【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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新しいわたし その5 ~ブラ選び~

 

 

 

 

 

「それじゃあ、2枚目を見て」

サリナがA4サイズの紙を捲(めく)った。

「これが花陽ちゃんの身体の3D画像。順番に…上から見たところ、正面、横からで…最後が後ろから」

「上からって言うのは新鮮ですね」

「前と横は鏡でも見れるけど、上からって自分じゃ…ね」

サリナは蛍光ペンを手に、書き込みながら説明を続ける。

 

「それで…花陽ちゃんのお胸の形は…これ。非常に綺麗な『半球型』ね」

キュッとペンでマルを付ける。

「日本人の多くは、大きくても垂れたり横に広がったりする『しずく型』なんだけど…貴方のは、いわゆる『美巨乳』って呼ばれるタイプね」

 

花陽の耳元で

…ウチと同じやね…

と希が囁く。

 

…因みに『えりち』は、この『釣鐘型』ってヤツやん…

紙の文字を指差しながら補足説明を加えた。

 

「さてさて、ここからが本題の本題。これで終わったら、単なる身体測定になっちゃうからねぇ…。肝心なブラ選びを始めましょう!」

「は、はい」

「まず、花陽ちゃんのブラサイズは『D65』から『E65』になりました」

「はい」

「これが基本ベース。そうしたら次は『どんなブラ』が欲しいか…ってことなんだけど…」

「そうですね…」

と言いかけて、花陽は口ごもった。

 

 

 

…どんなブラ?…

 

 

 

いざ訊かれると、具体的に答えられない。

 

「あの…可愛いのがいいな…とは思いますが…」

「うん、デザインの話ね。それは、またあとで訊くわ。…えっと…私が訊いたのは『使用用途』のこと」

「使用用途…ですか?」

「ブラだってTPOに合わせて、使い分けが必要でしょ?例えば…スポーツの時とか、デートの時とか、パーティーの時もあるし…全部同じでいい…って訳ではないでしょ?」

「あ…あまり考えたことがなかったです…」

「まぁ、15歳だからね…まだ、そこまで気を使わないか…」

花陽は、そう言われると『子供扱い』されたようで、少し切なくなった。

 

「彼氏はいるの?」

ブンブン!と首を大きく横に振る。

「そんなに力強く否定しなくても」

サリナは明るく笑った。

「ノゾミィは?」

希も花陽の真似をした。

「真似しないでください」

と今度は花陽が苦笑いする。

「2人とも可愛いんだから、彼氏くらい作らないと…」

「うちは女子校だから…」

「そう言えば、そうだったわね」

 

…でも、好きな娘はいるんよ…

 

希は心の中で呟いた。

 

「…で、結局どんなのが欲しいの?」

「今日は取り敢えず『普段使い』のブラでいいと思うけど。あ、出来れば通気性がいいのがいいよね?」

答えられない花陽に替わって、希がフォローする。

「通気性?」

「うん…ほら、彼女、運動してるから」

「あ、さっき言ってたね。運動部なんだ?」

サリナに訊かれて、希と花陽は顔を見合わせた。

 

…アイドル研究部…って、どっち?…

 

名前だけなら文化部だが、やってることはストレッチして、走って、筋トレして、ダンスして…運動部と変わらない。

 

しばし沈黙…。

 

「私、おかしなこと訊いた?」

とサリナ。

「いやいや、ごめんなさい、何でもないです。どちらかと言うと運動部かな…ダンスの真似事をしてるから」

と希。

 

希でも、まだスクールアイドルのことは、伏せておきたいらしい。

 

「あら、ダンス部なの?…っていうことはノゾミィも?あれ、聴いてないわよ?」

「えっと…とある事情により今年から始めたので…」

「そうなの?なんか意外だわ…。じゃあ、2人とも踊る度に、お胸がユッサユッサしちゃうのね」

…私は経験したこと無いけど…とサリナは軽く毒づく。

「だったら、スポーツブラは?」

「もちらんそれは、私も花陽ちゃんも持ってるけど…わりと『そのまま』ウェアに着替えちゃうことが多いから」

「そうか、そうか、なるほど、なるほど。…なら、ある程度、動き易さも重視した方が良さそうね」

「…ですね」

 

この一連の流れの中に、花陽は会話に入ることが出来きず、ただ黙ったままで頷いた。

 

「じゃあ、実際、目で見てみようか」

「はい…」

「うん、そうしたら商品ルームに移動するから、一緒に来てね。…あ、一応、手荷物は持って」

サリナは先に席を立つと、2人を先導して歩いた。

 

さっき花陽が服を『脱ぎ着』した部屋のドア。

その横にもう1枚ドアがあった。

サリナがそれを開ける。

 

その瞬間

「うわぁ…」

と思わず花陽が声をあげた。

 

彼女が開けたドアの向こうには、色とりどりのブラやショーツが、壁一面にディスプレイされていた。

いや、壁一面は誤った表現である。

壁『四』面…が正解か。

 

そして部屋の中央には棚が3列。

こちらにも、隙間なく商品が陳列されている。

 

よく見ると、部屋の奥には螺旋階段も見える。

「ここ、2階もあるんよ」

花陽に希が耳打ちした。

 

落ち着いた雰囲気のカフェスペースとは、一転、真逆の華やかな世界がそこに広がっていた。

 

花陽は部屋と部屋の狭間に立ち、一言呟いた。

「どこでもドアの向こうとこっちみたいです…」

その表現の上手さに、希は思わず頷いた。

 

 

 

 

 

~つづく~


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