翡翠色のアスタリスク   作:サバ缶みそ味

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時間がありましたので次の話を投稿いたします。
('ω')ノ


遅刻と腹黒と時々アイアンクロー

「・・・・はっ!!」

 

亨介は目を醒ました。気が付けば地面に大の字で寝転がっていた。ゆっくりと起き上がりまだ痛む頭をさすりながら現状を思い出していく。

 

「たしかユリスの踵落としでフェイタルKOしたんだよな。えーと・・・うっ、これは思い出したらダメなやつだ」

 

なぜこうなったのかは深く考えないでおくことにした。どれくらい時間がたったのか携帯を開いて時間を確認した。時間を見た亨介の顔は真っ青になった。

 

「もう遅れとるやないかーい!!」

 

亨介はダッシュで星導館学園へ向かった。

 

 星導院学園。不撓の象徴である赤い蓮の花を校章とした水上学園都市『六花』の学園の一つである。中等部、高等部、大学部を持ち生徒の自主性を重んじる校風で校則もゆるやかである。しかし、それ故、()()()()()()()()()()()が幾人かいる学園である。

 

「うおおおおっ!!間に合ええええっ!?」

 

朝の予鈴が鳴り終わる寸前にスライディングで校門へ滑り込んだ。ぎりぎり学校へ入ることができた亨介は誰にも見られていないかあたりを見回りいるのは自分だけだと安堵し一息ついた。

 

「はーい、超遅刻のアウトでごぜーやす」

 

「アロッ!!?」

 

背後から声をかけられた亨介は変な悲鳴をあげて驚いた。もしやと思い後ろを振り返ると同じ制服を着た青い目をした金髪のツインテールの少女がいた。

 

「み、水無月!?今日は朝の当番じゃない日じゃ?」

 

「残念ながら。今朝は()()()()がありやしたので会長に頼まれて野次馬を追い払っていたんですよー」

 

彼女の名は水無月風香。星導館学園の風紀委員長を務めている生徒である。こう砕けまくったやる気のないしゃべり方とは裏腹に違反があったら即拘束を行う。自分よりも幼そうで背が低い外見にもかかわらず自分よりも大きい輩を取り押さえる実力があり『鬼の風紀委員長』と恐れられている。

 

「しかも不純異性交遊まがいのこともあったんですけどそれは会長に止められたんですよねー。で、ついでに見回りをしてたら運良くあんたさんを見かけたってゆーことですぜ」

 

「嗚呼、我らが女神さま。ど、どうかご慈悲を。これにはわけがあるんです!」

 

「ほほーう?それじゃあ聞こうじゃありやせんか」

 

「通学していたら爆発して、野郎が俺を踏み台にして、ユリスが踵落としでアストラルフィニッシュ!」

 

「・・・・・それじゃ懲罰房へ行きましょうか。」

 

「アイエエエエッ!?」

 

水無月は亨介の襟をつかんで連行した。なんどもご慈悲をと乞う亨介を無視しながら今日の風紀委員の予定を確認しながら懲罰房へ向かっているときであった。

 

『水無月さん、ちょっといいかしら?』

 

通信のモニターが開き、しっとりとした雰囲気と豊満な身体の長い金髪の少女が水無月に話かけた。

 

「これは生徒会長のクローディアさんじゃありやせんか。」

 

彼女はクローディア・エンフィールド。この星導館学園の生徒会長である。しっとりとした大人びた見た目とは裏腹に彼女も自負するほどの腹黒さで有名である。

 

「ドーモ、クローディアさん、千利亨介デス。つか助けて。」

 

『まあ遅刻は遅刻ですから無理です。』

 

満面の笑みでご慈悲を払いのけられた亨介はふかくうなだれてしまった。

 

「おうふ、笑顔で正論をおっしゃりますか。もうぐうの音もでませんわコレ。」

 

「それでこのアホを懲罰房へぶち込むところなんですが、どうかしましたか?」

 

『ええ、実のところ亨介君に用があるの。水無月さんには申し訳ないんだけど懲罰房へ入れるのは見逃してくれないかしら?』

 

見逃してくれと聞いた水無月は目を開いて驚き亨介の襟をつかんでいた手を放した。亨介は大喜びで舞い踊りながらクローディアへ感謝した。

 

「センキューッ!さすが我らが生徒会長だぜ!」

 

「むぅ・・・クローディアさん、いいんですか?このアホ、調子乗りやすぜ?」

 

『ごめんなさいね。亨介君、貴方に2つのうちどれか私の頼み事を聞いてくれるかしら?』

 

「ははははっ!よかろう!」

 

生徒会長に対してあまりにも生意気な態度だったのでイラっときた水無月は亨介の腿をパーンッと蹴った。モモパーンされた亨介はのた打ち回っておりその様子を見ていたクローディアはさすがに苦笑いをした。

 

「クローディアさん、続けてくだせえ」

 

『え、ええ・・まずひとつは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()をそろそろなんとかしてほしry』

 

「無理てか嫌」

 

「風紀委員もそれだけはお断りしやす」

 

亨介は真顔で即答した。水無月もものすごく嫌そうな顔をしており、彼らを見ていたクローディアは頭をかかえた。

 

『ですよねー・・・今日転入してきた綾斗にはさすがに荷が重すぎるし、頼みの綱だった亨介君も無理ならしかたないわねー・・・』

 

「あのクローディアさんが遠い目をしている・・・。で、二つ目は?」

 

『二つ目はこの学園に潜んでいる外部の人間を捕まえてほしいの。』

 

「うん?どゆこと?」

 

『いよいよ鳳凰星武祭(フェニクス)が始まるのはわかってるわね?』

 

星武祭(フェスタ)。学園都市アスタリスクにて学生同士が行う大規模な武闘大会である。3年を一区切りしており、一年目の初夏に行われるタッグ戦を『鳳凰星武祭(フェニクス)』、二年目の秋に行われるチーム戦を『獅鷲星武祭(グリプス)』、そして三年目に行われる個人戦は『王竜星武祭(リンドブルス)』と呼ばれる。今年は一年目であるために『鳳凰星武祭』が行われる。

 

『星導館学園で鳳凰星武祭に出場する選手が闇討ちされ怪我を負って出場できなくなっている事態が起きているの。』

 

「へー、せこい輩がいらっしゃるもんだな。そこで暇すぎる俺がその犯人をデストロイすればいいんだな?」

 

「確かに風紀委員であちこち呼びかけたり見回りしているのだけどなかなか見つからない事態でございやすからね、暇すぎるあんたさんにぴったりじゃないですか?」

 

『お願いできるかしら?もしできてくれるならうれしいのだけど?』

 

しばらく悩んでいた亨介だったがにやりと笑って頷いた。

 

「オッケー。そのお願いやってやろうじゃん。その代り条件がある。」

 

『条件?とりあえず聞こうかしら?』

 

「鳳凰武祭に出場する許可がほしい。」

 

『あら?そんなことだったの。それなら構わないわ。でも、貴方は誰と組むのかしら?』

 

「そりゃぁもちろん、みな「私はお断りしまーす」・・おうふ」

 

『じゃあお願いよろしくね?ところで亨介君、急がなくていいの?』

 

急ぐ?はてな首をかしげる亨介に追い打ちをかけるかのようにクローディアは爽やかな笑顔で告げた。

 

『とっくに授業が始まっているのだけど、私が水無月さんに見逃してほしいって言ったのは貴方の登校の遅刻だけなのよねー』

 

言い終わると同時にモニターが切れ、亨介は無言で猛ダッシュし水無月は無言で亨介を追いかけた。そのあと亨介は水無月に捕まりメチャクチャ反省文を書かされた。

 

*******

 

「ほぉ~、亨介よぉ。三時間も授業をすっぽかしやがったのにも関わらず呑気に来たのか~?」

 

「いや~匡子せんせーこれははぐれメタルをひのきのぼうで倒すぐらいの大変なことがおきたんですよ~」

 

亨介のクラスの担任の教師である谷津崎匡子は思いっきりげんこつをかました。

 

「ほら、これではぐれメタルをぶちのめした。」

 

「先生のげんこつならゴールデンスライムも木っ端みじんっすわ」

 

匡子は無言で亨介にげんこつをかました。もうこれ以上言ったらアカンと察した亨介はすんませんでしたと謝り席に着いた。ぼけ~っと授業を聞きながらちらりと隣の席を見た。なんと見たことがある生徒だった。時折申し訳なさそうにこちらを見ていた。授業が終わり休憩時間になり亨介はじーっと隣の生徒をまじまじと見て考えた。・・・あ、思い出した。

 

「お前さん、俺を踏み台にした奴さんか」

 

「あ、あれはごめん。まさか真下に人がいるなんて気づかなかったからさ・・」

 

黒髪で深く、黒い、夜空のような瞳をした静かながらも何か強い意志を感じる男子生徒だった。亨介は一目見て思った。・・・こいつは強いと。

 

「千利亨介だ。」

 

「天霧綾斗。よろしく。」

 

亨介は綾斗と握手をした。それからはくずように談笑を始める。

 

「綾斗はさ、今朝あのプリンセスのところでナニをしてたのかなー?」

 

「い、いやまぁ・・あははは、ちょっとね・・・」

 

綾斗は苦笑いしながらごまかそうとしていた。綾斗の後ろを気にする視線に気づいた亨介はその視線の先を見た。綾斗の隣の席にいるプリンセスことユリスがこちらを睨み付けていた。

 

「おk。これは追及したらアカンやつだな。ユリスが俺に踵落としでBASARKOする程のことだし。」

 

「そ、そんなことがあったんだ・・・」

 

「まあな。まっ今日はピンクだったからオールオッケーだけどね!!」

 

その刹那、顔を真っ赤にしたユリスはガタンと荒らしく立ち上がり綾斗を押しのけ亨介にアイアンクローをかました。

 

「あだだっだだあだだだだだだだ!!!」

 

「ユ、ユリス!?」

 

「綾斗。話はあとにしてくれ。おい変態(きょうすけ)。今日は何も見なかった、いいな?」

 

「アッハイ!アッハイ!何も見てません!だからお助けエエエエ!!」

 

片手でアイアンクローしたまま亨介を持ち上げているユリス。今起きている地獄絵図に綾斗は半ばビビッていた。

 

「亨介がユリスを弄って処せられている、いつものことだからすぐに慣れるぜ兄弟。」

 

綾斗の後ろの席に座っていた茶髪の男子が綾斗にいつもの風景のことを話した。

 

「いつものことなんだね・・・」

 

「そゆこと。あ、俺は夜吹英士郎。亨介とは暇人仲間なんだ。」

 

「そっか、よろしく」

 

「へーい!!そこの二人ぃ!!オレやばいから助けてええええ!!」

 

 

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