ここからはちょっと長くなりますので皆さんよろしくお願い致します
アスタリスクの広大な中央区総合メインステージ、通称『シリウスドーム』には大会出場者、観客を含め多くの人が集っている。メインステージであるシリウスドームでは六花全学園の生徒が各学園ごとに並んでいる。その中で星導館学園から出場する亨介は退屈そうに欠伸をしていた。
「亨介、なんでそんなに眠たそうなんだい?」
何度も欠伸をしていたためか後ろから綾斗が話しかけてきた。亨介の目下には隈ができている。亨介は眠たそうに答えた
「あー、昨日の夜にサザンを呼んで試合の作戦を話していたんだが…」
「なるほど話がかみ合わず徹夜してしまったんんだな?」
「ユリス、それは違う。こいつと『赤ちゃんはどこから来たのか』っていう話題で朝までもめた」
「どうやったらそんな話になるのかわからないんだけど!?」
綾斗とユリスはツッコむが亨介は真顔で話を続ける。
「わかるだろ?赤ちゃんは桃の中に入ってどんぶらこって川から流れるんだっつーの。サザンの野郎は『赤ちゃんはコウノトリが運んでくる』ってぬかすんだぜ?」
綾斗とユリスは言葉が出ずに苦笑いで流した。彼らがいつかドヤ顔でこのことを語り、即論破されるだろうととりあえずそっとしておくことにした。サザンの方を見ると彼は×印のついたマスクで口が隠れていた。
「亨介、これってもしかしてサザンを黙らしらの?」
「さすが綾斗、察しがいい。こいつ絶対に開会式の途中で高笑いするだろうと思って黙らせた」
「賢明だぞ、亨介。こいつが途中で騒がれるとこちらが恥ずかしいからな…ん、どうやら次の挨拶が始まるようだ」
放射線状に並んだ出場者の前には演壇が設えられ、先ほどまではアスタリスクの市長の挨拶が行われていたがその入れ替わりで壮年の男性が現れた。
「__諸君、おはよう。こうしてまた今年もまた、君たちの勇壮な姿を見ることができて嬉しく思う。そして今年からアスタリスクへやってきた者には初めましてと言っておかなければならないね。『星武祭』運営員会会長、マディアス・メサだ」
男はよく通る落ち着いた挨拶をすると、にっこりと笑みを浮かべる。
「あの人が運営委員長?ずいぶんと若いね」
「当たり前だろ、ガブスレイのパイロットだかんな」
「亨介、それはジェリド・メサだ。そっちのメサじゃない。綾斗は知らなかったと思うがマディアス・メサはうちのOBだぞ?」
ユリスはため息をついて説明をする。
「歳は四十にも届いていないだろう。学生時代には『鳳凰星武祭』を制したほどの実力者だ。大会を優勝した際、彼は卒業後に運営委員入りを望みとしたそうだ」
「へえ‥そんなことも可能なんだ」
優勝者には統合企業財体がいかなる望みでも叶えるというのがこの『星武祭』の根幹である。しかし、彼のようなシステム部分に介入するという望みは運営側としては面白くない事態ではないだろうか
「入っただけでもどにかなる世界ではないのだが、彼は学生時代から色々根回しをしていたそうだと聞く。私も何度か顔を合わせたことがあったが、あの男はなかなか食えない男だぞ?」
「そうか、さすがはメジャーリーグの投手で通算300回を超えるセーブをこなすクローザーだ」
「亨介、それはホセ・メサだ。そっちのメサじゃない。」
ユリスが亨介をツッコンでいる最中、綾斗はマディアス・メサを眺めた。その瞬間、マディアスの視線がピタリと綾斗を捉えた感じがした。綾斗はぴくりと驚くが、一瞬の事だったため確信が持てなかった。マディアスは何事もなかったように話を進める
「___とはいえ、あまり長々と話しても興を削ぐだけだから、一つだけ重要なレギュレーションの変更を伝えて終わろうと思う。__元来煌式武装にはこれといった制限を設けてこなかったのだけれど、技術の進化というのには目覚ましく、色々と不都合な部分が出てきたわけだ。…例えば、自律起動する機械は武器としてどう扱うか」
その言葉に紗夜と清霜がぴくりと耳を動かした。紗夜に至っては先ほどまでうつらうつらと眠たそうにしていたのに今では真剣な表情で睨んでいる。
「翔君にできうる限り、制限なく自由な場を提供するのが我々の基本理念ではあるのだが、これが激化すると個人が複数の自律起動兵器を武器として持ち込むことになる。これはさすがによろしくない。…ああ、これが『魔術師≪ダンテ≫や『魔女≪ストレガ≫の能力というのなら話は別だけどね。__かといって武器の数に制限するのは論外だ。安易な制限はいずれ衰退の道に導く…あくまで次回以降の大会の議論の参考にするための措置と理解していただきたいけど、今回は、『代理出場』という形をとることにした」
出場者と観客は一斉にざわきだした。
「賢明な諸君には、これが特定の学園を有利にすることではなく、将来平等性を確保するためのものだとわかってもらえると思う…我々は諸君にとって最善の道を用意するために全力を尽くしていることを信じてほしい。」
ざわめきが収まるのをまってそう話すとマディアスは観客席に向かって大きく手を広げた。
「そして___『星武祭』を愛し、応援してくださっている諸氏には、これがまた一段階進化してよりよい『星武祭』へ繋がるものであることをご期待していただきたい。『星武祭』は世界最高のアミューズメントであり、無二の興奮と感動を生み出すステージであり、そして魂を震わせる至高のエンターテインメントなのだから!」
マディアスの高らかかな宣言が終わると観客席から怒涛のような歓声と拍手が巻き上がった。
「ほら、やっぱりガン〇ムファイトじゃねーか」
「だからそれはジェリド・メサだと言っているだろ!」
ユリスは亨介をなんども『マディアス・メサ』だと説得していた。マディアスの宣言を聞いた周りの学園の出場者は冷めた反応のようだ。面倒が増えたのだから当然であろう。マディアスの演説が終わるとそのまま退屈な開会式が続く。正午が近くなった頃でようやく解放された。
『それではこれでえ第25回『星武祭』及び第24回『鳳凰星武祭』の開会式を終了します。本日『鳳凰星武祭』に出場されるAブロックからIブロックまでの選手は、既定の時間までに該当ステージへ移動してください』
~*~
「フハハハハ!フハハ!!フハハハハハハハハハハハハハ!!!」
「うるせーよ!」
開会式はずっと黙っており、高笑いしたくてもできなかったため開会式が終わり、マスクの封印を解けられたので通路を歩きながら大きく笑う。
「フハハハハ!亨介、これが黙っていられまい!ついにこの帝王が引導を渡せるのだからな!」
「はあ…なんでこんなアホと組んだのか…というか俺達は一回戦が初日だからな?さっさと飯を食うぞってあれ?」
向こうの広場で元気良く手を振る綺凛と清霜の姿があった。亨介とサザンが向かうとそこには紗夜の他に綾斗とユリス、神通もすでにいた。
「なんだ、お前らもお昼か?」
「まあね。亨介達も初日から試合なんだね」
「あ、あの!亨介先輩もお弁当いかがですか?」
テーブルに4段ものある重箱が置かれている。綺凛は照れながら話しを続けた
「じ、実は_紗夜さんと神通さんと清霜ちゃんで応援の意味を込めて作ったんですけど…よ、よかったら食べてください!」
綺凛はそう言って顔を赤らめながら重箱を差し出した。
「わざわざ作ってきてくれたのか。ありがたいぜ」
亨介はさっそく一段目の重箱を開けた。中身は不揃いの形をしたおにぎりがいっぱい詰まっているが一生懸命さが伝わってくる。綺凛はもじもじしながら説明した
「わ、私はあまり料理ができないので紗夜さんに教えて頂いたのですが…ごめんなさいです。とても不器用でして‥」
「いやいや、とっても嬉しいさ。ありがとうな」
亨介は笑顔で綺凛を撫でた。
「ぁ…」
か細い声を出して綺凛は更に縮こまる。
「うむ。塩気が強くて美味である!あと梅干しが欲しいな…」
「おめー先に食うなよ!」
亨介より先におにぎりをむさぼるサザンと取っ組み合いになった。横目で見ていた紗夜はこれでよしと頷き綾斗の方を見て綾斗の袖を引っ張る。
「綾斗、私も作ったの。見て見て」
綾斗は二段目の重箱を開けた。中は綺凛のよりも形が整ったおにぎりであった。ただ一つ違うのは…
「…なんかやけにでかくない?」
「えっへん、大は小を兼ねる。これが私のモットー」
「…これで料理を教えたと言い張るおまえに少し感心した」
ユリスはこめかみを押さえながら言ったが、紗夜は気にもしないようだった。今度は清霜は元気よくユリスの袖を引っ張る。
「ねえねえ、私も作ったの見てください!」
「すこし嫌な予感がするのだが、もしかして3段目も…」
嫌な予感を感じながらユリスは三段目の重箱を開ける。予想通り中には俵型のおにぎりが4つ詰められていた。ただ1段目と2段目と違う点は
「いや、でかすぎだろ!?」
「えっへん!紗夜さんと同じモットーですけど、私は戦艦になりたいのですからこれぐらい当たり前ですよ!」
「そこほめてないからな!?」
「も、もしかしてだけど神通さんが作ったのも…」
綾斗は恐る恐る四段目の重箱を開けた。案の定おにぎりが入っていた。おにぎりが一つだけなのだがやはり異なっている点は
「三段目よりも大きい!?」
「すみません。私もちょっとお料理が苦手でして…あ、中身はオカカですよ?」
「やったー!オカカ大好きなんだ!これ、私が食べてもいいですか!」
おにぎりの具を聞いた清霜はぴょんぴょんと嬉しそうにはしゃぐ。神通はそんな清霜を優しく撫でる。結果、重箱の中身は全ておにぎり。亨介は納得するようにうなずく。
「これぞまさにおにぎりのバーゲンセールだな…」
「よし、じゃあどこか落ち着ける場所を見つけて…」
「綾斗、その前に私にも_」
紗夜がずいっと綾斗の前に近づく。紗夜には珍しくすこし照れた表情だ。薄く頬を赤く染めはにかむ紗夜を見て綾斗は気づく
「…もしかして紗夜も撫でられたい?」
「きょーすけが刀藤に、じんつーが七海にやってて私にはない。不公平はよくない。」
綾斗は苦笑いをしながら紗夜の頭を優しく撫でる。
「…ん。いい感じ」
紗夜は気持ちよさそうに目を細めてご満悦の様子だった。そんな様子を見ていたユリスは憮然とした表情で咳払いをした
「…コホンッ!そ、それで_そうだな、私たちの控室もそろそろ使えるはずだ。そこなら落ち着いて食事ができよう!」
どんどんと重箱を抱えて一人で先に進むユリス。綾斗は撫でる手を止めて慌てて彼女を追いかける
「ちょ、ちょっと待ってよ、ユリス!」
「へいへーいユリスさんよー、ねえどんな気持ち?ねえどんな気持ち?NDK?NDK?」
ユリスの横で亨介は茶化していたが、すぐさまユリスのシャイニングウィザードで〆られたであった。
*
「うますぎるっ!」
某伝説の傭兵のような思い切り感情をこめて亨介はおにぎりを平らげた。
「お粗末さまでした。あ、今お茶いれますね」
すでに食べ終えていた綺凛は持参していたマグボトルでお茶を注ぐ。
「お、サンキュー」
「あ、あの…それで‥」
「うん、美味しかったぜ?」
その言葉に綺凛はぱあっと表情が輝く。不揃いの形であったが味の方は問題なかった。本人は不安だったのか喜びと安堵のようであった
「フハハハハ!綺凛、もっと誇るがいい!この帝王のお墨付きなのだからな!」
「いや、おめーは余計だっての」
再び亨介とサザンが取っ組み合う。その横では紗夜と清霜はソファに寝転がって自分のお腹をさすっていた。
「‥‥私は食べすぎた」
「お、お腹いっぱいで動けないよぉ」
「お前たちはあんなでかいおにぎりを食べすぎるからだ」
ユリスは呆れ顔でギブアップしている二人を見る。
「…おっと、そろそろ時間かな」
時計を確認した綾斗は広い控室にある備え付けのテレビをつけた。壁面近くの空間スクリーンが展開される。
『‥‥はいはーい!というわけで第24回『鳳凰星武祭』第一試合会場であるシリウスドームでーす!実況はABCアナウンサーであるわたくし梁瀬ミーコ、解説は界龍第七学院OGであり、現エグゼブティブ・アラドファルの部隊隊長であるファム・ティ・チャムさんでお送りいたしまーす!』
『ども、よろしくお願いするっス』
『さて、今更ですが、ルールの説明をしていきましょう!試合の決着は両ペアの校章が破壊された時点、または意識消失、ギブアップで敗北判定が場合、校章を通して勝敗が宣言されます!』
『そのあたりがリーダーがやられたら敗北という『獅鷲星武祭』との違いッスねー』
空間スクリーンにはふわふわした巻き毛の女性と短く切りそろえた黒髪の女性の二人が映っていた。
「もうすぐ第一試合か。私と綾斗は第二試合。亨介とサザンは別の会場で第二試合だから時間に余裕はあるな」
「しっかし、他の会場での試合は別の放送枠ってのがなー。」
亨介が残念そうにつぶやく。各会場ではそれぞれ別の放送枠でされ、全部まとめたものは一日で行わた試合終了後夜のゴールデンタイム枠で放送されるそうだ。余談だが熱心なファンは複数のチャンネルで同時視聴すると言われている。
「…さっそく第三試合に出てくるんだ」
紗夜は目を細めて画面を見て、清霜は間近でその画面を覗いた。シリウスドームで行われる第三試合のエントリーされている名前に見覚えがあった。エルネスタ・キューネとカミラ・パレートの件のペアである。紗夜の眼には強い意志を感じられていた。
「ま、いつか当たるかもしれん相手より今は目先の試合が先決だ」
背伸びをしてそう答えたユリスに綾斗はうなずく。亨介とサザンも立ち上がる
「さて、綾斗達の相手は聖ガラの生徒で俺達の最初の相手はアルカンだ」
亨介はにやりとして綾斗達に拳を前に出す
「そんじゃま、お互いに頑張っていこーぜ!」
「ああ、亨介も負けないように頑張って」
「ふっ、私たちと当たらないよう気を付けることだな」
「…私も負けない。頑張る」
「え、えと、ま、負けないので頑張りますです!」
「私の戦艦力、見せてやるんだから!」
「ええ、皆さんも精進していきましょう」
「フハハハハ!」
綾斗達は亨介と拳を合わせた。ただ一人、意味を分かっていなかったのかサザンだけ高笑いしていた。
**************
「さっすが綾斗だな。奴さんには手の内を見せつけねー速さだ」
亨介はモニターをみて唸る。シリウスドームでの第二試合。綾斗とユリスペアと聖ガラの試合はあっという間に終わった。綾斗が目にもとまらぬ速さの斬撃で駆け聖ガラ2名の校章をぶった切った。ユリスに至っては武器も出さずドヤ顔で仁王立ちをしていただけである。なんというか舐めプというよりかはよほどの実力者が相手でない限りこのタッグは相手をワンパンするだろう
「さて、そろそろ第二試合だ。サザン、準備はいいか?」
「ふん、この帝王に忘れ物という言葉はない」
亨介とサザンはゆっくりと開かれる入場ゲートへ向かいステージへと出た。ステージには大きな歓声が響く。
『__それでは、本日の第二試合Gブロック一回戦の一組の試合を始めまーす☆!』
『はいはーい!まず姿を現したのは星導館学園の序列一位の千利亨介選手と、星導館学園の生徒、南星・サザン選手!千利選手は『鳳凰星武祭』の数週間前に序列一位になったばかり!旧序列一位との直接決闘し勝利して一位になったため、私たちの手元には詳しいデータがないというダークホース!これからどのような戦いをするのか注目の選手です!』
こちらの会場ではさらりとしたお団子ヘヤーの茶髪の女性と短い黒髪の眼鏡をかけた女性が実況と解説を行っているようだ。
『えーと、千利選手の扱う純星煌式武装『翡翠の悪魔(ジェード=ベリル)』も詳しいデータがなく、動画とかで見た限りでもよくわからないんだよね^^』
『ええ、その通り。そして!彼のパートナーであるサザン選手も序列外からの出場で、この『鳳凰星武祭』まで一切の決闘もなかったため、彼の詳しいデータもわかりません!まさに詳細不明タッグ!』
『ではでは、続いてアルルカント・アカデミーの選手は…』
実況と解説のやり取りが続いていく。反対側のステージからアルルカントの選手が出場してきた。眼鏡をかけた青年は大きなハンマーを構えており、パートナーであるウニのようにとげとげしい黒髪の青年は大きなグローブをはめていた。両名ともパワーで押し切る選手のようだ。
『そろそろ試合開始時間が迫ってきましたね♪!それでは第一回戦、勝利をつかむは星導館学園か、アルルカントか!それではいよいよ第二試合のスタートです!』
亨介は試合開始の合図が始まる前に翡翠色のブレスレットを翡翠色のデッキブラシに変形させ構えた。
「よっしゃ、さっさと片づけちまおうぜ!サザンはグローブをした奴をたの‥‥」
亨介は隣にいるサザンの方をみるが隣にはいなかった。どこに行ったのかと見渡すと後ろの隅でどこから取り出したのか豪華そうな椅子に座ってドヤ顔でくつろいでいた。
「ターイム!ちょっとターイム!!」
『おや?千利選手、突然のタイム!一体どうしたのでしょうか?』
『あ、サザン選手が後ろの方でドヤ顔で椅子に座っているようです!』
亨介はものすごく焦ってでサザンの方へ近づく。というより待ってくれてる選手、観客の皆さま、ありがとう
「ん?どうした、亨介。さっさと始めないか?」
「いやいやいや!?お前何してんの!?何くつろいでんの!?」
「ふっ、愚問だな。この帝王、蚊には全力で相手をする。だが、この俺を滾らせる実力をもつ下郎が立ちはだからない限り相手にはせん」
なるほど、蚊はお前の血を吸うもんな!って納得してる場合ではない。つまりこいつはバッジを持っていない〇ケモントレーナーがレベル100のポ〇モンで勝負をしている感じだ。
「亨介を倒す輩が俺の前に立たない限り俺は高見の見物でもしておこう」
『おおっと!!サザン選手、千利選手が敗れないと闘わないと宣言をしました!!』
実況者と解説者は驚き、観客席からは歓声とどよめきが響き、相手選手はこれは勝ったという顔をしていた
「いやおかしいからね!?おかしいからね!?これはタッグ戦だからね!?」
「ふっ‥‥面白いことを言うな?」
「おめーが一番面白いこと言ってんっだよ!!」
再び観客席からどっと笑い声が響く
『どうやらサザン選手、『鳳凰星武祭』のルールを理解していなかったようです!』
『まあそういう戦い方もあるのですが…千利選手は気の毒ですね。__さて、このようなハプニングもありましたが気を取り直して第二試合を始めたいと思います!』
『
アルルカントの選手が最初に動いた。ウニ頭の青年が亨介に迫り、眼鏡の青年は椅子に座てドヤ顔をしているサザンの方へ走る。
ウニ頭の青年は大きなグローブに星辰力で力を込めて速い右ストレートを亨介にお見舞いしようとした。しかし当たることなく亨介はひらりと身体だけ左へ傾けて躱し、デッキブラシの先で相手のアゴを思い切り打ち上げる。アゴを打たれウニ頭の青年はふらふらとしているが亨介は追い打ちをかけるようその青年の校章を突き、砕いた。
すぐさま身をひるがえしサザンの方へ向かった眼鏡の青年の方へ一気に駆ける。眼鏡の青年はサザンへハンマーを振り下ろさんと高くジャンプをしていた。サザンはというとドヤ顔で椅子に座りその青年を見たまま動かない。
しかし、振り下ろされるハンマーに直撃することはなかった。眼鏡の青年は振り下ろす寸前、サザンの前に駆け戻ってきた亨介の3mほどの透き通った翡翠色の物干し竿による強烈な突きで吹き飛ばされ、校章を破壊されたのであった。 試合開始から一分足らず決着である。
『
静まり返った機械音声が響きわたるとあっという間に会場内は大歓声に包まれる。
『ものすごい速さでしたね!わたくし、じ、実況する暇もありませんでしたよ!?』
『千利選手は試合の最中自身の純星煌式武装を変形させて勝利するというパフォーマンスでした!パートナーは戦わないというハンデでしたが圧倒的かつテクニカルな戦い方ですね!』
「フハハハハハ!!もっと称えよ!もっと恐れよ!この帝王の覇道はこれからだ!」
「おめーはなにもしてねーだろが!!」
亨介はサザンにドロップキックをかます。そんな二人のやりとりを見て観客席からは歓声と笑い声が一斉に響く
****************
「その…なんというか、どんまい」
控室に向かう途中、亨介とサザンに合流した綾斗とユリスはものすごく落ち込んでいる亨介を励ました。亨介は真っ白に燃え尽きたように落ち込んでいた。
「同情はするが、こんなアホと組んだお前も不注意だぞ」
「フハハハ、そう褒めるでないリースフェルト」
「ほめてない!!」
ユリスはサザンにツッコむが無駄であると判断し呆れてため息をつく
「お前たちのインタビューも見たが亨介が遠い目をしていたのを見て記者たちも同情をしていたぞ。まったく、なぜサザンというアホと組んだんだ?」
「すまねえ…流れだ…」
「ま、まあなんとかなるよ、きっと…おそらく‥たぶん…」
「綾斗…俺もうダメポ」
「姉上!見つけましたっ!」
「それじゃあさっそく宣戦布告するネー!」
かわいらしい声がすると亨介たちのもとにトテトテと桃色の後ろを三つ編みでまとめた髪をした小麦色の少女とショートボブの黒髪をで小さな青いカンザシを付けた少女が走ってきた。彼女たちは拳法家のような道着を着ているため、おそらく界龍第七学院の生徒のようだ。二人の少女はぺこりとお辞儀をする
「初めましてネ!わたし、界龍第七学院の生徒
「初めまして、桃色の髪の私が菊花の妹の
界龍第七学院。帝王の象徴である四神の長『黄龍』を校章とした六花の学園中最大規模を誇る学園である。大学部、中等部という区別はなく、才能があれば年齢問わず受け入れをする。しかし官僚主義と放任主義が混ざり合う混沌とした校風であらゆる面でオリエンタルな雰囲気を漂わせる。また、星仙術という独自の万応素観応能力普遍化技術を持ち、武術においてもレベルが高いため多くの拳法家が集うと言われている。
「ど、どうもね。っていうか界龍第七学院の子がなんか用なのか?」
亨介は疑問を持って彼女たちに聞いた。すると黒髪の方の菊花はずびしと亨介に指をさす
「あなたに頼みネ!次の次の試合で私たちと勝負になると思うからその時はわざと負けてほしいネ!」
ここで界龍第七学院の生徒の登場です。もちろんあの双子も登場します。
李と黎って同じなのかしら…
これから文面が長くなりそうです(;´・ω・) 短い方がいいのか…長い方がいいのか…
頑張ってみます
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