【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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心のメロディ その16 ~闘いの火花~

 

 

 

 

 

「エントリーNo.11!音ノ木坂学院スクールアイドル…μ's!」

 

 

 

司会者のアナウンスに、会場のテンションは一気に高まった。

 

 

 

ラブライブ本大会のステージ順を決める抽選会。

集まっているのは、スクールアイドル全都道府県の代表47組。

 

その中でも知名度No.1は、なんと言ってもA-RISEを破ったμ'sである。

 

名前を呼ばれた瞬間、場内は「うわぁ~」とも「うぉ~」ともつかない、どよめきが起きた。

 

「想像以上に注目されてますね…」

「しかたないよ。他のチームの合言葉は『打倒μ's!』だもん」

海未とことりが、周りを見渡しながら小声で話す。

 

 

 

「μ'sの代表者の方?ステージへどうぞ」

 

司会者が、なかなか登壇しないμ'sのメンバーに、声を掛ける。

 

「にこちゃん!?」

「へっ?」

「くじを引くのは、にこちゃんだよ!」

「えぇっ!?ア、アタシ?穂乃果じゃないの?」

「卒業するまでは部長でしょ?」

「そうにゃ!最後はビシッと決めるにゃ!」

「う…うん…わかったわよ…」

にこは、真姫と凛に促され席を立った。

 

 

 

…いよいよね…

 

 

 

これまでのことが頭に浮かぶ。

だが、感慨に耽っている場合ではない。

通路を歩くにこに、突き刺さる視線。

 

 

 

…μ'sの…矢澤にこさんだ…

…思った以上に小っこいのぅ…

…やっぱ、東京の人はスッとしちょるね…

…フン!好かんばい…

…あれが優勝候補の?…

…普通の女子校生?A-RISEのようなオーラはないわね…

 

 

 

羨望と敵意に満ちた眼差し。

にこはそれを肌で感じていた。

 

ステージに登り、客席側へと振り返る。

 

 

 

…うっ、さすがに緊張する…

…あの一角以外、すべてがライバルなのね…

…でも、アタシは負けない!必ず優勝してみせる…

 

 

 

強い決意のもと、抽選箱に手を入れた…。

 

 

 

 

 

「アンタらがμ's?」

 

会場をあとにしようとしたメンバーを、不意に呼び止める関西弁の声。

振り返るとそこには、3人の少女が立っていた。

 

「はい…私たちがμ'sですが…」

代表して海未が答える。

 

「ふ~ん…なるほど、頭数だけは揃っとるんやね」

「『枯れ木も山のなんとか』…っちゅうことやない?」

「『枯れ木』は言い過ぎちゃうん?」

 

3人の少女の話す言葉は、明らかに希が使う『それ』とは違った。

 

「何よ!いきなり!」

「にこっち!」

瞬間湯沸し器と化したにこを、希が制する。

「あなたがたは?」

絵里がスッと一歩前に出て、3人に問い掛ける。

「まぁまぁ、そう睨まんと…。東京モンはこれだからイヤやわ」

「『枯れ木ってなんやねん!?』くらい言ってもわらんと」

 

「…」

 

「ホンマあかん空気やね…まぁいいわ…。ウチら?ウチらは…」

 

 

 

「大阪代表の『太陽の闘』」さんですね?」

 

 

 

「花陽!」

「かよちん!」

「花陽ちゃん!」

 

 

 

そう…答えたの花陽。

これには、その3人も一瞬『意外』という表情を見せた。

 

「ラップとヒップホップという、スクールアイドルとしては異色のパフォーマンスをするチームです。前回の大会では『東のA-RISE』『西の太陽の闘』と並び評されてました。結果は…でしたが、間違いなく実力はあると思います。一部ではその独自のスタイルが、ネットユーザーには受け入れられなかったとも言われていますが…」

 

「おおきに」

「へぇ…ウチらの知名度もなかなかのもんやない」

「当然やね…」

 

「この娘のアイドル知識は誰にも負けないんだから」

と、なぜか自分のことのようにドヤ顔をする真姫。

 

「前回は前回、今回は今回」

「A-RISEを負かしたチームゆうことでで、注目されてるみたいやけど、そう簡単にはいかへんよ!」

「アンタらがナンボのモンか知らんけど、優勝はウチらがもらうさかいに」

「ほな、そういうことで」

3人はそれだけいうと、スタスタと歩き去った。

 

「…」

 

「コッチやなく、アッチやった」

「もう、毎回毎回かなわんわ…しっかり、しぃやあ」

「これだから東京に出てくるの、イヤやねん」

3人は再びμ'sの前を通り過ぎると

「ほな…」

と言いながら向こうへと消えて行った。

 

「なに、あれ?」

さすがのにこも、毒気を抜かれて、茫然としている。

「ものの見事にステレオタイプの関西人でしたね…」

「確かに…」

首を縦に振る一同。

 

「でも、ちょっと、気合いが入ったよ!やっぱり、みんな、どこのチームも優勝目指して頑張ってるんだ。油断してるつもりはないけど、少しでも気を抜いたら負ける!」

「穂乃果…そうですね。あの人たちも言っていましたが、今回は今回。他のチームもレベルアップしてるでしょうし、A-RISEを破ったなどという『アドバンテージはない』と思った方がいいかも知れません」

「海未の言う通りね。あの不躾な態度は気に入らないけど、初めから負けを覚悟して出てくるようじゃ、戦う資格はないと思うし…あれくらいのことを言うのも当然と言えば当然じゃない」

と真姫。

「そういう意味では、このステージ順は大きいわね…」

絵里はにこを見た。

 

そして他のメンバーも…。

 

 

 

 

 

「それにしても、改めて…にこちゃん、すごいよ!」

花陽が興奮気味に言う。

 

メンバーは部室へとやってきた。

 

「あ、当たり前でしょ!?私を誰だと思ってるの?大銀河の宇宙No.1アイドル!『ニコニ~にこちゃん』よ!」

 

 

 

…って、くじを引く瞬間はチョー緊張したけど…

 

 

 

「でも、1番最後って…それはそれでプレッシャーね」

真姫がいつものように、指先で髪を絡ませながら呟く。

「私も最後って聴いた時は『まさか!』って思ったけど…もう、そこは開き直るしかないもの」

と絵里。

「でも、私はこれでよかったと思う!念願のラブライブに出場できて、しかもその最後に歌えるんだよ!大トリだよ、大トリ!鳳啓介!」

「ポテチン!…って、穂乃果ちゃんもずいぶん古い人を知ってるんやね?」

「名前だけ…」

 

その他のメンバーはポカーンとしている。

 

「まぁ、そうなるわね…」

 

 

 

…それを知ってる、ウチもウチやけど…

 

 

 

「それはそうと、この結果はウチのスピリチュアルパワーのお蔭やね…」

「いやいや、やっぱり現生徒会長兼μ'sのリーダーの力でしょ」

「え~…かよちんのお米パワーだよ!」

「凛ちゃん、それは関係ないと思う…」

「…誰の力でもなく、これがμ'sの…今の勢いなんだと思います」

「まぁ、そうだね…」

海未の言葉に納得する一同。

「ちょっとぉ、引いたのはアタシなんだけど…」

「はいはい、そうね」

「えらいにゃ、えらいにゃ」

「相変わらず、雑な扱い…」

真姫の凛の対応に、にこは溜め息を吐いた。

 

「さぁ、練習を始めるわよ!」

絵里がパンパンと手を叩く。

「は~い!!!!」

「本番に向けて、ラストスパートにゃ~!!」

「うん!ファイトだよ!」

 

その掛け声を合図に、練習へと繰り出すメンバー。

 

「まったく…アタシのことはスルーなの?」

笑ってるのか、怒ってるのか、どちらとも言えない表情で、にこは部屋を出ようとした。

 

「大丈夫です!」

 

 

 

…びっくりしたぁ!…

 

 

 

「花陽?…まだいたの?」

「ちょっと、出遅れました…」

「相変わらずトロいわね」

「ははは…」

「…で、何が大丈夫なのよ?」

「みんな、あんなこと言いながら、にこちゃんには、すごい感謝してましたよ」

「わ、わかってるわよ、そんなこと…」

「えっ?」

「最後まで、いつものアタシたちでいよう…ってことでしょ?だからこれも普段通り…お約束…」

「あ…はい!」

「変に気を使われるのも、性に合わないしね…さぁて、練習行くよ!」

「はい!」

「花陽…」

「はい?」

「ありがとね…」

「えっ?に、にこちゃん?…」

 

 

 

…出遅れたなんて、見え透いた嘘を…

 

 

 

「早く来なさいよ~」

にこはそう言うと、先に歩いて行ってしまった。

 

 

 

 

 

「じゃあ、ここで一旦休憩しましょう」

絵里が練習を止める。

「ふぅ~」

「今日は随分、暖かいですねぇ…」

海未が穂乃果にペットボトルを手渡す。

「ありがとう。う~ん、本当にあったかいねぇ…お昼寝したくなっちゃうよぅ」

「穂乃果は季節を問わず、眠いじゃないですか…」

「はははは…」

「いよいよ春って感じだよね!桜の開花も、今年は早い…って言ってたし」

「へ~…ことりちゃん、そうなんだ…」

「少しくらいはニュース見なさいよ」

真姫が穂乃果の隣に座る。

「えへへへ…そうだね」

「でも、確かに…なんか気持ちいいねぇ…」

花陽も「よいしょ…」と真姫の隣に腰を下ろした。

 

 

 

休憩時間でありながら、絵里は凛に、振り付けの指導をしている。

ダンスに関して妥協を許さない姿勢は、入部してから変わらない。

 

にこは希と談笑している。

2年生3人がスクールアイドルを始めた頃は反目しあっていた2人。

それが今、仲良く、楽しげに話をしている。

 

 

 

「花陽ちゃん?」

「ことりちゃん…」

花陽は名前を呼ばれただけで、ことりが何を言わんとしてるのか理解した。

そこで休んでいた5人は、みんな同じ気持ちでその光景を見ていたのであろう。

「…はい、わかってます…」

「穂乃果ちゃんも…」

「…」

「寂しくなっちゃダメ!今はラブライブに集中だよ!」

「そうですよ、集中!集中!」

海未のセリフは、自分自身に投げ掛けているようにも聴こえた。

「…分かってるよ、ただ…」

「ただ?」

「ぎゅ~っ」

突然、海未に抱きつく穂乃果。

「なんですか?いったい?」

「急に抱きしめたくなっちゃった!」

「ほ、穂乃果…」

「私も!ぎゅ~っ!」

「も~苦しいですよ…ことり、穂乃果…」

「ぎゅ~」

「きゅ~」

「穂乃果…ことり…苦しいですって…」

 

その姿を横目で眺めていた真姫。

「わ、私はそういうのしないからね…」

花陽に牽制球を投げる。

「しないの?」

「や、やるなら…凛としなさいよ…」

「うふふふ…」

 

 

 

…それか私と2人きりの時に…

 

 

 

「えっ?」

「べ、別に…さぁ、そろそろ休憩時間は終わりじゃない?続きを始めるわよ」

真姫はスッと立ち上がると、手を叩いて練習の再開を促した。

 

 

 

 

 

~つづく~

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