翡翠色のアスタリスク   作:サバ缶みそ味

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この日から更新ペースが遅くなるので申し訳ありません。

あと、長々と長文になりそうです。読みにくいという方、ごめんなさい


それではどうぞ





理由と着ぐるみと時々戦艦

「なんだと!?」

 

ユリスは一喝するような怒声をあげてその姉妹を睨むが亨介はひとまずユリスを落ち着かせる

 

「ちょ、ユリス、そう睨み付けるなって。と、とりあえず理由を聞こうか」

 

「理由は簡単ネ!そこにいるサザンを懲らしめるのが私たち姉妹の目的ネ!」

 

菊花はサザンに睨み付けて指をさす。サザンはというと理解していないのか高笑いをしていた。綾斗とユリスはじとーっとサザンを見る

 

「‥‥サザン、界龍に恨みを持つようなことでもしたの?」

 

「フハハハハハ!わざわざ界龍からこの俺に宣戦布告とは面白い!」

 

「サザンを懲らしめるつもりだったのですが、第一試合でこの人は相方を倒さない限り戦わないと宣言しました」

「千利亨介を倒さないと私たちサザンと闘えないネ。だから千利亨介、私たちに負けてサザンを懲らしめさてもらうネ!」

 

 

「ヤダ!!」

 

 

亨介ではなくサザンがその姉妹の頼みを一蹴した

 

「いや、お前に聞いてないから!俺に聞いてるんだから!」

 

「ど、どうして嫌なんですか!?」

 

「だって、亨介がわざと負けたらこの俺がかっこよく参上できないではないか!」

 

まともな理由を期待していたが予想通りの答えである。ああ、やっぱりこいつらしいや、と綾斗とユリスはこめかみを押さえてため息をついた。

 

「フハハハ!この帝王に挑むには3年早いわ!それはともかく亨介も同じ意見であろう?」

 

「まあ、お前の理由はともかく、俺にも意地がある。すまないけどこの頼みは受けれない」

 

亨介の答えに桜花は納得はしたがしょんぼりと顔をうつむき、菊花はプンスカと怒った。

 

「だめネ!そうじゃないとサザンを懲らしめられないネ!」

 

「な、なんでサザンを懲らしめようとしてるのかな?」

 

宥めようと綾斗はひとまず菊花に聞いた。すると菊花は涙目になって訴えた

 

「それは、『鳳凰星武祭』に出場するはずだったシュウ様の敵討ちネ!」

 

「「「シュウ様?」」」

 

「シュウ様!?」

 

シュウ様という名を聞いて亨介と綾斗とユリスは首を傾げ、サザンは驚いたような顔をしていた。同じく涙目になっている桜花が話を続ける

 

「大会から1週間前のことでした。シュウ様のもとに星導館からカレーの出前が来たんです。送り主はサザンという人の名前でした」

 

「…送ったの?」

 

綾斗の質問にサザンは「そんなのあったかなー」と思い出すように頷く。

 

「シュウ様はとても優しい人で、あの双子にも優しく接してくれるお方なんです。‥‥でも、シュウ様は激辛のカレーだけは苦手でした…」

 

まさかと綾斗とユリスははっとしてサザンを見る。激辛のカレーと聞いてもう嫌な予感しかない。サザンはその言葉に思い出したかのように高笑いをした

 

「フハハハ!そうだ、思い出した!たしか学園にものすごく辛いカレーがあるのを聞いて、出前ができるから送り付けてやったのだ!」

 

「やっぱりお前のせいじゃねーか!!」

「お前は何をしてくれるんだ!!」

 

亨介とユリスはサザンに足蹴をする。我らが星導館の食堂には誰も注文しない恐ろしいほどの辛さを誇るカレーがある。約二名、その激辛のカレーを食したのだが一口食べただけでその強烈な辛さに悶絶し完食できなかったとのことである。

 

「あのシュウ様の苦しみはすごかったネ!あのひねくれた性格の双子も大慌てでシュウ様を介抱して范師父が緊急事態だと大慌てする程だったネ!おかげでシュウ様は1週間寝込んで出場できなかったヨ!」

 

「でもシュウ様は『星導館に悪意はない。どうか責めないでくれ』とおっしゃってました。ですが私たちはサザンを懲らしめ、シュウ様の無念を晴らすつもりです!」

 

いやもう完全にこちらのせいじゃないか。てゆうかなんということをしてくれたのでしょう、このアホは。「サプラーイズ」とかぬかして高笑いしているし、反省する気は全くねえ。

 

「フハハハハ!面白い!この俺を跪かせたくば、己の力を見せるのだな!!ま、勝つのはこの帝王だけど!!」

 

だから、なんでこいつは人の気持ちを逆撫でるが好きなんだ!?姉妹涙目なんですけど、俺らが完全に悪役なんですけど!?

 

「やってやるネ!!お前をぎゃふんと言わしてシュウ様の、そして界龍の無念を晴らしてやるヨ!」

 

「なんか規模がでかくなってますけど!?」

 

 

覚えてろー!と姉妹は泣きながら走り去っていった。うん、周りの視線が痛いんですけど。俺達が悪役タッグにしか見えてないだが、主なる原因がこのアホの帝王のせいなんです!

 

「フハハハ、あの姉妹なかなかの相手だな。だが、俺の敵ではない。そのまま返り討ちにしてくれる!」

 

「‥‥お前は戦うのか?」

 

「ヤダ!!」

 

ですよねー。項垂れる俺に綾斗とユリスは無言でそっと肩に手を置いて、哀れむような慰めるような眼で俺を見る。決めた。この『鳳凰星武祭』が終わったら、あのアホの帝王を思い切り殴るわ。

 

 

**************************

 

「もうやだ、タッグ解消してえ…」

 

「ねえ、綾斗。きょーすけものすごく落ち込んでる」

 

「うん、あれからずっとなんだよ…」

 

本日のAブロックからIブロックの第一回戦がすべて終了しひとまず寮へ向かっている最中である。亨介の試合を見ていた紗夜と綺凛は色々と察しているが、夜吹はそんな亨介に腹を抱えて爆笑していた。

 

「いやwお前の試合wまじでウケたしwww」

 

「うるせー、草を生やすな、てめーの頭も芝かるぞ」

 

「クローディアなんかサザンが界龍にやらかしたことを聞いたら『バカじゃないの?ほんとにバカじゃないの?』って真顔で言ってたし、面白いなお前ら!」

 

「やめて、もう頭がパーンしそう」

「フハハハ!流石は夜吹、情報が早いではないか!」

 

片方は憂鬱にうつむき、片方は嬉しそうに悪そうな笑顔で高笑いをしていた。

 

「亨介も『石破≪せきは≫』『兵破≪びょうは≫』と呼ばれる李姉妹という厄介な相手に絡まれたな」

 

「ユリス、何その天驚拳でも放ちそうな名前」

 

「界龍の序列12位と13位の姉妹の二つ名だ。強力な一撃と破壊力で相手を倒す『石破』、流れるような受け流しと軽やかないなしから強力な反撃をする『兵破』と別々の拳法、闘い方をする。だが、互いのコンビネーションが合わさり二人で一つの拳となる業を持っているんだ」

 

 

なるほど、つまりは剛の拳と柔の拳が合わさり最強に見えるというやつか。というよりそんな姉妹を俺一人で相手にしなきゃならないってやべーぞ

 

「そんな相手を亨介先輩だけで戦うんですか…」

 

「サザン、やっぱり手伝ってあげたほうが…」

 

「フハハハハ!ヤダ!!」

 

「あきらめろ、綾斗。このアホに何を言っても無駄だ」

 

 

もうこのやり取りには疲れた。亨介はため息をついて気持ちを切り替えようとした。しかしそんな亨介を追い打ちをかけるように事態は進む

 

 

「フフフ。ここで会ったが百年目だな、亨介。」

 

「‥‥お腹すいた。綺凛ちゃん、またおにぎりを作ってくれないか?」

 

「ふぇ!?い、いいんですか!?」

 

亨介は聞き覚えのあるような声が後ろからしたがそんなことがなかったかのように無視をした。急に振ってきたので綺凛は顔を赤らめあわてた。

 

「フハハハ!この帝王も所望をするぞ!」

 

「刀藤が作るなら私も作ろう。そして私が教える」

 

「沙々宮、お前の料理はおにぎりだけだろう。私も手伝うぞ」

 

「じゃあ、俺も手伝ってもいいかな?」

 

「へいへーい!俺も混ぜてくれよー!」

 

こうして和気あいあいと会話が弾み、第一声がなかったかのように話は盛り上がっていった。

 

「おーい!無視をするな!この俺に注目しろ!!」

 

しつこく後ろから喚くのでこれ以上無視をしたら面倒な事になり兼ねない。亨介は嫌そうに後ろを振り向く。案の定、そこにいたのは聖ガラードワースの生徒、『サザンクロス』のリーダーである古川シンであった。

 

「いや、なに。なんか用?」

 

「ふっふっふ、聞いて驚くな!俺もこの『鳳凰星武祭』出場していたのだ!」

 

「あ、そ。じゃあね」

 

「待って!ゴメン!自慢話じゃないから!」

 

 

シンは慌てて帰ろうとする亨介を必死に食い止める。

 

__いや、ちょっと待て。『鳳凰星武祭』はタッグを組まないと出場はできない。前までこいつにはタッグを組んでくれるような人はいなかったはずだ__

 

「まさかお前と組むような奴がいたのか?」

 

「驚いただろう?今日はお前たちに紹介してやろうと思いやって来たのだ。」

 

「あー、聖ガラードワースの古川シンね。」

 

夜吹は思い出したように頷いた。

 

「ん?夜吹、知ってる?」

 

「まあな。亨介と同じブロックだったけど見てなかったのか?」

 

 

 まじかよ。こいつも俺達と同じところかよ。あのあとものすごく落ち込んでいたからそのあとの試合なんて見る気もしなかった。

 

「では、紹介をしよう!これが俺のタッグパートナーだ!」

 

シンは指をパチンとならすとシンの近くに止まっていた白いリムジンのドアが開いた。そこからのっそりとひよこのような着ぐるみを着た何かが出てきた。体は黄色くつぶらな真っ黒い点の瞳をしているが、胴周りは長く、足はオバQのような厚い足をしている。

 

「…なにそのオバQとひよこが組み合わさったような…その意味の分からない奴は?」

 

「というより聖ガラードワースの生徒なの?」

 

亨介も綾斗も同じ意見で、サザン以外皆きょとんとしていた

 

「いかにも、名付けて‥じゃなかった人呼んで『アレックス』だ!!」

 

「おい、今命名しようとしてなかったか?」

 

「残念ながら、この『アレックス』は聖ガラードワースの序列十位らしいぜ?」

 

シンはドヤ顔をしているが皆、どうでもいいようだ。すると綺凛が興味津々にアレックスを見ながら近づいた

 

「あ、あの‥アレックスさんにぎゅっとしてもいいでしょうか?」

 

「う、うむ?構わないが…?」

 

シンは急に聞かれたので戸惑いながらもそれを許した。綺凛は嬉しそうにアレックスを抱きしめた

 

「かわいいっ…!」

 

「「い、いいなぁ~!!」」

 

亨介とシンはうらやましいそうにアレックスを眺めた。そんな二人を綾斗達はジトーッと見つめる

 

「…ところで、亨介。お前の相方はどんな奴だ?」

 

「あそこで高笑いをしているアホが俺の相方だ」

 

亨介はいつまでもドヤ顔をして高笑いしているサザンを指さした。サザンを見たシンは急に雰囲気が一変しサザンを警戒するように見つめた。

 

「この男が…ふっ、お前も苦労しているようだな。ま、俺と並ぶようせいぜい励むのだなぁ」

 

さあ帰るぞとシンはアレックスを呼び連れてリムジンに乗って去っていった。

 

「なんだったんだあいつ…?」

 

**********************

 

「綾斗とユリスのやつ、おっそいなぁ…」

 

『鳳凰星武祭』二日目、アスタリスクに全部で存在する3つの大きなドームの一つ通称『プロキオンドーム』にて清霜と神通のペアと紗夜と綺凛の試合が行われるのである。

 

 控室にて備え付けのテレビをつけてスタンばっているのだが一向にくる気配がない。サザンに至ってはシェイクとポップコーンを用意している。映画を見るつもりじゃないんだから…

 

「むー、綾斗おそい…」

 

ぢゅぅぅぅぅぅ…

 

「このドームまで来るのにけっこうな人込みで進みにくくなっていると聞いてます」

 

ぢゅぅぅぅぅ…ふー…

 

「人込みが多いってけれどもあいつらならさっさと来るはずなんだけどなぁ…」

 

ヂュウゥゥゥッ…ハー、アフー

 

「「「……」」」

 

ヂュウウウッと吸い上げるような音が控室内に響く。サザンがつらそうにシェイクを必死に吸おうとしているのであった。    帝王、初めてのシェイクである。

 

「と、とりあえず。清霜と神通のペアの試合が始まるし見てみようぜ?」

 

ヂュウウウ…ンフー

 

「ああもううるせえ!誰かそいつのシェイクを取り上げて!」

 

~*~

 

『そして!Kブロック第一回戦第一試合、星導館学園の選手は二水神通選手とそのパートナー、七海清霜選手です!』

 

観覧席からの大歓声とともにゲートから凛として歩む神通と元気よく手をふる清霜が出てステージまで進む。

 

『二水選手は星導館学園の『冒頭の十二人(ページ・ワン)』の番外位というイレギュラークラスの選手です!資料によりますと1年前は序列一位の座にいたのですが「もっと修行をしたいから」という理由でその座を降りたと言われております。言葉通り、アスタリスクの外へ出てエベレストやギアナ台地で修行をしていたとのことです!』

 

『しゅ、修行場所もすごいのですが、修行内容もきになりますね…そして、七海選手は戦闘砲撃型煌式武装『戦闘艤装』の中でも強力な火力を誇ると言われている『戦闘戦艦』シリーズの使い手といわれていますね。ちっこい見た目に反してパワータイプやなー』

 

そんな実況を聞いて清霜はニヘヘと照れるように笑った。

 

「こんなにも有名だなんて、『戦闘艤装』を使ってた先輩方もすごかったんですね!」

 

「有名な分、それ以上に対策を立てられている。油断はしていけませんよ、清霜」

 

 

 神通は軽く注意をするように話し、ちらりと相手選手の方を見た。この試合の相手は聖ガラードワースの選手のようだ。背の高い選手は大剣型の煌式武装を構え、背の低い選手は細長いレイピア型の煌式武装を構えていた。

 聖ガラードワースでは伝統的に剣技を主流とし、剣を選ぶ生徒が多いとされている。神通はおっとりした雰囲気から真剣な表情に切り替え、両腰の小刀の煌式武装を取る。

 

「七海、あなたは大剣の彼をお願いします。私はレイピアの生徒を相手をします。」

 

「了解です!よーし、出ろぉぉぉぉっ!!『ムサシ』ィィィィッ!!」

 

清霜は大きな声を上げて指をパチンと鳴らす。すると、清霜を包むように大きな主砲と頑丈な艤装が展開された。彼女が纏うその強大な艤装はまるで要塞のようだ。

 

『≪鳳凰星武祭≫ Kブロック第一回戦一組 試合開始(バトルスタート)!』

 

 

 神通は星辰力(プラーナ)を高め一気に駆ける。その速さに前衛で走っていた大剣の青年は驚き、すぐさま大剣を横へ薙いだ。しかし神通はひらりと飛び躱し、着地と共にレイピアの青年へと迫った。

 レイピアの青年は星辰力を高め、神通に向けて長いレイピアの連続突きを放った。神通は片方の小太刀で連続の突きをいなす。最後の突きを防ぎ上方へ切り上げ、できた隙を逃さないようにもう片方の小太刀を逆手にもち素早く横へ薙いだ。

 

  すぱりと斬られた相手選手の校章が落ちてその青年の敗北が告げられた。神通は一息ついて煌式武装を解除して腰のホルスターへ戻し背を向ける

 

『は、速い決着だー!さすがは星導館初の番外位!刹那の攻防を制したのは二水選手!』

 

『ナナやん、ナナやん!こっちの方も面白いことになってんで!』

 

そんな実況を聞いて、神通は清霜の方を見る。

 

 青年の振り回す大剣を清霜は巧妙に艤装で防いでいた。大剣に傷一つなく防ぐ艤装はまるで矛を砕くような頑丈で分厚い盾のようだ。一向にダメージを負わない様子をみて青年は焦りを見せる。

 

 

「それじゃあ今度はこっちの番だ!94式45口径46㎝砲、放て!!」

 

 船体の両肩部に備わっている大型の連装砲が青年に照準を合わせ電気を帯びながら爆音とともに光弾を放った。青年は駆けてその光弾を避ける。爆発と爆炎を躱し、正面に迫った光弾には高くジャンプをして避け、大剣を振り下ろそうとした。

 

 しかし、清霜はにやりとした。艤装の背部からバチバチと電気を帯びている長い2対の火砲を構える。すでに照準は青年に向けていた

 

「12.7㎝プラズマレール砲、ファイアッ!!」

 

 大きな振動と爆轟とともに青い電気を帯びるビームが青年に向け放たれた。青年はなす術もなくステージの端まで吹っ飛ばされる。強く叩き付けらた青年は地面に落ちて気を失ってしまった。青年からプスプスと焦げた煙ような煙が出ていた。

 

試合終了(エンドオブバトル)! 勝者、二水神通&七海清霜!』

 

試合終了とともに響く大歓声に清霜は『やったー』と重い艤装を身に着けながらはしゃぎ、神通はぺこりと観客席に向けてお辞儀をした

 

 

~*~

 

「さすがは『戦艦』シリーズ。バ火力である」

 

紗世はむふーと鼻で息をして嬉しそうに映像を見ていた。紗夜も同じく大艦巨砲主義であり、バ火力と大砲はロマンとしている。似たような系統でここまで快勝してくれるのは同志として嬉しい戦果である。

 

「確かにすんげえパワーだし、神通の剣技も恐ろしいな…。俺も負けねえように頑張んねえと」

 

「そうですね、亨介先輩の明日の対戦相手はあの李姉妹のようですし、頑張ってください!」

 

亨介は綺凛の方に顔を向ける。その顔はそのことを初めて知ったような驚いた顔であった

 

「…え?明日の試合、あの姉妹!?」

 

「は、はい。トーナメント表でそうなっていましたけど…」

 

「‥‥うそでしょ…」

 

亨介はムンクの叫びのような顔をして落ち込み、サザンはいまだにシェイクを吸いきれずつらそうな顔をしていた。

 

~*~

 

一方、綾斗とユリスは紗夜達がいるプロキオンドームに向かっていたのだが、その最中にレヴォルフの生徒でディクルに天霧綾斗を始末しろと命令された少女、イレーネ・ウルサイスと接触していたのであった。

 

 イレーネは大鎌型の煌式武装を構えて不敵な笑みを浮かべて二人を睨んでいた。彼女が持つは純星煌式武装『覇潰の血鎌(グラヴィシーズ)』は重力を制御する力がある。その『覇潰の血鎌』の影響にかかれば重力により身動きができなくなるか押しつぶされてしまうのである。そのため、綾斗とユリスはすぐさま距離をとり身構えていた。

 

「はっ、思ったよりいい反応じゃねえか」

 

ユリスは綾斗に目で合図をする。ここでの決闘はまずいためこの場は引くことに。綾斗は頷き二人で後ろへと下がるがイレーネは瞳に凶暴な光を輝かせ『覇潰の血鎌』を構えた。

 

「おっと、ここで逃がすわけにはいかねぇなぁ!!」

 

一気に見ていたギャラリーも緊張してしまうような殺気を振りまく。空気は一瞬で張り詰めた時だった

 

 

 

「フフフフ、さすがはラリルレ‥じゃなかった吸血暴姫(ラミレクシア)。だが、この俺を忘れては困るなぁ」

 

 

 

聞き覚えのある声が響く。間違いない、昨日出会った聖ガラードワースの古川シンの声だ。

 

「な、なにもんだ!?どこにいやがる!?」

 

イレーネは振りまいていた殺気を消して辺りを見回す。ユリスも辺りを見回すが自分たちの周りにもギャラリーの中にもシンの姿は見えない。ふと、イレーネの方を見ると綾斗はシンの居場所に気づいてた

 

「ユ、ユリス…シンはあそこだ…」

 

綾斗は気まずそうに指をさす。ユリスもイレーネも綾斗の指さす方を見た。

 

「ふ、仲裁をしようと思ったのだがあうやく踏まれるところだったぞ」

 

あぶないあぶないと一息ついているシンはイレーネの足下で仰向けに寝そべっていた。イレーネは目を点にしてシンを見つめる

 

「それにしてもなんと破廉恥な下g(ry」

「き、きゃあああああああああああああああああああっ!!!?」

 

イレーネは先ほどの好戦的な態度とは一変して顔を真っ赤にして女の子らしい悲鳴をあげて何度もシンを踏んだ。

 

「な、ななな、なんでそこにいるっ!?」

 

「お前たちの喧嘩を止めようとな、スライディングして登場しようとしたところ重力に押さえつけられこうなったのだ。まあ照れるな照れるな」

 

「て、照れるか!?死にてえのか!?」

 

「あ、あのー、俺達行くところがあるんだけど…」

 

「お、お前らは後!先にこいつをぶちのめす!」

 

「というかさっさと解いてはくれないか?丸見えなんだが」

 

「ウガーッ!!」

 

イレーネはやけくそになっていた。張り詰めた空気が一変してまるでコントでもしているような雰囲気である。緊張が解けたギャラリーも笑っていた。

 

「こらぁ――――――っ!!」

 

怒声を上げてギャラリーを搔き分けながらイレーネと同じ顔だち、同じ髪の色をして後ろを三つ編みに垂らしたレヴォルフの女子生徒が出てきた。少女は怖い剣幕でイレーネを見つめる。

 

「お姉ちゃん、どうしてこうなってるのか説明してちょうだい!」

 

「げっ、プ、プリシラ…!そ、それよりこの変態がっ…!」

 

イレーネは弁解しようとするがプリシラはずいずいと迫る

 

「いつの間にいなくなったと思ったら、斐人さんがお姉ちゃんが喧嘩してるって伝えてくれたんだよ!」

「斐人が?ちっ、あの野郎…」

 

どういう状況なのか、ユリス達はぽかんとしていた。プリシラはシンに手を差し伸べた

 

「大丈夫ですか?ごめんなさい、うちのお姉ちゃんが迷惑をおかけしました」

 

「HAHAHA、お気になさらずとも。なかなか素敵なお姉さんですなぁ」

 

「あ゛ぁ?」

 

イレーネはシンを睨むがキッとプリシラが睨んできたので慌てて目をそらした。続いてプリシアはユリスと綾斗に頭を下げた。

 

「すいません!うちのお姉ちゃんがご迷惑を…!ほら、お姉ちゃんも謝って!」

 

「うぅ…わ、悪かったな…ほら、さっさといけよ」

「もー、ちゃんと謝らなきゃダメでしょ!」

 

プリシラはイレーネの頭に手を添えて一緒に深く頭を下げた。

 

「本当にごめんなさい!よーく言っておきますから!」

 

そしてプリシラはイレーネを引っ張り人込みの中へと消えて行ったのだった。しばらくの間綾斗達もギャラリーも言葉が出なかった。

 

「…変わった生徒だったね‥」

「ま、まああれがレヴォルフのイレーネ・ウルサイスとその妹のプリシラ・ウルサイスだそうだ。ところでシン、場を和らいでくれたのは感謝するが何しに来たのだ?」

 

「む、なにプロキオンの方で見たい試合があったのだが…間に合いそうにないな」

 

シンの言葉を聞いて綾斗は思い出したかのように慌てた。時間を見ればすでに清霜と神通の試合は終わりこれから紗夜と綺凛の試合が始まろうとしていた。

 

「まずい、急がないと紗夜たちの試合に間に合わない!」

 

この後綾斗達は急いでプロキオンドームに向かったが、試合には間に合わなかったがそのかわり綾斗はラッキースケベに会えたのは別の話である。




~コラム~

『アレックスについて』:細い胴体になったバリィさんっぽいひよこの着ぐるみのイメージかと


『今回の艤装について』:火薬ではなくビーム兵器化とした艤装先輩。宇宙戦艦ヤマトと思ってください。プラズマレール砲に至ってはフリーダムガンダムですね…

これからのシンの扱いにてお知らせ

   ストーリーの構成中ではサザンと同じ準レギュラーのポジか亨介を支える相方みたいな感じになるかもしれません。うまくできるよう頑張っていきたいと思います


~感想はご自由にどうぞ~

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