【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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最高のライブ その14 ~神に仕えし者たち~

 

 

 

 

 

チャリ~ン…

ガラン、ガラン、ガラ~ン…

ぱん!ぱん!

 

賽銭を入れ、鈴を鳴らし、二礼二拍手…そして手を合わせ、願い事を唱える。

 

「かよちんは何お願いしたの?」

「秘密だよぅ」

「凛にも?」

「うん。あんまり人に話しちゃいけない…って、お婆ちゃんが言ってたから…。でも、たぶん凛ちゃんや、みんなと同じことだよ」

「ことりちゃんは?」

「ことりもヒ・ミ・ツ」

「みんな、ずるいにゃ!」

「さぁ、後も閊(つか)えていますから、終わったら移動しま…穂乃果?」

「穂乃果ちゃん、ずいぶん長いにゃ~」

「どうせ、欲張りなお願いしてるんじゃない?」

真姫の言葉に、願い事を念じ終えた穂乃果が反論する。

「そんなことないよぅ!ただ私達9人で、最後まで楽しく歌えるように…って」

「そうですね。みんな思うことは同じです」

「でも長すぎにゃ」

「だって一番大切なことだもん!だから念入りに…」

「あれ?」

「どうしたの真姫ちゃん?」

「花陽は?」

えっ?と周りを見渡す5人。

周囲に姿が見当たらない。

「だって、今、ここに…あ、あそこです!」

海未が遥か後方を指差す。

 

 

…誰か助けてぇ…

 

 

「瞬間移動?」

思わず真姫が呟く。

「おお!花陽ちゃんが流されていく!」

「そして…人波に消えたにゃ…」

「迷子が…出たね…」

「出ましたね…。穂乃果ではなく、花陽でしたか」

海未は、やれやれ…といった感じで、小さく首を振った。

 

 

 

 

 

…う~ん、新年早々、みんなとはぐれちゃった…

…なんで、いつもこうなっちゃうんだろう…

 

「あれ?花陽さん?」

「ん?雪穂ちゃん?」

「ひとり…ですか?」

「あははは…ちょっと、みんなとはぐれちゃって…あ、明けましておめでとう」

「おめでとうございます!お参りはこれからですか?」

「今、済ませてきたんだけど、その後、流されちゃって…ここまで…」

「くすっ…」

「あ、今、笑ったでしょ?」

「はい、花陽さんて、可愛いなぁ…って思って」

「年下に可愛いって言われちゃった…」

「あ、ごめんなさい!でもバカにしてるわけじゃないんですよ。お姉ちゃんも言ってるんだ…『花陽ちゃんて、やることすべてが、ギュッてしたくなっちゃうんだよ』って。でね『なんで雪穂は花陽ちゃんみたいじゃないの!』とか言うんだよ」

「穂乃果ちゃん…なんてことを…」

「だから、雪穂も言ってやるんだ。『雪穂も花陽さんみたいな、優しいお姉ちゃんがよかった』って」

「あ、ありがとう…なのかな?」

 

…なんか、知らないところで自分の名前が出てくるのって、恥ずかしいなぁ…

 

「あ、それより、雪穂ちゃんは合格祈願?」

「はい」

「やっぱり、音ノ木?」

「はい!」

「穂乃果ちゃんには?」

「まだ、ハッキリとは…でも、薄々気付いてるかと…」

「そう…言いづらい?」

「…ていう訳ではないんですけど…これからラブライブの本戦だし、余計な気を使わせても…」

「そっか…」

「あの…」

「なあに?」

「迷惑ですか?」

「えっ?」

「あの…その…花陽さんたちは『先輩の妹』って…やりづらくないですか?」

「なんだ、そういうこと?だったら、全然大丈夫だよ。μ'sは先輩後輩禁止だから」

「まぁ、お姉ちゃんは全然、先輩らしくないから、問題ないですけど」

「また、そういうことを…あれ?そう言えば、今日は亜里沙ちゃんと一緒じゃないの?」

「いえ、一緒に来たんですけど、先に絵里さんのとこに行くって…。なので私は、その間に甘酒でももらおうかと」

「絵里ちゃん?」

「この中で手伝ってるみたいですよ?」

「手伝い?…希ちゃんの?…ん?希ちゃん…あぁ、花陽も希ちゃんの激励に行くんだった!」

「あ、じゃあ、私はこれで」

「一緒に行く?」

「…遠慮しておきます…今はまだ、そういう立場じゃないので…」

「…そっか…わかった。じゃあ、ちゃんとお参りしてね!」

「はい、ありがとうございます」

手を振って2人は別れた。

 

…なるほど…亜里沙ちゃんは、絵里ちゃんが卒業してるから、あんまり気にしないかも知れないけど、雪穂ちゃんは、穂乃果ちゃんが在学中だもんね…

おまけにμ'sのリーダーで、生徒会長…

それは花陽たちが感じる以上に、プレッシャーがあるよねぇ…

 

 

 

 

 

「かよちん、遅かったにゃ!」

「ごめんね、凛ちゃん!…それで希ちゃんには会えた?」

「それがまだなんだ…って言ってたら来たにゃ!希ちゃん!」

「お、みんなお揃いやね?明けましておめでとう」

「おめでとう!」

 

先程、姿を消した花陽も無事合流し、巫女として神社の手伝いをする希を表敬訪問する1、2年生組。

 

「忙しそうだね」

「ふふふ…毎年いつもこんな感じやけど。 でも今年は弟子がおるんよ」

「弟子?」

「希~…これそっち?」

驚くく6人の前に、荷物を持って歩いてきたのはのは…巫女の姿をしたアイドル研究部の部長だった。

「に、にこちゃん!?」

「ぬあぁ~っ!何よ!来てたの?」

「来るよね…ふつう」

「はい、来ますね…。それより、巫女の姿がとても似合いますね!」

海未が言うように、髪を後ろで束ねたにこの姿は新鮮だが、その格好に違和感はない。

「当たり前でしょ!アタシは何を着ても似合うのよ」

「今日のにこちゃんは『巫っ女巫っ女み~』だね」

「さすが花陽ちゃん。にこっちの一番弟子だけあって、上手いやん!」

「その格好だと、にこちゃんでも大人っぽく見えるにゃ」

「『でも』は余計よ!」

「そうだねぇ…にこちゃんじゃないみたい。清楚っていうか、厳(おごそ)かというか…」

「そんなに誉めても、お年玉なんかあげないからね」

「にゃ!ばれたか!」

「残念!」

べ~と舌を出す凛と穂乃果。

「あら、みんな !」

「あぁ!絵里ちゃん!明けましておめでとう!」

「おめでとう!」

「絵里ちゃんは絵里ちゃんで、かっこいい!」

「そう?花陽、ありがとう」

「絵里ちゃん!みんなで写真撮るにゃ~」

「駄目よ、今忙しいんだからぁ」

「いいんやない?何十分も掛かるわけやないし」

「にこちゃんも早くするにゃ」

「しょうがないわねぇ…」

「あ、すみません、写真撮ってもらえま…あれ、亜里沙ちゃん?」

「あ、こんばんわ…」

「亜里沙、まずは『明けましておめでとうございます』…でしょ?」

「そうだった。明けましておめでとうございます!」

「おめでとう!」

「どうしてここに?」

「お姉ちゃんの巫女姿を見に…」

「ハラショーでしょ?」

「はい、ハラショーです」

「やめてよ、穂乃果。身内どうしで…それで何かお願いしてきたの?」

「えへっ、これからしてくるの…音ノ木坂に合格して、μ'sに入れますようにって!」

 

「!」

 

その場にいた9人の時間がが、一瞬、止まった。

 

それに感づいたのか

「私、変なこと言いました?」

と訊く亜里沙。

 

「ううん、違うの。受験頑張ってね!って」

「はい、穂乃果さん!ありがとうございます。 じゃあ、雪穂が待ってるのでいきます」

「ん?雪穂?」

「甘酒もらうのに並んでます」

「ははは…甘酒なら家でも飲めるじゃん」

「では!」

「またね…」

「さてと、私たちも油を売ってないで仕事しないと。これ、運んでる最中だったんじゃない?」

「そやね…」

「ごめんね、今日はそういうわけだから」

「うん、頑張ってねぇ!」

 

3人はそれぞれ荷物を抱えながら、この場から離れて行った。

 

その姿をみた凛は

「姉妹みたいだにゃ~」

と呟く。

「『あの日』以来、にこと希の距離が劇的に縮まりましたものね」

「ちょっと遅すぎるけど」

「でも、もうあと3ヶ月もないんだよね、3年生…」

「花陽!その話はラブライブが終わるまでしないって、この前約束したでしょ!?」

「あ、ごめんね、真姫ちゃん…。さっき雪穂ちゃ…じゃなかった…亜里沙ちゃんの話を聴いたら『あぁ、そうなんだ…』って」

「確かそうだけどさ、今日は1月1日なんだし、お正月だよ?お正月!もっと明るくいこうよ!」

「そうだね!そう言えば、あっちにうどんが売ってたよ?みんなで食べない?暖まるよ」

「おぉ!さすが、ことりちゃん!穂乃果もお腹が空いてきたとこで…」

「うどんかぁ…ラーメンは」

「ありません!」

「海未ちゃん、ツッコミ早いにゃ!」

「この時間に食事とはいかがなものかと…」

「今日くらいはいいんじゃない?」

「真姫ちゃんのいう通り!お正月だよ?お正月!」

「力(ちから)うどんってあるかな?」

「えっ!おもち!?」

5人の声に、花陽はえへへ…と笑った。

 

 

 

 

 

「よいしょ…で、どうするの?今後のこと…これ、ここ?…」

「うん、それはそこ。…やっぱり一度みんなには、きちんと話した方がいいやろね…。あ、にこっち、これは向こう」

「向こうね…」

「希、これは?」

「えりちのは、そっち」

「こっちね。…理想と現実と…悩むわね…」

「卒業したくないなぁ…」

「気持はわかる…けど、にこっちは頑張らないと、卒業出来ないんやない?」

「あり得るわね」

「りゅ、留年?冗談じゃないわよ!意地でも卒業してやるわよ!」

その言葉に希が、絵里が、そして言った本人も笑った。

 

だが、その胸の内は三者三様…。

μ'sの今後について、結論が見出だせずにいた…。

 

 

 

 

 

~つづく~


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