【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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心のメロディ その3 ~観察力~

 

 

 

 

 

「お疲れさん」

「どう?進んでる?」

希と絵里が部室に入ってきた。

そこにはいたのは、海未、ひとり。

「あ…それが…。何かテーマがあれば、書きやすいのですが…」

「…ってことは、難航してるようね…」

「時期的に考えて、卒業とか旅立ちとかがモチーフにしやすいんやない?」

「…はい、それも考えてはいます。ですが…」

「?」

「3年生が卒業したあとのμ'sのことを考えると、あまりいいイメージが湧かないのです」

「あら、明るく見送ってくれる訳にはいかない?」

「そういう意味ではないのですが…。ただ、そのあとμ'sを存続させるかどうか…」

「気持ちはわからなくないんやけど…その話は本大会終了まで封印…ってことやなかった?」

「あ、はい…すみません」

「テーマかぁ…。あ、そうだ!それなら逆に、ウチらの始まりから今日までを歌にしたらどうやろ?」

「ハラショー!私たちがどんな思いで『そこ』を目指してきたか…それを歌詞にするっていうのはいいんじゃない?」

「そう、泣いても笑っても、ラブライブで歌えるのはこれが最後。この1年間の集大成やん」

「始まりから今日まで…」

「あ、ごめんなぁ、余計なことを言っちゃって…」

「いえ、ありがとうございます。何か見えたような気がします」

「ところで…今日はあなただけ?」

絵里が部室を見回す。

「えぇ、真姫は音楽室、穂乃果は生徒会。にこは家の用で今日は休むと言ってました」

「にこっちは聴いてるけど」

「凛は補習で…花陽はアルパカの世話をしてから来るそうです」

「ことりは?」

「ことり…ですか?…そういえば…。休むとは言ってなかったので、来るとは思いますが…」

「…」

その言葉に怪訝な顔をしたのは希。

しかし

「みんな、それなりに忙しいんやね」

とすぐに、それを隠すかのように答えた。

「そうですね」

ノートに向き合っていた海未は、それに気付いていない。

 

「ウチらは着替えたら上に行くけど…」

「私はもう少し…。今、もらったアイデアを元に、思い付いたフレーズを書いてから上がります」

「わかったわ」

「じゃあ、先に行ってる」

「はい」

海未はそう言うと、ペンを片手に単語を羅列し始めた。

 

 

 

「ことりの様子がおかしい?」

「黙っといてな…えりちだから言うんやから」

「えぇ…もちろん、そんなつもりはないけれど…。でも、いつから?私は気付かなかったけど…」

「ウチが気になりだしたのは…合宿明けからやったと思う」

「合宿って、秋の?そんなに前から?」

「合宿が終わった直後は…少し吹っ切れたというか、なんとなく『ステージ』がひとつ上がったような感じやなぁ…と思ってたんやけど」

「それは私も感じてたわ。壁を越えたというか…」

「そやね」

「でもあれは、留学の件から始まった一連の騒ぎで…」

「そう、どん底やったもんね。…で、合宿を経て新生μ'sとして、誰もがステップアップした時期やから、なにもことりちゃんに限ったことやない…って言いたいんやろ?」

「正解。特にことりは合宿中、スランプだったし…それが解消されたことが一番の要因だと思うんだけど」

「ウチもそれはわかってるんよ。だけど…何かおかしいんよ。悩んでるというか…」

「悩み?」

「はっきり感じ始めたのは…真姫ちゃんが体調不良になったあたりからやね」

「真姫の体調不良?一次予選の頃?」

黙って頷く希。

「真姫とことりと…何かあったかしら?」

「直接はないと思う。むしろ真姫ちゃんはあんまり関係ないかも。…でも、その頃から、ことりちゃんの喜怒哀楽の『哀』の部分が増えてきたように見えるんや」

「喜怒哀楽の哀?」

「うまく言えないんやけど。やけに『ぽぅっ』としてたり、遠い目をしてみたり…」

「う~ん…ことりはμ'sに加えて、生徒会も任されてるし…何より『理事長の娘』っていうことで、色々、プレッシャーがあるんじゃないかしら」

「それはあるやろね…。この間、ことりちゃんが見たっていう夢も、そういうことの表れやないかと思うし」

「忘れ物の話?」

「ウチは専門家やないから、そこまで詳しくないけど、夢は深層心理を反映するらしいから」

「私も追い詰められると、怖い夢をみるもの」

「そうやろ?だけど、ウチが最近、気になってるのは…実は2年生3人の距離感…バランスが微妙に崩れてきてるんやないか…ってこと」

「あ…」

絵里も思い当たる節があったようだ。

「そう言えば、さっきも…」

「以前なら、海未ちゃんがことりちゃんの居場所を知らないハズがないだろうし、ことりちゃんも2人に黙って行動するなんて、なかったんやないかな…」

「そうね…。海未が無関心に見えたのは、確かに引っ掛かるわね。喧嘩でもしたのかしら」

「…っていう感じでも、ないんやな…。各々、個々に動き始めた…ってこと?」

「まだ、心のどこかで、留学の件…引きずってるのかしら?」

「どうやろか…。ただ、留学もそうだけど、ことりちゃんは2人に引っ張られるだけの存在になりたくない…って、ひとりでバイトしてみたり、意外と独立心みたいなのが強いから…少し『穂乃果ちゃん、海未ちゃんベッタリ』ではなくなってるかも…やね」

「確かに。衣装作りの関係があるかも知れないけど、最近は花陽と一緒にいることが多いものね…」

 

…本当言うと…

…ウチが一番気になってるのは、そこなんやけどね…

 

「ダメね…私としたことが。…何も見えてなかったわ」

「ウチが気を回し過ぎてるんやけどね…」

「さすが希ね…」

「本大会に向かって、おかしなことにならなきゃいいんやけど…」

「まさかぁ…」

「ウチもそうは思いたくないんよ。でも今の話やって、ずっと同じような距離感、同じようなバランスで永遠に過ごせるわけやないんやろうから、人生のどこかでは起こりえる話やし」

「…」

「ウチらやってそうやん。卒業したら、毎日は会えなくなるんやし…どうやっても、今まで通りにはいかない。えりちに彼氏が出来て、ウチも素敵なダーリンを見つけて…いつかは別々の道を歩んでいく」

「…そうね…」

「2年生組も同じこと。早かれ遅かれ…そういう日はくるんよ」

「そうとは決まったわけではないけど…でも、少し気にして見てみるわ」

 

 

 

 

…絵里ちゃんと希ちゃんが見つめあ合って…ラブラブな感じにゃ…

 

…お陰で出そびれたじゃない…

 

…チューしちゃうのかな?チュー…

 

…穂乃果はどうして、そう下世話なことばかり…

 

 

 

凛、真姫、穂乃果…そして海未が、屋上の出入り口から、隠れるようにして2人の様子を伺っている。

 

 

 

さらにその後方…というか、階段の下から、その4人を見ている人物が。

 

 

 

…ことりちゃん、凛ちゃんたち何をしてるんだろう?…

 

…こっそり近づいて「わっ!」って驚かしたくなっちゃうね…

 

…あははは…

 

 

 

 

 

…ことりちゃんて、意外にお茶目さんなんですね…

 

 

 

 

 

~つづく~

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