【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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先輩禁止! その18 ~デキた妹~

 

 

 

 

 

ピンポーン…

玄関のチャイムが鳴る。

「あ、来た、来た …」

エプロン姿のにこが、いそいそとドアを開ける。

すると、そこには立っていたのは…花陽だった。

「お待たせしました…」

少し息を切らしている。

「それ、家から持ってきたの?」

「はい、いいトレーニングになりました…」

そう答えた花陽の腕には、10kgの米が抱えられていた。

「や、やるわね…。まぁ、それよりあがって…」

「は、はい。では、失礼します…」

室内に入ると『小さいにこ』が3人出迎えた。

「あ、花陽さま、こんにちわ」

「花陽お姉さま、こんにちわ」

「はなよねーたま、こんにちわぁ」

「こころちゃん、ここあちゃん、こたろうくん…だっけ?こんにちわ。みんな元気かな?」

「はい、お陰さまで。それよりも、花陽さまは『お米の大会』で優勝されたそうで…おめでとうございます」

「あ、ありがとう。今日はね、その時にもらったお米を持ってきたんだよ。新米だから、すごく美味しいよ!」

「本当にいいの?」

コンロでお湯を沸かしているにこが、花陽に訊いた。

「もちろんです!元々はにこちゃんが教えてくれたイベントですし、これくらいのことでしたら」

「そういうことなら、遠慮なくいただくわ」

「はい!」

花陽は優しく微笑んだ。

 

 

 

利き米コンテストの決勝。

 

A-RISEの統堂英玲奈と3ポイント先取の早押し勝負に挑んだ花陽は、3対2で激闘を制し、見事に優勝商品の米俵2俵(米120kg)をゲットしたのだった。

ちなみに米俵自体はダミーだったのだが、翌日には10kgの米が12袋、自宅に配送されたのである(主催者側は、ひと月に10kgづつ…と考えていたようだが、花陽の希望で『一括納入』されたのは言うまでもない)。

 

花陽が今、にこの家に運んできたのは、その『12分の1』なのである。

 

 

 

「ここじゃ、落ち着かないでしょ?アタシの部屋に行こうか…」

「あ、お姉さま、私たちはお出掛けしますので、気になさらずに…」

「そう?遊びに行ってもいいけど、時間までには帰ってくるのよ」

「はい、お姉さま!行って参ります。ここあ、こたろう、お出掛けするわよ」

「はい!」

「あ~い…」

「では、私たちは、しばし公園で遊んで参りますので…花陽さまはどうぞごゆっくりと」

「あ、ありがとう…気を付けてね」

花陽は3人を笑顔で見送った。

「気を使わせちゃったかな?」

「デキた妹でしょ?」

「本当にしっかり者だね、こころちゃん」

「ま、まぁねぇ~。姉の教育がいいから」

「うん、そうなんだろうね」

「あれ?否定しないのね…。凛なら真っ先に『それは違うにゃ~!』とかいうのに…」

「あははは…凛ちゃんはにこちゃんのこと好きだからねぇ。つい、言いたくなっちゃうんだよ」

「ナメられてるだけじゃない?」

「慕われてるんだよ」

にこは急須にお湯を注ぐと、湯呑みとお茶菓子を盆に乗せ、自分の部屋へと移動した。

花陽も後を着いていく。

 

 

 

にこの部屋。

 

 

 

花陽はついこの間、メンバーと訪れたばかりだ。

…というより「押し掛けた」が正確な表現か。

 

ピンクを基調とした乙女チックな室内は、男子がひとり取り残されたら、恥ずかしさのあまり、数秒で部屋を出てしまうだろう。

 

こっちの方がよっぽど落ち着かないよね…と心の中で苦笑する花陽。

 

壁にはμ'sのポスターが貼られている。

しかし前回と違うのは『顔に細工がされていない』ということだった。

 

「い、一応『にことバックダンサー』は、終わったから…」

花陽は一言もそのことには触れなかったが、にこは自ら言い訳っぽく呟いた。

「妹さんたち、理解してくれた?」

「どうかしら?まぁ、あの子たちもバカじゃないからねぇ…」

「受け入れてくれるといいね?」

「それはアンタたち次第よ」

「ん?」

「μ'sがラブライブに出場できるかどうか…にかかってるんだから」

「確かに…」

にこが偶然とはいえ、A-RISEが出場した利き米コンテストで、やたら『前哨戦』と拘(こだわ)った理由は、そこにあるのかも知れない。

 

「あ、お米…ありがとう」

「いえ、どういたしまして」

「正直、助かるわ」

「はい」

「念の為に訊くけど…同情…じゃないでしょうね?」

「えっ?」

「確かに『優勝したら、分け前をよこしなさいよ』とは言ったけど」

「そんなつもりで持ってきたわけじゃ…」

「母子家庭で子だくさん=にこの家は貧しい…みたいに思われるのは、アイドル好きを否定されること以上に、屈辱的なことだから」

「にこちゃん…。母子家庭で、妹弟(きょうだい)が多い…っていうのは、ビックリしたけど、貧しいとは思ってないよ」

「まぁ、アンタならそう言うわよね」

「いや、他のメンバーだって…。じゃなきゃ、自分の趣味に、あれだけのお金、注(つ)ぎ込めないもの」

「ん?なかなか痛いとこを突くじゃない」

にこはハッハッハッと高笑いした。

…が、すぐに

「と、言いつつ結構節約してるんだから」

と花陽の耳元で囁いた。

 

苦労してるとは思われたくないが、苦労してることは認めてほしい。

実に複雑な心情である。

 

花陽は、にこがことあるごとに、見栄を張ってしまう行動パターンの一端を理解した気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

~つづく~

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