【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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最高のライブ その5 ~ラブライ…ザップ(前編)~

 

 

 

ハロウィーンライブを無事に終えたμ's。

評価は上々だった。

観覧に来ていたミュータントガールズからも

「さすがμ'sです。素晴らしいライブでした」

「A-RISEに負けていなかったよ!」

「♪会えたのは素敵な運命…。お話を聴いたあとだから、この歌詞はμ'sそのものなんだな…って思いました」

「♪もっともっと踊らせて…。私たちも負けずに踊ります」

満足した様子で会場をあとにしていった。

 

 

 

これからは年末に行われる最終予選に向けて、ラストスパートだ。

 

各々、受験やら生徒会やら、部活以外にやらなくてはならないことは、山ほどある。

それはしかし、スクールアイドルの宿命。

言い訳にできない。

 

 

 

そんな中…

 

 

 

「かよちん、今日もおにぎりが大きいにゃ!」

「新米、120kgももらったからね。旬のものは旬のうちに食べないと」

新米120kgとは『利き米コンテスト』の優勝賞品である。

なお、そのうち10kgは矢澤家に移譲されている。

「だからって、食べすぎじゃない?花陽の食事量は見慣れてるけど、さすがに多すぎじゃ…」

「そうかな?でも、その分動いてるし。春先に比べれば、運動量は倍くらいになったよ」

「倍は言い過ぎにゃ!」

「まぁ、別にいいけど…。それにしても、よく味付けもされてないご飯をそんなに食べれるわね」

「そんなことないよ!ちゃんと噛めば噛むほど、一粒一粒の甘味が感じられて…」

「わ、わかった!そうね、あなたに訊いた私が野暮だったわ」

真姫は花陽のお米談義が長くなりそうなのを察知して、その話を打ち切った。

 

 

 

しかし、この時すでに、花陽の身体には『ある異変』が起きていた…。

 

 

 

 

 

生徒会室…。

 

何故かルームランナーに乗って走る穂乃果。

その傍らで海未は、いつものように説教をしている。

「弛んでる証拠です!書類もこんなにため込んで、すべてに対してだらしないから、そんなことになるんです! 」

「ごめんごめ~ん…でもさぁ、毎日あんなに体動かして、汗もかいてるでしょ?まさか、あそこまで体重が増えているとは… 」

「身長は変わらないの? 」

ことりはポテトチップスを食べながら、穂乃果の走る様子を見ている。

「それがねぇ、ことりちゃん…変わってないんだよ。あははは…」

「笑い事ではありません!」

「そうだよねぇ…うん、雪穂にも怒られちゃった…『そんなアイドル見たことない!』って 」

「当たり前です!」

「あ、ねぇ、ことりちゃん、それオニオンコンソメ味?」

「うん!新しく出たやつだよ」

「食べたかったんだよねぇ、一口ちょうだ~い!」

「穂乃果!雪穂の言葉を忘れたんですか!」

「大丈夫だよぅ!朝ご飯減らして来たし、今も…ほらっ、走ってるし! 」

「そもそも生徒会室は、トレーニングジムではありません!」

「それはそうだけどさぁ…ここまですることかな?」

「…どうやら現実を知ったほうが良さそうですね」

「現実? あれ、海未ちゃん、それは…ファーストライブの衣装?…なんで?」

「いいから!黙って着てみてごらんなさい! 」

「着るの?これを?今?」

「私の目が間違ってなければ、これで明らかになるハズです…穂乃果の身に、何が起きたのか… 」

「穂乃果ちゃんの…身に… ホラー映画みたい…」

「わかったわよ!着ればいいんでしょ!着れば!」

穂乃果は海未から衣装を奪い取ると、隣室に移動した。

 

 

 

そして、2分後…。

 

 

 

「あぁ~~~~!!!」

穂乃果の叫び声。

慌てて駆け寄ることり。

「穂乃果ちゃん、大丈夫? 」

「…ごめん…今日は…一人にさせて…」

「き、気にしないほうが…体重は増えたかもしれないけど、見た目はそんなに変わっ…」

「本当? 本当?」

「え?え~と…」

穂乃果に詰め寄られ、視線を反らすことり。

「気休めは本人のためになりませんよ!さっき鏡で見たでしょ? 」

「…」

「見たんでしょ!」

「うわぁぁぁぁっ 」

「体重の増加は、見た目はもちろん、動きの切れをなくし、パフォーマンスにも影響を及ぼします! ましてや穂乃果はリーダーなんです!これではメンバーの士気にも及びます」

「大袈裟だよ」

「いえ、大袈裟ではありません!従ってラブライブに向けて、これからダイエットしてもらいます! 」

「ダ、ダイエットぉ!?」

穂乃果はそう叫ぶと膝から崩れ落ちた…。

 

 

 

 

 

「収穫の秋!秋と言えばなんといっても新米の季節です! 」

「聞き飽きたわよ」

「今日のおにぎりは、いつにもまして大きいにゃ~」

「花陽の身体が欲してるんだ。そしてお米も私を呼ぶんだよ」

「まさかそれ、一人で食べるつもり?」

呆れ顔の真姫。

「だって新米だよ?ホカホカでツヤツヤだよ?これくらい味わないと…」

そう言って、巨大おにぎりをパクつこうとした花陽の隣に『ぬっ』と現れたのは、穂乃果だった。

「…美味しそう… 」

「あれ、穂乃果ちゃん…いたんだ?…食べる? 」

「あ!いいの? 」

「いけません!!」

「のわっ!!海未ちゃん!い、いつの間に!」

「それだけの炭水化物を摂取したら、燃焼にどれだけかかるか、わかってますか? 」

「うううっ…」

涙目になる穂乃果。

「どうしたにゃ?」

「まさかダイエット? 」

「う、うん、ちょっとね…。最終予選までに減らさなきゃって 」

「それはつらいねぇ…せっかく新米の季節なのに、ダイエットなんて可愛そう」

花陽は泣き顔の穂乃果を尻目に、ひとり、おにぎりをモグモグ食べる。

「さぁ、ダイエットに戻りましょう!」

「ひどいよ海未ちゃん!」

「仕方ないでしょ!可愛そうですが、リーダーたるもの、自分の体調を管理する義務があるんです!それにメンバーの協力があったほうが、ダイエットの効果が上がるでしょうから、花陽も真姫も凛もお願いしますね!」

「確かにそうだけど…これから練習時間も増えるし、いっぱい食べなきゃ元気でないよ?」

「花陽、それはご心配なく。食事に関しては私がメニューを作って管理するので、無理なダイエットにはなりません…」

 

…しかし、花陽も案外サディスティックね。穂乃果が食べられない!って言ってるのに、全然気遣いがないわ…

…真姫ちゃん、仕方ないにゃ。かよちんはご飯を食べてる時は、周りが見えなくなっちゃうにゃ…

 

「食べたいときに食べられないのは…可愛そうだねぇ」

花陽の頬はリスのように膨らんでいる。

その様子をまじまじと見ていた凛と真姫。

そして…やがて気付く。

「にゃ?かよちん…」

「?」

「気のせいかと思ってたんだけど、あなた…やっぱり…」

「?」

 

 

 

「ぴゃあ~~~!!」

 

 

 

体重計に乗った花陽の悲鳴が、学校中に響いた。

 

 

 

 

 

屋上…。

 

「うぅ…うぅ…」

「…うぅ…うぅ…」

穂乃果と花陽の嗚咽が、交互に流れる。

「かよちんの家(うち)の体重計は、壊れてたみたいにゃ…」

「アクシデントって言えば、そうなんだろうけど…」

真姫は少しだけ同情していた。

「まさか、こんなことになっていたなんて…」

絵里が呟く。

「まぁ、二人とも育ちざかりやから、そのせいもあるんやろうけど… 」

「でも、ほっとけないレベルなんでしょ?」

にこが、うずくまる2人を見て、わざと聴こえるレベルの声の大きさで言う。

さらに落ち込む穂乃果と花陽。

その前に海未が歩みより、持っていた紙を見開いた。

「これが、今日からのメニューです! 」

2人がおそるおそる、そこに書かれた文字を見る。

「ええ、夕飯…これだけ?」

「 お…お米が… 」

「夜の食事を多くとると、体重増加につながります! 」

「あああっ…海未ちゃんの鬼!」

「うううっ…新米が…」

「その分、朝ご飯はしっかり食べられるので、ご心配なく…」

「ぐすっ…頑張るしかないよ、穂乃果ちゃん… 」

「うん、そうだね…。あ!でも、よかったよ!」

「えっ? 」

「穂乃果と同じ境遇の『仲間』が『もう一人』いてくれて!」

「…『仲間』?…」

「今、目ぇ、逸らした?」

「あ…いや…」

 

…逸らしてたにゃ…

…逸らしたしたわね…

 

凛も真姫も、その瞬間を見逃してはいなかった。

 

 

 

 

 

~つづく~


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