翡翠色のアスタリスク   作:サバ缶みそ味

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ドーモ、読者サン、翡翠色のアスタリスク、デス

‥‥それではスタートです


奔走と歌姫と時々気配

「さーて、しらみつぶしに探してるが…」

 

 亨介は再開発エリアの廃墟を歩き回っていた。クローディアの情報から廃墟や廃ビルをくまなく探せとのことであるが、いくら探せど収穫はない

 

「うーむ…ここじゃねえか…」

 

 とりあえず絡んできたチンピラ共はその辺に片づけつつ、携帯端末で再びマップを確認する。

 

「これで12件目っと。これだけ収穫がねえとか…」

 

 もしかしてこのエリアではないのだろうか。もう日が沈み暗くなってきている。明日は準決勝に出なくてはならない、刻々とタイムリミットが近づいてきている。このまま迷っていても連中の思う壺だ。どうすればよいか考えていた時、携帯端末からメールが届いた

 

「ん?こいつは綾斗から…?」

 

 

~*~

 

 制服から私服に着替えた綾斗は『歓楽街(ロートリヒト)』を歩いていた。イレーネに手がかりはないか聞き、犯人は警備隊が巡回する再開発エリアを離れ、歓楽街のどこかに潜んでいるかもしれないという情報を聞くことができた。

 

「そういえば、イレーネと一緒にシンとプリシラもいたな…」

 

 イレーネの傍にシンが美味しそうにサンドイッチを食べていたのを見かけた。…というよりそのことは置いといて、フローラを探さなくてはならない。しかし、

 

「…こんなところにいるのかな…」

 

 歓楽街は再開発エリアと違い、パブや飲食店、クラブにカジノと夜中でも煌々とネオンライトや照明で街を照らす夜の街である。こんな派手なところで見つかるのだろうか。今は何としてでも見つけなくては

 

「そろそろ亨介と合流するはずなんだけど…?」

 

 数時間前に亨介にメールを送り、亨介はこちらに向かっている。すでに合流してもおかしくないのだが…

 

「おいっす。悪い、遅れちまったー」

 

「亨介、よかった来てくれtry…」

 

 亨介の声を聴いて綾斗は振り向いたが、綾斗はぎょっとした。亨介は髑髏の絵が描かれた黒のTシャツにヒョウ柄の派手なシャツを羽織り、ラメのついた黒いズボンを身に着けていた

 

「ドーモ、ホスト№1のきょーすけです☆」

 

「…なにやってんの?」

 

「いやー、歓楽街って聞いたからさ。変装してきたぜ☆」

 

「‥‥」

 

 綾斗は引いていた。確かに歓楽街での捜査だがそこまでしなくてもいいのに。…サザンのせいで溜まったストレスをここで晴らしているのだろう、綾斗は一応寛大なお心で許した。

 

「兎に角、手がかりを探そう」

 

「リョーカイです☆」

 

「うん、やっぱりそこまでしなくていいから」

 

 一先ず亨介と共に歓楽街を歩き回った。しかし、イレーネの言っていたように勝手に押し入ることはできない。歩みを止めれば客引きが寄ってくる。何回か無理やり店に入れられそうになったり、亨介をホストと間違えて寄ってくる人もいたりとしていた。客引きにフローラのことも尋ねてみるが手がかりは皆無だった

 

「困ったな…」

 

「これだけの人に店も多いからな。一つ一つ探しても無理そうだぞ」

 

「亨介、もっと奥の方を調べてみよう」

 

 歓楽街でもさすがに人だかりが多いところには潜まないだろう。綾斗と亨介は路地裏へと進んでいった。先ほどまで派手に照らしていたライトの光は薄暗くなり、辺りは薄らぐ、ピンク色のネオンライトで光らす如何わしいお店ばかりが立ち並ぶ

 

「はえー、こりゃまた大人の階段を登りそうなとこだな」

 

「何言ってんの。さっさと探すよ」

 

 さらに奥へと進んでいく。案の定、客引きの姿もなく、ライトの光も少なくなり、ますます暗くなってきていた。この様子はまるで再開発エリアと近い状況であった

 

「おい、そこの兄ちゃんらよ」

 

 綾斗達の後ろから低い声がかけられてきた。後ろを振り向くとグラサンを付けた厳つい男たちが三人、綾斗達を睨んでいた。

 

「…えっと、なにか?」

「そうだぜ☆別に俺達はヤラシイことなんて考えてねーぜ☆」

「うん、変な勘違いされるからちょっと黙ってて」

 

 男たちが放つ気配は剣呑で、あまり穏やかな様子ではなかった

 

「…てめえらだなぁ?ここいらで何か嗅ぎまわってんのは」

 

「警備隊の犬ではなさそうだが…ちょいと面を貸してもらおうか、詳しい話を聞かせてもらいたいんでな」

 

 どうやら男たちは歓楽街を取り仕切っているどこかのマフィアの手の者らしい。できるだけ怪しまれないように気を付けていたのだが、さすがに普段から警戒している身、思っていたよりもはやい。

 

「…しかたねえな『つら』を貸してやるか」

 

 え?綾斗は亨介を見た。亨介は自分が囮になって時間を稼いでその隙に逃げてくれという合図なのだろうか。だが、亨介もあまり騒いではいけないはずだ。どういうつもりなのか見ていると亨介は懐から何かを投げた。

 

「‥‥え?なにこれ」

 

「『つら』だよ。欲しかったんだろう?」

 

 亨介が男たちに投げたのは変装用に持ってきた黒い派手な被り物。男たちはみるみる顔を赤めて怒りが噛み上がっていく

 

「『つら』じゃなくて『ズラ』じゃねえか!!」

「スッゾゴラー!!」

「ザッケンナ、コラー!!」

 

「おおう!?サツバツナイト!?」

 

「いや、そんなことしたらふつうに怒るからね!!」

 

 男たちを怒らせて綾斗と亨介は一目散に逃げ出した。案の定、ヤクザと化した男たちは二人を追いかけていく。二人は表通りへと出て人込みに紛れようとメインストリートへと走った。 しかし、メインストリートには先ほどと同じ空気を纏った男たちがこちらを見ていた。

 

「これはまずい…」

 

 後ろからは「ザッケンナ、コラー!」と叫ぶ男たちの声が近づいてきている。しかしこのままメインストリートに入っても見つかるのは時間の問題だ

 

「綾斗、俺が時間を稼ぐ。お前はその隙に離れてろ」

「…さっきそうしてくれてたら嬉しかったけど、わかったよ」

 

 考えをまとめてさっそく行動に移そうとした時だった

 

「__ねえ、キミたち。もしかして追われてる?」

 

 雑踏と喧騒の中、静かに落ち着いた声が聞こえた。

 

「困っているなら、助けてあげようか?」

 

 綾斗と亨介の少し前にある回廊を支える柱に大きめの帽子を被り、栗色の髪を無造作に束ね、ジーンズにゆるめのブラウスの少女は背を預けるようにしてこちらを見ていた

 

「ええと、どこかであったような…?」

「…以前お会いしてたっけ?」

 

 綾斗達はこの少女の声に聞き覚えがあるような気がしてたずねた

 

「んー?たぶん初対面だと思うよ。それよりいいの?のびりしていたら追いつかれちゃうよ?」

 

 少女の言う通り、ますます「ザッケンナ、コラー!!」の声が近くなっていた。

 

「…頼む、手を貸してくれ」

 

 少女の問いに亨介は即答した。綾斗は少し驚いていた。少女は何者かわからないし、もしかしたら罠の可能性もある。だが、綾斗は少女の言葉には偽りがないと感じた。おそらく亨介もそう感じたのだろう

 

「…助けてもらえるかい?」

 

「OK。それじゃあこっち、こっち!」

 

 少女は二人の手を取り反対側の路地裏へ駆け込んだ。「ザッケンナ、コラー!!」と男たちの声が後ろから聞こえてくるが、少女は路地裏を右へ左へと曲がりながら細い道へと進んでいった

 

「…」

 

 路地裏の道に詳しいのかと亨介は感心していたが、少女は走りながら何かを口ずさんでいるのが見えた。

 

「…歌?」

 

 少女は歌を口ずさんでいるようだ。すると少女の周りに万応素がざわめいているのをに気づいた。どうやらこの少女は『魔女』のようだ

 男たちの気配も薄れていき「ザッケンナ、コラー!!」の声も聞こえなくなった。気づけば周りはほとんど崩れかけた廃墟ばかりになっていた。少女の足ははやく、手は柔らかく暖かい。

 

「ふう、ここまでくれば大丈夫ね」

 

 少女は息切れはしていない。かなり鍛えているようで、手練れのようだ。

 

「ありがとうな、助かったぜ」

「助かったよ。俺達だけじゃ切り抜けれなかったかもね」

 

 

 亨介と綾斗は少女にお礼を述べた。

 

「ふふっ…それにしてもどうしてあんな奴等に追われていたの?」

 

「…サツバツナイト」

「さ、さつばつないと?」

 

「うん、気にしなくていいからね。…ちょっとした用事でね…」

 

「あ、そうなんだ…歓楽街は今≪星武祭≫で警備が強化されてるからね、マフィア連中は見回りを強化しているの。ピリピリしていたところ危なかったわね」

 

 なるほど、≪星武祭≫でアスタリスクに人が押しかけている。歓楽街に足を延ばす人もいるだろう、いくら黙認状態の歓楽街とはいえ警備隊も取り締まりを強化しているのだろう。

 しかし、取り締まりの強化だけじゃない。人も多く派手になる歓楽街には犯人も身を隠すことは難しいはず。やはり歓楽街ではないのか…そうだとすれば時間を浪費している場合ではない。すぐに切り上げて他の場所を探さなくては。綾斗は亨介に目で合図した。亨介は頷き少女に尋ねた

 

「ありがとうな。できればお礼をしたいんだけど、時間がなくてな…」

 

「いいよいいよ、気にしないで__千利亨介くんに天霧綾斗くん」

 

「「っ!?」」

 

「おおっ、すっごい反応速度。さすがは大会の注目カードの選手ね」

 

 綾斗と亨介はとっさに後ろへ下がり距離を取る。少女は感心したように手を叩いた

 

「でも、そんなに警戒されるとちょっとショックだなぁ」

 

「…どうして俺達の名を?」

 

「変装しているつもりだけど…あ、亨介君のほうは一瞬でバレバレなんだよね」

 

「あ、やっぱり☆」

 

 どういう調子なのか、綾斗は静かに亨介の頭を叩いてツッコミを入れた

 

「二人とも有名人なんだから、もうちょっと変装しないと。あ、亨介君は別の意味で有名なの。たしか…サザンのツッコミ役とかで?」

 

「あのアホ‥‥」

 

 亨介はしょんぼりと肩を落とす。綾斗の脳裏では「フハハハハ!」とあくどい顔で高笑いするサザンの笑顔は通り過ぎた。

 

「一応断っとくけど、星導館の有名人だからって助けたわけじゃないからね」

「じゃあどういうわけで?」

 

 亨介の問いに少女はにっこりと笑って答えた

 

「困っている人を助けるのは当たり前でしょ?」

 

 少女の笑顔に亨介と綾斗はぽかんとしたがすぐにすまなそうに笑って答えた

 

「…わるいな、助けてもらってんのに」

 

「あはは、君たちってほんといい人ね。別に私は…」

 

 ふいに少女が口を噤み、何かの気配に気づいた亨介とともにやってきた方向に首を向けた。綾斗も一瞬遅れて気配のする方へ向ける。

 

「やれやれ、こんなところまで逃げてたとはなぁ…追いかる方の身にもなれってんだよ」

 

 月光に身を照らされた男は気だるそうに言った。浅黒い肌に無精ひげ、カーゴパンツにTシャツとラフな格好だが、ベルトには煌式武装を鈴なりに括りつけていた

 

「で、おまえさんらかい?こそこそと人探しをしているようだがウチの連中が気にしちまってよお。ちょいと顔をかしてもらおうか?」

 

「…お前もこれが欲しいのか?」

「いや、だから『ズラ』じゃないからね!というかまだ持ってたの!?」

 

「連中からは野郎二人と聞いたが、女もいるじゃねえか。俄然ヤル気がでてきたぜ」

 

 男は下卑た笑みを浮かべながらナイフ型の煌式武装を展開させ、ぎらりと少女を睨み付ける。だが少女は何事もないかのように見ていた

 

「ふうん、元界龍第七学院の序列七位、≪双蛇≫のグエンさんかぁ。まさか≪王竜星武祭≫のセミファイナリストがマフィアの使い走りに堕ちたなんてね」

 

「なあに、昔の話さ」

 

 少女はグエンに立ちはだかる。まずい、最悪グエンとの戦闘になったとしても少女を巻き込むわけにはいかない。綾斗が二人の間合いに入るべく踏み出そうとした時、綾斗の胸元にナイフが迫っていた

 

「あぶねぇっ!!」

 

 亨介がとっさにデッキブラシを展開してナイフを叩き落とす。

 

「ちっ、邪魔をすんじゃねぇぞ小僧共」

 

 グエンが声をかけていた時はすでに少女の間合いに入っていた。「危ない!」と綾斗は声を駆け出す寸前、少女はグエンの攻撃を軽々と片手で捌いていた

 

「なっ!?」

 

 グエンは驚愕していた。なかなかやる、本気を出して仕留めてやると動いた時だった

 

「…こんなもんか、もう十分よ」

 

 少女はグエンの素早く迫り、鳩尾に強烈な蹴りを叩きこんだ。声を出さずに悶絶したグエンは吹き飛ばされてビルの壁にぶつかり、ぐったりと動かなくなった。

 

「…全盛期のあなただったらこんなことにならなかったのにね…」

 

 少女は残念そうにつぶやいてぐるりと亨介達に向けた

 

「…さて、ところで君たちは誰か人を探しているの?」

 

「え?」

「ほら、さっき彼がいってたからさ…」

「あー‥まあな」

「ひょっとしたら力になれるかもしれないけど、どうする?」

「…君が?」

 

 綾斗の問いに、少女は悪戯っぽく微笑んで指を上の方へ向けた

 

「うん、でもその前に…ちょっと場所を変えようか」

 

~*~

 

「はい、到着ー!」

 

 少女は元気よく手を伸ばす。このあたりで一番高い建物のようで、再開発エリアをぐるりと一望できる。頭上には満点の星、しかし、東の空は明るくなっている。もうすぐ夜が明ける

 

「ごめんね、急いでいるのに時間をとらせちゃって」

 

「ううん、それより協力してくれるのはうれしいんだけど、君まで巻き込むわけにはいかないよ…」

「綾斗、お前は自分ひとりで考えすぎだ。俺もいるんだぜ、最悪俺が彼女を守るさ」

 

「ふうん…少しずつ君たちのことが分かってきたかも」

 

 少女はにやにやして二人を見る

 

「例えば、自分が大変な状況にあっても他人を慮ることができる優しい人。でも同時に自分だけ背負い込みがちで、あまり他人を頼ることができない人」

 

「う…」

 

 綾斗は息詰まった。ユリスにもほぼ同じことを言われているのだった。

 

「ほらほら、言われてますぜ綾斗さんよ~」

 

「…で、貴方は他人がどんな窮地に堕ちていても見捨てないで全力で助けて、導いてくれる心優しく、強い人。でも…自分の窮地には誰も巻き込ませないようにと必死に隠して戦っている…」

「‥‥」

 

 彼女の言葉に亨介は目を見開いていた。そんな様子を見た少女は優しく微笑む

 

「ごめんなさい、よけいな詮索かしら。…さてと、それじゃあ…どんな人を探しているの?」

 

「あ、いやでも…」

 

「安心して、別についていったりしないから。探している人はどこにいるかわかればいいんでしょ?」

 

 少女はそういうと、周りの万応素がざわついた。どうやら『魔女』の類のようだ。

 

「もしかして探知系か?」

「ウーン、探知系じゃなけど、一応それもできるかな?それで、イメージするのに必要なんだ」

「わかった。探しているのは女の子で、年齢は十歳、名前はフローラ」

「一応確認しておくけど、迷子じゃいのよね?」

「ああ、誰かに捕まってる。犯人は…推測できるけどまだわからねえ」

「ん、そっちはいいかな。その子の容姿と性格は?あと写真もあればそれも」

 

 綾斗と亨介は少女に知っている限りのフローラの性格と容姿の特徴を教えた。

 

「ほかにも必要なら詳しい人を呼んでくるけど?」

「ううん、大丈夫。これでいけると思う。ちょっと待ってね」

 

 少女はそう言って俯き、小さな声でぶつぶつとつぶやいた。能力の発動にはいろいろと条件やそれぞれのやり方があるのでその一環だと二人は判断した

 

「__よし、こんなもんかな。始める前に…ひとつ約束してほしいの」

「約束?」

「これから起きることは誰にも話さないで秘密にすること」

「…おk、任せとけ」

「良かった。じゃあ始めるから地図を用意して。なるべく大きいのがいいかな」

 

 綾斗は言われて携帯端末を起動させ、ウィンドウを最大へ変更し再開発エリア一帯の地図を表示する

 

「よし、これで…」

 

 少女は帽子を脱ぎ、束ねていた髪を解く。ヘッドフォン型の髪飾りに触れると栗色の髪が鮮やかな紫の髪へとかわっていく。地味でひっそりとした空気が一瞬にして夜明けのように鮮やかで美しい姿へと変わっていく。亨介と綾斗は息をのんだ。この少女は知っているし、見たこともある。世界中で知らないという人はいない。

  

  至高の歌姫

  世界最高のアイドル

  クインヴェール女学園生徒会長にして序列一位

 『戦律の魔女(シグルドリーヴァ)』の二つ名を冠する、前≪王竜星武祭≫の準優勝者

 

「シルヴィア・リューネハイム‥‥」

 

 亨介と綾斗は唖然としたままつぶやく。シルヴィアはそんな二人に微笑んで羽を広げるように両手を広げる。その背後から昇りたての朝日が眩い光を投げかける。そして彼女は歌いだした。その歌声は凛として強く、少しもの悲しい民族音楽のような旋律を醸し出す

 

「…すっげえ…」

 

 亨介はただただその一言しかだせなかった。嵐のように巻き上がる万応素をシルヴィアは巧みに操り、組み替えていく。彼女は今現在世界でもっとも有名な歌姫であり、そして最も有名な『魔女』である。

 彼女の能力は『万能』。シルヴィアは『歌』を媒介として、自身のイメージを様々に変化させることが可能なのだ。イメージを内包するような歌を歌うことによってあらゆる事象を呼び起こすことができるのだ。

 

 「思考と記憶の黒き御使いよ、我が前に舞い降りて疾くと示せ__」

 

 シルヴィアは歌い終わると、地上に黒い二枚の羽が漂い、くるくると回転していたがその円がしだいに狭くなっていく

 

「…ふむ、どうやら歓楽街のはずれ、北側の一角ね」

 

「ここにフローラが?」

 

「うん、よほど協力な探索能力対策を取っている限り間違いはないかな。」

 

「…ありがとうよ。本当に助かったぜ」

 

 亨介はシルヴィアに頭を下げる。今まで手探りの状況だが、これで希望が見えた

 

「うふふ、お役に立ててなにより。それじゃあ私はこれで失礼するね。実はもう戻らないとマネージャーにどやされちゃうんだ」

 

「あ、そうだ…連絡先を教えてほしいんだが?」

 

 思い出したように慌てて話す亨介にシルヴィアはぽかんとしていた

 

「これまでしてくれたんだ。何かお礼をしないとな。でも時間がねえから今後にでも、なあ綾斗」

「うん、いろいろと聞きたいことも…って亨介!」

 

 綾斗がはっとして亨介に教えた。相手は世界の歌姫なのだ。連絡先を教えてくれるはずがない。しかし、我慢しきれなかったのかシルヴィアは吹きだした

 

「…ぷっ、あはははは!いいね、そんなふうに口説かれたのは久しぶりね!」

「あ、いや、口説いたわけじゃあ…」

 

「シルヴィでいいよ。親しい人はみんなそう呼んでくれるし」

 

 シルヴィアはそういうと携帯端末を取り出して亨介と綾斗の携帯端末に向けた。直後二人の携帯端末の着信音とともにアドレスが送られる

 

「これ、私のプライベートアドレスだからいつでも連絡して。あ、でもここのところちょっと忙しいかな?」

「お、おう」

 

「うふふ、実のところ、亨介くんと綾斗くんには会う前から少し興味があったんだ。今日こうして直接話してみて、それがますます強くなったみたい」

 

 シルヴィアは楽しそうにいって帽子を被る

 

「それじゃあ頑張ってね、亨介くん、綾斗くん。及ばずながら、私もフローラちゃんの無事を祈ってるわ」

 

「…ありがとう、シルヴィ」

 

 綾斗はシルヴィアに微笑んだ。亨介もシルヴィアに感謝の言葉を言おうとした時だった

 

 

 

 

 

_____コレハ、イイ『タカラ』デハナイカ_____

 

 

  ぞくりと、亨介の背後から冷たく、恐ろしく、残酷な、気配をものすごく感じた。亨介はすぐさま後ろを振り向いた。そこはなにもない、ただ暗い穴。何の気配もなかった

 

「?亨介くん、どうかした?」

 

「あ、いや…なんでもない。ありがとうな」

 

 亨介は先ほどの恐ろしい気配の感覚が離れなかった

 

(‥‥まさか、奴がいるわけが‥‥ねえよな?)




ザッケンナ、コラー!!
肝心のシルヴィアの歌の台詞省いてんじゃねーか!スッゾオラー!

戦闘描写もそのほかの描写うまくないんです!
サヨナラ!(爆発四散)
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