スーパーロボット大戦OG ~太陽と花と月~   作:定泰麒

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 定泰麒と申します。この小説は、実験作なので感想等をいただけたらありがたいです。それでは、よろしくお願いします。


序章
F小隊と太陽の男


 世界は偶然に偶然が重なって歴史が積み重なっている。それは、偶然ではない必然であるという人もいるがそれは違う。

 偶然という可能性。それが生み出したのは、無数の数多にあるパラレルワールドであった。『実験室のフラスコ』。世界はすれすれのバランスの上に成り立っている。

 

 この物語もその可能性の物語。いわゆるパラレルワールドの一つだ。

 

 

 

 

 

 空に響き渡る無数の銃声。その銃声は、対人用のものよりも何倍もの轟音をまき散らしている。銃が放たれている先には、戦車という今の前線では少々遅れている兵器があった。

 M13ショットガン。その威力と弾が届く範囲は中々で使い勝手がいい。だが、M950マシンガンよりも生産費がかかってしまうため、指揮官機かエースにしか支給されていない武器となっていた。

 

 「ヒュー! すげぇな、このショットガン。こんなもんをあいつら使ってたのか。羨ましいぜ! まぁ、俺も今から使うことになるんだけどな!」

 

 声の主は、現在パーソナルトルーパーという兵器に乗り、戦車を壊して回っている男。その操縦技術の高さを買われ、新たに試作機や実験機を連合軍内で運用している部隊『フィスト小隊』に派遣された男であった。

 その名を、ヨウガ・シンノミヤといった。

 

 

 

 

 

 「ヨウガ・シンノミヤ。年齢25歳、階級は中尉。出身は地球・日本。スペースコロニー2号基・ノゾミの連合士官学校にて主席で卒業後。地球のエジプト・ムータ基地に配属。そこで、F-28メッサーにて、戦車4台・戦闘機8機を撃墜し、ゲリラ兵の進行を阻止するという活躍を見せた。その後、各地を転戦し今に至る……。シンノミヤ少将。資料に書いてあるのですが、あの新入りはご子息であられるのですか?」

 「ああ、そうだ。言っておくが、私はあいつを贔屓するつもりはない。そして、『フィスト小隊』の隊長である君もそれは一緒だ。命令違反をしたら殴ってくれてかまわん。厳しく頼む!」

 

 新型のスペースノア級万能戦闘母艦の零番艦・『コガネ』にて、艦長であるショウイチロウ・シンノミヤ少将と『フィスト小隊』隊長のレナンジェス・スターロード大尉が艦橋にて話し合いをしていた。

 ショウイチロウはヨウガの実の父親であり、今回のヨウガが『フィスト小隊』に派遣されることになったのも、彼の推薦があったからだ。

 

 「はっ! それにしても、本人の希望で量産型ゲシュペンストMk-Ⅱで良いと言われましたが、よかったのですか? もう一機、ヒュッケバインを用意できたはずですが」

 「構わん。それにあいつが要求してきたのは、それだけじゃないはずだ。それを叶えるとなると、あいつにヒュッケバインはもったいない」

 「ゲシュペンストの武装にシシオウブレード。カラーリングを【黄色】にということでしたよね。彼の要求は」

 「そうだ。それにしても、シシオウブレードか。あいつも我が家の一員だな……」

 「どういうことですか?」

 

 感慨深そうにつぶやくショウイチロウにジェスは興味を持った。上官であるショウイチロウが、滅多にそういうことを言葉にださないからだ。

 

 「君は、我が家の家系のことは知っているか?」

 「もちろんです! 旧暦から続く名門の家系で、古くから地球を守ってきた一族ですよね。まさに正義という言葉が似合う家系だと思っております!」

 「熱いな……。まぁそんなところだ。そんな私の家系だが、伝統的に剣道を習うという習慣があってな。光陰流というのを代々受け継いでいる。私もヨウガも光陰流を習っていてな。シシオウブレードを求めたということはその技術を使うつもりなんだろうとな」

 「なるほど。光陰流ですか……かっこいいですね。是非、小官も習いたいものです」

 「ふっ、そうか。ならば後で、師範を紹介してやろう。君に本当にやる気があればな」

 「はっ! ありがとうございます」

 

 嬉しそうに微笑むジェスの瞳に嘘はなかった。

 

 

 

 

 

 「どうだった? 新入りは?」

 「中々よかった。それに俺たちと年齢も一緒らしい。といっても、まだ本人と会っていないけど」

 「ほぅ、ということは25歳か。気になるな」

 

 『コガネ』のパイロット専用の休憩室。常に命の危機にあるパイロットのために一般の艦員よりも待遇が良い。この休憩室もその一つだ。1人は、先ほどのジェス大尉。

 もう一人は、『コガネ』に存在するもう一つの部隊・『フィンガー小隊』の隊長。アーウィン・ドースティン大尉。通称ウィン。試作機のヒュッケバインMK-Ⅱに乗るパイロットだ。

 

 「ゴールデンエイジになるのかもね。俺たち以外の」

 「そうかもな。その男は、いつ来るんだ?」

 「ちょっと待ってくれ……資料を……。とっ、あった! どうやら明日みたいだ」

 「明日か……楽しみだな」

 

 オランダのナイメーヘン士官学校パイロット科において、かつて前代未聞の成績を出した生徒がいた。それも8人。その8人は、卒業後連合軍のエースとして各地で活躍した。そんな彼らのことを誰かが黄金世代と呼んだ。

 それを発端に彼らのことをゴールデンエイジと呼ぶ人が出てきた。彼ら自身もその名称を受け入れ、彼らのことをゴールデンエイジと連合軍内で呼ばれることになった。

 それ以外にも、現25歳の年代には優秀なパイロットや士官が存在しており、彼らのことをゴールデンエイジと呼ぶこともあった。

 

 「それにしても、リンとイルムは残念だったな。せっかく俺たちが全員揃うかも知れなかったのに」

 「リンはマオ・インダストリーの社長になって、イルムは『PTXチーム』に参加してるんだったか」

 「そうらしい。だけど、PTXは解散したんじゃなかったか? どちらにせよ惜しかったな」

 

 2人は今この艦にいない人物たちのことを考えていた。リンとイルム、その人物達もナイメーヘンのゴールデンエイジと呼ばれたパイロットの人物達であった。

 

 

 

 

 

 欠伸がでる。腕を空という天井に伸ばし、それにつられて背伸びになる。よくある日常での一コマだが、場所が場所だった。

 

 「貴様、不謹慎だぞ!」

 「すいません。寝てないもので」

 「何、お前! 今日は他の士官学校との演習だとあれほど言っていただろうが! 負けは許さんれんのだよ! 負けは!」

 「わかってますよ。勝てばいいんでしょ。……うるせぇな」

 「そうだ! さっさと戦闘機に乗れ!」

 

 ノゾミ・士官学校にて当時18歳と卒業間近だったヨウガが急に演習に駆り出された時の話だ。急にと言っても1週間前から言われていたことだったが、話半分で教官の言葉を聞いていたために今日という本番のことをすっかり忘れていた。

 対戦相手は、どこか違うコロニーのコロニー統合軍の候補生とのことらしかった。

 

 「そりゃ、連邦の候補生が統合軍の候補生に負けたら大恥だわな。上の連中にとってはよ」

 

  F-27の戦闘機に乗り、エンジンを起動させる。演習のためペイント弾を装弾しているとのことらしい。対戦相手がいさぎいい奴だったらいいんだがそうじゃないんだろうな。

 

 他校との演習で出てくるほどのパイロット。かなりの実力を持っていることなど安易に想像できた。そしてヨウガにはもう一つわかっていたことがある。

 実力がある奴ほど、プライドが高くむきになって向かってくるのだ。過去に何度も味わってきた経験にため息を吐きながら、空へと向かった。

 

 「こちらリーフ1。各機どうぞ」

 「リーフ2。OK」「リーフ3。OK」「リーフ4。OK」

 

 機体に異常がないかの確認。ヨウガはリーフ1であり、指揮官役を命じられていた。理由は簡単。成績が良いからだった。軍人として少々、難はあるものの優秀でありきちんと仕事をこなすので任せられた。

 

 「リーフ2およびリーフ3は遊撃。リーフ4は最後尾にて適時に援護を。中衛は俺が務める。各自散開!」

 

 「「「了解!」」」

 

 敵は、こちらと同じ陣形で突撃してくる。こちら側のリーフ2が敵側の前衛を叩こうとした。中々にうまい操縦の持ち主で特に回避能力が高い。しかし、弾の命中率が俺を含め4人の中で一番低かった。それでも数撃ちゃ当たるといった感じで攻めている。

 

 リーフ3は、なんでもこなせる器用なタイプ。ヨウガの戦闘タイプに似ていたが、全てにおいてヨウガが上回っているため前衛にあてた。敵の銃弾を避けながら、裏を取り返し弾を放つ。

 

 リーフ4は、完全に狙撃に特化しているタイプだった。だからこその後衛。前衛の2人が危ない場面では、積極的に2人を助ける。

 

 ヨウガと言えば、中衛ということもあり前衛のフォローをするのだが、相手側の中衛もかなりの実力らしく手を出させてくれない。

 

 戦闘は膠着状態に陥っていた。

 

 

 「リーフ1! さっさと敵を殲滅せんか! たるんでるぞ!」

 「教官、無理言わないでください! 敵の中衛がかなりの腕前でして、全然手出させてくれないんです」

 

 ヨウガは驚いていた。正直、ノゾミの士官学校でここまで自分に食らいついてきた者はいなかったためだ。

 教官としても焦っているのだろう。いつもだったら5,6分で敵を殲滅するヨウガが開始30分経っても、1機も墜落させることができていない。

 

 そんな時だった。長い膠着状態から、ようやく転機点が生まれた。

 

 「こちらリーフ3。左翼がやられました。後退します」

 「リーフ1。了解した。俺がリーフ3のポジションに入る! リーフ4、援護は頼んだ!」

 「リーフ4。了解!」

 

 その転機は、ヨウガ達にとっては悪いことだった。しかし、ピンチはチャンスとはよく言ったもので、敵を墜落させ、安心したのかリーフ3を撃墜した敵がそのままヨウガへと突撃を仕掛けてきた。

 戦略は悪くない。流れと勢いをそのままに迫るのは間違ってはいなかったのだが、問題は敵の中衛がフォローする時間もなく迫ってきたことだった。

 

 「いただき! 俺相手にそれは迂闊だったな!」

 「リーフ4。俺がこいつにバルカンを打つから、その瞬間こいつの右上をねらえ!」

 「リーフ1。了解!」

 

 言った通りにヨウガがバルカン砲を放つと、予想的中、敵は右上に回避行動をとった。そこにリーフ4が放ったバルカンが命中。直撃だった。

 ヨウガは、30分という時間の中で敵を観察していた。そこでさっき撃墜した敵が右上によく回避行動をしているのを見ていた。それだけでは確実ではないため、わざと機体の真ん中から左下へとバルカンを放ち、より確実に右上へと回避行動をとるように誘導していた。

 

 「リーフ4。よくやった!」

 

 これで3対3。

 

 「こちらリーフ2。敵機の撃墜成功!」

 「リーフ2。下がれ!」

 「了か……! リーフ2。機体直撃、後退します」

 「くっ! やるじゃないか。敵さんも」 

 

 これまた一瞬のことだった。リーフ2を撃墜したのは、敵の中衛。リーフ4に破壊させた敵のフォローができないと悟ると、今度はすぐにリーフ2への攻撃を始めた。

 

 やべぇな。今回の相手、ホンモノだな。

 

 また膠着状態が続くことになった。今度は、敵も味方も2機ずつ減っている。そのことによって、お互いに自分のことに集中して操縦できる。実力もかなり拮抗しているために勝負がつかない。

 お互いの後衛が援護するが、それさえも意味をなさないほどにぶつかりあう2人。時間さえも忘れていた。

 

 「所要時間オーバー! 各機、所定の場所に移動してください」

 

 結果は引き分け。

 

 最後まで拮抗し、所定時間1時間を過ぎてしまった。ヨウガにとって初めての経験であった。今まで、何回か負けたことがある。しかし、それは圧倒的な実力を持った相手であったためだ。ここまで自分に拮抗するパイロットを知らなかった。

 

 だからこそ、自分をここまで苦しめたパイロットのことを知りたくなった。

 

 教官に引き分けたことを怒られるのを右から左に流しつつ、自分と戦ったパイロットのことを考える。

 

 「以上! 本日はこれで解散!」

 「気を付け! 敬礼!」

 

 挨拶が終わると同時に、模擬戦の相手だったらしいホフヌングの統合軍士官学校が一時的に待機している場所へと向かった。

 

 どうやら向こうの方は、未だにお説教が続いているらしい。

 にしても女4人で男が2人か。補欠要員も連れてきているということか。そいえばホフヌングっていうと確かドイツ系、てことは美人が多いな……特にあの一番前のエリートっぽいオーラが出てる奴なんか女性の色気が出ててエロい、脱ぐと凄いタイプだ。といっても堅物なんだろうが……

 呑気に女性見物しているヨウガは、何とも不埒なことを考えていた。それから少し時間が経ち、ようやくお説教が終わったようだった。

 

 「おーい! お前ら、ちょっと待ってくれ!」

 

 解散という声が聞こえて、ヨウガは走って彼らの元に向かった。連邦の士官候補生の制服を着ている男が大声を挙げながら迫ってくるので、その場にいた全員が目を向けた。

 

 「聞きたいことがあるんだが、いいか?」

 

 その言葉に返答したのは、先ほどまでヨウガが不埒な想像をしていた相手だった。

 

 「聞きたいこととは?」

 「俺はさっきまであんたらと戦ってた士官候補生だ。中衛をしていたパイロットはいるか?」

 「……。それは、私だが」

 「何!? もっと屈強なのを想像していたんだがな……、名前はなんていうんだ?」

 「無礼じゃないか? まず人に聞く前に自分から言うのが礼儀というものでは?」

 「そうだな、すまん。俺の名前は、ヨウガ・シンノミヤ。こっちで中衛を担当していた男だ」

 

 少しだけ驚いた表情を見せた女性は、こいつと話がしたいと話を聞いていた他の士官候補生達を解散させた。その場に残るのは、ヨウガとその女性のみとなった。

 

 「私の名前は、ユーリア・ハインケル。それで私に用があるのか?」

 「いいや、用なんてない。俺は、自分と初めて拮抗する相手を見つけたから話してみたかったのさ」

 「そうか……。実は、私も拮抗する相手を見つけたのは初めてだった」

 「へー。そりゃよかった!」

 「何がいいのだ?」

 「俺に初めてライバルができた。それにお前には、俺というライバルができた。これはいいことだろ!」

 「ふっ。面白いな……。確かにそうだ、良いことではある」

 

 以外にこいつ話が通じるじゃないか。

 

 ヨウガ・シンノミヤがユーリア・ハインケルに会ったのはこの時が初めてだった。士官学校での一番の思い出はと言われれば、間違いなくユーリアとの出会いとヨウガは答える。

 

 ユーリア・ハインケル。彼女はコロニー統合軍の女性だけで編成されたエリート部隊『トロイエ隊』の隊長。25歳にて少佐になったエリートであった。

 

 

 

 

 

 「フィスト1。各機攻撃開始!」

 

 「「「了解!」」」

 

 ゲシュペンストtypeRが戦場を駆ける。この機体は、一種の伝説の機体である。かつて人型機動兵器パーソナルトルーパー(PT)に用いられるOS「TC-OS」のモーションパターン構築の為、地球連邦軍から操縦技術に優れたパイロットを選抜し結成されたエリートパイロット集団『特殊戦技教導隊』において使われていた2体の機体の内の一つで、当時予算を度外視して作られたためにそのポテンシャルは次世代機にも劣らない性能を持っている。

 そんな機体が『コガネ』に搭載されることになったは、艦長のショウイチロウがそれなりの実力者であり、権力者であったからだった。

 機体を渡されたのはジェス大尉。

 

 「へへっ、燃える展開になってきたぜ」

 

 ゲシュペンストを操縦するその腕前は、エースとして遜色のないものだった。

 

 「究極!ゲシュペンストキィィック!!」

 

 ジェスが生み出した必殺技。その見た目は、簡単に見えるかもしれない。だがそれは違う。絶妙なスラスター操作、降下位置や速度を考えて放たなければ決して相手に当たることはない。

 しかし、当たれば文字通り必殺技になる。敵は爆散し、チリ屑と成り果てる。

 

 「ジェスだけに良い恰好させないんだから」

 

 ミーナ・ライクリング。彼女は3機製造されたグルンガストの3号機に乗っている。1号機はテスラ・ライヒ研究所。2号機はマオ・インダストリー。そして、一番最初に実践投入されたのがこの3号機だ。

 「特殊人型機動兵器」。通称・特機と呼ばれる機体で、特徴として圧倒的なパワーで力押しする大型の機体だということだ。

 グルンガストは、その大質量を活用して運動エネルギーを増し確実にダメージを与えられるように実体剣の中でも大剣の部類に入る装備を与えられている。

 

 「計都羅喉剣・暗・殺・剣じゃなかった……暗・剣・殺!!」

 

 大剣による大ダメージ。彼女は、よく暗剣殺を暗殺剣と間違える。それは、彼女がかなりのミステリーマニアだからかもしれない。

 

 ヨウガが『コガネ』に派遣され3ヶ月近くが経っていた。歳が一緒であったことや、全員の実力が高かったこともありヨウガはすぐに打ち解けることができていた。

 今回の任務は、ここのところ動きを見せていなかった反連邦組織に動きがあるとして、それを叩きに来ていたのだ。

 

 




 いかがでしたでしょうか。1話にある程度の作風を書いてみました。気に入っていただけたなら幸いです。

 ちなみに、OG1において介入することになるルートは『キョウスケ編』です。

 『コガネ』に乗船しているパイロット達は、元ネタがスパロボFの主人公達です。私がスパロボFが好きなので登場させてみました。
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