翡翠色のアスタリスク   作:サバ缶みそ味

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今まで溜めていたデータが消えた/(^o^)\/(^o^)\ナンテコッタイ

申し訳ありません、翡翠色のアスタリスクは更新ペースが遅くなります。
ご承知の上お願い申し上げます


悪夢と悪鬼と時々悪意 後編

 _準決勝一回戦前日、レヴォルフにて_

 

 ディルクは相も変わらず不機嫌な顔をしていながら映っている映像を見ながら考え事をしていた。

 

「…毛利の野郎…なんのつもりだ…?」

 

 準々決勝で毛利直家は千利亨介に碌な抵抗もせずにそのまま負けを宣言してそそくさと去っていったのだった。千利亨介の次の相手は剛鬼義弘、奥の手として出した手ではあるが何分自由すぎて歯止めが利かない…。本来ならば毛利が勝ち進んでこちらの都合のいい状況になる予定であった

 

「まあいい。どう転ぼうとも狙いは『黒炉の魔剣』に変わりはない」

 

「おうおう!ディルク、いつも機嫌がわるそうじゃないか!」

 

 寧々を連れて義弘がずかずかと上機嫌で生徒会室に入ってきた。先の試合でいい戦いができたのか彼は満足げだ。

 

「ふん…てめえは気にする必要はねえ。ただ戦って勝ち進めりゃいい」

 

「あっはっは!!おまんのおかげでよか相手ば見つかったわい!」

 

 ディクルの傍でガクガクブルブルと震えていたコロナがひょっこりと顔を覗かせて義弘の様子を伺っている

 

「あ、あの…次の試合の相手は千利亨介さんですけど‥‥た、対策とかは…?」

 

「おう!ただ戦って叩き潰すのみぞ!」

 

 ドヤ顔で答える義弘の答えにコロナはただぽかんとしている。ディクルはため息をつく

 

「コロナ、こいつの答えに期待するな。…で、勝てると思うか?」

「ああ!あいつば倒してはようロボとか『黒炉の魔剣』と戦をしたいのう!」

 

「あ、あの…ディルクさん…お聞きしたいことが…」

 

 先ほどまで様子を見て黙っていた寧々は顔を赤らめてディクルに問いかけた

 

「ゆ、優勝したらどんな願いもかなえられるのですよね…?」

「…何度も質問させんじゃねえ。その通りだといってる」

 

 ディルクの答えに寧々はぱあっと明るい笑顔を義弘に見せる

 

「でしたら、義弘様!寧々と一緒にレヴォルフで式を上げましょう!」

「はっはっは!試合ば勝てればの話じゃがのう!では戦果を期待しとき!」

 

 義弘は寧々を連れて出ていった。相変わらず喧しい野郎だとディクルは大きく息を吐いて外の景色を見る。外は日が沈みかけ夕焼けの日差しが窓を照らす

 

「…コロナ。占え」

 

「あ、は、はい!えと…な、なにをしましょう?」

「明日の試合、義弘は勝つか?」

 

 コロナは頷いて、床に占いに使うカードを広げて占いを始めた。万応素が漂いだし、コロナの周りは白い光を発していた。コロナの能力は占いを通して『予知』を行う。ディルクは彼女の占いの結果を聞いて様々な手を張り巡らせているのだ。ただ、占いに行うには『一日一回』、『おこなう時間が夕刻』などと条件がそろわない限り発動できない。さらには彼女の占いは『外れる』のだ。

 

「あ、あの…終わりました」

「で、結果はどうなった?」

 

 ディルクの問いにコロナは困ったような表情をしていた

 

「残念ですが…明日の準決勝、義弘さんは千利亨介との戦いには『負ける』ようです…」

「なんだと…?」

 

 コロナの占いの結果にディルクはぴくりと反応した。今までは『よい』結果でその逆で手を打っていたのだがまさか『よくない』結果は出るとは…さて、様子を見ておくかどうかとディクルは深く考え込んだ

 

___

 

「おらおらぁ!力ばはいっとらんぞぉ!!」

 

 義弘の怒声とともに刀を力いっぱい振るう。亨介は義弘の一撃一撃を防いだり躱しているのだが押され気味であった。

 

「くそっ…こんな時に溜まった疲労がぶり返してくるなんてよっ!」

 

 亨介は愚痴をこぼしつつ、義弘の攻撃を躱し、カウンターでデッキブラシを薙ぐが義弘は軽々よ避ける

 

「…甘か!甘か甘かぁ!!」

 

 自分用の椅子に座って寛いでいるサザンはそんな二人の戦いぶりを遠くで見ていた

 

「…亨介め、ついにへばったか?」

 

「いえいえ、亨介さんはまだ力を温存していると思いますよ?」

 

 いつの間にか寧々はサザンの隣で座布団を敷いて様子を見ていたのだった

 

「ふむ…そうとなると亨介は好機を伺っているのか?」

「うーん…伺っているというより、躊躇っているようにみえます。あ、実況はサザンさんと解説は義弘の許嫁、寧々でお送りします!」

 

『こらそこー!私たちの出番を取らないでくださーい!!』

『ほらほら、張り合わないで実況するっすよ。寧々選手のいう通り、千利選手は何かに躊躇っているようっすね…奥の手でもあるんでしょうっすか』

 

 義弘は攻撃を続けていたのだが、突然腕を下げて亨介を呆れるように見つめた

 

「…なんじゃい、闘ってみりゃぁなにを恐れちょる?それじゃあ俺を倒せないぞ?」

 

 する義弘は腕を大きく広げ挑発するように亨介に不敵に笑う。亨介は警戒するように身構える

 

「…なんのつもりだ」

「そんなら、一撃だけ攻撃を許しちゃる。おまんの渾身の一撃を放ってみい!」

 

 義弘の挑発に亨介は翡翠色のデッキブラシを強く握りしめる。

 

「くそが…ばかにしやがって…!」

 

 亨介は星辰力をフルに高めて義弘めがけて駆ける。一気に駆けてデッキブラシを思い切り振り下ろした。大きな一撃が響き、土煙が舞い上がった。会場は息を飲むように静まり返った。

 

 だが、土煙が消えて見えてきたのは義弘の身体には傷一つもなく、逆に亨介のデッキブラシがバキっと割れていた。さらには握りしめていた手には血が流れている

 

「うそだろ…渾身の一撃なのに…なんで、なんで俺の方が怪我してんだよ…!」

 

 驚愕していた亨介に義弘は愛想を尽かしたような眼差しで見つめ、ため息をひとつつく

 

「…他愛なか」

 

 亨介の腹部めがけて強烈な蹴りを入れた。

 

「がはっ!!!」

 

 怯む亨介に追い打ちをかけるように刀で何度も殴り、さらに鳩尾に拳をぶつけた

 

「おおおおおっ!!!」

 

 義弘の雄叫びとともに亨介を上方へ打ち上げる。亨介は高く飛ばされ、義弘は大きく高くジャンプをした。一気に亨介を通過し、刀を思い切り振り下ろした

 

「チェストオオオオオオッ!!!」

 

 亨介の体に強烈な一撃が叩き込まれ、一気に叩き落された。叩き落された場所は大きくへこみ、亀裂がステージ全体に広がっていた。大の字に倒れている亨介を義弘は睨み怒声を飛ばす

 

「お前の実力はそんなもんか!そんなおもちゃみたいな技か!俺にわかるぞ、お前は奥の手があるがそれに怖くて出すのをおしんじょる!」

 

 義弘の怒声が痛む身体に骨に全身に響き渡る。全身の痛みに耐えながら亨介はゆっくりと起き上がる

 

「…どいつもこいつも人の事情をしらないでずかずかといいやがって…」

 

「はん!その程度ちゅうんなら…刃物ば使えんと俺に傷一つもつけんぞ?」

 

 

___ハモノ?__

 

 ぞくりと、亨介の体が震えた

 

__ハモノデアンナヤツキザンジャエヨ__

 

 今までなっかた。息がこんなにも苦しくなるなんて

 

__ソレデサ、コロシチャエ!ボクヲタノシマセテヨ!__

 

 めまいもする…意識が遠のきそうだ…

 

__タメラワナイデクルッチャイナヨ!クルッテクルッテクルッテ…ミーンナコロシチャエ!__

 

 そうだ…あいつに勝てないなら…コロシてしまえば…

 

__ウバワレタカナシミヲブツケチャエ!__

 

 ハモノで…あんなやつを…

 

 

 

『亨介先輩は何を恐れているんですか?』

 

 

「!!」

 

 一瞬、脳裏に綺凛の言葉がよぎり、思いとどまった。自分は何て愚かな事をしてたんだろう。

 

「俺は…ああくそっ!」

 

 亨介は自分のほほを思い切り殴った。

 

「おらあああっ!!」

 

 そして義弘に負けないぐらいステージに響き渡るほどの雄叫びを上げた。

 

「こんなことで狂ってたまるかよ!おかげで逃げるのはやめだぜ!」

 

 亨介は右腕に星辰力を最大限に高めた。右腕は翡翠色の光の多く漂っている。

 

「見せてやるよ!俺の本気ってやつをな!『翡翠の悪魔(ジェード=ベリル)』、Lv2!」

 

 亨介の周りに漂っていた翡翠色の光が右手に集束し、大きな渦が巻き上がった。大量の万応素が凝縮され、亨介の右手には翡翠色の木刀が握られていた

 

「…なんじゃ、刃物ではないのか」

「刃物じゃなくて悪かったな…でも、なめてかかってると…」

 

 義弘が気が付いた時には亨介が目の前にいた。

 

「大怪我すんぜえええっ!!」

 

 義弘の体に木刀の一撃が叩き込まれた。今大会で初めて強烈な一撃を貰い、義弘は怯みながらも大喜びをした

 

「それじゃ!俺はそんな一撃を欲しかったわい!」

 

 義弘は亨介に反撃の一撃を入れる。亨介はその一撃を受けてもひるむことなく木刀の一撃を入れる。互いが互いにノーガードで攻撃をしあっていたる。両名ともこの戦いに喜んでいた。

 

『な、なんという戦いでしょうか!?両名ともノーガード戦法で攻めています!』

『どちらかが倒れるまで続くようっすね。…でも、千利選手の様子は…』

 

 義弘は気づいた。亨介はダメージを負っても尚、この戦いを楽しむように半ば狂気を感じる笑みで攻撃をしていた。だが、その狂気に溺れないよう耐えているのも見えた

 

「はっはっは!!これは楽しか!!寧々ぇ!!」

 

 義弘は寧々に向けて何かを投げた。寧々はそれを受け取ると確認をする。義弘は鞘の紐を解いて、鞘を投げ渡したのだった。今、義弘の刀は刀身があらわになっていた。刃がぼろぼろに欠けて、もはやナマクラ以下の刀である

 

「…そんな刀で戦って来たのか?」

「おう。俺はこまけえ技はない。だが、人以上に星辰力があふれるほどあってのう。唯一俺のフルに高めた一撃を耐えたのがこん刀よ」

 

 義弘はニッと笑う。彼の星辰力が爆発的に放出され、さらには赤いオーラがあふれ出していた。

 

「さあ、どっちの一撃が強いか勝負じゃ!」

「…面白れえ、やってやろうか!」

 

 亨介も星辰力を最大限に高める。翡翠色のオーラがあふれる。亨介は木刀を構え義弘を睨む。

 

 「「おおおおおおッ!!」」

 

 怒声と共に二人は一気に駆けて互いの一撃がぶつかり合った。翡翠色と赤色の光があふれるように光り、爆発音とともに土煙が舞い上がる

 

『こ、これは大きな一撃がぶつかり合いました!!さあ立っているのは果たしてどちらなのでしょうか!?』

 

 実況も会場もごくりと息を飲む。土煙が消えて様子がくっきりと見えてきた。そこにはずるりと倒れてる亨介の姿が見えた。

 

 

『千利亨介、意識消失』

 

 機械音が静かな会場に響く

 

『な、なななな、なんと!遂に単騎無双で倒れることがなかった千利選手がダウンです!?』

『いよいよサザン選手の実力が見れるんっすね!』

 

「やったー!義弘様!!」

 

 寧々が嬉しそうに義弘に駆けつけた。だが、義弘は満足していない様子だった

 

「義弘様…?」

 

「…こいつとの試合には勝った…だが、勝負には負けたようじゃのう」

 

 義弘の身に着けていた校章が粉々に砕けた。さらには今まで自分の星辰力に耐えていた愛刀もボキリと折れている

 

「…あっはっは!!やはり面白き男よ!!寧々、この勝負俺達の負けぞ!」

「…はい…義弘様が負けと申すなら‥私たちの負けですね」

 

 

『剛鬼義弘&寧々、試合放棄!勝者、千利亨介&南星サザン!!』

 

 機械音が再び会場に響き渡る。そして一気に会場を飲み込むように歓声が沸きだす

 

『なんということでしょうか!?千利選手!サザン選手を戦わせないまま決勝戦へ進出です!?』

 

 歓声の渦の中、ずっと座ってみていたサザンが倒れている亨介の元まで歩みより見つめていた

 

「…フハハハ、亨介。お前の戦い、実に面白いな」




嗚呼…ついに決勝戦なのね…

その前にフローラ救出作戦にはいりまーす('ω')ノ
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