【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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先輩禁止! その25 ~愛しき天使~

 

 

 

 

 

「花陽は、凛や真姫と違って、アタシに気を使い過ぎるんじゃないか…ってこと」

「そうかな…」

「今日だって…『先輩の命令』だから、従っただけでしょ?嫌なら嫌だって、はっきり言えばいいのよ」

「そんなことないですよ。命令だなんて…」

「アンタは本当に優しいね…」

そう言うとにこは突然、花陽の両手を握り締めた。

「に、にこちゃん!?」

「花陽…ありがとう。今日は久々に楽させてもらったわ」

「い、いえ…こちらこそ、色々勉強させてもらったし、楽しかったですよ」

「うん、また頼むわ」

「はい。出来ることがあれば喜んで!」

 

…はぁ…この娘は人を疑うということをしないのかしら…

普段はネガティブキャラなのに、どうしてこうも素直なの…

アタシも純真無垢の頃はあったけど…もうその時には戻れないのよね…

 

「にこちゃん?」

「ん?な、なんでもない…。さあ、歯磨きとかして寝る準備するわよ」

と二人は洗面台へ移動する。

「…あ、歯ブラシは持ってないけど…」

「使ってないのがいっぱいあるから…はい!」

にこが引出しを開けると、山のように『歯磨きセット』が現れた。

「ママ…じゃない、母は仕事で出張が多くて…今日もなんだけど…それで、ビジネスホテルに良く泊まるの。これはその時の戦利品。今日のところはこれで我慢して」

「我慢だなんて…充分です」

「最近のは、わりと質も良くなってるのよ」

「そうなんですね…」

「今、アンタ『なんて、貧乏ったらしいんでしょう…』って思ってるでしょ?」

「思ってないです」

「母の稼ぎはいいし、保険金、遺族年金も入るから、それなりの暮らしはさせてもらってるけどさ…締めるところは締めないと…」

 

…保険金?遺族年金?…

…部屋に遺影らしきものはなかったけど…

 

「にこちゃんのお父さんって…」

「察する通りよ…それ以上はノーコメント」

「は、はい」

「同情ってヤツは、一番嫌いなんだから」

「わかりました」

そうして2人は一緒に、黙々と歯を磨いた。

 

 

 

「さて…今日はもう寝るわよ。アンタは、朝、一旦家に帰るんだから、少し早く起きなきゃ…でしょ?」

「そうですね…」

「…と言っても、来客用の寝具なんてここにはないから、アタシと一緒のベッドに寝てもらうんだけど」

「わぁ…」

「大丈夫よ。それなりの大きさなんだから」

「は、はい」

 

凛がいたら、確実に

「にこちゃんには大きすぎるにぁ~」

と弄られるところ。

そういう意味では花陽のリアクションは物足りない。

 

…ダメだわ、刺激を求めすぎるとバカになる…

 

にこは頭を小さく左右に振った。

 

「にこちゃん、どうかした?」

「なんでもない」

…今日、2人は何度こんな会話をしただろうか…。

 

「花陽は奥に入って」

「花陽が奥ですか?」

「壁際なら、どんなに寝相が悪くても、ベッドから落ちる心配はないでしょ?」

「そんな気を使っていただなくても」

「使うわよ。また、お尻でも打たれたら、面倒じゃない」

「…すみません…。でも花陽はそんなに寝相は悪くないですけど」

「いいから、早く入りなさいよ」

「はい」

うんしょ、うんしょ…と言いながら、花陽が先にベッドに入る。

電気消すわよ…とにこ。

『希の部屋の時』と違い、真っ暗になった。

「暗いの苦手?」

にこがベッドに入りながら訊いた。

「いえ、大丈夫です?にこちゃんは?」

「明るいと寝れない。本当はアイマスクしたいくらい。でもパックするとできないから…」

「そういえば今日は?」

「もういいわよ、今日は。…それにしても…さすがにひとり横にいると暖かさが全然違うわね」

「寒くなりましたからね…」

「それもそうだけど…。じゃあ、おやすみ」

「はい、おやすみなさい…」

 

「…」

「…」

 

「こういう時って、寝るタイミングが難しいですね」

「寝ようと意識すると寝れないわね」

「枕投げでもします?今日は海未ちゃん、いませんし」

「アンタにしては、面白いことを言うわね…。」

「あの時は、まだ馴れてなくて、凛ちゃんと2人、ただ怯えていましたけど」

「アタシは不意打ちをくらって、瞬殺されたわ」

「次があったら、ちゃんと参加したいですねぇ」

「アタシはゴメンよ。ひとり狙われるのがオチだから」

「じぁあ、チーム戦にします?3チームに分けて」

「そこまでしてやりたい?」

「…というか、前回は本当に見てるだけだったので…」

「アンタも枕投げだなんて、まだまだ子供ねぇ…」

「あんまり、そういうのやってこなかったから…。みんなで、盛り上がるのとか」

花陽はへへへ…と笑った。

「アタシはひとりの方が楽だったりするけどね」

「今も?」

「今は…まぁ、ときどき…」

にこは仰向けだった体勢を変え、花陽に背を向けた。

「にこちゃん…聴いていいかな?」

「なに?」

「にこちゃんが最初にやってた時のユニット名」

「『ラブリーエンジェル』よ」

「ラブリーエンジェル?」

 

…ダー○ィペア?…

花陽は、とあるアニメの主人公を思い起こした…

 

「わりとベタですね」

「いいのよ。アイドルなんて『覚えてもらってナンボ』でしょ」

「そうですね…。それで…一緒にスクールアイドルしてたお友達って…今は?」

「…」

「あ、訊いちゃいけなかったかな…」

「別にいいけど…。2人に見せたいわ、アタシが目指してたのはこれなんだ!って」

「見せたい?…」

「ひとりは転校して、ひとりは辞めたわ」

「えっ!?」

「ア、アタシが原因じゃないわよ…」

「あ、うん…」

「あの娘たちもアイドルになりたかったのは事実。でも本気度っていうか、覚悟が足りなかったのよね。だから凄いと思うわ…μ'sは。アンタはともかく、アイドルのアの字も頭になかった連中が、毎日真剣に取り組んでるんだから」

「うん、うん」

「あ、これも内緒だからね。凛とか真姫とか、すぐに調子に乗るから」

にこは暗闇の中、身体の向きを反対に変えると、花陽に顔を近づけて言い聞かせた。

 

 

 

 

 

~つづく~

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