【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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先輩禁止! その15 ~負け犬の遠吠え~

 

 

 

 

気が付くと、会場はかなりの人が集まってきた。

 

「さぁ、いよいよ、前半戦、最後の問題です!」

 

始まった頃は疎らだった歓声や拍手も、司会者の発する言葉ひとつひとつに反応がみられる。

 

「ここまで統堂さん、水谷さん、小泉さんが全問正解で一歩リード。これを1ポイント差で湯川さんが追う展開」

 

英玲奈さ~ん!の声援があちこちから飛ぶ。

「さすが統堂英玲奈やね。知名度がある」

「その中で、宣言通りに戦ってるのも、たいしたものだわ」

と絵里。

「それに比べ、花陽の知名度はまだまだだね…」

「にこっち、花陽ちゃんの知名度っていうより、μ'sの知名度やない?」

「だからこそ、花陽には、この戦いに勝ってもらって、μ'sの名前を世の中に知らしめるのよ」

「大丈夫。堂々と渡りあってるよ、花陽ちゃん」

穂乃果の言葉に、うんうんと頷くメンバー。

 

「では、参りましょう!最後の問題!

先程と同様、匂いだけで当てていただきます」

 

4人はアイマスクを着けて、再び難問に臨んだ。

 

「解答、オープン!統堂さん…森のくまさん、水谷さんはミルキークイーン、湯川さんは…ヒノヒカリ、小泉さんは…森のくまさん!割れた!答えは3通り!森のくまさんなら女子2人が後半戦進出決定!ミルキークイーンなら水谷さんが進出決定。統堂さん、小泉さんが次点となり…くじ引きで1人を決めます」

 

くじ引きかよ…と会場がザワついた。

 

「湯川さん正解なら全員同点の為、4人で…、全員不正解でも、統堂さん、水谷さん、小泉さんでのくじ引きとなります」

 

「…くじ引きは嫌だねぇ」

「大丈夫、そうはならないにゃ!」

 

「運命を分ける最終問題の答えは…」

 

ドラムロールは鳴らない。

しかし見守るメンバーの頭の中には、確実にその音が再生されていた。

 

 

 

「…森のくまさん!!統堂さん、小泉さん、後半戦進出、おめでとう!!」

 

 

 

うわぁ!…とも、きゃあ!…ともつかない歓声が上がる。

まるで自分のことのように、跳び跳ねて喜ぶメンバー。

「かよちん、すごいにゃ…」

凛の目にはうっすら涙が浮かんでいる。

「まぁ、アタシはやると思ってたけどね」

「にこっちだけやないよ。ウチもそうや」

「みんなそう思ってたよ」

そう言ったことりの目も少し潤んでいた。

 

 

その時だった。

 

 

 

「ふざけんな!こんなの八百長だ!」

ステージ上から男の叫び声が響いた!

 

 

 

その主は湯川。

花陽の隣にいた男。

解答席から立ち上がり、前へと歩き出す。

 

ざわつく場内。

女性司会者も、あまりに突然のことで、言葉を失い、ただ湯川の姿を目で追っているだけ。

湯川はそのままマイクを奪う。

 

「おかしいだろ?こっちはプロだ!こんなガキ2人に負けるワケがねぇ!しかも地元のスクールアイドルだぁ?こんなの完全にデキレースじゃねぇか!」

 

「違う!」

「違います!」

湯川の言葉に、英玲奈と花陽が同時に反応した。

「私たちは八百長などしていない!」

「そうです。そんなことしていません!」

 

会場からは湯川に向けたブーイングと『帰れコール』が始まった。

これに対しふてぶてしくも

「アンタもそう思うだろ?」

湯川は振り向くと、解答席にいる水谷に訴えた。

 

水谷はスクッと立ち上がると、ステージ前方へ歩きだし…湯川のマイクを奪った。

「湯川さん…って言ったっけ?仮に彼女たちが解答をすべて知っていたとしても…だ…アンタもオレも全問正解出来なかった。それが事実だ。違うか?」

「いや…それは…」

「オレは9問正解!アンタは…8問?つまり彼女たちの前に、オレにも勝てなかった…ってことだ。そんなこと言える資格はないんじゃないかな?ブロガーだかなんだか知らないが…今後は違う道を歩んだ方がいいな…じゃ」

水谷はそう言うとマイクを司会者に渡して、その場から歩きだした。

湯川はスタッフに捕り押さえられ、ステージをあとにする。

 

一度は戻りかけた水谷だが…すぐに引き返して、もう一度、マイクを手に取った。

「言い忘れたことがあった。後半戦に進んだ女の子2人に、もう一度大きな拍手を!」

水谷が観客を煽る。

 

大きな歓声と拍手が巻き起こった。

それには水谷に対するものも含まれていただろう。

 

 

 

兎にも角にも、こうして前半戦は終了した。

 

 

 

統堂英玲奈、小泉花陽とも後半戦進出!!

 

 

 

 

 

~つづく~


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