【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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最高のライブ(穂乃果編)
最高のライブ ~プリンセスの瞬間~


 

 

 

突如決まったブライダルファッションショーへの出演。

μ'sのメンバーは穂乃果を花陽に…いや花嫁に見立てた新しい曲を準備していた。

 

そんな中、2年生は修学旅行に出掛ける。

シーズンと言えばシーズンである。

しかし、この秋口に『沖縄』とは、音ノ木坂の教諭も、なかなかのチョイスをしたものである。

 

その間の暫定リーダーは、満場一致で凛に決定。

 

…とは言うものの、凛に全く自信がない。

 

「全然リーダーに向いてないよ…中心にいるようなタイプじゃないし…。凛は全然アイドルっぽくないし…」

「はぁ…よほどの自惚れやでもない限り、自分より他人の方が可愛い…って思ってるものでしょ?」

凛の嘆きに、そう言って活を入れる真姫。

 

しかし凛には、そう簡単に割り切れない理由があった。

 

花陽曰く…凛は幼い頃からボーイッシュであったが、小学生の時にスカート姿をからかわれたのがトラウマになっていて、以来、自ら『女の子らしい』『可愛い』を拒絶しているのだという。

 

ついこの間「かよちんは自分に自信がなさ過ぎにゃ~」…とか言っていたのに、人の事、言えないじゃない…と真姫は思った。

 

 

 

 

 

案の定というか、なんというか…穂乃果たちのいる沖縄に台風が直撃。

2年生は予定日にもどってこれなくなった。

 

仕方なく絵里たちは、3年生と1年生の6人で、ブライダルファッションショーに出演することを決める。

 

穂乃果の代役に選ばれたのは、凛。

 

だが凛は「自分には似合わない」と、ウェディングドレスの着用を頑なに拒否。

 

元々穂乃果の寸法に合わせて作られた衣装。

やむを得ず、身長が一番近いということで花陽がやることになった。

 

「そうにゃ!かよちんなら歌もうまいし…やったほうがいいにゃ!かよちん可愛いし…センターにぴったりにゃ!」

「でも…凛ちゃん?いいの?」

「いいに決まってるにゃ!」

「本当に?」

「もちろん!」

「…」

 

…だいぶ胸まわりは直さないと、花陽ちゃんは着れへんね…

 

ことりがいない為、希と絵里が手直しをする。

 

 

 

「それで花陽ちゃんがセンターに?」

「はい…」

「そっか…ごめんね、急に電話して…なんか、気になっちゃってさ」

「いえ…私も穂乃果ちゃんと話したかったから…」

「それで、どうするの?」

「それが、よくわからなくて…真姫ちゃんにも言われたの…『このままでいいの?』って…」

「そうだよね…」

「でも凛ちゃん困ってるみたいだし…無理に言ったらかわいそうかなって…」

「う~ん…」

「穂乃果ちゃんだったらどうする?」

「え?私だったら?」

「ん~…それは花陽ちゃんが決めなきゃ!」

「え?」

「うん!花陽ちゃんが決めることだよ!」

 

…逃げましたね…

相談する相手を間違えたかな…

 

 

 

 

 

そして当日…

 

 

 

 

ドレッシングルームで凛が見たのは…

 

「あれ、え!?あれ?かよちん間違って…」

「間違ってないよ!」

「あなたがそれを着るのよ、凛!」

真姫は笑顔だ。

「な!何言ってるの!センターはかよちんで決まったでしょ?それで練習もしてきたし…」

凛の言葉の語尾に『にゃ~』がない。

余裕がない証拠である。

「大丈夫よ、ちゃんと今朝みんなで合わせてきたから。凛がセンターで歌うように」

絵里も笑顔だ。

「そ…そんな…冗談はやめてよ!」

「凛ちゃん!」

「かよちん?」

「私ね…凛ちゃんの気持ち考えて困っているだろうなって思って、一旦は引き受けたの…。でも…思い出したよ…私がμ'sに入った時の事!。今度は私の番!凛ちゃん!凛ちゃんは可愛いよ!」

「え!?」

「みんな言ってたわよ。μ'sで一番女の子っぽいのは凛かもしれないって」

「そ…そんなこと…」

「そんなことある!だって…私が可愛いって思ってるもん!抱きしめちゃいたい!!って思うくらい可愛いって思ってるもん!」

 

 

 

…花陽ちゃん!これはまた大胆な発言やね…こっちが照れるやん…

 

…花陽、ハラショーです…

 

…抱きしめちゃいたいくらい…か…アンタも言うねぇ…

 

…って、カヨ…あなたたち、いつも抱き合ってるじゃない…

 

 

 

 

 

「は…初めまして!音乃木坂学院スクールアイドル…μ'sです!えっと、本来メンバーは9人なんですが、今日は都合により6人で歌わさせてもらいます…」

 

 

 

 

 

「一番可愛い私たちを、観てください!」

 

 

 

 

 

「うん、うまくいって良かったね。うん、うん…それはそうだね。わかった。うん、ありがとう。…えっ?お土産?わかってるよ…じゃあ…は~い」

「花陽からですか?」

「うん。大成功に終わったって」

「良かったねぇ!」

「あ、これ見て!」

穂乃果がスマホの画像を、海未とことりに見せる。

「うわぁ!凛ちゃん可愛い!」

「似合ってますね!」

「う~ん、ホントは穂乃果が着るはずだったのに…」

「今回ばかりは、さすがの穂乃果ちゃんでも、天気は変えられなかったもんね」

「それにしても、花陽は大きな決断をしましたね」

「うん…。花陽ちゃんに電話したとき…上手くアドバイス出来なかったけど…あれは絶対、花陽ちゃんと凛ちゃんで解決すべき問題だと思ったんだ」

「そうですね…」

「私ね…あの時、花陽ちゃんが来てくれなかったら、どうなってたんだろう…って、時々思うの」

「ことりちゃん?…あの時って…ファーストライブのこと?」

「うん」

「どうなっていたんでしょうね…」

「頑張って3人で続けることは出来たかも知れないけど、結果はわからない…でも…ただひとつ言えることは…私たちは花陽ちゃんに救われた。…花陽ちゃんは初めて見に来てくれたお客さんで、初めて入部してくれたメンバーなんだ。だから、私たちは絶対に花陽ちゃんを裏切るようなことはしちゃいけないんだ」

異論はないと頷く海未とことり。

「ですが、あなたが言っても説得力がありません」

「あははは…だよね。確かにこれまで色々迷惑を掛けたよ。けど、今は違う。もう迷わないよ」

「頼みますよ」

「私ね…」

ことりは何か言い掛けたが、すぐに口を噤(つぐ)んだ。

「ん?なにか言った?」

「えっ?ううん、なんでもない」

ことりは立ち上がると、ホテルの部屋の窓へと歩を進めた。

「うわっ!見て、見て!すごい晴れてるよ!」

「あ、本当だ!これなら海で遊べるね!」

「私で遊ぶのはやめてください!」

「海未じゃないよ、海だよ!」

「また、それ?」

ことりは穂乃果と海未のやりとりに苦笑するのであった…。

 

 

 

 

 

~つづく~


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