【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
「通気性のいいものと言えば…まず、これなんかどうかしら?」
サリナが商品を花陽に見せる。
「ん?…うひゃあ!な、なんですか、これは!…ブラの下部分しかないですよ…大事なとこが丸出しです!」
「通気性バツグンでしょ?。」
「い、いや、それ以前の問題かと…。そもそも、これは何用なんですか?」
「それはシェルフカップとか、トップレスとか呼ばれるタイプの1/4カップブラなんだけど、お胸を下から持ち上げて、前に押し出す効果が大きいの。『よりセクシーに』魅せたいとき用ね」
「…えっと…これはいいです」
「だよね。じゃあ、これは?目の細かいメッシュタイプなんだけど」
と、別のブラジャーを手渡した。
それをジッと見つめる花陽。
「これ、向こうが透けて見えますね…」
「見えるね…」
「却下です!」
「だよね」
サリナは半笑いで答えた。
「ちょっと、サリナさん!真面目に選んで下さい」
花陽が少しムッとした。
「ごめん、ごめん。ちょっとからかってみたくなっちゃって」
とサリナ。
…ウチの楽しみをとらんといて…
希はサリナに念を送った。
「真面目に選ぶと…普段使いなら花陽ちゃんの場合、フルカップが最適ね。お胸全体をしっかり包みこんで安定させるタイプで『お肉』の柔らかい人やボリュームのある人にお薦めよ。カップの幅が広いから、お胸のお肉が脇へ流れるのを防いでくれるわ」
「はぁ…」
「デザイン的には3/4カップブラもいいと思うんだけど、こっちはお胸をボリュームアップさせたり、谷間を協調したりするのが特徴だから、花陽ちゃんにはtoo muchかも」
「とぅ まっち?」
「○○過ぎる…。今のだと、花陽ちゃんにはそこまでする必要がないってこと」
希が花陽に説明した。
「そこで…これなんか、どう?これはカップ部分の通気性の良さと軽さが特徴なの。汗ばむ季節でも、付けてるのを忘れるくらい爽やかで軽いわ」
「あ、軽い!」
「ね?それと、カップサイドの背部は、伸縮性のいいレースが1枚だから、着け心地が軽やかなのはもちろん、アウターにも響きにくいの」
「ほほう…」
「温度が上がらない理由はね、ここ…メッシュ素材のパッドポケットで、これが通気性がよくしてるの。お胸にかいた汗もすばやく乾かすから、いつでも爽やかにいられるわよ」
「でも、これ…ストラップないですよね。落ちないですか?」
「それは大丈夫だと思うけど。不安?」
「多少は…」
「なら…こっちはどうかな?」
サリナは別のブラジャーを選定した。
「こっちもカップ部分の通気性がいいわよ。フロント部分のテープが締め付けにくくなってるし。サイド部分も、テープが当たらないから軽い着け心地で…こっちもお薦め」
「ふむふむ」
「カップ部分は両面メッシュで、通気性がよくムレにくい構造ね。肌側もサラッとドライな着け心地で、軽さと通気性がいいから、暑い季節でも爽やかにお洒落が楽しめるわよ」
「なんか、店員さんみたいですね…」
「店員ですけど…なにか?」
「そうでした」
花陽とサリナは顔を見合わせて、笑った。
「うん、そうね。こっちのほうがカラーバリエーションも豊富だし、いいかもね」
「はい!」
「普段は何色が多い?」
「ほとんど白です」
「学生だもんね。 色の濃いのしてたらブラウスから透けて、わかっちゃうものね」
「そうですね」
「まぁ、せっかく今日、新しく買うんだし、色も少し変えてみようよ。…そうだなぁ…花陽ちゃんの雰囲気からして、柔らかな、淡い色が似合うと思うな…う~んと…これなんか、どう?」
「あ、可愛いです!」
「今年の新色なんだけどね、シャーベットグリーン。可愛いよね」
「緑は花陽ちゃんのイメージカラーだから、ピッタリなんじゃない?」
「イメージカラー?」
「あ、部活の衣装とかで、一応、それぞれの目印的な…ちなみに私は紫です」
「あら、じゃあ、ノゾミィは好きな色と一致してるんじゃない」
「先輩の特権で…ウソです。たまたま誰もいなかったから貰いました」
「花陽ちゃんは?好きな色」
「そうですねぇ…わりとオレンジとかも好きです」
「あぁ、そうね…うん、うん…あるわよ、シャーベットオレンジも…ほら。いいじゃない、この色も素敵ね」
「はい」
「他も見てみる?」
「えっ?いや…多分、こんなに沢山あると、迷って決められなくなっちゃうので…」
「じゃあ、この2つにしようか」
「あ、あの…」
「?」
「…おいくらでしょうか?」
「ん?価格?えっと、これは…ショーツとセットで5千円ね」
「…ですか…」
「ん?」
「すみません、その…持ち合わせが、あまりないので、どちらかひとつにしようかと…」
「あ、そんなこと、全然気にしないでいいのよ」
サリナは笑顔で
「どっちにする?」
と花陽に尋ねる。
花陽はさんざん悩んだあげく
「どれにしようかな、神様のいう通り…」
と交互に指差し、最終的にグリーンを選んだ。
「ネットと違って『こういう専門店』は、ブラのアジャストができるのが『ウリ』のひとつなの。最後は、あそこにフィッティングルームがあるから、一緒に入って、微調整をしよう」
「ま、また、脱ぐんですか!?」
「あら、私と一緒じゃ、不満?」
「あ、いや、そういう意味じゃ」
「ノゾミィも一緒に入ってもらう?」
「入ってあげようか?」
そう言った希の両手は、何故かワシワシポーズをしている。
「やっぱり、サリナさんと入ります…」
「じゃあ、行こうか」
花陽とサリナは、ブラを片手にフィッティングルームへと向かった。
~つづく~