【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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先輩禁止! その19 ~出る杭は打たれる~

 

 

 

 

 

「さて…と…。せっかく花陽が来てくれたから『昨日のライブ』の様子でも見てみようか?」

「はい!」

にこはそう言うと、机の上にあるパソコンを立ち上げた。

 

「♪にっこにっこに~!」

 

「今の起動音?」

「何よ、別にいいじゃない!」

「そうだけど…」

徹底してるなぁ…と顔がニヤけてしまう花陽。

「μ's、アキバ、サプライズライブ…と…これね」

「あ、昨日からまた再生数が増えてる…」

「まぁ、アタシも何回も見ちゃうからアレだけど」

「はい、私もです」

「どれどれ…」

 

 

《アカペラかよ、やるな!》

《ホントにガチ?打合わせ無し?なら、即興でこれだけ出来れば、たいしたもんだ!》

《誰だよ、コイツら》

《ツインテールの子、可愛い》

《いい曲ですね。μ'sの作品はどれも素敵ですが、こういうのがあると、幅が広がりますね》

《なにコレ?感動した!!》

《なんか聴いてたら急に涙が出てきた》

《小悪魔がひとり混じってる》

《A-RISE推しだけど、ちょっと浮気しそう》

《歌、下手すぎだろ》

《みんなの私服が見れて、得した気分になりました!衣装とは違って、それぞれの個性が際立っていましたよ!》

《μ's…神だわ。予選突破間違いないね!》

《1番右の子の服、センスいい!》

《第一声で寒イボ立った…》

《こんなん演出に決まってんじゃん…》

《しゃしゃり出てくるな!》

《合唱コンクールw》

《まさかのμ's登場。A-RISEの神対応に感謝!》

《普通にいい曲だと思います》

 

 

 

「コメント見ても、概ね、好評ですね」

「結構A-RISEファンからの中傷コメもあるけど」

「まぁ、それは仕方ないです…が…ところどころ、にこちゃんのコメも混じってますね…」

「ん?」

「それもかなりの数で…」

「それはさておき…」

「あ、ごまかした…」

花陽が苦笑いをした瞬間、にこが急に真面目な顔をした。

「?」

「…花陽はさ、なぜA-RISEが私たちに曲披露の機会を与えたと思う?」

「そこに戻りますか…」

花陽は首を傾げて、う~ん…と唸った。

 

 

 

μ'sがアカペラで曲を披露して『元々A-RISEの為に設定された』ライブの時間は終了した。

決勝戦後半に臨む、英玲奈と花陽はそのままステージに残ったが、スクールアイドル2組は、先程まで参加者が使用していた控え室に通された。

 

スタッフから「決勝戦が終わるまで居てもよい」と言われたが、双方とも戦いの行方が気になる為、そう長居をするつもりはない。

ドリンクバーで喉を潤すと、足早に外に出た。

 

その間、A-RISEと何も話さなかったのか…というとそういうわけでもない。

主に話をしたのは綺羅ツバサと穂乃果。

 

「やはり、アナタたちは素晴らしいわ。こういう『武器』も持っているとはね…。もはや、ただのスクールアイドルじゃない…ということを確信したわ」

社交辞令的挨拶も含まれているのだろうが、そう言ったツバサの表情は、とても嬉しそうだった。

「あ、ありがとうございます。なんか、貴重な時間を頂いて…」

「いいのよ。これでアナタたちの知名度も上がったんじゃないかしら。そして、それがスクールアイドルの地位向上…さらにはラブライブの発展に繋がれば、それはそれでいいと思ってるんだから…」

「 はぁ…」

「お互い、本選目指して頑張りましょう」

「は、はい!」

「でも、負けないわよ…」

「わ、私たちもです!」

穂乃果の答えに、ツバサとあんじゅは「ふふふ…」と笑いながら、控え室から姿を消していった。

 

 

 

そのあと、決勝戦で英玲奈を破り、優勝を果たした花陽がメンバーと合流。

 

時刻がちょうどお昼時であったことから、近くのファストフード店に立ち寄り、簡単な祝勝会を行った。

 

最初は激戦を振り返り、花陽の偉業(?)を褒め称えていたメンバーだったが、徐々に話題はサプライズライブについてへと移っていく。

 

「ぶっつけ本番のわりには、うまくいったにゃ…」

と、凛が言えば

「上出来ではないでしょうか。歌い終わったあとにもらった拍手は、今までとひと味もふた味も違いました」

「穂乃果ちゃんの第一声で、空気が変わったのがわかったよ。ちょっと、ゾクッとしちゃった…」

と海未もことりも興奮して語る。

「えりちの判断が良かったんやない?」

「まさか、あそこであの曲を選ぶとはねぇ…」

「真姫のピアノがあれば、もっと良かったんだけど」

「それは贅沢にゃ!」

口々に感想を述べていく。

誰もが満足そうだ。

 

「突然の…本当にハプニングだったけど、取り敢えず結果オーライ…ってことで…」

穂乃果がこの話をまとめようとした時、楽しい時間に終止符を打ったのが、にこだった。

 

 

 

「ところで、A-RISEの狙いはなんだったのかしら」

この一言で浮かれていた空気が一変する。

唐突に緊張感が訪れた。

 

 

 

「A-RISEの狙い?」

真姫がその言葉をオウム返しした。

「それはツバサさんが、言ってたじゃん。スクールアイドルの地位向上、ラブライブの発展の為だって…」

「穂乃果はその言葉を真に受けてるの?」

「えっ!」

「今、自分で言ったじゃない…『結果オーライだった』って」

「言ったけど…」

「じゃあ、失敗してたら?」

「えっ?」

「失敗してたら?」

「そ、それは…」

「アタシの実力があったから、うまくいったけど」

「私たち…やね」

「そこは聞き流しなさいよ…」

「つまり、にこちゃんはA-RISEが私たちを潰しにきたんじゃないか…って言いたいわけね…」

「真姫ちゃん…そんなことって…」

「そこは私も気にはなっていました。この間のライブ会場提供の件もそうですが、少しお節介が過ぎるのではないかと…。何も考えもなく、敵に塩を送るということがあるのでしょうか…」

「海未ちゃんまで…。それは…それはツバサさんたちがμ'sをライバルだと認めてくれてる証でしょ」

「彼女たちの言葉を額面通りに受けとるなら…ね」

「絵里ちゃん…」

「ただ穂乃果の言い分もわかるわ。その…言動に悪意みたいなものは感じられないのも確かだし」

「だよねぇ、だよねぇ」

「試されてるんじゃないかな?」

「ことりちゃん?」

「μ'sがA-RISEと対等に渡り合える存在なのかどうか…って。ううん、むしろ、そういう存在になってほしい…っていう願望?」

「同じ会場、同じ条件で歌って…コケるようなら、それまでのもの…。A-RISEのライバルにはなり得ない…ってことやね」

「ことりの私見ですけど。…花陽ちゃんはどう思う?」

「えっ?」

「ツバサさんではないけど、A-RISEのメンバーと一番長くいたのは、花陽ちゃんでしょ?何か感じたことはない?」

「は、はい…えっと…『正々堂々』です!」

「正々堂々?」

「はい、英玲奈さんの印象…。見た目クールですけど、あの人は熱いし真っ直ぐです。小細工とか…そういうのを嫌うタイプです。ツバサさんはわからないけど、英玲奈さんを見れば、多分、同じなんじゃないかと思います。でなければ、長い間、一緒に活動出来ないですから」

「かよちんも熱いにゃ」

「そしてツバサさんたちは、つまらないんだと思います」

「つまらない?」

「スクールアイドルとして、頂点を極めて…それはそれで良いのかも知れないないけど…もっと自分達のパフォーマンスを高めてくれる…そういう存在が、今は居ないんだと思います。だから、ことりちゃんの言う通り、自分達を脅(おびや)かすような存在の出現を待ち望んでるんだと思います」

「それがウチら…やと」

「はい」

「そうであれば光栄なことですが…」

「潰すとか潰さないとか…そういう考えはないと思います。純粋に真剣勝負がしたい…そういうことじゃないかと…」

「応えたいね…その想いに」

「穂乃果ちゃん」

「そして…超えたい!」

「そうですね。私たちは何度も逆境を乗り越えて来たんです。今回だってそうです」

「そうやね。ある意味ギャンブルやったけど…それに勝ったんやから」

「そうにゃ!凛たちは凛たちで、常に全力のパフォーマンスを見せればいいにゃ!」

「そうね。私たち挑戦者なんだから」

 

 

 

「…ということで、その話は終わったんだと…」

「アンタたちはピュア過ぎるのよ」

「そうかなぁ…。でも、にこちゃんが憧れてたA-RISEだよ。そういうことをする人たちじゃないでしょ?」

「それとこれとは別よ。今のアタシは単なるファンじゃなないからね。音ノ木坂のスクールアイドル部部長として、μ'sを失敗させるわけにはいかないんだから…」

「頼りにしてます!」

「アンタだけだよ、そう言ってくれるのは…」

そう言うとにこは、花陽の背後から抱きついた…。

 

 

 

 

 

~つづく~

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