【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~ 作:スターダイヤモンド
「星が綺麗…」
食事の後片付けが終わった穂乃果は、教室の窓から空を見上げた。
「そっか、学校の周りは明かりが少ないから…」
「ねぇ、花陽ちゃん…屋上 行ってみない?」
「えっ?」
「なにを言ってるんですか。早く寝ますよ!」
「いやいや、海未ちゃん。まだ8時だし、こんなに早くは寝れないでしょ?」
「四六時中、どこでも寝ている人の発言とは思えませんが」
「せっかく学校に泊まったんだからさ…少しくらい、いいじゃん!肝試しは却下されちゃったんだし…」
と、チラッと前生徒会長を見る。
「当たり前でしょ!」
絵里はソッポを向いた。
「ううっ…くっ…ううっ…」
「もう一息だよ!頑張って!」
ことりが先にハシゴを登る花陽の尻を、下から押す。
「花陽、お尻が重いから…よいしょ、よいしょ…」
…花陽ちゃんのお尻…もにょん…ってしてた…
…もうちょっと触っていたいかも…
「ことり?花陽は登り終わりましたよ」
「あ、海未ちゃん!ごめん、すぐに行く」
上から声を掛けられ、一番最後にことりが上がった。
結局、穂乃果の意向が採用され、9人は学校の屋上へとやってきた。
1年間、練習を行った場所…
夜に来るのは、もちろん初めてだった。
どうせなら…ということで、給水タンクなどが置かれている、屋上でも一番高い場所へと登った。
「わぁ…」
「ハラショー」
そこから9人が目にしたのは…
「すごいねぇ…光の海みたい」
とことり。
「100万ドルの夜景?」
「にこっち、それは言い過ぎやない?」
「でも…綺麗だね」
穂乃果の感想に異論を唱えるものはいなかった。
「この明かりのひとつ、ひとつがみんな誰かの光なんですよね…」
「その光の中でみんな生活してて、喜んだり、悲しんだり…」
海未と絵里は、互いの顔を見た。
μ'sの練習を牽引してきた2人。
共に感じることがあったのだろう。
どちらからともなく、手を繋いでいた。
「あの生徒会長が、今、私の隣にいるなんて…世の中わからないものですね」
「同感よ。あの時の3人と時間を共有するなんて、私が一番思ってなかったもの」
「この中には、私たちと話したことも、会ったこともない…触れ合うきっかけさえなかった人が、たくさんいるんだよね」
「でもμ'sを通じて、ひとつになれる瞬間がある」
「ウチらの歌で、世界がひとつになる瞬間が確かにある」
穂乃果も、両隣にいたにこと希の手を繋ぐ。
「私たちの歌を聴いて、何かを考えたり、楽しくなったり…」
「ちょっぴり元気になったり、ちょっぴり笑顔になってくれてればいいね」
「なってるにゃ!凛たちが楽しんでやってきたんだんだから」
「ことりもそう思うよ」
真姫が…花陽が…凛とことりが…知らず知らずに手を取り合い、9人は横一列になった。
「だからアイドルは最高なのよ!」
「みんなを笑顔にするのがアイドル…やったっけ?」
「そうよ!」
「私!スクールアイドルやって!!よかったあ~~~!!」
突然、大声で叫んだのは穂乃果。
「…ど、どうしたの?…」
あまりに予測不能な行動に慌てふためくメンバー。
「近所迷惑じゃない?」
「えへへ…だって!そんな気分なんだもん!みんなに伝えたい気分!今のこの気持ちを!」
すると、穂乃果は再び叫んだ。
「みんな~!明日!!精一杯歌うから!!!聞いてね~!!!!」
くか~…
すぴ~…
ぐぅ…ぐぅ…
教室に寝息が響く。
時刻は午後10時…。
案の定…というか、お約束…というか「早い時間じゃ寝られない…」と言っていた穂乃果だったが、凛と共にアッと言う間に深い眠りへと落ちた。
海未は…こちらも寝ると決めたら早い。
すぐに夢の世界へと導かれた。
そうやってひとり、ふたりと静かに寝入った。
時おり、穂乃果が何か寝言を言っているようだが、それを気にする者はいない。
今、この教室は7人の寝息だけが聴こえている。
7人?
そう、この時間になっても眠れずにいるメンバーが2人いた。
その内のひとりはことりだ。
専用の枕がなかった訳ではない。
それは忘れずに持参した。
だが、寝ようとして目を瞑っても、まったく寝れなかった。
明日が本番ということで、不安や緊張、或いは興奮なのか…精神的なものが影響していることは間違いない。
夜風に当たって、少し身体が冷えたことも原因のひとつだった。
…困ったな…
こういう時は、寝ようと意識すればするほど、眠れないものである。
自然に眠くなるまで待つのが、一番なのだが…それを待っていたら今日は夜が明けそうである。
…睡眠薬を飲むわけにはいかないし…
…ホットミルクでもあれば…
…!…
ことりはハッと気付いた。
そして枕を持つと、そっと布団を抜け出す。
…失礼しま~す…
花陽の布団へと潜り込んだ。
…う~ん、やっぱり、あったかい…
ことりは花陽の身体に抱きつき、脚を絡ませた。
…だけじゃないの…
…この安心感…
…あぁ、花陽ちゃん…なんでこんなに柔らかいの…
ことりは思わず、花陽の臀部を揉んだ。
…ん…んん…
その行動に花陽が反応した。
…ん…ん?…
「…希…ちゃん?」
まだ半分眠りの中にいる花陽。
自分の身体を触っているのは、日頃の行動から反射的に、彼女だと思ったようだ。
いや、それとも『あの日の夜』を思い出したのだろうか…。
「…希ちゃん…ダメだよ…みんながいるよ…」
「…花陽ちゃん?…」
「…また、おかしくなっちゃうから…」
「…?…」
「…今日は…ダメです…よ…」
「…ごめんね…ことりだよ…」
「…ことり…ちゃん…?…」
「…うん…起こしちゃった?…」
「…えっと…なにを?…」
状況が飲み込めない花陽。
「…身体が冷えて…眠れなくなっちゃって…」
「…ことりちゃん…体脂肪…少ないから…寒さに弱そうですもんね…」
「…うん…」
「…それで?…」
まだ、理解をしていない。
「…花陽ちゃんと一緒なら、ぐっすり眠れそうだな…って…」
「…なるほど…そういうことなら…」
「…ありがとう…花陽ちゃん…」
「…ん…えっ?えっ?ことりちゃん!…」
「…えっ?…あれ?ひょっとして、今、目が覚めた?…」
「…は、はい…」
「…でも、もう、遅いよ。許可もらっちゃったもんね…」
「…なに、言いましたっけ?…」
「…一緒に寝させて…身体が冷えちゃって…」
「…っと…」
「…この間の続き…」
「…あっ…」
「…変なことはしちゃダメですよ…」
「うん!」
「…でも、さっき、お尻をもにょもにょされたような…」
「…そうだっけ?…」
「…夢?…」
「さぁ…。そういえば、花陽ちゃん…希ちゃんと…なにかあった?」
「へっ?…花陽…なにか言ってました?…」
「…うん…ちょっと…」
「あっ、それは…きっと、いつもワシワシされてるから…」
「そっか!」
「でも、朝までには、自分のお布団に戻らないと…」
「そうだね、凛ちゃんに怒られちゃうもんね…」
「ことりちゃんも穂乃果ちゃんに…」
「うん…」
「あ、でも…これで、眠れそう…」
「はい、じゃあ、寝ますね…」
「おやすみ…」
「おやすみなさい…」
…う~ん、ことりちゃん、意外に大胆やね…
…今日のお泊まりは、願ってもないチャンスやと思ったけど…またにしますか…
…まぁ、明日が明日やし…余計なことはせんと、寝ましょうね…
…おやすみ、花陽ちゃん…
寝ていなかった、もうひとりは今夜の企みを諦めて、眠りについた。
~つづく~
今年も今日で終わりですね。
ラブライブを知ったのが、3月…。
こんなにハマるとは思ってなかったです。
さて1月3日は私の誕生日。
Eテレで劇場版をやるらしいですね。
個人的には…な、内容だったのですが、もう一回見返してみようと思ってます。
では、皆様、良いお年を。