【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
ことり編、始めました。
今話はかなり「?」な内容ですが、一応最後まで読んでいただければ、その理由が解明されるかと思います。
心のメロディ ~ふたりは○○○⚪○~
「ことりちゃん、ちょっと、そこでお茶して帰ろうよ」
「うん、いいよ!」
「寄り道はいけません。穂むらに行けば、美味しいお茶が頂けるじゃないですか」
「穂むらに行けば…って、それはうちに『帰る』って言うんだけど」
「と、ともかく無駄遣いはしないでください」
「海未ちゃんは、あれもダメ、これもダメって…それじゃあ、これからの人生つまらないよ」
「人間、節度は必要です。度を超すと堕落する一方ですから」
「はい、はい、わかりましたよ…」
…そんないつもの2人の会話を、いつものように見ている私…
…でも、いつからだろう…この日常に違和感を覚えるようになったのは…
…具体的に「どう」とは言えない…けど、何かスッキリしない…
…空はこんなに晴れてるのに…
「ことり?行くのですか、行かないのですか?」
「えっ?」
「聴いていなかったのですか?今回は私が折れました」
「だから、ちょっとお茶して行こうよ」
「あ、うん!」
…いつの間に決まったんだろう…全然聴いてなかったな…
「あれ?なんか急に真っ暗になってきたね?」
「穂乃果、何を言っているのですか?今日はこんなに快晴…あら?確かに変ですね…夕立でも来そうな気配ですね」
「夕立?この季節に?傘持ってきてないよ」
「私もです」
「とにかくお店に急ごう!」
「はい!」
…あ、待って!私も行く!…って、脚が動かない…
…穂乃果ちゃん!海未ちゃん!…
…置いてかれちゃった…
…本当に真っ暗…いやだな…もう…
…あれ?あそこにいるのは絵里ちゃん?あ、希ちゃんたちも…
…絵里ちゃん!希ちゃん!…って…動いてない?…
…えっ、マネキン?…
…にこちゃん、真姫ちゃん、凛ちゃんも…
…みんな…
…花陽ちゃんは?…花陽ちゃんがいない!…
「南ことりだな?」
「…!…誰ですか!?…あなたは?…」
「私?私の名はドツクゾーンからの使者『カットナル=トキレール』である」
「…ドツクゾーン?…ワンダーゾーンなら知ってるんだけど…」
「それはお前が作詞した曲だろうが!!…それより南ことり、お前の夢はデザイナーになることらしいじゃないか…」
「…はい…」
「ふふふふ…はははは…」
「?」
「何がおかしいの!?」
「…えっ!花陽ちゃん!?…」
「ことりちゃん、大丈夫?」
「む!お前は仲間か!…ちっ!『もうひとりいた』とはな」
「もうひとり?なんのことです?」
「まぁ、いい…私の前では同じこと」
「質問に答えてください」
「よかろう…。夢はデザイナー?ふははは…笑止千万!我々の野望はこの世を闇の世界に葬ること。未来への希望や、明るい夢など、すべてを無に帰すのが私の使命!お前などは大人しくスケッチボードにお絵描きをしてればいいのさ」
「ことりちゃん、こんな人の言うこと、気にすることはないよ!行こう!」
「花陽ちゃん、でも…脚が動かないの…。それに、ほら…みんなもマネキンみたいになっちゃって…」
「ぴゃあ!…これは、あなたの仕業ですか?」
「その通り。屋上に来たらな、可愛い獲物がゴロゴロいたんで、ちょいと遊んでやったのよ」
…屋上?…
…あれ?本当だ…いつの間に…
「なるほど…。私はアルパカさんの世話で遅れたから、免れたってわけですね…」
「南ことりが最後のひとりかと思っていたが…まぁ、いい。まとめて始末してくれるわ」
「なにをするつもりですか!」
「お前たちのポジティブなパワーを吸い取ってやるのさ」
「そうはさせないですよ!」
「花陽ちゃん!ダメ、逃げて!」
「そうはいかないです!」
「花陽ちゃん!」
「そういう茶番は、あの世でやるんだな…」
「待ちなさい!」
「好き勝手はさせないですよ!」
「な、なんだ!?お前たちは?」
「穂乃果ちゃん!?」
「海未ちゃん!?」
「穂乃果?私はキュアブラックだよ!」
「海未?私はキュアホワイトですが」
「な、お前たちがプリキュア!!」
「私たちが来たから、もう安心よ!」
「さぁ、いきますよ」
「はぁ?小娘のクセに!」
「海未ちゃん!…じゃなかった…キュアホワイト!いくよ!」
「はい!」
「うわぁ!!やられたぁ!」
…え?もう?…
「ふぅ!危なかったねぇ…」
「えぇ、なかなか、強敵でしたわ」
「大丈夫だった?」
「あ、ありがとうございます」
「えっと…ショートで茶髪のキュアブラックが…穂乃果ちゃんだよね?それで、ロングで黒髪のホワイトが海未ちゃんだよね」
「逆だよ。ホワイトが『ほのか』だよ。私は『雪城ほのか』」
「そしてブラックが『なぎさ』です。私は『美墨なぎさ』」
「なぎさ?渚?海じゃなくて渚?」
「じゃあ、私たちはこれで!」
「えっ!?…行っちゃった…」
「わけがわからなくなっちゃった。ショートが穂乃果ちゃんじゃなくて、なぎさちゃん?ロングが海未ちゃんじゃなくて、ほのかちゃん?」
「花陽も混乱してます…」
「そういえば、みんなは?」
「みんな?」
「絵里ちゃんたち…」
「絵里ちゃん?絵里ちゃんって誰?」
…花陽ちゃん、冗談はやめ…
…えっ?この人…誰?花陽ちゃんじゃない?…
…じゃあ、あなたはいったい…
…穂乃果ちゃん!海未ちゃん!花陽ちゃん!みんな!…
「きゃあ!!」
ことりは、飛び上がるようにしてベッドから上半身を起こすと、明かりを点け、周囲を見渡した。
「…はぁ…はぁ…はぁ…夢?…」
それが現実の出来事でないとわかると、大きく溜め息を吐き、額の汗を拭った。
「大丈夫?」
ドアを開けて声を掛けてきたのは、ことりの母。
「なんか、大きな声を出して、うなされてたみたいだけど…」
「う、うん…変な夢を見たみたいで…。詳しく覚えてないんだけど…」
「疲れてるんじゃない?」
「そうかも…。ちょっと汗かいちゃったから、着替えてから寝るね」
「あんまり、無理しちゃダメよ」
「うん…」
「おやすみ」
「おやすみなさい…」
~つづく~