者、ひとり目は…整理番号…5番!》
「英玲奈さんだ!!」
μ'sの5人が同時に叫ぶ。
すると、どこからか英玲奈が現れた。
「あっ!」
その姿を見て、一同は再び同時に声をあげた。
英玲奈はA-RISEのステージ衣装を纏っていた。
「そういえば、サプライズライブやるって言ってたっけ」
穂乃果がヒソヒソ声で囁いた。
サプライズ…というからには、周りには知られちゃいけないんだろう…と穂乃果なりに気を使ったようだ。
「姿が見なかったのは、着替えていた…ってことなのね」
「しかし、あの格好はインパクトあるわね。アタシたちも衣装でくれば良かったんじゃない?」
「にこちゃん、凛にはそんな勇気ないにゃ~」
「わたしも…」
《最後…146番!以上、5名です》
「ん?今、146番って言ったよね?」
「言いましたね…あっ!」
「かよちん通過にゃ!」
「花陽ちゃん、おめでとう。ほら、ステージに早くいかないと」
「は、はい。でわ…行ってきます」
「行ってらっしゃ~い」
希ほか3名、にこやかに手を振り、花陽を見送った。
「やっぱりダメだったねぇ」
「まぁ、ウチらにサプライズは起きなかった…ってことやね」
「お疲れさま」
「あ、絵里ちゃん!」
花陽の通過…というか、ほか4名の落選を受けて、応援組が合流してきた。
「しかし、花陽は大したものですね。本当に残るとは」
海未が、なかば呆れたような口調で呟いた。
「好きこそ、ものの上手なれ…っていうからね。まぁ、当然じゃない」
「なんで、にこちゃんが威張ってるにゃ?」
「花陽にこのイベントを教えたのは、このアタシよ。当然でしょ!」
「それより、あそこにいるの…」
にこの言葉をスルーして、真姫が希に訊いた。
「そう、A-RISEの統堂英玲奈。このイベントには、個人的に参加したんやって」
「なかなかの強敵よ」
と再びにこ。
「へぇ…アキバ枠じゃなかっんだ」
「それなら、どうして、A-RISEの衣装を着ているの?」
「ことりちゃん、それはね…」
と穂乃果が応援組に、これまでの事情を説明した…。
しばらくして、花陽が戻ってきた。
応援組から「おめでとう」の言葉を掛けられ、照れる花陽。
「かよちん、格好いいにゃ~」
「期待してるわよ」
「うん…」
「どうしたの?元気ないじゃない」
「それがね…決勝の様子は…インターネットで生中継されちゃうんだって…」
「えぇ!?」
声を揃えて驚くメンバー一同。
「それはちょっと、緊張しちゃうというか、なんていうか…」
「なに言ってるの!?花陽はμ'sとして何回ステージに立ってるのよ。言ったでしょ?これはA-RISEとの前哨戦なんだって。向こうの代表が統堂英玲奈なら、こっちの代表は小泉花陽。アタシたちの代わりに戦ってもらうんだから…そんなことでビビって負けるなんて、このアタシが許さないんだから」
「に、にこちゃん…」
「にこちゃんの言う通りだよ。花陽ちゃんは、もう半年前の花陽ちゃんじゃないんだよ。みんなの前で歌って、踊って…プレッシャーも楽しんできたじゃない!もっと自分に自信を持っていいんだよ」
「そうね。A-RISEとの前哨戦はひとまず置いておいて…花陽の得意ジャンルなんだから、思いきり暴れてきなさいよ」
「穂乃果ちゃん…絵里ちゃん…みんな…。う、うん、頑張るよ」
「じゃあ、みんなでやりますか…。せ~の!」
「ファイトだよ!!」
掛け声に合わせて、発声したのは…言い出しっぺの自分…穂乃果だけだった…。
「う、裏切り者…」
「あ、いや…ごめんね、穂乃果ちゃん。その、心の準備が出来てなかったから…」
「そうです。こんな公衆の面前で、いきなりそれは…」
「わたしも急で…」
「海未ちゃんもことりちゃんも、何年の付き合いになるのさ!酷いよ!酷いよ!」
駄々っ子のように、手足をバタつかせる穂乃果。
「あそこにいるのは…μ'sか?」
穂乃果たちの様子に気付き、それをステージ袖から眺めている人物がいた。
綺羅ツバサと優木あんじゅだ。
「さすが、μ'sのセンター。私服でもその存在感は圧倒的。私のライバルになりうるだけのことはある」
ツバサの呟きに、あんじゅは思った。
ただ騒がしいだけじゃないのかしら…。
~つづく~