【ラブライブ μ's物語 Vol.1】Can't stop lovin'you! ~花陽ちゃんへの愛が止まらない~   作:スターダイヤモンド

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心のメロディ その18 ~寒い夜だから~

 

 

 

「星が綺麗…」

食事の後片付けが終わった穂乃果は、教室の窓から空を見上げた。

「そっか、学校の周りは明かりが少ないから…」

「ねぇ、花陽ちゃん…屋上 行ってみない?」

「えっ?」

「なにを言ってるんですか。早く寝ますよ!」

「いやいや、海未ちゃん。まだ8時だし、こんなに早くは寝れないでしょ?」

「四六時中、どこでも寝ている人の発言とは思えませんが」

「せっかく学校に泊まったんだからさ…少しくらい、いいじゃん!肝試しは却下されちゃったんだし…」

と、チラッと前生徒会長を見る。

「当たり前でしょ!」

絵里はソッポを向いた。

 

 

 

 

 

「ううっ…くっ…ううっ…」

「もう一息だよ!頑張って!」

ことりが先にハシゴを登る花陽の尻を、下から押す。

「花陽、お尻が重いから…よいしょ、よいしょ…」

 

 

 

…花陽ちゃんのお尻…もにょん…ってしてた…

…もうちょっと触っていたいかも…

 

 

 

「ことり?花陽は登り終わりましたよ」

「あ、海未ちゃん!ごめん、すぐに行く」

上から声を掛けられ、一番最後にことりが上がった。

 

 

 

結局、穂乃果の意向が採用され、9人は学校の屋上へとやってきた。

 

1年間、練習を行った場所…

夜に来るのは、もちろん初めてだった。

 

どうせなら…ということで、給水タンクなどが置かれている、屋上でも一番高い場所へと登った。

 

 

 

「わぁ…」

「ハラショー」

そこから9人が目にしたのは…

 

 

 

「すごいねぇ…光の海みたい」

とことり。

「100万ドルの夜景?」

「にこっち、それは言い過ぎやない?」

「でも…綺麗だね」

穂乃果の感想に異論を唱えるものはいなかった。

「この明かりのひとつ、ひとつがみんな誰かの光なんですよね…」

「その光の中でみんな生活してて、喜んだり、悲しんだり…」

海未と絵里は、互いの顔を見た。

 

μ'sの練習を牽引してきた2人。

共に感じることがあったのだろう。

どちらからともなく、手を繋いでいた。

 

「あの生徒会長が、今、私の隣にいるなんて…世の中わからないものですね」

「同感よ。あの時の3人と時間を共有するなんて、私が一番思ってなかったもの」

 

「この中には、私たちと話したことも、会ったこともない…触れ合うきっかけさえなかった人が、たくさんいるんだよね」

「でもμ'sを通じて、ひとつになれる瞬間がある」

「ウチらの歌で、世界がひとつになる瞬間が確かにある」

穂乃果も、両隣にいたにこと希の手を繋ぐ。

 

「私たちの歌を聴いて、何かを考えたり、楽しくなったり…」

「ちょっぴり元気になったり、ちょっぴり笑顔になってくれてればいいね」

「なってるにゃ!凛たちが楽しんでやってきたんだんだから」

「ことりもそう思うよ」

真姫が…花陽が…凛とことりが…知らず知らずに手を取り合い、9人は横一列になった。

 

「だからアイドルは最高なのよ!」

「みんなを笑顔にするのがアイドル…やったっけ?」

「そうよ!」

 

 

 

「私!スクールアイドルやって!!よかったあ~~~!!」

突然、大声で叫んだのは穂乃果。

 

 

 

「…ど、どうしたの?…」

あまりに予測不能な行動に慌てふためくメンバー。

「近所迷惑じゃない?」

「えへへ…だって!そんな気分なんだもん!みんなに伝えたい気分!今のこの気持ちを!」

すると、穂乃果は再び叫んだ。

 

 

 

「みんな~!明日!!精一杯歌うから!!!聞いてね~!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

くか~…

すぴ~…

ぐぅ…ぐぅ…

 

 

 

教室に寝息が響く。

時刻は午後10時…。

 

案の定…というか、お約束…というか「早い時間じゃ寝られない…」と言っていた穂乃果だったが、凛と共にアッと言う間に深い眠りへと落ちた。

 

海未は…こちらも寝ると決めたら早い。

すぐに夢の世界へと導かれた。

 

そうやってひとり、ふたりと静かに寝入った。

時おり、穂乃果が何か寝言を言っているようだが、それを気にする者はいない。

今、この教室は7人の寝息だけが聴こえている。

 

 

 

7人?

 

 

 

そう、この時間になっても眠れずにいるメンバーが2人いた。

 

その内のひとりはことりだ。

 

専用の枕がなかった訳ではない。

それは忘れずに持参した。

だが、寝ようとして目を瞑っても、まったく寝れなかった。

 

明日が本番ということで、不安や緊張、或いは興奮なのか…精神的なものが影響していることは間違いない。

夜風に当たって、少し身体が冷えたことも原因のひとつだった。

 

 

 

…困ったな…

 

 

 

こういう時は、寝ようと意識すればするほど、眠れないものである。

自然に眠くなるまで待つのが、一番なのだが…それを待っていたら今日は夜が明けそうである。

 

 

 

…睡眠薬を飲むわけにはいかないし…

…ホットミルクでもあれば…

 

 

 

…!…

 

 

 

ことりはハッと気付いた。

そして枕を持つと、そっと布団を抜け出す。

 

 

 

…失礼しま~す…

 

 

 

花陽の布団へと潜り込んだ。

 

 

 

…う~ん、やっぱり、あったかい…

 

 

 

ことりは花陽の身体に抱きつき、脚を絡ませた。

 

 

 

…だけじゃないの…

…この安心感…

…あぁ、花陽ちゃん…なんでこんなに柔らかいの…

 

 

 

ことりは思わず、花陽の臀部を揉んだ。

 

 

 

…ん…んん…

 

 

 

その行動に花陽が反応した。

 

 

 

…ん…ん?…

 

 

 

「…希…ちゃん?」

まだ半分眠りの中にいる花陽。

自分の身体を触っているのは、日頃の行動から反射的に、彼女だと思ったようだ。

いや、それとも『あの日の夜』を思い出したのだろうか…。

「…希ちゃん…ダメだよ…みんながいるよ…」

「…花陽ちゃん?…」

「…また、おかしくなっちゃうから…」

「…?…」

「…今日は…ダメです…よ…」

「…ごめんね…ことりだよ…」

「…ことり…ちゃん…?…」

「…うん…起こしちゃった?…」

「…えっと…なにを?…」

状況が飲み込めない花陽。

「…身体が冷えて…眠れなくなっちゃって…」

「…ことりちゃん…体脂肪…少ないから…寒さに弱そうですもんね…」

「…うん…」

「…それで?…」

まだ、理解をしていない。

「…花陽ちゃんと一緒なら、ぐっすり眠れそうだな…って…」

「…なるほど…そういうことなら…」

「…ありがとう…花陽ちゃん…」

「…ん…えっ?えっ?ことりちゃん!…」

「…えっ?…あれ?ひょっとして、今、目が覚めた?…」

「…は、はい…」

「…でも、もう、遅いよ。許可もらっちゃったもんね…」

「…なに、言いましたっけ?…」

「…一緒に寝させて…身体が冷えちゃって…」

「…っと…」

「…この間の続き…」

「…あっ…」

「…変なことはしちゃダメですよ…」

「うん!」

「…でも、さっき、お尻をもにょもにょされたような…」

「…そうだっけ?…」

「…夢?…」

「さぁ…。そういえば、花陽ちゃん…希ちゃんと…なにかあった?」

「へっ?…花陽…なにか言ってました?…」

「…うん…ちょっと…」

「あっ、それは…きっと、いつもワシワシされてるから…」

「そっか!」

「でも、朝までには、自分のお布団に戻らないと…」

「そうだね、凛ちゃんに怒られちゃうもんね…」

「ことりちゃんも穂乃果ちゃんに…」

「うん…」

「あ、でも…これで、眠れそう…」

「はい、じゃあ、寝ますね…」

「おやすみ…」

「おやすみなさい…」

 

 

 

…う~ん、ことりちゃん、意外に大胆やね…

…今日のお泊まりは、願ってもないチャンスやと思ったけど…またにしますか…

…まぁ、明日が明日やし…余計なことはせんと、寝ましょうね…

 

 

 

…おやすみ、花陽ちゃん…

 

 

 

寝ていなかった、もうひとりは今夜の企みを諦めて、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

~つづく~






今年も今日で終わりですね。

ラブライブを知ったのが、3月…。
こんなにハマるとは思ってなかったです。



さて1月3日は私の誕生日。

Eテレで劇場版をやるらしいですね。
個人的には…な、内容だったのですが、もう一回見返してみようと思ってます。


では、皆様、良いお年を。

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