翡翠色のアスタリスク   作:サバ缶みそ味

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合体はロマン、大艦主砲主義はロマン、戦バカはロマン


‥‥お待たせしました、スタートです


警告とシュウ様と時々妖怪戦バカ

「…シン、何の用だっての?」

 

 亨介はシンに呼ばれてシリウスドームの試合を観戦していた。シンが言うには『これから貴様に気を引き締めてもらう』とのことである。こちとらサザンに振り回されて疲れが一向にとれていないのだが、早く済ませてほしい

 

「来たか亨介、これから観戦する相手は絶対に気をつけろ。下手したら綾斗も負けるやもしれんぞ?」

 

「は?綾斗が負ける?いったいなんのこt…」

 

 亨介が試合を見たとき言葉を失ってしまった。なぜならばシリウスドームにて戦っている試合の様子は異常だった。一言でいえば蹂躙。いや、本当の単騎無双とはこのことだと示す。聖ガラの生徒が二名、震えながら戦っている。連中は一人で戦っている相手に完全にびびっていた。

 レヴォルフの校章を付けているがレヴォルフの制服ではなく赤いジャケットのような陣羽織に赤い甲冑を付けた黒髪の男からかもしだす覇気は試合を見ている俺だけじゃなく観客もぞっとするほど伝わっていた。

 

「…シン。あいつは何もんんだ?」

 

「剛鬼義弘。レヴォルフの元序列1位だ。」

 

「奴の別名は『戦闘マシーン』。レヴォルフを恐い連中の巣窟というイメージを作った元凶だ」

 

 ふと、後ろから声がしたので振り向くと、茨木斐人がいた。そのまま亨介の隣にすわりブスッとしている

 

「お、斐人。怪我の方は大丈夫かって綾斗が心配してたぜ?」

 

「ふん、余計なお世話だ。…まああの野郎には借りを作っちまったけどな」

 

「…で、義弘について詳しく知ってんのか?」

 

「ああ。ディクルが生徒会長に上り詰めるために暗躍したともいわれ、戦いに欲して監獄に入れられるまで大暴れをし、唯一ディクルに大怪我を与えた男だ。」

 

 ディクルってのがどのくらいやばい野郎なのかは知れないけれど相当危険な野郎なんだなと感じた。試合もそうだ、攻撃を躱すのに飽きた義弘はそのままグーパンで相手をワンパンKOにさす。

 

「…はあ、気が滾らん相手じゃのう‥」

 

 義弘はつまらなさそうに、退屈そうに見上げる。

 

「俺が欲しいのは滾る戦じゃ‥‥こげなつまらん戦じゃなか。」

 

 ふと、義弘の視界の中に、観戦席に座っている亨介の姿を見た。そうだ、ディクルにあの男ば倒せといわれていたのう。…わかる。あれな男なら楽しか。楽しか戦ができるじゃろうて…

 

「奴は凶暴な男だ。その凶暴さから『鬼義弘』とも呼ばれている」

 

「斐人さーん、あいつ俺の方をむっちゃにらんでるんですけど!?遠くから睨んできてるんですけど!?」

 

「亨介、いずれお前にとって、お前たちにとって厄介な相手になるぞ」

 

「いや、俺の方にガン飛ばしてるんだけど!?」

 

 

「やあやあ、これは『叢雲』に『華焔の魔女』じゃないか」

「先ほどの試合、無様だったわよ?」

 

一方、綾斗とユリスは6回戦にて界龍の宋然と羅坤展の試合に苦戦を強いられつつも勝利し、試合終了後彼らに棃沈雲、棃沈華の双子には気を付けろと忠告されたときその双子に出会ってしまっていた。あまりにも汚い手で、痛めつけることで危険視されているのだ

 

「こいつら例の双子か…」

 

「僕は心配だよ、君たちが簡単にやられてしまわないか気になってね」

「次の試合、どこまで持つのかしらねぇ」

 

「‥‥」

 

 綾斗とユリスは挑発にのらまいととりあえず無言で睨み返すことにしているが、この双子は

とまることなく綾斗達を挑発している。

 

「…おい、闘士として恥ずかしくないのか!」

 

 しびれを切らしたのか一緒にいた宋が双子たちに睨み怒号を飛ばす。しかし、双子は痛くも痒くもないようだ

 

「おんやー?無様に戦ってたやつに無様に負けた奴が言える立場じゃないだろう?」

 

 界龍生徒同士がにらみ合い一触触発になりそうになった寸前だった。

 

「こらこら、お前たち。こんなところで争っても意味はないだろう?」

 

 後ろの方から男の落ち着いた声が聞こえた。宋も双子もはっとして後ろへ振り向く。そこには松葉杖をついた、両目に3本の筋状の切り傷がついた男がいた

 

「シュ、シュウ様!?」

 

 宋よりも早く双子がシュウ様のところへ駆けつけた。

 

「ユ、ユリス。シュウ様って…」

「ああ。あのアホの帝王の被害者だ…」

 

 かの李姉妹が言っていたサザンが送り付けた激辛カレーを食べてしまった被害者である。松葉杖をついていることから相当辛いのがキライなのが物語っていた。

 

「シュウ様、もう大丈夫なんですか!?」

「シュウ様…ご無事でよかった…」

 

 棃沈雲は不安そうにシュウ様を見つめ、棃沈華に至っては涙目になっている。シュウ様はそんな双子を優しく撫でる

 

「もう大丈夫だ。沈雲、沈華。心配をかけてしまったな」

 

 シュウ様は微笑んだ後、綾斗達の方に視線を向ける。

 

「あの…」

 

「君たちが星導館の生徒だね。」

 

 するとシュウ様はふかぶかと頭を下げた。そんなシュウ様の様子に綾斗達だけじゃない、双子たちも驚いた

 

「すまない。私のせいでサザンが暴虐無人に君たちの学園に迷惑をかけてしまった」

 

「え、ちょっ…」

 

「シュウ様、顔を上げてください!」

「そもそもシュウ様をこんな目にあわしたのはこいつらのせいなんですよ!」

 

__≪鳳凰星武祭≫1週間前の事__

 

 界龍第七学院にてシュウ様ことシュウはいつものように鍛錬を行っていた。鍛錬を終えて一息つこうとした時だった。

 

「ちわー!三河屋でーす!星導館からシュウ様に出前を持ってきましたー!」

 

 シュウ様は出前に来た男に不審に思った。かつて今まで自分のことをシュウ様と呼びつける男はたった一人しかいない。自分の不注意で間違えれて星導館に行ったあのサザンだけだ

 

「…ちなみに送り主は誰かな?」

 

「へい!えーとサザンという人ですね!」

 

 珍しい。あの男が私に贈り物とは…とりあえずお金を払って出前の品を見てみる。‥‥カレーだ。

 

「…どういうことだ?」

 

 臭い、見た目、気配。これといって毒を仕込んでいる様子はない。というよりあの男のことだ、何か意味があるのか、それとも挑発か、またはたただの嫌がらせか…。しかしこのようなことも私のせいなのだ。これは業なのだ。あいつの挑発、甘んじて受けよう。

 シュウは意を決してスプーンでカレーを掬い口に入れた。

 

 

「へえ、君たちも鳳凰星武祭に出場するんだ?」

 

 回廊にて、棃双子は李姉妹とばったり会い、彼女たちも出場すると聞いて沈雲は挑発的に笑った。それに反するように菊花は睨み付ける

 

「当たり前ネ!お前ら双子なんか私の剛の拳でけちょんけちょんネ!」

 

「へー、貴女たちが?まだまだえらく大きく出たわね?勝てるのかしら?」

 

「激流を制するは剛の拳、激流に身を任せて同化するのは柔の拳。これが合わさればどんな幻術も負けません」

 

「それじゃあ、今ここでやってみるかい?」

「いいネ!お前らを木っ端みじんにしてやるネ!」

 

 沈華と桜花が心配そうに見つつも、沈雲と菊花はにらみ合い今にも決闘が始まろうとしていた時だった

 

 

  うぐわあああああああっ!!!

 

 回廊にいっぱい響くほどの悲鳴が聞こえた

 

「な、今の悲鳴…」

 

「間違いないネ!シュウ師兄ネ!」

 

 彼らは急いでシュウのいる部屋へ駆けつけ、扉を開けた。そこには苦しそうに悶えているシュウの姿があった。

 

「シュウ師兄!?」

「しっかりしてください!」

 

 李姉妹は大慌てでシュウに駆けつけて容体を伺う。しかし、シュウは苦しそうに呻いているだけでどうすればいいのかわからなかった。さすがの沈華もその様子には青ざめていた

 

「沈雲、どうしよう!?シュウ師兄が返事をしてくれない!」

 

「落ち着け!一体何が…」

 

 沈雲は部屋を見渡してテーブルの上に置かれている皿とスプーンに気づいた。どうやらごはんを食べていたようで綺麗にごはん平らげていたが、皿とスプーンにわずかについている物をよく観察した

 

「これは…どうやらシュウ師兄はカレーを食べていたようだ」

 

「カレー!?まさかお前らシュウ師兄に毒を盛らせたネ!?」

「バカ言わないでよ!私たちだって恩師に毒を盛るほど捻くれてないわ!」

 

「いや違う…」

 

 沈雲と桜花はカレー皿の臭いをかいで気づいた

 

「シュウ師兄が食べたカレーは激辛だ。」

「ええ。しかもこの辛い臭い、誰も口に入れることすらできないほどの辛さです」

 

「激辛!?シュウ師兄は辛いのは苦手じゃあ…」

 

「だからこそ、こいつはシュウ師兄が辛いのが嫌いのを知っていて贈りつけたんだ」

 

 沈雲はテーブルに置かれていたメモをみせた

 

『シュウ様へ   とりあえずカレーを贈ります  食え! by星導館の帝王サザン」

 

 そこにはドヤ顔でアップしたサザンの写真もついていた。

 

「星導館…サザン…シュウ様‥‥」

 

「でも沈雲、シュウ様なら一口食べてすぐに吐き捨てるネ」

「なんで完食する危険な真似を…」

 

「それは…シュウ様は食べ物を粗末にしないからだ。その星導館のサザンという男はそれを知って贈りつけたんだよ。僕がいうのもなんなんだけど…なんて汚いやつだ」

 

 それを聞いた沈華と桜花は泣きそうになり、沈雲は悔しそうにサザンの写真を握りつぶす。

 

「ひ、ひとまずシュウ様を助けるのが先ネ!み、水を!」

 

「菊花、だめだ!水を飲ませては辛味が口に広がり余計にシュウ様を苦しめる!」

 

「沈雲!それじゃあ一体どうすればいいの!?」

 

「沈華、シュウ様にありったけの福神漬けを食べさせろ。菊花は飲むヨーグルトを沢山買ってくるんだ。桜花は僕と一緒に師父に知らせるぞ!」

 

「了解ネ!」

 

「急ぎましょう!シュウ様が危ない!」

 

「シュウ様、しっかりしてください!」

 

「ふがふがっ!!」

 

 菊花は大急ぎで買い出しに行き、沈華は泣きながらシュウ様に福神漬けを食べさせ、沈雲と桜花は一目散に范星露のもとへ駆けた。

 

「なにごとかえ…って、シュウ様!?一体どうした、しっかいりせい!!」

「シュウ様…お茶を!」

「ヤダ―、シュウ様大変ねー」

 

シュウ様ー、シュウ様ー!シュウ様ー!?

 

 この日、界龍第七学院は全体にシュウ様コールが起き、『シュウ様激辛カレー襲撃事件』という界龍第七学院の歴史に残る一大事件へと発展したのだった。

 

_____________

 

「……」

「…サザンのせいだねこれ…」

 

 ユリスと綾斗はもう何も言えなかった。本当にあのアホのせいである。こう双子に目の敵にされても仕方がないとしかいえない…

 

__一方__

 

「あい!サザン様は星導館の帝王だったんですね!」

 

「フハハハ!その通り!この俺こそが帝王なのだ!」

 

 主犯であるサザンはそんなことなんて関係ないかのようにいつものように高笑いしていた

 

 

~*~

 

「紗夜さんたちもがんばってるかな…」

 

 清霜は別のステージで行われている試合を気にしていた。紗夜の試合相手は因縁の相手、アルルカントのカミラ、エルネスタペアが造った戦闘擬身体のリムシィとアルディである。その相手は紗夜に当たる前までの試合、一つも傷がつかず勝ち進んでいる。果たして勝てるのだろうか‥‥

 

「七海、私たちが気にしてもどうにもなりませんよ。…紗夜さんの勝利を祈りましょう…」

 

「そうですよね…よし!私たちも頑張るぞ!」

 

 紗夜さんならきっと勝てる!清霜は気を引き締めてステージへ進む。今日の試合の相手は…たしか…

 

   ステージのど真ん中にそれはいた

 

「‥‥なんじゃい、女子か。」

 

 剛毅義弘はつまらなさそうに睨みをきかしていた。義弘の鬼のような眼をみて清霜はすぐにわかった。この男はただ者じゃない。

 

「お、女だからって痛い目を見るぞ!」

 

「がっはっはっは!女子かと思いきやなんじゃい、ただのワッパか!」

 

「う、うるさい!意味は分からないけバカにしてるな!?」

 

「こら、旦那様!女の子をバカにしてはいけませぬ!」

 

 義弘の後ろから短い茶髪の女の子ぽかぽかと叩く。そんな女の子を義弘はあやす様に撫でる

 

「おおう、すまんのう。じゃが、これまで退屈な戦は久しぶりじゃけん欠伸がとまらんわい」

 

「‥‥この子があなたのパートナーですか?」

 

「はい!義弘の妻、寧々と申します!」

 

「え!?妻!?」

 

 清霜は自分よりも体格が小さく、身長が低い寧々に驚愕していた。

 

「おら、寧々。これから戦じゃ。さっさと離れい」

「はーい!旦那様、頑張ってくださいね!」

 

「…七海。この試合、私に構わず砲撃を続けてください。」

 

 神通は真剣な表情で小太刀を構えた。

 

「え?ど、どうしてですか?」

 

 いくら序列番外位である彼女でさえ義弘ごと狙いをつけて砲撃を続けてもいずれは被弾する可能性もある。

 

「‥それほど、危険な相手ということです」

 

 神通は知っていた。三日前、亨介がメールで『義弘、ヤバイ』と動画と一緒に送ってきたのだ。映像から見て神通は義弘を危険視することにした

 

 彼の闘いは『戦』である。義弘という男は『戦』を生きがいにしているように戦っている。戦いという概念が違っているのだ。下手をしたら一方的な蹂躙。容赦なく襲い掛かるだろう

 

「…わかりました。やってみます!出ろおおおお!『ムサシ』ィィィィッ!!」

 

 神通の考えに察したのか納得した清霜は指をぱちんとならし相棒である『戦闘戦艦・ムサシ』を展開した。

 

 

『さあいつものパフォーマンスで会場を盛り上げる七海選手!それに対するはレヴォルフの戦闘マシーンと恐れられた最凶の男、『鬼義弘』こと剛鬼義弘選手!!果たして試合を制するのはどちらなのでしょうか!いよいよ、試合開始です!!』

 

 義弘は清霜の『戦闘戦艦』と神通の真剣な表情を見て退屈そうな気配が一変した

 

「‥‥前権撤回じゃ。この戦、たのしめるぞ!」

 

 義弘はこれまで試合でやっていた徒手空拳ではなく腰に下げていた紐で刀身が出ないように鞘を縛った刀を取った。彼が見せる覇気は会場も清霜たちをも圧倒させる

 

「さあこい!!存分に楽しませろ!」

 

『≪鳳凰星武祭≫準々決勝第一回戦 試合開始!!』




辛いものにヨーグルト飲料

 インドカレー屋にラッシーという飲み物があります。
 飲むヨーグルトのような感じで柔らかい甘さで辛味を和らげてくれます

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