すいません、ここ最近忙しすぎて更新できませんでした。これからもこんな感じになってしまうかもしれませんが、エタらないことを目指して頑張ります。
後、今回荒削り感が半端ないです。重ね重ねすいません。
「もしもし、ミカか? すまないなさっきは電話に出れなくて。丁度出撃していたんだ」
「知ってるわ。私は、情報部ですからね。なんでも知ってるわよ」
「そうか、それで要件は?」
「雑談もないのね…。まっいいわ、早速本題に入るわね。兄さんのゲシュペンストを譲って欲しいのよ」
「うーん、今すぐか?」
「いえ、新しい機体が出来てからでいいわ。上司の指示でね、PTに乗らなきゃならないの」
「そうか、わかった。なら、今度そっちに送るように手配しとくわ」
「そ、よろしくね!」
「了解です、お嬢様!」
「よきにはからえ!」
前回の出撃から、少し経った頃珍しく妹から電話がかかってきていた。内容は、俺の機体をくれというもの。ミカもPTは、それなりに乗れるらしい。その腕前を見たことはないが。
先ほど『ATXチーム』の下に、テスラ研からジョナサン・カザハラ所長を乗せた輸送機が襲われていると緊急発進が言い渡された。
すぐさま現場に急行。キョウスケ少尉の乗るアルトアイゼンの初めての出撃。その分厚い装甲と杭打ち機を思わせる特殊な武器。もはや、敵の乗る戦闘機など相手ではなかった。
そんな敵の中に、アーマード・モジュールという航空機から発展した機体が1機だけ混ざっていた。しかも、そのパイロットは狂気といっても過言ではない人物であった。
名前はわからない。だが、その言葉の節々には、戦争をゲームだと思っているとしか考えることができない。それでも、腕は確からしく厄介で、めんどくさい。
その場は、キョウスケ少尉の活躍もあり敵は撤退していった。
「隊長、地上に降りる計画があると聞いたのですが本当ですか?」
「そうだ。我がトロイエ隊にマイアー総帥から指令が下った。『ATXチーム』を叩けと」
「『ATX』ですか?」
「ああ、なんでもその部隊の隊長は、『元教導隊』のゼンガー・ゾンボルト。なんとも厄介だ」
「『教導隊』というと、エルザム様も所属していたという伝説の……」
「そう伝説だ、そんな相手だから油断してはいけない」
「どうやらそのようですね」
「……それと、後1人。厄介な相手がいる……」
「それは一体?」
「ふっ、私のライバルだよ」
「隊長のライバル……?」
コロニー統合軍本部。コロニー統合軍には、女性だけで構成されたトロイエ隊というものがあった。その隊にいる女性は全てエリートであり、その隊の隊長ともなれば『教導隊』のような実力を持つものぐらいしか勤まらず、地球連邦軍でも怖れるほどだ。
ユーリア・ハインケル。それが、トロイエ隊・隊長の名前だった。対する、そんな彼女に質問を投げかけたのはレオナ・ガーシュタイン。トロイエ隊のエースパイロットであり、事実上の副官であった。
「ヨウガ・シンノミヤ。私と奴の因縁は深いぞ」
「それってもしかして、シンノミヤ家の次期宗主の方じゃないですか」
「知っているのか?」
「ええ、1度だけお会いしたことがあります。ブランシュタイン家のパーティで」
「そうか。あいつは私の元恋人なんだ」
「た、隊長の!?」
「それがどうかしたか?」
「そんな相手と戦って大丈夫なんですか隊長は?」
「大丈夫さ。私はあいつに勝ちたいからな」
「隊長……」
学生時代の卒業間近、ヨウガとユーリアは付き合っていた。お互いに尊敬し、その才能に敬意を払う。そんな中で生まれた愛情。自分に似合う相手とようやく巡り合ったとかそんな感じ。しかし、その付き合った期間は短く、それでいて濃いものであった。
「なぁ、ユーリア。俺と一緒に連邦軍に入らないか? 待遇も良くしてやれるし、一緒の部隊で世界を巡って、パイロットとして活躍もできる。どうだ?」
「無理だ。私は、統合軍に入りたい。お前の提案は、魅力的だ。だが、私には尊敬している人がいる。そして、その人から直接声をかけられたんだ。だから無理だ。お前もわかっているだろう……」
「わかってるさ。お前が……俺とともに来ないくらい。……もし、なにかで道が交じり合った時、また会おう。そして、その時は俺に付いてきてくれ。いいか?」
「……考えておく。でも、いつかまた会おう。その時には、決着をつけようじゃないか模擬戦の」
「ああ、わかった。強くなれよ、我がライバルよ」
「ハハハ! お前もな、ヨウガ……」
あの模擬戦から、2ヶ月。2人は付き合っていた。しかし、もう卒業間近。お互いの進むべき道も決まっている。だからこそ、もう別れなければいけないことをお互いに理解していた。
そして、もう会うこともないかもしれないということも。何かを得るためには、何かを失わなければいけない。ヨウガとユーリアは、夢を叶えるためにお互いを失った。
「先ほどは、危なかったですね。カザハラさん」
「助けてくれてありがとよ。ほんと死ぬかと思ったぜ」
「いえいえ、お互い様なんで」
「というと?」
「テスラ研から、来てくださったんでしょ。あのパーツを持って」
「なるほど、テスラ・ドライブのことか」
「それもありますけど……」
「ハッハッハ! わかってるよ。ヨウガ! プラズマ・ジェネレーターのことだろ! たくっ、マオの嬢ちゃんは、人使い荒いよな!」
「人が悪いですよ。カザハラさん! でも、ようやく俺の新しい機体が」
「そうだ。でも、マリオンのことだから『ヴァイス』の方が先になるだろうよ。まぁ、俺も手伝うから、その分早くはなるだろうがな」
「そうだとありがたいです。それでは、失礼します」
俺はカザハラ所長の下へ足を運んでいた。彼がこの基地へ訪れた理由は、テスラドライブを届けることの他にもう一つあった。マオインダストリーから頼まれたパーツの運送も担っていた。
そのパーツこそ、プラズマ・ジェネレーター。欠けていた最後のパーツだった。
「さっきの連中って、連邦じゃまだ実地配備されてないF-32とAMを使ってきましたよね。てことは、噂通りEOTIが裏切ったんですか……」
「まだ、何とも言えん。だが俺もそう見ている。先ほどもグレッグ司令ともその話をしてきた」
「そうですか……。嫌な予感がします、気を付けた方がいいですね……いろいろと」
「そうだな」
カザハラ所長の下からの帰りで、俺はゼンガー少佐の下へ向かった。さっきの戦闘で戦った敵について話すためだ。結果は俺と同じことを思っていたらしい。
だけど、なぜ『ビアン・ゾルダーク』はそんなことを……。彼が地球圏が危ないと提唱を始めたのに……、わからない。
一瞬、頭の中に思い浮かんだ。父の顔。なぜここで父の顔が……。
「先に大尉だけには伝えておく、我々は南極へとこれから向かうことになる」
「南極ですか?」
「シロガネとそのEOTI機関の新型起動兵器のお披露目らしい」
「……きな臭いですね。間違いなく何か起こる」
「我々は、それの守衛任務だ。気を引き締めておけ」
「はっ!」
考えていた最中にゼンガー少佐に伝えられた次の任務。南極、EOTI、シロガネ、新型の起動兵器。気になるワードばかりだ。バグスにEOTI……敵の影がちらほらしているというのに、連邦の上の方は何やってんだ。
そこで、親父の顔がまた浮かぶ……。もしかして、親父も……。
「お前のゲシュペンストが完成した。そして、次にお前たちに与える任務は……『ATXチーム』への宣戦布告といったところだ」
「ようやく……ようやく、この時が来たんですね。父の仇をこの手で……」
「なぁ、フィン。お前は復讐のその先に何を求める?」
「その先……復讐が終われば、僕は……わかりません。考えてもみませんでした」
「だろうな、復讐というのは力になる。それにお前は、私から見ても天才。だからこそ、お前には未来がある。復讐のその先にお前は何を見るのだろうな」
「……。失礼します」
ビアンは、フィンを呼び出していた。目的は2つ、フィンのために造られたゲシュペンストを改造した機体の完成。そして、もう1つは彼の未来を聞くため。
復讐は力を生む。だが、復讐は更に復讐を生み、憎しみを世界に増やすだけ。力のためにならば、復讐心は得難い物だが、涙をなくすためならば……
「ようやく、『お前の復讐』が実現できそうだな」
「少佐……復讐のその先を考えたことがありますか?」
「復讐のその先、そんなものを考えてる暇があるのなら、俺は自分の腕を磨く。その先なんて考えてたら、戦場では生き残れない。その瞬間を生き抜くことだけを俺は考える」
「そうですよね。前に1度、少佐の話を聞いたことがありましたよね」
「ああ、お前に話したな。『俺の復讐』を」
「僕のに似ている『少佐の復讐』は、また新たな復讐を生んで、それは形を変えて世界を燃やす。なんてことを考えるんです。きっと戦争がなくならないのは、それが原因で、僕や少佐みたいな人が増えていく。それは悲しいことですよね?」
「俺は、他人のことなんで知らない。関係ない! 連邦軍は悪で、それに関係する者も悪だ。そうだろう? 事実お前の父親は連邦に殺されてるじゃないか!」
「その通りです。だから、僕は復讐を選びました。悩むことなんてできない。だから『僕の復讐』を果たすまで、僕は生き残ります」
「そうだ、それでいい。復讐心は力を生む。それは、お前の才能をさらに加速させる」
「……。ええ、ですから少佐、『僕の復讐』が終わって『少佐の復讐』が終わったら、僕と一緒に未来を生きませんか?」
「ふっ。……いいだろう、もし果せたら俺はお前とともに世界を歩もう」
「ありがとうございます!」
目的は同じだった。奪われた者の仇を取ること。だからこそ、何を考えて何をしたいのか。お互いがわかっていた。フィンにとってテンペストは、父親のような存在に。テンペストにとってフィンは息子のような存在に。失ったモノを補う存在にお互いがなっていた。
テンペストにとって、復讐だけが生にしがみつく唯一の感情。だからこそ、その後のことなんて考えてもみなかった。そんな時に現れたフィンは、彼自身が気づいていない光。フィンからのお願いに答えたのは、無意識の内に彼が光に手を伸ばしたからであった。
舞台は整った、後はその舞台へ赴くための船を残すのみ。
そして、その船は現在海の上で謎の機体に襲われていた。
「ラッセル、『ヒリュウ改』に敵を近づけさせるなよ! あたしが全部やっつけてくっから!」
「カチーナ中尉、そんな、そんなの無理ですよ! 『ATXチーム』がくるまで艦の守備ぐらいでいいじゃにですか!」
「ふっ、『ATXチーム』が来る前に全部やる」
「そんな……。無茶しないでくださいよ」
2機のF-28メッサーが海上の空を駆ける。見渡す限りの海、周りには島影さえも存在しない。そこに見えるのは、F-28と全く情報が知られていない敵。そして、物語を次の部隊に運ぶ船『ヒリュウ改』であった。
「本艦の保守を最優先でお願いします!」
「了解、了解。任せときなって! 全部敵をつぶしてやっから。それじゃ通信終了と!」
ヒリュウ改の通信にぶっきらぼうに答える。その答えを聞いていたのは、ヒリュウ改の艦長・レフィーナや副艦長・ショーンである。
「ほんとにカチーナさんは……」
「ですな、しかし、彼女のような方が戦場には必要なのですよ」
「ショーンさん……、『ATXチーム』は後どれくらいで到着しますか?」
「2分後、後2分で到着します」
カチーナは、謎の機体相手にうまく立ち回っていた。バルカンやミサイルで敵機を破壊していく、1機・2機・3機……その数を増やしていくが、徐々に敵に囲まれていった。
「厄介だ。さすがに全部倒すのは厳しいか!」
「中尉、囲まれてますよ」
そこに現れたのは、ヒリュウ改を守っていたはずのラッセルであった。カチーナの危機に駆け付けたのだ。
「ラッセル、さすがにヤバかったかも」
「そうですよ、こんなところで中尉に死んでもらったらこまるんですから」
「あたしは、死なねぇよ!」
「はぁ~。フォローします」
「おう!」
もはや、ラッセルはカチーナのことを少し諦めているようなところがあった。さらにいつもつけが自分にも回ってくることもわかっていたのだ。
「アサルト1より各機へ。これよりヒリュウ改を援護する!」
「OK、ボス!」
「アサルト2、了解」
「アサルト4、了解」
「アサルト5、了解!」
『ATXチーム』を乗せた、輸送機がヒリュウ改のいる海上にようやく到着した。
(あの敵はなんだ、今まで見たこともない機体だ。形状からして、バグズでもAMでもない。ということは……新たな敵が現れたということか……厄介すぎる)
ヨウガは、見たこともない機体にある種の脅威を感じていた。EOTIにバグズ、そして名前もわからない敵……地球圏の危機を肌で感じ取っていたからだ。
「フン、あいつらが『ATXチーム』か。こっちは、戦闘機で戦っているというのに……試作型のPTでご登場とは良い身分だよ、たくっ」
「ちゅ、中尉、何を……?」
「テストパイロット上がりの連中が、実践で使い物になるとは思えねぇが……いないよりましか」
「あ、あの、中尉……初対面の人にそんなことを言うのはどうかと……」
「わお、『立て板に水』ね」
助けに来た『ATXチーム』に悪態をつく、カチーナ。それをフォローするラッセル。その言葉に反応したのはヨウガだった。
「随分な言いぐさだな。カチーナ」
「あんっ……その声、ヨウガか?」
「正解、まぁ俺たちも伊達にPT乗ってないから安心しろよ」
「ほぅ、でもあんたがいるってことはちょっとだけなら使えるかもな」
「おいおい、随分上からの言葉だな。下がっててもらっても良いんだぜ」
「バカ野郎! 誰が下がるかよ! お前よりも成果挙げてやらぁ!」
「そうかよ」
戦闘機は、また敵に向かいバルカンを撃ち始めた。
「大尉、先ほどの人と知り合いなんですか?」
「ああ、前の前にいた部隊で一緒だったんだ」
「なるほど」
「お喋りはそこまでだ。こちらも戦闘を開始だ」
ヨウガは、コガネに赴く前の部隊でカチーナと出会っていた。その時から勝気な性格で、上司からは嫌われていたが、腕が確かだったため活躍はしていた。ヨウガとは、同い年で腕もよかったのもあり仲は決して悪くはなかった。
彼らが倒すべき機体はさほど強くはなかった。その戦闘能力は、偵察機程度。次々に破壊していった。
「ちょうどいい。このシシオウブレードのモーションを試させてもらう」
鞘からシシオウブレードを抜き、剣先を相手の機体に向けた。
「光陰流・
スラスターを全開、機体速度を最速まで上げる。敵へと突撃、敵の目の前に着く直前に消えたゲシュペンスト。敵は訳もわからないままに爆散し、その命を散らす。
ヨウガだからこそできた技。その天才的な機体捌きは、ゼンガー・ゾンボルトにさえ唸らせるものがある。
この技ができるとすれば、パイロットとして一流だと自ら名乗っても遜色はない。
「要は、スラスター捌きさ」
「スラスター……。どういうことですか?」
「スラスターの出力を最大まであげるだろ、敵にぶつかる直前でそれを最小まで下げて下方向にスラスターを向ける。そうすると上空に跳ね上がる。そして敵の背面を切りつける。これが『転』さ」
「……すごいな、そんな動きができるなんて。不可能に近いでしょその技」
「まぁ、かなりの難易度だが。多分俺の弟なら、やれると思うぜ」
「弟……弟さんがいらっしゃるのですか?」
「ああ、奴はまさに天才だ。きっとあいつが戦場に出たら……俺なんかよりも、強くなるさ」
「是非、会ってみたいです。大尉の弟さんに」
「いずれ、会えるだろう。それこそ、向こうからやってくるさ」
「そうですか。それは、楽しみです」
ブルックリン少尉から、戦闘終了後。『転』についての質問をされていた。事実、この『転』行う動作はかなりのものがある。それに体への負担も見捨てきれない。これこそ、俺にとっての必殺技といったところだ。
「ちなみになんですけど、弟さんのお名前はなんと仰るんですか?」
「ヤテンだ。ヤテン・シンノミヤ」
「なんとも不思議な響きですね」
「だろ、自分でもそう思う。ハハハ!」
ヤテン・シンノミヤ。それは、俺の弟の名前。シンノミヤ家の末っ子、今は士官学校で頑張っていると思う。あいつは、真面目でクールな性格だから、きっとモテてるだろうな。顔もイケメンだし。
それにしても、今日は疲れた。『転』を使ってしまったためだろうか、いつもの倍くらいに疲れている。それに筋肉や関節も悲鳴を挙げている。さっさと報告書書いて、今日は寝てしまおう。
この時は、想像だにしていなかった。まさか、あいつがこの基地に来るなんて。しかも、倒すべき敵として。ユーリア・ハインケル。どうして彼女が、俺の敵なんだ!