【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
「このあと、ヒマ?」
「…空いてるのは空いてますけど…」
「なら、ちょっと、買い物に付き合いなさいよ」
「はぁ…」
「今日はママ…じゃない…母の帰りが遅くて、夕飯の支度から何から、アタシがやらなきゃいけないの。食料品の買い出し、一緒に行ってくれない?」
「そういうことなら…はい」
「…で…おしりは?」
「えっ?」
「階段から落ちて、打ったところ」
「あ、あぁ、花陽のおしりですか?唐突に言うからなにかと…。はい、もう、すっかり良くなりましたよ。アザも無くなりましたし、押されても痛くないです」
「まぁ、あのお米を抱えて来たんだから、大丈夫だと思うけど…どれどれ…」
そう言うとにこは、花陽の背後に回り、彼女の臀部を両手で揉んだ!
「ぴゃあ!に、にこちゃん!?」
「痛くない?」
「い、痛くはないですけど…」
「柔らかい…」
「はい?」
「アンタのおしり…柔らかいわね…」
「な、なにを…」
「ちょっと、もう1回触らせてもらっていい?」
「なんですか!その希ちゃんみたいな手つきは!?ダメです!いくらにこちゃんでも、変なことしたら怒りますよ!」
「希にはワシワシさせるのに、アタシはダメなんだ?」
「希ちゃんが勝手にしてるんです!別に許可してるワケじゃありません!」
「まぁ、いいわ…。おしりが大丈夫なら、出掛けるわよ」
「はぁ…」
「さぁ、行くよ!」
「今ですか?」
「なにか問題でも?」
「あ、いえ…妹さんは?」
「あぁ、平気、平気。ちゃんと置き手紙していくから」
「そうなんですか。花陽は鍵っ子じゃないから、あまり良くわからないんですけど…大丈夫であるならば行きましょうか…」
2人は身支度を整えると、部屋を出た…。
「今日は玉子が安いのよ…1パック98円」
「あ、確かに」
「ただし、お1人様1点のみで、千円以上お買い上げのお客様に限り…だけど」
「シビアですね」
「店としては、それだけを買いに来られても、儲けが出ないからねぇ。…で、アタシと花陽は別々に会計して、玉子を2パック、ゲットする」
「はい、わかりました」
「2パック買っても、卵かけご飯にしたら、それだけで4個消費だからね。あっという間になくなるんだわ…あ、花陽はそういう食べ方、嫌なんだっけ?」
「白いご飯を汚して食べるのは嫌ですが、卵かけご飯は別ですよ!」
「そう。どこに線を引いてるのかはわからないけど…」
「えへへへ…」
2人は並んでスーパーへと入る。
「今日は誰も尾行してないでしょうね?」
「だとしたら激写されちゃいますね!」
「アンタは『ラブライサー』になったんだから、おかしなことをしたら、すぐにネットにアップされるわよ」
「はい、気を付けます!」
ピッと敬礼する花陽…。
「随分買いましたねぇ」
「今日は『荷物持ち』がいたから、まとめ買いしたのよ。ホント、助かったわ」
「いえいえ、どういたしまして」
「アンタにしか、こんなこと頼めないからね」
「?」
「当たり前じゃない!宇宙No.1アイドルにこ様の、こんな庶民的な生活を、わざわざみんなに晒す必要はないでしょ?」
「メンバーにはいいんじゃないかな?」
「ダメ、ダメ!そもそも海未とか…ことりとか真姫とか、玉子がいくらか…なんと知らないでしょ?」
「う~ん…」
「価値観が違う人間とは、買い物は出来ない」
「そこまでじゃ…あ、でも…真姫ちゃんは…そうか、自分で食料品とか買わないか…」
「イチイチ、ケチ付けそうでしょ?『そんな安物買うの?』…とか」
「まぁ、それは…」
花陽はそのやりとりを想像し、苦笑した。
「見てる分には楽しそうだけどね」
「冗談じゃないわ!…穂乃果や凛は計算できなさそうだし」
「う~ん…」
と、言ったが否定はしない。
「希ちゃんと絵里ちゃんは?」
「ムリ、ムリ!そんなこと…恥ずかしくて言えないわよ」
「にこちゃんは、まだ3年生と距離がありますねぇ」
「そう簡単には、縮まらないのよ」
「縮める努力をしてください。特に希ちゃんは待ってますよ、にこちゃんのこと」
「…わかってるんだけど…って、アンタも言うことが大人になったわね」
「えへへへ…」
「あ、着いたわ」
「着きましたね」
にこが自宅のドアの鍵を開ける。
3妹弟はまだ帰宅していないようだった。
花陽はにこと一緒に中に入る。
買ってきた食料品を
「ここでいい?」
と訊いてテーブルの上に置く。
にこは再びエプロンを身に着けながら、うん!と頷いた。
「では、私はこれで…。こころちゃんたちによろしくお伝えください。また明日…」
花陽はにこに一礼して、部屋を出ようとした…。
しかし、その時、にこから意外な言葉が飛んできた。
「誰も帰っていい…なんて言ってないじゃない!」
「えっ?」
花陽が振り替えると
「ダメよ、今日はまだ帰さないんだからぁ」
にこは両手を胸の前で組み、体を左右にくねらせながら、見つめている。
な…これは…この展開は…
花陽の思考が停止した…。
~つづく~