翡翠色のアスタリスク   作:サバ缶みそ味

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遅い更新で申し訳ありません!

*お知らせ

 翡翠色のアスタリスクは金曜日もしくは土曜日にて更新致します

 ものすごくペースが遅くなります。本当に申し訳ありません!


決勝と奮闘と時々必殺技

 今日見た夢は全く覚えていない。いつも目が覚める寸前まであの『悪夢』を嫌でも見せられる。それもそのはず、俺は『アレ以降』のことは覚えていないのだから。忘れたい過去は振り払えないか…

 

「今日は決勝戦か…」

 

 そうつぶやきながら起きる俺。遅刻である

 

__*__

 

「まったく、途中で私が亨介を見かけていなかったら不戦勝で負けていましたよ?」

「め、面目ねえ…」

 

 大急ぎで駆けている最中、車で向かっているクローディアが拾ってくださいました。ぎりぎり入場ゲートまで間に合うことができた

 

「…やっぱり棄権はしないのですね」

「当たり前だ。こちとらソロでここまで頑張ってこれたんだからな」

 

 そう、決勝戦までオレ一人でここまで上り詰めることができた。いやはや、長かった。おや?まだ終わってないのに涙が…というより、俺を苦しめたあのアホがまだ来ていないんだが…

 

「ま、間に合いましたーっ‼」

「ぎりぎりだったな…」

 

 そう考えていると、シンと清霜ちゃんが駆けつけてきてた。応援に来てくれたのかと亨介は嬉しそうに思っていた矢先

 

「サザンさん、こっちです!」

「ほら、さっさと来ないか!」

 

「フハハハ!主役は遅れてくるのが定石であろう?」

 

 清霜ちゃんが引っ張りながらサザンを連れてきてくれた。お前も遅刻してたのかよ!と亨介は思いながらずっこけた

 

「お前もかよ…!」

「フハハ!そう睨むな、亨介。この帝王の素敵なシナリオを考えていたのだ」

「…一応聞こうか?」

「うむ、俺がわざと遅れる→亨介、一人で奮闘→亨介敗れる→奴らは勝ちムードのところをこの俺が颯爽と見参!帝王の力で蹴散らし、アスタリスクの帝王となる!」

 

「シン、クローディア、俺を抑えないでくれ!マジで殴る!」

「落ち着け、亨介!このままでは奴のペースだ!」

「そうよ、亨介。まだサザンが帝王になるとは決まってませんから!」

 

 ステージの方から観客の歓声が響いてきた。どうやら綾斗とユリスが出場したようだ。

 

「…いよいよだな」

 

「亨介先輩ファイトです‼」

 

 清霜ちゃんは元気いっぱいに応援してくれる。ほんとこの子は明るい子だな…

 

「ありがとうよ。ま、頑張ってみるさ」

 

 実況と解説による綾斗とユリスのこれまでの闘いの流れと解説が終わる。遂に俺達の番になった。

 

「いくぞ、サザン。決勝戦だ」

「フハハ!今日こそ奴らに引導を渡してやろう!」

「主にそれ俺の仕事じゃねえか?」

「…うむ。ここまで来れたのは貴様のおかげだな。何か帝王も褒美を与えねばならんな…」

 

 珍しいな。サザンがそんなことを考えるなんて。たぶん綺凛ちゃんがサザンを叱ってくれたのかな…

 サザンは咳ばらいをして、俺を見るや否やいつもの悪役のような笑顔で

 

「ウソでーす☆引っかかってやんのー‼」

 

___*__

 

 

「ついに決勝戦だね、ユリス」

「ああ…長かったな…」

 

 綾斗とユリスは広いステージを一望する。昨日までの激戦がさっきまで行われていたような気がする。

 

「…亨介とサザンか。できれば戦いたくなかった相手だな」

 

 ユリスはため息をつく。それもそうだ、亨介は一人で戦い抜けるほどの実力を持ち、そして高みの見物をしていたサザンは未だ実力を見せていないので手口はわからない。

 

「でも、勝たなくちゃ。やるしかないよ」

 

 綾斗の言葉にユリスは笑って頷く。これで最後なんだ。どんな相手でも全力で勝ち抜こう

 

『さーて、天霧選手&リースフェルト選手の決勝戦の相手をご紹介いたしましょう!今までこんなことがあったでしょうか!タッグなのにたった一人で戦い抜いた男と、結局最後までルールを理解しなかった男!星導館のダークホースタッグ、千利亨介選手と南星・サザン選手です‼』

 

 実況の紹介と観覧席の歓声とともに入場ゲートが開かれる。颯爽と亨介とサザンが出てくるかと思いきや亨介とサザンが取っ組み合っている姿が見えた

 

「てめー!もう堪忍袋の緒が切れた!試合が始まる前にお前を殴る!」

「フハハハ!やってみるがいい!帝王に一撃を淹れられるかな!」

 

「」

 

 さすがに綾斗もユリスもあんぐりとして何も言えなかった。会場はどっと笑いに包まれる

 

「お前たち!ちゃんとしろ!」

 

 ユリスの一喝で亨介とサザンはしゃんとする。ある意味で戦いたくない相手だなと綾斗は実感する

 

「まったく、なんで決勝の相手がお前たちなんだ…」

 

「まあ…流れ?」

「私に聞くな!」

 

 完全に亨介達のペースになっている。ユリスはため息をついてレイピア型の煌式武装を展開する

 

「綾斗!この試合、さっさと終わらせるぞ!」

「…亨介、悪いけど勝たせてもらうよ!」

 

 綾斗は相槌を打つように頷き、『黒炉の魔剣』を展開する。準決勝で大剣から綾斗が扱いやすいよう普通サイズの剣に変わっていた。

 

「だよな…綾斗もユリスも、この戦いを勝たなきゃなんねぇんだよな…」

 

 決勝に勝てば、優勝者にはそれぞれの願いを叶えてくれる特典がある。誰もがそれを手に入れるためにここに集い、闘ってきたのだ。…もちろん俺も『願い』はある

 

「でもな…俺も勝ちたい!だから、全力でいくぜ!」

 

 亨介は翡翠色のブレスレットを光らせ、翡翠色の木刀に構成させた。

 

「ユリス…亨介のやつ、本気だ」

「ああ…準決勝で見せたあれか。私も感じるぞ、亨介のまわりにかなりの星辰力による渦が見える。どうやら短期決戦を持ち込むつもりのようだな。」

「そうだね…亨介の体は限界に近いはず…」

 

 綾斗もユリスも一目で気づいていた。亨介は今、かなりの星辰力を消費している。全力をフルにまわしてスピード決着を持ち込むようだ

 

『両者、準備万端のようですね!さあ、いよいよ鳳凰星武祭、決勝戦を開始いたします!』

 

≪鳳凰星武祭。決勝戦、試合開始‼≫

 

 機会音の乾いた音声が響く。決勝戦の火ぶたが切って落とされた

 

「いくぜええええっ!」

 

 最初に動いたのは亨介だった。一気に綾斗とユリスの方へ駆ける

 

「ユリス!」

「任せろ!咲き誇れ、『六弁の爆焔花(アマリリス)』‼」

 

 綾斗はユリスに一声かけて駆けた。その後ろでユリスは亨介に向け6つの火球を飛ばす。

 

「おらおらおらぁっ‼」

 

 立ち止まった亨介は怒号と共に木刀を振るい、6つの火球を斬り払う。その隙に綾斗が亨介の前まで一気に迫る

 

「天霧辰明流中伝『夜紋塵(やもんじん)』‼」

 

 途中で体を捻り、両手持ちで一閃の剣を放つ。亨介はその剣を木刀で防いだが、その木刀は真っ二つに斬り落とされてしまった

 

「よしっ!」

 

 綾斗は再び斬りかかる。綾斗は見抜いていた、亨介が武器を構成するには少しのタイムラグがある。一つを破壊すれば新しく構築するその隙に攻撃すれば亨介は攻撃できない。その隙を一気に決めるためには早い剣技でやらなければならない

 

「天霧辰明流中伝『九牙太刀』‼」

 

 早き連撃を亨介に放つつもりだった。しかし、その寸前ぐにゃりとかすかに見える万応素が歪んだのが見えた。そして亨介の片手にはいつの間にか翡翠色の木刀が握られていた。亨介はにやりと綾斗をみて木刀を薙ぐ

 

「おっと!?」

 

 綾斗は連撃を放つのをやめてとっさに下がって亨介の攻撃を避けた

 

「綾斗、次だ!咲き誇れ、『鋭槍の白炎花(ロンギフローラム)』‼」

 

 ユリスは青白い炎の槍を亨介に向けて5発飛ばす。今まで放っていたものより強度を上げたものだ。

 

「…っ!」

 

 亨介は飛んでくる炎の槍を力任せに木刀で叩いて軌道を変えて躱す。見た感じ本当にごり押しだ

 

「やるな…ならば、もっと強度を上げるぞ!」

 

 ユリスは残りの一発をさらに強度を強めて飛ばす。亨介はバッティングセンターのバッターのように構えてフルスイングで木刀を振るう。ギリギリと歯を食いしばって炎の槍をホームランする。しかし、木刀はバキリと折れて亨介はふらりとよろめく。

 

「もらった!」

 

 綾斗はその隙を逃さず、一瞬で間合いを詰める。今度は構成させる隙を作らせないように剣を素早く振るう。

 亨介は踏みとどまった。ぴたりと止まったと思いきや、またいつの間にか亨介の手に木刀が握られていた。

 

「しゃーおらぁぁっ‼」

「ぐうっ!?」

 

 綾斗の剣を躱すと亨介はその横腹に一撃をかまして吹っ飛ばす。

 

「綾斗!大丈夫か!」

 

 ユリスが綾斗の元へ駆けつける。綾斗は体勢を立ちなおして起き上がる

 

「なんとか…でも、亨介のやつ、ほんとにごり押しだよ」

「確かに…だが、妙だな。あいつには武器を構成させるのにわずかなタイムラグがあったのだろう?」

「ああ、でも今の亨介にはそれが無かった。まるで『すでに用意されていた』かのように木刀を掴んでいたからね」

 

「俺の武器を破壊してわずかコンマ2秒のタイムラグを狙った算段みたいだったな。だが、Level2ではそれはねえ」

 

 亨介は大きく息を吐いてからにやりと笑う

 

「お前らが必殺技を名付けてる感じだとすれば…『野点(のだて』とでも呼ぼうか?」

 

 綾斗は気づいた。亨介の足下は畳二畳分の翡翠色の魔法陣がかすかに光っている

 

「この間合い、俺の今立っている二畳分の場所だけは俺の独壇場さ。いつでもすぐに構築できる。いわばこの場所だけ無限に木刀がスタンバっているってことさ」

「…まったく、そんな身体でよく無茶するよ」

 

 綾斗は苦笑いをする。今の亨介の状態ではかなりの消費を強いられている。ぼろぼろになりながらもたった一人であろうとも全力で奮闘している

 

「はっ!綾斗、それはお互いさまだろ?」

「そうだね…でも、まだ倒さなくちゃいけない相手もいるし、全力でぶつけるよ!」




本編はかっこよく決まりましたね…

こちらもかっこよく決めたい
「フハハハ!」
「殴る!」

…難しいかも(´・ω・`)
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