【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

60 / 121
先輩禁止! その24 ~リトルにこ~

 

 

 

 

「とりあえず、これで電話は終わったわね…」

「はい…。でも、いくら家の許可をもらったとはいえ、朝帰りなんて、アイドルとしてあるまじき行為なんですからね!」

「アイドルとしてアルマジロの交尾?」

「あ、あるまじき行為です!…って、なんですか、それは!?」

「まぁまぁ…海未には口が避けても言わないけどね、そんなこと」

「間違っても言わないでくださいね」

花陽の頭の中に、海未が激怒している様子が浮かんできた。

同時に他のメンバーのリアクションも考える。

 

 

 

希ちゃんは…「そうそう、アルマジロと交…違うやん!」…かな?

エッチな話、好きそうだし。

 

絵里ちゃんは無言でスルーしそう。

 

ことりちゃんは、にっこり微笑んで「にこちゃ~ん…」。

でもスルー。

 

凛ちゃんと真姫ちゃんは「そのギャグ、さむいにゃ!」「なにそれ、意味わかんない」って言って、にこちゃんが怒るパターン…だね。

そう言いつつ、本当は凛ちゃんと真姫ちゃんは、にこちゃんが大好きなんだけど。

 

最後、穂乃果ちゃんは…聴いてなくて「なに?なに?」って、ひとり取り残されるパターン…。

 

 

 

「花陽?なに、ニヤニヤしてるの?」

「えっ?いえいえ…ところで、こころちゃんたちは?」

「寝たわよ」

「もう?…って、あっ!そろそろ8時半か…」

「普段はもう少し遅くまで起きてるけどね…それなりに気疲れもあったと思うし」

「悪いことしちゃったのかな?」

「そんなわけないでしょ!あの子たちがあんなに『はしゃいでる』姿、久々に見たわよ。花陽が遊んでくれて楽しかったみたい。…アタシも忙しいから、そんなに毎日は構ってあげられてないしね…」

にこが襖を開けると、3妹弟が仲良く川の字に寝ていた。

「可愛い寝顔ですね。こうやって見ると、にこちゃんの幼少期から順番に並んでるみたい」

「憎たらしいくらい似てるからね…」

「憎たらしいだなんて、そんな言い方…」

「だって、そうでしょ。宇宙No.1アイドルのにこさまは、この世の中に1人いれば充分じゃない。コピーが何人もいたら、価値がなくなるんだから」

どこまで本心かわからないが、実ににこらしい『言い訳』だ。

「でも、考えようによっては『最強の3姉妹ユニット』にもなりますよ」

「ま、まぁ…確かにそういう可能性もなくはないわね」

まんざらでもない様子。

「どうしますか?こころちゃんがアイドルやりたい…って言ったら?」

「好きにさせるわよ…自分の道だもの」

「にこちゃんが、妹さんたちを見てる時って、本当に優しい目をしますね」

「そ、そう?」

「やっぱり羨ましです。花陽もそういうお姉さんが欲しかったです」

「いるじゃない」

「?」

「花陽には、一緒に夢を叶えてくれる仲間が…」

「あ…」

「少なくともアタシと違って、充実したスクールアイドル生活を送れてるでしょ?だから逆にアタシは、アンタが羨ましいわ」

にこはサラッと言ったが、花陽にはズシリと響く言葉だった。

にこが入学してから味わった挫折や苦悩…それを自ら語ったことはない。

それだけに、こういう言葉を耳にするのは珍しかった。

思わずにこの顔を見る花陽。

 

…確かに私に音ノ木坂に入学して、怖いくらい順調にアイドルへの夢を叶えている…

…でも、にこちゃんは…

 

そんな花陽の心中を察したのか

「なに、難しい顔をしてるのよ!さて、アタシもお風呂入ってくるから、髪の毛乾かしたら、DVDでも観てて」

と襖を閉めて、明るい声で振る舞った。

「いいんですか?」

花陽もまた、にこの気持ちに応え『少し大袈裟に』返事した。

「アタシは穴が空くほど見てるからね」

「はい、ありがとうございます」

こうして2人は脱衣所へと向かった。

 

 

 

 

 

花陽は髪の毛を乾かしたあと、にこの部屋に入った。

DVDを観て待っていて…と言われたが、人の物を勝手に弄るのは気が引ける。

…とはいえ、同じ趣味をもつ者同士。

どんなDVDを所有しているかは気になるところ。

棚に並んでいるラインナップを一通り眺めてみる。

 

…さすがにこちゃん…

マニアックなDVDが並んでますね…

おぉ、こんなタイトルまで!

観たかったんだよねぇ…これ!…

 

…ん?…これは?…

 

右から左へと動いていた花陽の視線が、ピタリと止まった。

 

「にこ、2歳…3歳…4歳…5歳…」

 

そのタイトルを呟いた花陽には、なんとなくピンとくるものがあった。

 

「これはきっと幼き頃のにこちゃんが、マイクを持って歌ってる映像ですね」

 

花陽が玩具のマイクを手に、歌手の真似事を始めたのは2歳からであり、その頃の映像が家にある。

漠然と憧れていたアイドルという職業…。

小学生になり、花陽はそれを諦めたのだが…

「にこちゃんはブレなかったんですね…」

そのDVDを手に取り、ひとり呟いた。

 

だが、やはりそれを観る勇気は、花陽にはなかった。

ただ、ジッとそのケースを眺めていた。

 

 

 

 

 

「どうしたの?」

気付くと花陽の後ろににこが立っていた。

「えっ!?あぁ…」

「観てなかったの?」

「色々有りすぎて目移りしちゃったというか、なんというか…」

「気に入ったのがあったら、貸してあげるわよ」

「本当に?」

「アンタくらいしか、わかる人いないでしょ」

「あははは…そうですね」

花陽は笑いながら、1枚のDVDを手に取った。

「そうしたら、これを借りていきますね」

「なにそれ?」

「『にこ、2さい…』」

「それはダメ!」

花陽が言い終わらないうちに、にこが被せぎみに叫ぶと、その手からDVDを奪った。

「こんなもの、良く見つけたわね…でも、これはダメ!」

「うふっ…。観たいですけどねぇ、にこちゃんのちっちゃい頃の映像」

「今と変わんないわよ」

「…そうですね…。その頃からの夢を、今も追い続けてるなんて…やっぱり、にこちゃんはスゴいです」

「アンタは違うの?」

「私は一度諦めた夢ですから…。穂乃果ちゃんに誘われなかったら…今頃、何してたんでしょうね」

「それはアタシも同じよ。穂乃果たちが来なければ、部室に閉じ籠って、ひたすらDVDを観るだけの毎日だったかも」

「花陽は…にこちゃんがいてくれて、本当に良かった!…って思ってます」

「ん?」

「だって、こんなに趣味の合う人が身近にいるなんて…これまでの過去を振り返れば、奇跡じゃないですか」

「そうかもね」

「何よりも、ひとりでも信念を曲げずに、これまでやってきたこと…本当に、本当に尊敬してます」

「アンタだけだよ、そんなこと言ってくれるのは。そもそも凛も真姫も先輩だとすら思ってないからね」

「そんなことないですよ。凛ちゃんも真姫ちゃんも、にこちゃんのこと、大好きですよ」

「そんなこと…知ってるけどさ…もう少し、接し方ってあるでしょ?」

「でも、ほら、μ'sは先輩禁止だから…」

「だったら、花陽は?」

「えっ?」

「アンタはアタシの事、先輩として見てない?」

「にこちゃん…?」

 

花陽はこの時、にこがなにを言わんとしているのか、まだ理解していなかった…。

 

 

 

 

 

~つづく~

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。