【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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心のメロディ その8 ~好きですが、好きですか?~

 

 

 

 

 

仰向けになった花陽。

その上には、ことり。

しばし無言で見つめ合う。

 

どれくらい経っただろう。

突然ことりは急に「えいっ!」と言いながら、花陽の胸元に顔を埋めるように抱きついた。

 

「びゃ、ぴゃあ!こ、ことりちゃん!?」

「思ってた通りだ」

「えっ?」

「ことりね、自分のいつも使ってる枕がないと、寝れないの」

「そう言えば、合宿の時にも持ってきてたもんね…って、それがこの状況と…」

「花陽ちゃんの身体のプニプニ感が、すごく気持ちよさそうだな…って、思ってて…」

「まさか…抱き枕ですか!?」

「うん!想像通り!柔らかい…」

「わっ!わっ!スリスリしないでください!」

「だ…め?…」

ことりは一旦、上半身を起こすと、目を潤ませながら、花陽の顔を見た。

「ダメ…じゃないですけど…」

「よかった!」

と再び顔を胸に擦り寄せることり。

「…っていうか、そんな目で見るのは反則です…それは絶対に…断れないです…」

 

…うわぁ~ドキドキしちゃうよ…

…花陽でもそうなんだから、男の人なら、これで撃沈しますね…

…一発で恋しちゃいますよ…

 

「う~ん、気持ちいい…花陽ちゃんが側にいてくれれば、枕持って行かなくてもいいかも」

「あははは…」

「ことり、この間、忘れ物の夢を見た…って言ったでしょ?」

「えっ?あ、飛行機の?」

「そう。あれね…忘れ物は枕だったんだよ」

「えっ~!その為に帰っちゃったのぅ?」

「だけど、花陽ちゃんがいたんだったら、あんなに大変な思いして戻らなくてもよかったんだね」

「そうですね…あ、いやいや、夢の話ですから…」

「気持ち良くて、このまま寝ちゃいそう…」

「…って、ことりちゃん!ダメですって、寝ないでください!」

「あ、まだ夜じゃないからね…」

「そういう問題じゃないですぅ…」

「じゃあ、続きは夜ってことで」

と言って、ことりはようやく花陽の身体から離れた。

「はい、わかりまし…じゃないです!続きはないですよ」

「えっ?ダメなの?」

「えっと…」

「…冗談だよ…」

「…ですよね…もう、ことりちゃんってば…」

「うふっ、花陽ちゃん、可愛い!」

「からかわないでください…」

「からかってなんていないよ。ことりね…本当に花陽ちゃんのことが好きなんだから」

「へっ?」

「さっき、凛ちゃんが言ってたでしょ?ことりと花陽ちゃんは、どことなく似てる…って」

「あ、そういえば…」

「普通、自分と真逆の人に惹かれたりするものだけど…」

「はい…」

「ことりの場合、それが穂乃果ちゃんと海未ちゃん!」

「花陽は、凛ちゃんと真姫ちゃんかな」

「だよね…。でも、最近ことりは気付いたの。花陽ちゃんといる時が、一番、リラックス出来て、自分でいられるんじゃないかって!」

「それは嬉しいです…えっ?一番?」

「うん。ことりと花陽ちゃんは、すごく感性が似てると思うんだ。だから、なんとなく共通点が多いっていうか…少なくとも、ことりは一緒だと居心地がいいの」

「それは、花陽もわかります。凛ちゃんといる時とはまた違った意味の、落ち着く感じというか…」

「花陽ちゃんとは、アルパカさんが好きだったりとか、スイーツが好きだったりとか、同じ話題で盛り上がれるでしょ?」

「はい」

「それとか、ほら、この間、穂乃果ちゃんちでDVDを観たときも…花陽ちゃんと絵里ちゃんは一緒に観てくれて…同じとこで、笑って泣いて…。穂乃果ちゃんは寝ちゃってたけど…」

「凛ちゃんも一緒に…」

「そうだね」

その情景を思い出して、ふふふ…と笑った。

「あれはあれで、穂乃果ちゃんと凛ちゃんらしいというか…」

花陽も思い出し笑いをした。

「だけど…やっぱり見終わったあとに感想とか言ったりできないのは、ちょっと寂しいかな…なんて」

「なるほど…」

「それにね…最近、穂乃果ちゃんには海未ちゃんさえいればいいんじゃないか…って思っちゃって…」

 

 

 

「はい?」

 

 

 

「あ、変なこと言っちゃったね…」

「ことりちゃんも…なにか、悩んでます?」

「悩みってほどじゃないんだけど…」

「話してください、花陽にも」

「…うん…前々から気付いた…でも、気付かないフリをしてたの…」

「2人となにか…」

「ううん…2人はなにも変わらないよ…穂乃果ちゃんも海未ちゃんも」

「じゃあ、なにが…」

「…穂乃果ちゃんのことは、ことりが一番知ってると思ってた…」

「えっ?」

「穂乃果ちゃんのいいところも、ダメなところも、全部知ってるって思ってた…。でも…違った…勘違いしてた。穂乃果ちゃんがいて、海未ちゃんがいて…その2人をずっと見てきたつもりなんだけど…見てただけだったんだね…」

「…どういうことですか…」

「例えばだけど…この間、穂乃果ちゃん、ダイエットしたでしょ?」

「はい…花陽も一緒に…」

「あ、そうだったね…」

ことりは少しだけ、微笑んだ。

その表情のまま、言葉を続ける。

「穂乃果ちゃんが太った…って真っ先に気付いたのは…海未ちゃんなんだよ」

 

「!」

その瞬間なんとなく、ことりの言わんとしてることを理解した。

 

「ランニング中に、ご飯食べてたのを見破ったのも…海未ちゃん。それで、その時言われちゃったんだ…『ことりは穂乃果と何年付き合ってるんですか』…って」

「それは…その…言葉の綾かと」

「ううん、その通りだと思った。…何年一緒に過ごしてきたんだろう…ことりはずっと、穂乃果ちゃんの背中ばかりを追いかけてきた。背中ばっかり見て…いつからか、正面から向き合えなくなってたの」

「…ことりちゃん…」

「μ'sだって、自発的に始めたわけじゃなくって…でも穂乃果ちゃんに引っ張られて、必死に付いてきた。それが今までは普通だった。…でも、あるとき、これじゃいけない!って思って…。ことりが頑張れることはなんだろう、負けないことはなんだろう…って」

「それが衣装作り?」

「うん」

「あの時の言葉、花陽も覚えてます。確かにこちゃんと作業してたときですよね…」

 

 

 

…今までだってそうだけど…私はみんなが決めたこと、やりたいことに…ずっとついていきたいの…

…道に迷いそうになることもあるけれど、それが無駄になるとは私は思わない…

 

…ふん、主体性がないだけじゃない!…

 

…にこちゃん!そういう言い方、良くないよ…

 

…ううん、いいの。にこちゃんの言う通りだから。でもね、だからこそ、これは私がやらなきゃ!って思ってるの…

 

 

 

「花陽はあの時の『だからこそ、これは私がやらなきゃ!』って言葉に強い意思を感じました…」

「この間ね…夢をみたんだ」

「夢?」

「ことりと花陽ちゃんが、悪い敵に襲われて…それを助けにきてくれたのが、プリキュアになった穂乃果ちゃんと海未ちゃんだったの…変なお話でしょ?」

「でも、夢ってそういうものじゃないですか?脈略がないというか…」

「うん、それはそうなんだけど…夢の中でも穂乃果ちゃんと海未ちゃんに助けられてる自分が、ちょっと情けなくなっちゃって」

「考えすぎです」

「そうかな…」

「…ことりちゃんが、そんな風に思ってるなんて、意外でした…」

「か、勘違いしないでね?ことりが勝手に思ってるだけだから。ただ、2人に頼りっぱなしはやめよう…って思って」

「少しだけ違うと思いますよ」

「えっ?」

「逆に穂乃果ちゃんと海未ちゃんは、ことりちゃんのことを頼ってる思います」

「ことりのことを?」

「ことりちゃんがいて…いつも暖かく見守ってくれてるから、穂乃果ちゃんも無茶出来るし、海未ちゃんも厳しいことが言える」

「…」

「ことりちゃんがいなかったら、穂乃果ちゃんの逃げ道がなくなっちゃうよ」

「花陽ちゃん…」

「ことりちゃん、あの時、言いました…『ひとりひとりに役割がある』って…。だから、無理してことりちゃんが海未ちゃんになる必要はないと思います」

「花陽ちゃん…」

「ことりちゃんは、ことりちゃんのままでいいと思います…なんて…」

「ことりのお姉ちゃんみたい…」

「あっ!つい、偉そうなことを…」

「ううん、ありがとう…」

「実は…花陽もことりちゃんと同じようなことを考えてました。いつまでも凛ちゃんに頼ってちゃいけない…って。だから…偉そうなことは言えないんですけど」

「同じだね」

「同じですね」

「うふふ…」

「えへへ…」

「花陽ちゃんの悩みを訊くはずだったのに、ことりの話を聴いてもらっちゃったね…」

「花陽はことりちゃんのお役に立てれば、それだけで嬉しいですよ。だから、いつでも」

「花陽ちゃんもだよ?ひとりで抱え込んじゃダメだよ?」

「は、はい!」

「じゃあ…約束…」

ことりは、右手を差し出した。

それに応えて、花陽も右手を出す。

固い握手を交わす2人。

 

だが次の瞬間、ことりは握った手をグッと手前に引き寄せた。

花陽の身体の重心が、前へと移動する。

それを抱き止める、ことり。

 

「!」

「ごめんね、花陽ちゃん…変なことはしないから、しばらくこのままでいて…」

「ことりちゃん…」

「花陽ちゃん…大好き…。妹みたいに可愛くて、お姉さんみたいにしっかりしてて…ことりの心のオアシスだよ」

「ことりちゃん…それは、花陽が思ってることです。可愛くて、スタイルが良くて、優しくて、器用で、お茶目で…。花陽は、ずっとことりちゃんみたいになりたい!て思ってましたよ…」

「嬉しい…花陽ちゃんがそんな風に想っててくれたなんて…」

「はい、花陽もことりちゃんのことが大好きです!」

「凛ちゃんよりも?」

「…えっ?…それは…」

「…ごめんね、ちょっと意地悪だった?…」

「…はい…較べられません…」

「わかってるよ。ことりだって、花陽ちゃんと穂乃果ちゃん、海未ちゃんを同列にはできないから」

「ですよねぇ…」

「だけど、たまにはこうやって、ギュッとしていい?凛ちゃんに怒られちゃうかな?」

「訊いてみます?…」

「意地悪…」

「さっきのお返しです」

「あ!ふふふ、お返しされちゃった…」

「はい」

「あ~ん、もうひとり、花陽ちゃんがいないかなぁ…」

「えっ?」

「一家に一台、花陽ちゃん。癒されると思うなぁ…」

「花陽は家電ですか!?」

花陽が突っ込みを入れながら笑った。

「あとね…花陽ちゃんは無理してダイエットなんかしなくていいのに…」

「えぇ~!気を付けないと、おデブさんになっちゃいますよ」

「大丈夫だよ。花陽ちゃんは全然太ってないよ。ただちょっとプニプニしてるだけ」

「なんか矛盾してます…」

「そうかな?」

「花陽は、ことりちゃんみたいなウエストに憧れてるのにぃ…」

「それじゃ、花陽ちゃんじゃなくなっちゃうよ。プニプニしてない花陽ちゃんは、ダメだよ。ことりが許さないから」

「うぅ…」

「ことりは花陽ちゃんの、女の子らしい柔らかさに憧れるけどな…」

そう言ってことりは、花陽の頬を突っつく。

「慰めはいいです…」

花陽はプクッと頬を膨らませた。

 

それを見て

「やっぱり可愛い…」

再びことりは呟いた…。

 

 

 

 

 

~つづく~

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