翡翠色のアスタリスク   作:サバ缶みそ味

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5月の風の嵐をメイストリームっていうんだって!

     どうでもいいね!


それではスタートです


執念と変顔と時々暗躍

「ほ~、こやつが殉星の男かえ?」

 

 界龍第七学院にて映像に映っているシンの姿を界龍の古風めいた制服が似合う小さな女の子が見ていた。その後ろでは水色の髪をしたちょっと老けているような顔つきだがしっかりとした体格の男がいた。その男の両瞼からほほまでに3本の筋状の切り傷が付いており、松葉杖をついていた。

 

「はい、師父の言う通り彼が『天星五聖拳』のひとり、『殉星孤鷲拳』の伝承者です」

 

 師父。そこの童女こそが界龍第七学院の生徒会長であり序列一位の范星露である。

 

「なかなかの腕じゃのうー。シュウ様、本来ならかの者もこの界龍第七学院に入るはずだったのであろう?」

 

 シュウ様と呼ばれた男は申し訳なさそうに頭を下げた

 

「申し訳ありません。あの時私がサザンを注意していれば『天星五聖拳』全員が師父の下に集っていたのですが…」

「よいよい。シュウ様、顔を上げよ。妾はあのサザンという男は好かん。寧ろおらんで清々したわ」

 

 

 范星露は映像に映っているドヤ顔で椅子に座っているサザンを呆れるように見る。サザンという男、井の中の蛙か、または爪を隠した能ある鷹か、それともただのアホか、何を考えているのかさっぱりわからん

 

「さて、シュウ様よ。そろそろ行こうかの、李姉妹が泣いて戻ってくるぞ?」

 

「ええ…ところで、師父。ひとつ聞きたいことが…」

 

「なにかえ、シュウ様?」

 

「『シュウ様』というあだ名は一体いつから広まったんです?」

 

~*~

 

「さあ行くぞぉ!!」

 

 シンが気迫と共に貫手の連続突きを繰り出す。闘気が籠った貫手はガードを貫き無効にする。亨介は再びデッキブラシを展開しガードは捨てて攻める。

 先ほど口から機関銃を乱射していたアレックスが機関銃を戻したかと思いきや口からキャノン砲が飛び出しそれを連射をする。シンもろとも打ち倒す算段なのだろうか

 

「ちょ、あいつサイボーグかよ!?」

 

「サイボーグではないアレックスだ!アレックスは錬金術が得意でな、名付けて『ひよこの錬金術師』!」

「色々とアウト!!」

 

 シンと攻防しているうちに爆炎に取り囲まれていた。シンは何事もないかのようにひらひらと爆炎を躱して亨介に手刀や貫手を繰り出していく。

 

「ふん、その程度か!」

 

「んなわけねえっての!」

 

 亨介はデッキブラシを横へ薙ぎシンはそれを後ろへ下がり躱した時、二人の間に黒煙が舞う。虚を突かれた亨介は一瞬動きを止めてしまった。シンはその隙を見逃さなかった。

 

「『飛鷲獄屠拳』!!」

 

 黒煙が吹き払われるほどの勢いのある飛び蹴りが亨介に炸裂し吹っ飛ばされた。とっさのことで動けなかったが校章を破壊されまいとそこだけはなんとか防ぐことができた。だが、亨介が吹っ飛ばされた速さに追いつくかのようにシンが素早く迫っていた。

 

「くっ、ブースト移動かよ!?」

 

「亨介、それはメメタだ!『鷲爪飛燕斬』!」

 

 シンは空中にいる亨介に向けて飛び蹴りを放った。亨介は身を翻して躱すが飛び蹴りが通過した時に起きた衝撃波に吹き飛ばされそうになった。気が付くと服のあちこちが切り裂かれた跡がついている

 

「ソニックブームができる闘気とかやべえなおい。」

 

「ふん、感心している場合ではないぞ?もう貴様はその場から動くことはできんぞ?」

 

 シンはドヤ顔で言う。一体何のことやらと亨介は一歩歩み寄る。

 

  カチリ

 

 亨介の左足下で何かを踏んだ音がした。そして足元が光だし爆発を起こした。

 

「ぐあっ…地雷!?」

 

 受け身をとってアレックスの方を見る。アレックスは着ぐるみの短い手を星辰力で光らせ地面についていた

 

「フハハハ!アレックスはあちこちに地雷型の光弾を仕掛ける能力もある!そう!俺たちのステージは戦場とk(ry)」

 

 

 カチリ

 

 説明している途中、シンは地雷を踏み爆発した。そんな彼を亨介は冷たい視線で見る

 

「‥‥仕掛けてる場所はわかんねーのかよ」

 

「ふ、ふふふ、これも作戦のうち!」

「うそつくなや」

 

「ええい!こうなったら、『鷲爪雷震掌』!」

 

 天に突きあげた指を地面に突き刺す。すると亨介めがけて火柱のような闘気が噴出してきた。一個だけではなくあちこちにも闘気が火柱のようにたちあがり地雷を爆発していく。亨介は火柱のように噴出する闘気と地雷の爆発を躱していきシンに迫る

 

 その時、背中に激痛が走った。足を止めて背中に当たったものを見る。ゴルフボールほどの大きさの黒い鉄球だった。アレックスの口から再び機関銃が出てきていたが発射されているのは黒い鉄球、ベアリング弾だった。しかも厄介なことにそのベアリング弾はあちこちに跳弾をしステージ内に黒い鉄球が飛び交う。

 

「どうした、隙だらけだぞ!」

 

 シンは無数に飛び交う弾幕を潜り抜け亨介の目の前に迫る。

 

「『白鷲飛龍拳』!」

 

 シンの無数の鉄拳が体中にヒットする。最後に放たれた突きをくらうと鉄球の雨が亨介に降り注がれる。シンは倒れている亨介を見下げるように叫ぶ

 

「執念が足りん!お前の執念はその程度か!願いを叶えるために戦うお前の信念が小さいのなら俺には勝てんぞ!!」

 

 そんなシンの一喝に反するように亨介はゆっくりと起き上がる。額から一筋の血が流れているがそんなことすら気にしていないようだ

 

「うるせーっての…」

 

 大きく息を吸ってシンを、観客席を、ステージ内を見る。__頭はふらふらする。でも、これだけはわかる。__

 

「俺の願いなんて、執念なんて、誰かに話したってわかりはしねえ…だから、俺は、俺一人の力で片づけるんだ!てめなんぞに俺の執念を語るんじゃねえ!!」 

 

 シンを睨み付ける亨介から翡翠色のオーラが漂いだす。亨介に向けてベアリング弾が放たれるが、亨介が両手を素早く振り、ベアリング弾がすべて弾かれた。亨介の両手には翡翠色の卓球のラケットが握られていた。

 

 亨介は降りかかる鉄球をそのラケットで弾かせながらシンに迫る。そんな亨介を見てシンは不敵に笑う

 

「ふははは!そうだ!それでこそ俺のライバルだ!」

「だからライバルじゃねえって!」

 

 シンの貫手の連続突きと亨介のラケットの攻防が激しく行われている。ラケットが切り裂かれても素早く新しいラケットを展開する。その激しさは目にも見えないほどだった。シンは嬉しそうに楽しそうに攻めたて亨介はそんなシンに呆れるように攻める。

 

「行くぞ、亨介ぇ!殉星孤鷲拳奥義!『白鷲紅嘴(はくしゅうこうし)』!!」

 

 シンの左手が白い闘気に包まれ闘気の剣へと形を変え亨介めがけて突きを放つ。だが亨介はぎりぎりを避けた。顔にかすり傷が負ったがそれでもなおシンに星辰力で力を目いっぱい込めたボディブローを放った。

 

「おぶふっ…!?」

 

 シンはそのまま膝をがくりと落とし倒れた。亨介はシンを見ずにそのままアレックスへ駆ける。アレックスは口からガトリング砲、キャノン砲、迫撃砲を出して乱射をする。だが、亨介は弾幕を躱し、ラケットで弾き、爆炎を潜り抜けた

 

【うおおおっ!】と【うりゃあああ】と書かれたプラカードをアレックスは取り出し、亨介に振り下ろす。亨介はそれすらも躱し、ラケットでアレックスの校章を破壊した。

 

『アレックス 校章破損』

 

 アレックスは砕け散った校章をじっと見て【降参です】というプラカードを亨介に見せた。亨介は無言でうなずき、歓声に包まれる中、仰向けに倒れているシンに手を差し伸べた

 

「…ふっ、さすがは俺のライバルだ」

 

「お前もなかなかだったぜ。…まあライバルって名乗るのはとりあえず認めてやんよ…」

 

 

 そっぽを向いている亨介にシンは静かに笑い、亨介の手を握った。そんな様子を見ていた観覧席からは拍手の嵐が巻き起こる。

 

 

「…ところでさ。お前、負けた様な雰囲気出すのはいいけど校章も破壊されてねえし意識消失してないし、ギブアップすら言ってないんだけど?」

 

「え?…あっ」

 

 シンが気づいたころには時すでに遅し。亨介はシンを引っ張り起こして背後にまわり、強烈なジャーマン・スープレックスを放った。

 

「たわばっ!!」

 

『古川シン、意識消失。 試合終了!勝者、千利亨介&南星・サザン!』

 

『き、決まったぁぁっ!ジャーマン・スープレックスが古川選手に炸裂し試合終了ぉぉぉっ!!これにより、Gブロックから本戦へ出場決定したのは千利選手とサザン選手のペアです!!』

『まあサザン選手、なにもしてないッスけどね…』

 

亨介は歓声の渦の中、大きくガッツポーズをした。

 

~*~

 

「サザン先輩、本戦出場してもなにもしないんですね…」

 

「フハハハハ!亨介に打ち勝つ輩がいないというならその程度ということだ!」

 

「少しは帝王の情けも見せたら?」

 

「フハハハハ!ヤダ!」

 

 シンとの試合から翌日、清霜と紗夜がサザンに戦うよう頼んでもサザンはあくどい笑顔で断る。

 

「あーもういいんだ、慣れたよ…」

 

「それじゃあ亨介先輩が試合中倒れちゃいます!」

 

 綺凛は少し目を潤わせて亨介を見る。実はシンの試合が終わった後、亨介は控室に向かう途中に倒れてしまったのだ。まあ死んだように眠ったのだから皆に心配をかけてしまったのは面目ない。あとサザンは何もしないで笑いながら帰ったと聞く。うん、あとで殴る。

 

「…やはり、純星煌式武装の代償ですか?」

 

 神通が亨介に心配そうに声をかけたが亨介は首を横に振る

 

「うーん…まあ、そんなもんなのかな。でも今は気にかけるのは綾斗のほうだ」

 

 今日行われた本戦では綾斗とユリスは『覇潰の血鎌』を使うイレーネ・ウルサイスの試合に勝利した。だが、今回の戦いで綾斗は『黒炉の魔剣』を5分という短い時間でしか扱えないということが判明されてしまったのだ。

 

 おそらくこれからの本戦ではその対策が立てられてしまう。二人にとっても有利な状況ではいられないだろう。丁度良く綾斗とユリスが戻ってきた。やはり、綾斗は疲れた様な顔をしていた。

 

「おっす、奴さんは強敵だったようだな」

 

「亨介…まあなんとか勝ったよ」

 

亨介と彩斗はハイタッチをする。どうやら綾斗は疲れていた。手に力があまり入っていなかった。

 

「で、これからどうする?」

 

「どうするもなにも勝ち進むしかないだろう?対策を立てられるが私がいるし問題はない」

 

ユリスはきっぱりと答えた。…うん、そんな自信どこからくるのだろうか。まあ綾斗のパートナーだしその辺は考えているのだろうな

 

「ところで綾斗、お前にひとつ言っておかなければならないことがあんだ」

 

綾斗とユリスは首をかしげた。珍しく亨介が言いたいことがあるようだと気になっていた。亨介は指さし物凄いあくどい笑顔で、携帯端末に映っている画像を二人に見せて答えた

 

「お前の顔、『覇潰の血鎌』の影響でスッゲー変顔になってたぜwwwワロスwww」

 

 

 

__しばらくお待ちください__

 

 

 

控室に夜吹が入ってきた。

 

「なあ、紗夜。亨介の奴、お化けでもみたような悲鳴をあげて走っててよ、綾斗とユリスが無言で亨介を追いかけてたんだけどなにかあったのか?」

 

「…きょーすけは触れてはいけないことに触れてしまった」

 

「はい?」

 

~*~

 

医療院にて、イレーネは妹のプリシラが静かに寝たのを見て静かに病室を出た。

 

「…なんだ、お前も見舞いに来てくれたのか」

 

 廊下には同じレヴォルフの生徒、茨木斐人がいた。斐人の後ろからひょっこりと冥道柚葉が顔を覗かせる。

 

「覇潰の鮮血姫よ、そなたの賢人たる姫君は光り輝いておるか?」

 

「えーと…」

 

 イレーネはその返答に困っていた。厨二すぎて言ってる意味をどう理解していいかわからないからだ。そんな様子を見兼ねたのか斐人が憮然にこたえる

 

「お前の妹は無事かと言っている」

 

「あ、ああそうか。プリシラなら大丈夫だ。ありがとうな」

 

「うむ!我は闇に満ち溢れたぞ!次なる試合、黒滅の騎士と劫火の花姫を我らが討ち滅ぼしてくれよう!」

 

「えーっと…」

 

「…それを聞いて安心した。次の試合、俺達が天霧に勝つ…いい加減理解しろ。俺は通訳じゃねえんだ」

 

 イレーネは苦笑いして答えた。というより理解している斐人の方がすごい

 

「あいつらの次の本戦はお前らが相手か…斐人、天霧は強いぜ?」

 

「ふん、勝つのは俺だ。…なんとしでも勝たねばならん」

 

「…斐人、お前も天霧と闘ってみろ。あいつならきっと柚葉を…」

 

「黙れ!負けたてめえに何がわかる!」

 

 斐人はイレーネを睨み付ける。イレーネにはわかっていた。今の斐人の眼はあいつらに会う前の私と同じ目をしている。

 

「こら、我が従者よ。ここは神聖なる癒しの祠。邪推な凶気を撒き散らしてはならん」

 

「ちっ…邪魔をしたな」

 

 斐人は舌打ちをしてくるりと背を向けて去ろうとした。途中で歩みを止めて目線だけイレーネの方へ向けた

 

「イレーネ、最後に一つ忠告だ。プリシラを絶対に一人にさせるな」

 

「…そのつもりだが、どういうことだ?」

 

「あのディクルがお前らに咎めねえのは怪しい。きっと何か裏がある。気を付けろよ…」

 

そう言い残し、斐人は去っていった。柚葉はぺこりとお辞儀をしてイレーネに八百屋で買った林檎を渡してとてとてと走り去っていった

 

「…あいつもいいやつなんだけどなぁ…」

 

イレーネはそんな斐人に苦笑いしていた。

 

~*~

 

 ディクルは露骨な嫌悪感にじませ教務机に脚を乗せて座っていた。彼の近くには『Soundonly』と書かれたモニターが映っていた。

 

『…ということで手は打ってある』

 

モニターからはノイズが混ざった声が響く

 

「ふん、なら問題はねえ。だが、あの女の弟だ。まだ何かあるだろうよ」

 

『それならば心配はあるまい、『猫』だけではなく貴様のところに『蜥蜴』も手配してやろう』

 

「『蜥蜴』か…てめえは俺に『情報』と『材料』だけじゃなくそいつも用意をする。何が欲しいんだ?」

 

『なに、我が欲しいのはプリシラ・ウルサイス。その女を渡せばいい』

 

ぴくりとディクルの手が止まったがすぐに動いた

 

「‥‥いいだろう。そのくらいならくれてやる。だが、俺は手を下さねえ。てめーで勝手にやってろ」

 

ディクルは携帯端末を閉じ、深く椅子に腰を掛けた。あの野郎の手の内なぞどうでもいい。今はどう手を打っていくか深く思考していくことに専念しておく。

 

ディクルはそうぶつぶつとつぶやき複雑な思考に没頭していった。

 






…パエリア食べたい

春のイベントは大変です

ご愛読ありがとうございますた
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