【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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先輩禁止! その17 ~A-RISEからのプレゼント(?)~

 

 

 

 

 

「えっ!?」

突然ステージ上から自分たちの名前を呼ばれ、穂乃果たち一同は顔を見渡した。

 

声の主は綺羅ツバサ。

何を思ったか、突然、μ'sに「1曲歌え」と呼び掛けてきたのだ。

もちろん、そんな打合せはしていない。

女性司会者も想定外といった感じで、頭に「?」が浮かんでいるようだった。

 

「μ'sの皆さん…お揃いなんでしょ?」

ツバサが、観戦していた穂乃果たちを指差す。

一瞬にして、観客の視線が集まった。

 

「目敏(めざと)いわね」

にこが呟いた。

 

「さっきも言ったけど、私たちはスクールアイドルの認知度を高めることも、ひとつの使命だと思ってるの。偶然にも、決勝に残った小泉さんは…音ノ木坂のスクールアイドル、μ'sの一員。しかも私たちと同じ地区で予備予選を勝ち上がっている者同士。だったら、今、この場所で私たちだけが曲を披露するのは、不公平じやないかしら」

ツバサは一気に捲し立てた。

 

あんじゅは「やれやれ」という表情で…、英玲奈はうっすらと笑みを浮かべて…彼女を見ている。

 

「私たちの時間を削ればいいだけのことでしょ?」

ツバサはマイク越しにスタッフに問い掛けた。

 

 

 

「穂乃果ちゃん…」

ことりが不安げな声を出す。

「ウチらにライブ会場を提供してみたり、曲を披露する場を設けてくれたり、色々と気を使ってくれるんやね」

希は苦笑いしている。

「私たちのことを買いかぶり過ぎではないでしょうか?」

「それだけ自信…というか、余裕がある…ってことじゃない?」

海未と真姫も次々に意見する。

「穂乃果…どうする?」

「絵里ちゃんはどう思う?」

「リーダーはあなたなんだから…任せるわ」

「…」

「何を悩んでるのよぅ。当然、やるべきでしょう」

「にこちゃん…」

「穂乃果、売られたケンカ、買うわよ!」

「…うん。わかった!受けよう!」

「穂乃果!」

「海未ちゃん、わかってる。リスクはあるよ。でも、それ以上に得るものは大きいよ」

「音源はどうするのです?」

「それなら持ってるわよ」

「今までの楽曲なら、この中にすべてあるから、向こうでスピーカーにさえ繋がれば音は流れるわ」

真姫が携帯の再生プレーヤーをポケットから出して、メンバーに見せた。

「ふふふ…やるしかないやん!」

「…仕方ないですね…」

「これこそがサプライズライブにゃ~!!」

「ホントに前哨戦になっちゃった…」

にこの顔は少し曳きつっている。

「にこちゃ~ん?」

「大丈夫よ。武者震いだから」

にこはことりに顔を覗かれ、慌てて伏せた。

 

 

 

「は~い!やります。音ノ木坂スクールアイドル、μ's、歌わせていただきます!!」

穂乃果の宣言に、拍手が起きる。

 

「それでこそ、μ'sだわ」

ツバサは、満足そうに微笑むと、英玲奈とあんじゅを連れ立って、袖へと消えた。

 

 

 

μ'sのメンバーがステージに向かう。

ことの成り行きを見守っていた花陽も、合流した。

「穂乃果ちゃん!」

「花陽ちゃん、大丈夫?」

「たぶん穂乃果ちゃんなら、やるって言うと思ってたから、心の準備はしてました」

「うん!」

互いに顔を見合わせ、ニッと笑う。

 

μ'sのメンバーはもちろん、全員私服。

ことりと真姫はハイヒールを履いている。

「ことりちゃんも真姫ちゃんも、それで踊れるん?」

「なんとかするわよ」

「うん、踊れなくはないと思うよ」

「でも、怪我はあかんよ…」

「それなら、私に考えがあるわ」

「えりち!」

「花陽ちゃんだって、まだお尻は万全じゃないんでしょ?」

「…」

 

 

 

「アカペラ!?」

 

 

 

絵里の提案にメンバー全員が、驚きの声をあげた。

 

「ダンスを合わせてるヒマはない、(ダンス)シューズもない、怪我人もいる…それしかないでしょう?」

「それにA-RISEとも、差別化が図れる…やね」

「その通り」

「でもアカペラの曲なんて…あっ!」

「歌えるわね…みんな!」

「穂乃果、音、外さないでくださいね。出だしが大事なんですから」

「任せて!…それじゃあ、いきますか!」

 

 

 

「会場にお集まりの皆さん、始めまして。私たちは音ノ木坂学園のスクールアイドル、μ'sです。A-RISEの皆さん、私たちにお時間をいただき、本当にありがとうございます。折角プレゼントしていただいた時間なので、精一杯、その恩に応えたいと思います。それでは、聴いてください…」

 

 

 

 

「♪愛してる、ばんざ~い!ここでよかった…私たちの今がここにある…」

 

 

 

 

 

~つづく~


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