【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
…はぁ…
…あんなにチェックしたのに、なんで忘れちゃったんだろう…
…アレがなきゃダメなのに…
「えっ?ことりが家に帰った?」
「そうなんだよ、絵里ちゃん!どうしよう!?」
「どうしよう!って、海未…理由は聴いてないの?」
「忘れ物をしたらしくて、取りに戻るとは言っていましたが…何を忘れたのかまでは…」
「まさかパスポート?」
「…では、ないようです…」
「とにかく、電話をしてみましょう!」
「掛けてるけど乗車中みたいで」
と穂乃果。
「LINEは?」
「既読にもなってない…」
「それどころじゃないって感じね」
と絵里はチラリと時計を見る。
「なんかあったん?」
「あ、希!…みんなも一緒に来たのね」
「やっぱり海未ちゃんたちは早いにゃ~」
「穂乃果は、もう少しゆっくりしたかったんだけど」
「早く来るのに越したことはありません!」
「…だって…」
と海未の発言に、舌を出す穂乃果。
「まぁ、海未と一緒ならそうなるわね」
と真姫。
「私は穂乃果たちより、少しあとにきたんだけど…ことりが…」
「え~っ!!ことりちゃんが帰っちゃった?」
「間に合うの!?」
「私たちは多少早めに来たので、もう大分戻ってるとは思います。計算ではギリギリ間に合うかと…」
「でも、なにかあったら、アウトってことやね…」
「そんなぁ…」
「この前は空港にいたことりちゃんを、穂乃果が連れ戻しにきたんだけど、今回はみんながことりちゃんを待つことになっちゃったね」
「そんな呑気なことを言ってる場合?今回の行き先がどこだかわかってるの?ニューヨークよ!ニューヨーク!アキバから神田に行くのとは、ワケが違うんだから」
「にこちゃん、それくらいわかってるよ…」
「でも、今回はことりがセンターでしょ?」
「最悪、歌の割り振りとフォーメーションを、確認しておいた方がいいみたいやね…」
「飛んで来れないかにゃ?」
「凛ちゃん、いくら『ことり』ちゃんだからって、それは無理だよ」
「とにかく、今は連絡が入るのを待つしかないわね」
…スクールアイドル世界大会!…
…日本代表…
…空港でPVを撮ってから、飛行機に乗ってニューヨーク!…
…こんな大事な時に!!…
「ねぇ、あれって私たちのチャーター機じゃない?」
穂乃果が滑走路を指した。
「うわっ!…」
…窓ガラスの向こうに、鮮やかなピンク色に塗装されたジャンボジェット機の姿が。
その機体を見て、暫し声を失う一同…。
「…『LOVE LIVE!』『μ's』って書いてある…」
「それだけじゃないにゃ…機体にみんなのシルエットも描かれてるにゃ…」
「こんなことってある?どれだけお金を掛けてるのよ…」
にこは開いた口が塞がらない様子。
「…ウチら夢見てるんやろか…」
「それだけ日本代表としての、期待が掛けられてるってこと」
「機体だけに?にこちゃん、寒いにゃ~」
「言ってないわよ!そんなこと」
《お客さまにご案内申し上げます。只今、有楽町駅に起きまして、人、立ち入りの情報が入りました。その為、安全が確認されるまで、この電車は一時、運転を見合わせます。尚、並行して走ります京浜東北線も…》
…うそでしょ?…
…もう間に合わない…
…どうしよう…どうしよう…
「…って思ったんだけど…」
「うん、間に合って良かった!ことりちゃんの衣装これね!」
「ありがとう、穂乃果ちゃん」
「さぁ、全員揃ったし、思いっきり歌うにゃ~!!」
♪Dan-dan こころ Dan-dan 熱く
夢いっぱい叶えてみせる…
「…っていう夢だったの…」
ことりは、そこまで話すと疲れきった表情をみせた。
「夢の中とはいえ、焦るよねぇ」
「そうなんだよぅ、花陽ちゃん!」
「でも間に合って良かった!」
「うん、ありがとう…穂乃果ちゃん」
「いや、夢だから!」
と、にこ。
「ですが現実には、ことりより、穂乃果の身にありそうな話ですね」
「また、そういうことを言う…」
「だけど、日本代表でニューヨークに行くなんて、それこそ夢のような話だねぇ」
「いや、だから夢だから」
と穂乃果の言葉に、再び突っ込む花陽。
「いいじゃん、夢なら日本代表になったって…」
「凛はパスにゃ!夢の中の話を聴いてるただけで、プレッシャーに押し潰されそうになるにゃ」
「あんなVIP待遇は、ありえないけどね。でもラブライブで優勝するってことは、日本一ってことでしょ?世界大会が行われたら、日本代表になるって可能性はあるんじゃない?アメリカに行くってのは抜きにして」
「真姫ちゃんらしくない、前向きな発言やね」
「べ、別にそういうつもりじゃ…」
「実はウチはあると思ってるんや、アメリカ行き。ことりちゃんの見た夢は、意外と正夢なんやないかな」
「まさかぁ…」
と、全員が希の言葉を否定した。
「カードがそう言ってるの?」
「えりち…残念ながら、これはウチの勘」
…ところが、この2ヶ月後、本当にアメリカに行くことになろうとは…
誰も知る由(よし)がなかった。
「で、ことりちゃん。そこまでして、取りに戻らなきゃいけないものってなんだったの?」
「それがね、花陽ちゃん…覚えてないんだ…」
「そっか…衣装とかかな?よっぽど大事なものだったんだろうね…」
「う、うんきっとそうだね…」
…正解は…愛用の枕でした…
…だって、あれがないと眠れないんだもん…
~つづく~