【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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先輩禁止! その23 ~Trouble Bathだぁ!~

 

 

 

 

 

 

「はい、じゃあ、みんな…お洋服脱いで…洗濯カゴに入れて…」

3人の中でも1番上のこころは、多少恥じらいを感じていたようだが、花陽に対する安心感なのか、言われるままに服を脱いでいく。

残りの2人は臆面もなく、すっぽんぽんになった。

こたろうの股間には、花陽が『普段目にしないもの』が付いていたが、凝視するわけにもいかず、かといって過剰に眼をそらすわけにもいかないため、平静を装うことに極力努めた。

幸い、こたろうはすぐに浴室に入って行ったので、さほど長く対面することはなかったのだが…。

 

…保母さんになったら、ああいうのを毎日見ることになるんだよねぇ…

慣れておかないと…なのかな…

 

自問自答する花陽。

 

思わず長考しそうになったが、すぐに気を取り直して、入浴を手伝う準備をする。

…といっても彼女はパーカーにショートパンツという格好であった為、靴下だけを脱ぎ、腕捲りをしただけだが。

 

「入るよぅ!」

一声掛けて、浴室の扉を開けた…

 

 

 

その瞬間…

 

 

 

バシャッ!

 

「ぴゃあ~!!」

響く花陽の絶叫!

 

「なに!?」

慌てて駆け寄る、にこ。

 

そして、全身びしょ濡れになった花陽を見て、すべてを理解。

 

「あぁ、やられちゃったか…」

「避けられませんでした…」

「こた!今日はお姉ちゃんじゃない…って言ったでしょ!」

「ふく、きてるの…しらなかった…」

「だからって、いつもやるな!って言ってるでしょうが!!」

「…ごめん…」

にこに怒られたこたろうはの顔は、見る見るうちに真っ赤になり、やがてシクシクと泣き始めた。

「大丈夫だよ。お姉ちゃんは大丈夫だから泣かなくていいんだよ…」

もちろん花陽に非があるわけではないが、ここは大人としての対応をせざるを得ない。

 

…矢澤家の末っ子は、花陽が『普通に』風呂に入るものだと思い、ふざけてお湯を掛けたのらしい。

こたろうにとってはある意味、にこに対するお約束の『悪戯』だったようだ。

 

しかし…

 

「見事なまでにずぶ濡れね…」

「下着まで濡れちゃいました…」

「だったらアンタも一緒に入っちゃいなよ!」

「どこにですか?」

「お風呂に決まってるでしょ」

「えっ?」

「当たり前でしょ?もう夏じゃないんだし、そんな濡れたままの格好で、いつまでもいられるわけないじゃない」

「でも着替えが…」

「アタシのを貸してあげるわよ」

 

…希ちゃんの家ではスエットを借りて着たけど…

…にこちゃんのはちょっと小さ過ぎるような…

 

「…着れるかな…」

ついポロッと一言。

これに対し『希の家での件(くだり)』は知らないまでも、その意味を察したにこは

「失礼ね!」

と一喝。

「なんでもいいから、早く脱ぎなさいよ。風邪引くわよ!ほら、ほら」

「は、はい…」

にこは強引にパーカーを引っ張り、無理矢理それを奪い取る。

その勢いに押されて、花陽は仕方なく中に着ていたTシャツを脱ぎ始めた。

 

その姿を矢澤4姉妹弟が、じっと見つめている。

 

「ん?…いや、みんなでそんなジッと見てなくても…」

慌てて浴室の扉を閉める。

「にこちゃんも…」

「そ、そうね。脱いだら、そこに置いといて。とりあえず乾燥機に掛けてあげるから。じゃあ、アタシは後片付けしてくるから、あとはヨロシク!」

「は、はい…」

イソイソとその場を立ち去るにこ。

心なしか顔が赤い。

一方の花陽も、まさか自分が風呂に入ることは想定していなかったので、着ていたものは全部脱いだものの、どうしたら良いかわからない。

 

子供相手に変に隠して…というのもどうかと思うが、だからといって堂々と入る勇気もない。

「はっくしょん!」

そんなことを考えているうちに、くしゃみをした。

 

…これは早く入らないと、本当に風邪を引きますね…

 

「花陽さま?大丈夫ですか?」

中からこころの声。

「花陽お姉さま?」

ここあも心配して声を掛けている。

 

…そう、私はお姉さんになるんだから、恥ずかしがってちゃダメなのよ!

 

そう自分に言い聞かせた花陽は、意を決して中に入った。

 

 

 

「お待たせ…。ゴメンね、心配してくれた?」

「あ、はい…」

と言ったとたん、急にこころが黙りこんだ。

ここあも、こたろうも花陽を見て動きが止まった。

3人ともただの1点を見つめて呆(ほう)けている。

 

「ん?お姉ちゃん、なにかおかしい?」

ポカーン…としてる3人に、素朴な疑問をぶつける花陽。

「はい、お姉さまとはだいぶ違いますので…思わず…見とれてしまいました」

と言ったこころの視線の先は、花陽の胸元だった。

「想像以上です」

「にこねぇは…ペッタンコ…」

「あら、こたろうくん、それは言っちゃダメだよ。大きさは、人それぞれなんだから。それより、ほら、順番に頭と身体を洗わないと」

「は~い!」

「誰から?」

「下から順に」

「はい、じゃあ、こたろうくんからね。頭からシャワー掛けても平気かな?」

「へ~き~」

「じゃあ、いくよ。あ、お姉ちゃんにくっつかない…ぴゃあ!…こら!お顔をスリスリしないの」

「おっぱい…ぼよよんって…きもちいい…」

「でも、ダ~メ!…あん!モミモミもしちゃダメ!」

 

花陽の知り合いに幼児教育に携わっている者がいる為、話は聴いている。

これくらいの子供に『胸を触られる、尻を触られる』は日常茶飯事で、それをイチイチ気にしていたら、仕事として成り立たない…と。

 

もちろん頭では理解しているものの、直接『生』で触られることへの覚悟は、15歳の花陽にはまだなかった。

 

「こたろう、それはセクハラというのです。ママ以外の女の人にそういうことをしては、いけないのです!」

そんな悩める花陽に助け船を出したのは、次女こころだった。

「せくはら…って?」

「え~と…」

こころが答えに窮する。

 

性的嫌がらせ…って言ってもわからないよね…

 

「嫌だ…っていうのに、女の人にエッチなことをすること」

と花陽。

 

これで理解してくれたかな?

 

「えっち…って?」

 

ダメかぁ…

 

「エッチっていうのはねぇ…」

これは説明するのが面倒ですね…などと花陽が考えていた時だった。

 

「こたろうだけ、ズルい」

「えっ!ここあちゃん?」

「ここあもする」

「わっ!ここあちゃんまで!ダメ、ぷにぷにしないの!」

「花陽お姉さま…とっても柔らかいです」

「う、うん…ありがとう…なんだけど…アワアワの手でスベスベとかしちゃダメだってば…あん!そこもダメなの…うひゃっ!くすぐらないの!ストップ!ストップ!あん…こころちゃん、なんとかして…」

「…こころも参戦します!」

「うそっ!?…あっ…待って!…あん…あ~…」

 

 

 

 

花陽が3妹弟の頭と身体を洗い終わり、彼らから開放されたのは、入浴から30分ほど経過してからだった。

 

 

 

ぐったりとして浴室を出る。

そこにはにこが用意したバスタオルが置かれていた。

「にこちゃ~ん…」

身体を拭いたあと、バスタオルを巻き付け、脱衣所からにこを呼ぶ。

「あぁ、出たのね。疲れたでしょ?」

「はい…」

「小さい子供がいると、毎日こんななのよ」

「頭が下がります…それより、花陽の服は?」

「あ~、ゴメン!乾燥機に掛けるの忘れてた!」

「な、なんですとぉ!?」

花陽のハの字眉毛が、逆向きになる。

「ちょっと待ってて…今、替わりのものを持ってくるから」

「替わりのもの?」

一旦、脱衣所から姿を消したにこが手に何かを抱えて戻ってきた。

「これを穿きなさい」

「パンツ?うわっ!ちっちゃい…」

「未使用だから」

「ここあちゃんの?」

「アタシのよ!!!」

花陽はまじまじとそれを見た。

「にこちゃんマークがバックプリントされてる…」

「いいから、早く穿きなさいよ!」

「はい…」

笑いを堪えながら、脚を通す。

 

結果は…案の定…

 

「キツキツです…前はなんとか…ですが、お尻の方は食い込んでTバックみたいに…」

「うるさいわねぇ…ノーパンよりマシでしょ?あとこれ!」

「な、なんと…これは…パジャマ?」

「もう、今日は泊まっていきなさいよ」

「えっ?」

「風呂上がりに夜風に当たって、湯冷めから風邪なんか引かれても困るし」

「でも、明日は学校が」

「アンタは早起きなんだから、家に戻ってから制服に着替えて出てくればいいじゃない」

「でも…」

「デモもストもないの!大丈夫、家にはアタシが説得してあげるから」

「う~ん…」

「とにかく風邪引くから、早く着なさい」

「はぁ…」

渋々、にこが差し出したパジャマを着る花陽。

「七分袖?」

「長袖よ!」

「胸元が苦しいです」

「ボタンを外せばいいでしょ!」

「おっぱい、見えちゃいます…」

「全部外すからでしょ!」

「にこちゃん、いろいろ、サバ読んでますねぇ?」

「なにが?」

「身長とかスリーサイズとか…」

「贅沢言うなら、脱がして、外に放り出すわよ…」

「ぴゃあ!ごめんなさい」

 

 

 

結局、パジャマは着ずに、にこの所有物の中で、1番大きなトレーナーを借りた。

 

 

 

「七分袖?」

「長袖よ!!」

 

 

 

 

 

~つづく~


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