【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
「μ'sを突き動かしてる原動力? 」
ツバサが立ち去ったあと、ことりと花陽は、穂乃果の元へ走った。
2人は事情を説明した上で、穂乃果の話を聴いた。
「私はうまく答えられなくて…ことりちゃんはなんだと思う? 」
「難しいね…。でも、それが私たちのキャッチフレーズなのかもしれないよ」
「えっ?」
「なるほど!μ'sを表現する一言…それがμ'sの原動力ってことですね!」
「そっか…。じゃあ、その原動力って?」
「う~ん…」
考え込む3人…。
自宅に帰った穂乃果。
部屋には雪穂がいた。
「受験勉強?」
「こたつ、お姉ちゃんの部屋にしかないから、使わせてもらってるよ」
「うん…別に構わないけど…あ…ねぇ、雪穂から見てμ'sってどう思う? 」
「ええ?なんで急にそんなこと… ん~そうだなぁ…『心配』?」
「はぁ?」
「あとは…『危なっかしい』『頼りない』『ハラハラする』…『無鉄砲』『だらしない』『いい加減』『ガサツ』『妹に厳しい』…」
「途中から私の悪口になってるけど…」
「冗談!冗談!あ、でも最初の方は本当だよ。不安定っていうか…」
「一応地区代表だよ!」
「分かってるよ!だけど、なんか心配になっちゃうんだよねぇ」
「そうかなぁ…じゃあ、なんでA-RISEに勝てたんだと思う?」
「さぁ…」
「さぁ…って」
「ただ、応援しなきゃって気持ちには不思議となるんだよね。どんなグループよりも」
「それは身内だからでしょ?」
「いや、お姉ちゃんだから、地元だから…とか関係なく… だって投票してくれた人は関係者ばっかりじゃないでしょ?」
「うん、まぁ…。う~ん、応援しなきゃ…か…」
「あれ?お姉ちゃん、スマホ鳴ってるよ!」
「私?あ、本当だ!花陽ちゃん?…もしもし、どうかした?えっ?うん…うん…うん…そうだよ!それだよ!大事なこと忘れてた!さすが花陽ちゃん、ありがとう!!」
穂乃果は電話を切ると
「お母さ~ん!お父さ~ん! ちょっとお願い事があるんだけど~」
と階下へ走って行った。
「もう、騒がしいなぁ!受験生がいるんだから、もう少し気を使って…っていうの!」
雪穂は姉の相変わらずな言動に、小さく溜め息を吐いた。
数日後…冬休み最終日。
穂むらの前。
「は~い、おまたせ!」
穂乃果の母が、蒸(ふ)かしたての餅米を持って現れた。
店の前に置かれた臼に、それを移す。
「うわぁ!いい匂い!」
それだけで、うっとりとする花陽。
凛も真姫も…それ以外のメンバーも『初めての餅つき』に興味津々だ。
「ちゃんとできるの?」
心配するのは、穂乃果の母。
「大丈夫だって!お父さんに教わったも~ん」
杵を振り上げる穂乃果。
臼の隣で腰を屈(かが)め、待ち受けるのは海未。
「ダメよ!いきなりじゃなくて、最初は杵で捏(こ)ねてからでしょ!ちゃんと潰しておかないと、飛び出るわよ!」
穂乃果の母が注意する。
「そうでした、そうでした…」
杵を持ち直し、頭の部分で数回、餅米を押し込んでいく。
「これでよし!じゃあ、海未ちゃん、いっくよぅ!」
「はい!」
ガコッ!
「うわっ!」
「あ、あなたは私を殺す気ですか!?」
「ごめん、ごめん!手が滑った!…あ、雪穂の前で『すべった』は…」
「もう、遅いよ!」
「…と、ここまでがお約束のコントにゃ!」
「つかみはOK!ってとこやね!」
「では、仕切り直して」
はいっ!
よっ!
ほっ!
はっ!
うりゃっ!
よっ!
うぃっ!
はいっ!
「ハラショー!さすが穂乃果と海未!何だかんだ言ってもバツグンのコンビネーション…」
「そうやね!熟年夫婦やもんね、あの2人」
「凛ちゃん、ご飯キラキラしてたねぇ!お餅だねぇ!」
「かよちんは食べる気満々にゃ!」
「もしかして、自分の食欲を満たす為に、この企画を提案した?」
「え~違うよ、にこちゃん!お餅つきは穂乃果ちゃんの発案だよ」
「…なんで急に餅つきなのよ?」
「なんでって…よっ!…にこちゃん…ほいっ!…お正月だし…うりゃっ!…」
「在庫処分?」
「ふぅ…一丁上がり!お母さん、雪穂!お餅つけたよぅ!」
「はい、はい」
「じゃあ、あっちで丸めてくるね!」
「よろしくぅ!」
「あ、何か手伝いましょうか?」
年長者らしく、絵里が声を掛ける。
「大丈夫よ。まだまだいっぱいついてもらうんだから、そっちを頑張って」
穂乃果の母はそう言って、雪穂と共に、店へと入った。
「この企画自体は花陽ちゃんの案なんだよ。『考えてみたら学校のみんなに、何のお礼もしてないですよね?』って。」
「お礼? 」
絵里が訊き返す。
「うん!最終予選を突破できたのって、みんなが雪掻きしてくれたおかげでしょ?でも、あのまま冬休み入って、お正月になっちゃって…」
「…だから、どこかで『ケジメ』をつけておかないと…ってね」
と花陽に続き、穂乃果が言葉を引き継いだ。
「だからって、餅つきにする必要はないじゃない?」
「にこちゃん、うちは和菓子やさんだよ!『餅は餅屋』って言うでしょ?」
「微妙に使い方が違いますが…」
と、小声で海未が突っ込む。
「それに、妙に初詣の時に花陽ちゃんが言った『ちからうどん』の響きが忘れられなくて…ちからうどん…お餅の入ったうどん…力餅…縁の下の力持ち…支えてくれたみんな…みたいな。思いつきって言えばそうなんだけど…あ、来た来た!その縁の下の力持ちが」
「おお!本格的だね!」
「ミカ!フミコ!ヒデコ!へい、らっしゃい!…と、これまた、随分いっぱい来たねぇ」
彼女たちが引き連れてきたわけではないだろうが、あっという間に数十人もの人が集まってきた。
「あははは…全生徒ってわけにはいかないけど、反響、大きいぞ!」
「なんて言ったってμ's主催の餅つき大会だからね」
「プレミアもんだよ、プレミアもん」
「ははは、大袈裟だよ!」
照れる穂乃果。
「お姉ちゃん、出来たよぅ!誰か運んで!」
店の奥から雪穂が叫ぶ。
「よし、手伝うよ!」
にこの号令で、メンバーが忙(せわ)しなく動き始めた。
「みんなの分あるから、ゆっくりしていって」
「西木野さんがエプロンしてる!」
「するわよ、エプロンくらい!」
「きな粉とお醤油、どっちがいいかにゃ? 」
「あんこはある?」
「あんこ?」
「あるよ!私が用意してもらったから!」
「かよちん、自分が食べる気満々にゃ~」
「あははは…」
「並んで、並んでぇ!おもちは逃げないから~」
「あ、こんな所に、小泉さんのポスターが!」
「あ、それは私のポスターじゃなくて『穂むらの新作』ですぅ…」
…雪穂ちゃん、いつの間に…
「ことり、こうしているとメイド喫茶でバイトしたことを思い出します」
「やってみる?『おかえりなさいませ、ご主人様!』…はい、海未ちゃん!」
「わ、私はやりませんよ!」
「あの、矢澤先輩!写真撮ってください!」
「仕方ないなぁ…じゃあ、みんな、並んで、並んで!…せーのっ!」
「にっこ、にっこ、に~! 」
「絢瀬さん、東條さん!」
「一条さん!二本松さん!ソフト部のみんな!」
「たいしたものだな、全国大会か!」
「お陰さまで」
「受験、就職と忙しいと思うけど、正直、この時期まで部活ができるなんて、羨ましいよ」
「そうやね」
「引退したら…寂しくなるぞ」
「うん」
「精一杯、戦ってこいよ!」
「もちろんやん!」
「わざわざありがとう!」
メンバーそれぞれが、思いおもいに『ファン』との交流を深めていた…。
~つづく~