【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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先輩禁止! その20 ~帰らないで!~

 

 

 

 

 

「このあと、ヒマ?」

「…空いてるのは空いてますけど…」

「なら、ちょっと、買い物に付き合いなさいよ」

「はぁ…」

「今日はママ…じゃない…母の帰りが遅くて、夕飯の支度から何から、アタシがやらなきゃいけないの。食料品の買い出し、一緒に行ってくれない?」

「そういうことなら…はい」

「…で…おしりは?」

「えっ?」

「階段から落ちて、打ったところ」

「あ、あぁ、花陽のおしりですか?唐突に言うからなにかと…。はい、もう、すっかり良くなりましたよ。アザも無くなりましたし、押されても痛くないです」

「まぁ、あのお米を抱えて来たんだから、大丈夫だと思うけど…どれどれ…」

そう言うとにこは、花陽の背後に回り、彼女の臀部を両手で揉んだ!

「ぴゃあ!に、にこちゃん!?」

「痛くない?」

「い、痛くはないですけど…」

「柔らかい…」

「はい?」

「アンタのおしり…柔らかいわね…」

「な、なにを…」

「ちょっと、もう1回触らせてもらっていい?」

「なんですか!その希ちゃんみたいな手つきは!?ダメです!いくらにこちゃんでも、変なことしたら怒りますよ!」

「希にはワシワシさせるのに、アタシはダメなんだ?」

「希ちゃんが勝手にしてるんです!別に許可してるワケじゃありません!」

「まぁ、いいわ…。おしりが大丈夫なら、出掛けるわよ」

「はぁ…」

「さぁ、行くよ!」

「今ですか?」

「なにか問題でも?」

「あ、いえ…妹さんは?」

「あぁ、平気、平気。ちゃんと置き手紙していくから」

「そうなんですか。花陽は鍵っ子じゃないから、あまり良くわからないんですけど…大丈夫であるならば行きましょうか…」

2人は身支度を整えると、部屋を出た…。

 

 

 

 

 

「今日は玉子が安いのよ…1パック98円」

「あ、確かに」

「ただし、お1人様1点のみで、千円以上お買い上げのお客様に限り…だけど」

「シビアですね」

「店としては、それだけを買いに来られても、儲けが出ないからねぇ。…で、アタシと花陽は別々に会計して、玉子を2パック、ゲットする」

「はい、わかりました」

「2パック買っても、卵かけご飯にしたら、それだけで4個消費だからね。あっという間になくなるんだわ…あ、花陽はそういう食べ方、嫌なんだっけ?」

「白いご飯を汚して食べるのは嫌ですが、卵かけご飯は別ですよ!」

「そう。どこに線を引いてるのかはわからないけど…」

「えへへへ…」

2人は並んでスーパーへと入る。

「今日は誰も尾行してないでしょうね?」

「だとしたら激写されちゃいますね!」

「アンタは『ラブライサー』になったんだから、おかしなことをしたら、すぐにネットにアップされるわよ」

「はい、気を付けます!」

ピッと敬礼する花陽…。

 

 

 

 

 

「随分買いましたねぇ」

「今日は『荷物持ち』がいたから、まとめ買いしたのよ。ホント、助かったわ」

「いえいえ、どういたしまして」

「アンタにしか、こんなこと頼めないからね」

「?」

「当たり前じゃない!宇宙No.1アイドルにこ様の、こんな庶民的な生活を、わざわざみんなに晒す必要はないでしょ?」

「メンバーにはいいんじゃないかな?」

「ダメ、ダメ!そもそも海未とか…ことりとか真姫とか、玉子がいくらか…なんと知らないでしょ?」

「う~ん…」

「価値観が違う人間とは、買い物は出来ない」

「そこまでじゃ…あ、でも…真姫ちゃんは…そうか、自分で食料品とか買わないか…」

「イチイチ、ケチ付けそうでしょ?『そんな安物買うの?』…とか」

「まぁ、それは…」

花陽はそのやりとりを想像し、苦笑した。

「見てる分には楽しそうだけどね」

「冗談じゃないわ!…穂乃果や凛は計算できなさそうだし」

「う~ん…」

と、言ったが否定はしない。

「希ちゃんと絵里ちゃんは?」

「ムリ、ムリ!そんなこと…恥ずかしくて言えないわよ」

「にこちゃんは、まだ3年生と距離がありますねぇ」

「そう簡単には、縮まらないのよ」

「縮める努力をしてください。特に希ちゃんは待ってますよ、にこちゃんのこと」

「…わかってるんだけど…って、アンタも言うことが大人になったわね」

「えへへへ…」

「あ、着いたわ」

「着きましたね」

にこが自宅のドアの鍵を開ける。

3妹弟はまだ帰宅していないようだった。

花陽はにこと一緒に中に入る。

買ってきた食料品を

「ここでいい?」

と訊いてテーブルの上に置く。

にこは再びエプロンを身に着けながら、うん!と頷いた。

「では、私はこれで…。こころちゃんたちによろしくお伝えください。また明日…」

花陽はにこに一礼して、部屋を出ようとした…。

 

しかし、その時、にこから意外な言葉が飛んできた。

 

 

 

「誰も帰っていい…なんて言ってないじゃない!」

「えっ?」

花陽が振り替えると

「ダメよ、今日はまだ帰さないんだからぁ」

にこは両手を胸の前で組み、体を左右にくねらせながら、見つめている。

 

 

 

な…これは…この展開は…

 

 

 

 

花陽の思考が停止した…。

 

 

 

 

 

~つづく~


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