【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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最高のライブ その12 ~突っ走れ!~

 

 

 

 

いよいよ迎えた最終予選、当日。

 

前日の予報は大きく外れ、昨晩から降り続く雪は、未だ止まない。

 

 

 

穂乃果たち2年生組は、学校にいた。

この日は、来春入学を希望する音ノ木坂の新入生に向けての、学校説明会があった為である。

 

交通機関の乱れ等により、予定より1時間遅れでスタート。

それでも無事、生徒会としての仕事を全うした3人は、後(おく)れ馳(ば)せながら、ライブ会場へ向かおうとする。

 

 

 

ところが…

 

 

 

都内の交通網は、積雪に対して非常に脆弱である。

道路は渋滞し、電車は止まるという最悪の事態。

 

 

 

途方に暮れる3人…。

 

 

 

「穂乃果ちゃん、走って行こう!」

「ことりちゃん!?」

「死ぬ気でやれば怖くなんかないよ!行こう!」

 

恐らくそれは、ことりが人生で発してきた言葉の中で、一番を力強い台詞。

 

「この日のために頑張って来たんだよ!やれるよ!」

「ことりちゃん…」

「ことり… 」

穂乃果も海未も、こんなに目力が強いことりを初めて見た。

「みんなが待ってるよ!」

「そうだね…行くしかないよね…。よ~し、ことりちゃん!海未ちゃん!走るよ!!」

「穂乃果ちゃん!」

「穂乃果!」

 

 

 

しかし、勢いよく飛び出したものの、今日の敵は一筋縄ではいかない。

 

そこに現れたのは…

 

「甘いよ、甘い!そんな装備じゃ、走れるわけないじゃない!」

「スノーブーツ用意したから、これ履いて!」

「さぁ、早く行きなさい!私たちもあとから追いかけるよ!」

 

校門の前で待ち受けていたのは、ヒデコ、フミコ、ミカ。

穂乃果の親友。

μ's結成当初から積極的にバックアップをしてきた、いわば影の功労者。

彼女たちのフォローなしでは、今のポジションにμ'sは存在していない。

実はアイドル研究部の、隠れ部員ではないのか…とも言われている。

 

そして、今回も彼女たちが穂乃果を救う。

 

移動手段を失った穂乃果たちの為に、音ノ木坂の全生徒に呼び掛け、雪掻きを行い、会場までの移動経路を確保する…という人海戦術作戦を展開。

 

μ'sは音ノ木坂の廃校を救った、いわば英雄的存在。

次は自分たちがμ'sを助ける番…と、多くの生徒が集まった。

中にはμ'sファンの他校の生徒もいるらしい。

 

作戦は功を奏し、道は開けた。

 

あとは会場に向かって、ひらすら走るのみ…。

 

 

 

だが、強い風と降りしきる雪が、3人の行く手を阻む。

 

 

 

「あぁ…うっ…雪が足にまとわりついて…あぁ…」

体力には自信がある海未も、さすがにこの状況では、思うように前に進めない。

思わず弱気な言葉が口を吐(つ)く。

 

「諦めちゃダメ!」

2人を励ます言葉か、或いは自分自身を奮い立たせる台詞か、ことりが叫ぶ。

「せっかく…せっかく、ここまで来たんだから、ここで諦めちゃダメだよ!」

「わかっています!私だってそうです!2人の背中を追いかけてるだけじゃない!やりたいんです!私だって誰よりもラブライブに出たい!9人で最高の結果を残したいのです!行きましょう! 」

ことりの言葉に、海未が呼応する。

 

前へ!前へ!

 

穂乃果たちは階段ダッシュで鍛えた脚力で、仲間が待つ会場へと走る。

 

歩道では雪掻きを手伝った音ノ木坂の生徒たちが、声援を送る。

 

強風に煽られながらも、慣れない雪道を走る3人。

脳内に流れる曲は、穂乃果が自分たちの原点と言った『Start:Dash!!』か。

 

 

 

そして、見えてきたゴール地点。

 

 

 

待ち受けていたの、絵里をはじめとしたμ'sの面々。

歓喜の瞬間が訪れる。

 

 

 

しかし本番はこれからだ。

 

この日の為に、それぞれの想いを歌詞に込めた曲。

それを披露する時がきた。

 

 

 

屋外に作られた特設会場は、悪天候だったにも関わらず超満員に膨れ上がっている。

 

そして、いつの間にか、あれだけ強く降っていた雪は…止んでいた。

 

 

 

舞台は整った。

 

 

 

「私がスクールアイドルを始めたのは、学校の廃校を阻止したい…ただそれだけだった。でも、ラブライブに出たい!予選を突破したい!A-RISEに勝ちたい!想いをがどんどん強くなって…ようやく、ここまでこれた!」

「もう、ここまできたら、A-RISEどうこうやなく、自分たちの力を出しきるだけやん」

「うん、これまで支えてくれた人たちの為にも、みんな、最高のライブにしよう!!」

「今日が最後みたいなことを言わないで」

「にこちゃん?」

「アタシたちの目標は、ラブライブの優勝よ!今日のステージはあくまでも通過点!」

「にこちゃん…」

「だから、立ち止まらずに行くわよ!!突っ走るわよ!!」

「うん!」

「ようし、全力でいっくにゃ~!!」

 

 

 

 

 

「みなさんこんにちは! 音ノ木坂学院スクールアイドル…」

 

「μ'sです!」

 

「これから歌う曲は、今日の為に新しく作りました。沢山のありがとうの気持ちを込めた歌です!…応援してくれた人、助けてくれた人がいてくれたおかげで、私達は今、ここに立っています!だから…心を込めて歌います!聴いてください…」

 

「『Snow Halation』」

 

 

 

…学校が大好きで…

 

…音楽が大好きで…

 

…アイドルが大好きで…

 

…踊るのが大好きで…

…メンバーが大好きで…

 

…この毎日が大好きで…

 

…頑張るのが大好きで…

 

…歌うことが大好きで…

 

 

 

…μ’sが大好きだったから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ステージの上には、パフォーマンスを終えた4チームが並んでいる。

 

4位、3位と順に発表され、ラブライブ本選出場チームは、下馬評通りA-RISEとμ'sに絞られた。

 

「それでは第2位の発表です。…第2位は…」

 

 

 

司会者の口から「『あ…』」と、母音が聴こえた瞬間、勝敗は決した。

 

 

 

綺羅ツバサは一瞬、目を瞑ってから、空を見上げた。

そして大きく深呼吸したあと、穂乃果に握手を求める。

穂乃果は差し出された右手に対し、両の手で握り返し、深々と頭を下げた。

 

それは憧れであり、目標であり、ライバルであったA-RISEへの感謝の気持ちだったのであろう。

 

ツバサの目は「本選、頑張ってね…」と言っていた。

 

ステージからの帰りしな、統堂英玲奈は拍手をしながら、花陽に近づき

「おめでとう…また負けてしまったな」

と耳元で囁く。

 

「あ、ありがとうございます!」

花陽はやっとのことでそう言うと、振り返ることなくこの場から立ち去る彼女の後ろ姿に、一礼をした。

 

 

 

 

 

~つづく~

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