【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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心のメロディ その6 ~貴女が私にくれたもの~

 

 

 

 

「このあと、どうする?」

ハンバーガーを食べ終えた穂乃果が訊く。

「穂乃果は家に帰ってください。雪穂のお祝いをするのでしょ?」

「そうだね…。それじゃ、ケーキでも買って帰りますか」

「私も付き合いますよ」

「ありがとう、海未ちゃん!」

「ことりは衣装に付けるアクセサリーを見に、何軒かお店を回ろうかと…」

「あ、じゃあ、花陽も手伝います!凛ちゃん、真姫ちゃん、一緒に行こう」

「凛はパスにゃ~。前に一緒に行ったことあるけど、ことりちゃんの買い物は長いにゃ」

「ことりちゃんは生地ひとつにしても、こだわりがスゴいから。でも、あれこれ考えて選ぶのって楽しいよね?」

「うん!」

「かよちんとことりちゃんは、気が合うにゃ」

「確かに」

真姫が同調する。

「そうかな?」

ことりと花陽は顔を見合わせた。

「えっと、それで真姫ちゃんは?」

「私も遠慮しておくわ。一緒に買い物とか…苦手だもの」

「そっか…。じゃあ、花陽ちゃん、行こうか」

「はい。では、また明日」

「うん、バイバイ!」

4人に別れを告げて、ことりと花陽は一足先に店を出た。

 

 

 

「ごめんね、花陽ちゃん。付き合わせちゃって…」

「いえ、花陽が着いてきただけですから…。それで最初はどこに行きますか?」

「うん、それがね…」

 

「えっ?カフェ?」

花陽は一瞬、耳を疑った。

 

「うん。どうしても食べたいチーズケーキがあって…お願い!付き合って!」

「は、はい…別にいいですけど…」

「いつもカヨパカさんには、お世話になってるから、たまにはお礼をしないとね」

「えっ?別に気にしないでください。そういうことなら帰ります」

「それに…花陽ちゃんに話したいこともあるの」

「えっ?花陽にですか?」

「うん。カヨパカさんじゃなくて、花陽ちゃんに」

「はぁ…」

花陽は首を傾げながら、ことりのあとに付いていった。

 

 

 

「どう?ここのレアチーズケーキ」

「美味しいですぅ!この2層になってる上と下で味が違うんですね。一緒に食べると、お口の中で甘味と酸味が渾然一体として…濃厚だけど、しつこくないというか…絶妙なバランスですぅ」

「さすが花陽ちゃん!よくわかってる」

「え~?誰でもこれくらいは言いますよ」

「そうでもないよ。穂乃果ちゃんなんか、なに食べても『美味しい』しか言わないもん」

「あははは…なんか想像出来るね…。あ、そういえば、ことりちゃんとは真姫ちゃんのおうちでも、チーズケーキ食べたよね」

「うん!すごく食べたかったケーキだし、美味しかったけど…お部屋が広すぎて緊張しちゃったな」

「確かに、落ち着かなかったですね。…でも、ことりちゃんはホントにチーズケーキが好きなんだね」

「花陽ちゃんの白米ほどじゃないよ」

「え~?聴いたことあるよ。ことりちゃん、お鍋の中にチーズケーキを入れようとしたことが、あるとかないとか…」

「む?…えっと…その話は置いといて…」

 

…あったんだ…

思わず花陽の口元が弛んだ。

 

「それで花陽に話って?」

「あ、うん…。でも、ここじゃ…。まずはアクセサリー探さないと…」

「あ、はい…」

 

 

 

「ごちそうさまです。ホントにいいんですか?」

「気にしない、気にしない。花陽ちゃんには、いつも手伝ってもらってるからから。たまには…ネ?」

「すみません。では、お言葉に甘えて…」

「ホントに、ホントに…ありがとう!」

「へっ?」

「なんでもない…あっ!これ可愛い!胸に着けたらおかしいかな?…」

ことりはアクセサリーショップに並んだ商品の、品定めを始めた。

 

 

 

「結局、おうちまで来てもらっちゃった」

「構いませんよ。まだ時間も早いですし」

「やっぱり、外で話すことじゃないかな…って」

「はぁ…」

 

ことりの部屋に入る。

 

最近は凛の部屋より来る頻度が高い。

そのせいか、なんの違和感もなくここで過ごすことが出来る。

むしろ、落ち着く感じすらある。

 

「ごめんね、穂乃果ちゃんちみたく、常にお饅頭があるわけじゃないから、これくらいしかなくて…」

と、ことりがお茶菓子を用意した。

これくらい…と言いつつ、それは明らかに高価なものだった。

 

壁にはハンガーに吊るされた、作りかけの衣装が9着。

「もうすぐ完成だね」

ピンク、ブルー、グリーン、オレンジ…色彩鮮やかな『それ』を眺めながら、花陽がしみじみと呟いた。

「花陽ちゃんが手伝ってくれたおかげだよ」

「…お手伝いしてるつもりなんだけど、毎回毎回、足を引っ張っちゃって…」

「そんなことないよ。今回のアイデアだって、花陽ちゃんからもらったんだし」

「そのまま採用されるとは思ってませんでした」

「お正月に、お餅つきをしたでしょ?」

「はい」

「それはμ'sのことを支えてくれた人たちへの恩返しだった」

「うん」

「でも考えてみたら…μ'sの…というより、私たち3人にとっての最初のファンに、きちんとお礼が出来てなかったな…って。どうすればいいんだろう…って思ってた時に、花陽ちゃんが『この衣装を着たかった!』って言ってくれて…。だから、今回は花陽ちゃんへの恩返し。これで返せたとは思えないけど」

「お礼とか、恩返しとか…そんなの変ですよ!だって、μ'sに入れてもらったのは花陽の方だし…」

「花陽ちゃんが来てくれなかったら、ファーストライブはやってなかったし、μ'sはなかった…そうしたら、あの衣装もお披露目することはなかった…」

「違います!3人がいたから、花陽は観に行ったんです!」

「違うよ、やっぱり花陽ちゃんが来てくれな…」

「そんなことないよ!花陽が来なくても、絶対3人はやってたよ!だって、穂乃果ちゃんだよ!海未ちゃんだよ!ことりちゃんだよ!その日がダメだったとしても…」

 

「ふふふ…」

「えへへ…」

2人は笑ってしまった。

この調子じゃ、いつまで経っても終わらない。

水掛け論である。

それに気付いた。

 

「なんか、タマゴが先かニワトリが先か…みたいになっちゃったね」

「ですね」

「じゃあ、私たちがいて、花陽ちゃんがいて…ということで」

「はい!」

「だけど、ひとつだけ言えることは…あの衣装を見て『着たい!』って言ってくれた人がいたこと。嬉しくないわけないよ、だって、ことりが初めて作った衣装だもん!」

「う、うん…」

「だから、花陽ちゃんに想いが届いたかどうかは別として、これはことりからの…ささやかなお礼…」

「ことりちゃん…。届いてるよ、気持ち。花陽はことりちゃんにそう言ってもらえるだけで…幸せです」

「良かった…」

「でも、次は…花陽があの時の3人を見て感動したみたいに、今度はラブライブのステージで…全国のみんなにこの衣装を見てもらうんです!そしたら、きっと、ことりちゃんはデザイナーへの道がまた拓けると思いますよ!」

「ふふふ…花陽ちゃん、ありがとう」

「いえ…あ、なんか熱くなっちゃって」

「ことりはこっちの花陽ちゃんも、好きだよ」

「ぴゃあ!そ、それは凛ちゃんのセリフですぅ!」

「ふふふ…あ、そうだ!違うんだよ、ことりが話をしたかったのは、このことじゃなかったんだ!」

「違うんですか?」

「うん、このことはオマケみたいなもので…」

「オマケ?」

 

「…花陽ちゃん、さっき、泣いてたでしょ?…」

ことりはスッと顔を近づけて、訊いた。

 

「えっ?」

咄嗟に目を逸らす花陽。

 

「お手洗いに行った時…」

 

…!…

…見られちゃった?…

 

「あ…いや、あ、あれは…そう!コンタクトが外れちゃって直しに…それが涙に見えちゃったのかな?…」

 

「ダメだよ、我慢しちゃ…」

ことりは諭すように、静かに呟いた。

 

 

 

 

 

~つづく~

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