【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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穂乃果編は一旦、完結です。





最高のライブ その17 ~プラスαのパワー~

 

 

「それでは宴もたけなわではございますが…」

と雪穂が、2階の穂乃果の部屋の窓から身乗りだし、集まった参加者に向かって叫ぶ。

「ここで、本日の主催者でありますμ'sのリーダー…高坂穂乃果より、皆様にご挨拶させて頂きます!」

「はい、ただいまご紹介に預かりました…」

「穂乃果ぁ~固いよ!」

「…ヒデコ!…だよねぇ…。えへへ…今日はみなさん、集まってくれてありがとうございます!!」

「ありがとうございます!」

特に打ち合わせはしていなかったが、自然にメンバー一同頭を下げた。

「あの日、皆さんが一生懸命、雪掻きをしてくれたお陰で、私たちは本大会に進むことが出来ました!正直、こんな形でしかお礼ができなくて…でも、直接、感謝の気持ちを伝えたくて…」

 

「楽しかったよ!」

「本大会も頑張って!」

「これからも応援するよ!」

 

その声援に涙ぐむ穂乃果。

他のメンバーも目が潤んでいる。

 

「あ、ありがとうございます…。それで、最後にもうひとつ、私から連絡事項があります!」

そう言うと大きく息を吸い込んだ。

そして、それを吐き出すように大声で叫ぶ。

 

「高坂穂乃果、1曲、歌います!!」

 

「えっ?」

 

聴いてないよぅ…と、どこかのお笑い芸人並みのリアクションをする、μ'sのメンバー。

 

…とある、2名を除いては…。

 

「雪穂、花陽ちゃん、準備して!」

「うん!」

「はい!」

穂乃果に指示された2人は、手早く参加者に『手拭い』を配る。

 

「『穂むら』の手拭い?」

 

それは、μ'sのメンバーにも配られた。

だが、まだ誰も何が始まるのか理解していない様子。

 

「今から歌う曲は…私が未熟だった為に、メンバー全員に迷惑を掛けてしまった曲…」

 

「あ…」

メンバーの表情が変わった。

 

「だけど…もう一度みんなの前で歌いたくて、みんなと盛り上がりたくて…だから、一緒に拳をあげて、ジャンプして、タオル…の代わりに手拭いだけど…思いきり振り回してください!!」

 

「穂乃果!」

「穂乃果ちゃん!」

 

すべてを理解したメンバー。

 

「ウチも一緒に歌うよ」

「希ちゃん!」

「穂乃果、それを抜け駆けというのですよ」

「穂乃果ちゃん、そんな面白いこと、黙ってるなんて、ズルいにゃ~」

「みんな… 」

 

うん!と頷くμ'sの面々。

 

「真姫ちゃん、準備は?」

「オーケー!」

どこから用意したのか、小型のスピーカーがセットされている。

 

 

 

「それじゃあ、いくよ!μ'sのニューイヤーライブ!スタート!」

 

 

 

イントロからドスッ、ドスッ、ドスッ…と低音のバスドラが響く。

真姫がこの日の為にアレンジした『No brand girls ライブver.』。

自然発生的に手拍子が巻き起こる。

 

「それじゃあ、みんなで一緒に跳ぶよう!ワン、ツー『♪一進一跳!』」

 

数十人が一斉にジャンプした。

 

近所迷惑を省みず、穂むらの前で急遽、路上ライブが開催された。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…みんな盛り上がってくれて、よかったですね」

「うん、海未ちゃん。みんなで跳んで、手拭いグルグルして、本当に楽しかったね」

海未もことりも、興奮冷めやらぬ…という感じ。

「穂乃果ちゃんがやりたかったコール&レスポンスも出来たしね」

「あれはかよちん、気持ち良かったにゃ!」

「アンコールまで歌うと思わなかったけどね」

「それにしても、冬休み中なのに随分集まったわね」

絵里は絵里で、感慨深げに呟く。

「みんな、そんなにお餅好きだったのかにゃ」

「好きだよ美味しいもん!でも、お餅食べたあとは、キツいね」

「そうだにゃ…」

「食べ過ぎなのよ」

凛と花陽に、突っ込んだのは真姫。

「きっと、みんな一緒だからだよ…みんながいて…私たちがいて…だからだと思う」

「穂乃果、それがキャッチフレーズですか?」

「言ってることはわかるんやけど…」

「もう少し、うまくまとまらない?」

希とにこが身悶える。

「そう!それが!最後が!…うまくまとめられない!ん~…ここまで出てるのに…」

「私もです!」

「ウチも!」

 

 

 

 

「花陽ちゃん、真姫ちゃん、今日は色々ありがとう」

「私は別に何もしてないわよ。花陽に頼まれて、ちょっと曲を弄っただけだから」

「穂乃果ちゃん、盛り上がって良かったね」

「うん、花陽ちゃんのお陰で心のモヤモヤが消えて、スッキリしたよ。最高のライブが出来たよ!!」

「良かった、良かった!」

「あのさ…花陽ちゃん…」

「はい?」

「これからも、頼りにしてるよ!」

「へっ?私?…なんで?…」

「なんで…って…」

「わかるでしょ?今や花陽はμ'sの要なのよ。部長はにこちゃんだけど、卒業は間近だし、穂乃果は生徒会の会長…今までのようにはいかないわ。そうなると、次を引っ張るの、花陽しかいないでしょ」

「ぴゃ!真姫ちゃんは?凛ちゃんは?」

「もちろんサポートはするけど、アイドル研究部の部長って柄じゃないでしょ」

「花陽ちゃんはもっと、自信と自覚を持った方がいいよ」

「はぁ…」

「雪穂もよろしくね」

「な、ゆ、雪穂ちゃん?…え、穂乃果ちゃん、雪穂ちゃんが音ノ木を受けることを知ってるの?」

「当たり前だよ!こう見えても、姉だよ、知らないわけないじゃん」

「そうだよね…」

「仮に合格したとしたら」

「そこは『仮に』なんだ」

「真姫ちゃん、そこはスルーして…。で、同じ部活の後輩になったとしたら、多分、喧嘩ばかりになっちゃうと思うんだよね」

「まぁ、わからなくはないわね」

「でしょ?でしょ?だけど、花陽ちゃんがいてくれれば…雪穂、花陽ちゃんのこと、すごく信頼してるみたいだし」

「うん…それはうれしいけど…」

「穂乃果、今はその話、まだ早いんじゃないの?」

「そうかな?…ははは…そうだね!今は本大会に集中しないとだね!」

「う、うん!」

「でも、やっぱり、これだけはもう1回言わせて。花陽ちゃん、ありがとう!」

「…うん…」

「ありがとう…?…あ、浮かんだ!これだよ、ありがとうなんだよ!」

「へっ?」

「キャッチフレーズ!」

「えっ!?」

「私たちは…いつも誰かに支えられてきた、いつも誰かと共に歩んできた…それは今日のライブで、よくわかった。だから…μ'sのキャッチフレーズは…」

 

 

 

 

 

「ツバサ…見た?μ'sのキャッチフレーズ?…って愚問か」

「私たちより先にチェックしてない…ハズがない」

「『みんなで叶える物語』でしょ…」

綺羅ツバサはそう呟くと、クスッと笑いその場を去った。

 

 

 

…プラスαのパワーが、あのパフォーマンスを産み出した…か…

 

 

 

 

 

最高のライブ

~完~


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