翡翠色のアスタリスク   作:サバ缶みそ味

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ほぼ日常回になってしまっている(汗)



レタスと炎の魔女と時々聖帝

授業も終わったことだしこれからどうする?」

 

放課後になり夜吹英士郎は背伸びしながら綾斗にどこか行かないかと尋ねた。綾斗は隣にいる亨介の様子を気にしながら答えた。

 

「きょ、亨介はあのままでいいのかな?」

 

ユリスのアイアンクローによりフェイタルKOされた亨介は真っ白に燃え尽きたように座ったまま動かない状態だった。

 

「まさか授業中も白目むいたまま気絶してるなんてね・・・」

 

「まあいつものこった。そのうち目を醒ますから気にすんな」

 

 

*****

 

教室を出て行った綾斗と英士郎は学園のこと、男子寮のこと、ユリスに悪戯をして処せられた亨介のエピソードなど談笑しながら散歩をしていた。

 

「さすがにユリスの椅子にブーブークッションをしかけたのはまずかったでしょ」

 

「はははっ、あの時のユリスの顔ヤバかったからなぁ。マジで亨介を殺さんという勢いだったし、亨介のやつ一日中追いかけられたのはマジで面白かったぜ?そのあと捕まった亨介はコブラツイストでシメられてたし。」

 

あのユリスがコブラツイスト・・・想像した綾斗は苦笑いしていた。

 

「この学園は思ってた以上にいろいろ大変だなぁ・・・」

 

「でも綾斗は俺達のクラスでよかったと思うぜ?」

 

「?それはどういうこと?」

 

それを聞いた英士郎は遠い目をしている。その様子に綾斗は少々ぎょっとした。

 

「実はな、お前が転入する一か月前にある生徒が入学してきたんだ。そいつ、どういう風の吹き回しかうちの学園を界龍第七学院と間違えて入ってきたんだ。」

 

「?間違えたんなら問題はないんじゃないか?」

 

「いや、問題なのはそいつ自体なんだ。そいつは突然生徒会長に『俺はこの学園の帝王になる!』とか言い出したり、高笑いしながら学園中を走り回るわ、勝手に自分の家を建設するわで『うるさい、空気読めない、面倒くさい』の三拍子で生徒会長の胃を痛めつけてるんだ」

 

「へ、へえ・・・。」

 

「今朝、ユリスと決闘したろ?たぶんそいつ目立ちたがり屋だから明日ぐらいにお前のところに来るかもしれないから相手にしないか逃げるのをおススメするぜ」

 

な、なるほどとそこまで面倒くさい人がいるんだと若干引きながら綾斗は頷いた。

 

そのときどこからか怒鳴り声が響いた。

 

「ん?今の声はユリスかな?」

 

「おっ、またユリスのやつ厄介ごとに巻き込まれてやんの。見てみようぜ?」

 

綾斗と英士郎は声のする方へ向かい、木陰に隠れるように様子を伺った。開けた庭園の中でがっしりとした筋肉質の大きい体躯の男子学生とその後ろにはほっそりとした痩せた体形の男子とすこし太めの体形の男子の三人がいた。その三人はユリスを睨み付けて対峙していた。

 

「・・・ならなんで新参者と決闘しやがった!答えろユリス!」

 

中央にいるがっしりとした学生が怒声を上げた。小心者なら一発でビクつかせるほどの勢いだった。しかしユリスは臆せずむすろどうでもいいようにあしらった。

 

「答える義務はない。レスター、我々は誰もが自由に決闘をする権利を持っている」

 

「そうだ。当然、オレもな。」

 

「同様に、我々には決闘を断る権利を持っている。何度言われようとも貴様と決闘するつもりはない。」

 

「だからなぜだ!」

 

退けようとも何度も怒声を上げる男にユリスはため息をついた。

 

「・・・はっきり言わないとわからないのか?私は貴様との決闘で三度退けた。これ以上続けても無駄だ。」

 

「次はオレが勝つ!マグレが続いたぐらいで調子に乗るなよ!オレは、オレ様の実力はあんなもんじゃねぇ!」

 

「そうだ!そうだ!レスターが本気を出せばお前なんて相手にならないんだぞ!」

 

レスターの後ろにいた細い男子と小太りの男子がユリスに野次を飛ばしていた。さすがにイラッときたのかユリスは自分のまわりに炎を出してレスター達を睨み付けた。

 

「じゃあ、今ここで二度と私に盾突かないようにしてやろうか?」

 

「あー、ユリスさん。もうちょっと火力を弱めてくださいますー?イモが焦げちゃうんで。」

 

はっとしたユリスは炎を消して後ろを振り返った。そこにはサツマイモを串に刺して炎で焼き芋をしようとしていた亨介がいた。

 

「きょ、亨介!なにをしている!」

 

「うーん・・・晩御飯?」

 

「私に聞くな!」

 

「うるせー!こちとら節約生活実施中じゃコラァ!」

 

ギャーギャーと口喧嘩をしてすっかりスルーされたレスターは亨介を睨み付けた。

 

「亨介!オレたちの邪魔をするな!」

 

「あ、どもレタスさん。俺を怒鳴るよりも一部始終をこっそり見ている奴にも言ってくんね?」

 

「なんだと?・・・・おいマテ、今レタスつったな?」

 

そんなレタス・・レスターをスルーした亨介は木陰に隠れている英士郎と綾斗にこっちに来いとジェスチャーをした。これ以上のぞいても無駄だと悟った綾斗と英士郎は茂みから出てきた。

 

「綾斗!?なんでここに!」

 

「ま、まぁ道に迷った、かな?」

 

わざとらしく笑ってごまかす綾斗にユリスはため息をついて睨み付けた。

 

「レスター!こいつだよ!例の転入生!」

 

「なんだと・・・?」

 

より鋭さをましたレスターは綾斗を視線を強くして睨み付ける。攻撃的な視線にもお構いなく綾斗はユリスに話しかけた。

 

「ユリス、この人は?」

 

「....レスター・マクフェイル。この学園の序列9位だ。」

 

あきれながらユリスは答えた。なるほどと頷いた綾斗はレスターに近づいた。レスターは黙ったまま綾斗を睨み付けている。

 

「・・・・」

 

「僕は天霧綾斗。よろしく」

 

右手を差し出した綾斗を無視してレスターは今一度ユリスの方へ強く睨み付けた。怒りに震えて鍛えた身体からは怒り心頭であった。

 

「この小僧と闘って・・・俺とは決闘をしないだと・・・?」

 

「落ちつけってハムスターさんよ。俺なんかユリスにデュエらせろと言われてんのに逃げてるんだぜ?」

 

なんとか宥めようとしていた亨介だが、それは火に油を注ぐ事態だった。

 

「ふざけるな!オレはてめぇを叩き潰してやる!!あとオレはハムスターじゃなくてレスターだ!!!」

 

「あ、そうだった!ベムスター、これ以上騒いだらヤバいって!」

 

「うるせぇ!つか宇宙大怪獣(ベムスター)じゃなくてレスターだ!」

 

何かを思い出して慌てて止めようとする亨介を無視してレスターはさらに大きな怒声を響かせた。

 

「これ以上目立つと()()()が来るぞ!!」

 

はっと気づいたレスターは急に黙り込んでしまった。それに気づいたユリスも英士郎もやばいと気づいた。

 

しかし時すでに遅し。

 

 

 

「フハハハハハハッ!!!フハハハハハハハハ!!!」

 

 

突如中庭に喧しい高笑いが響いた。この高笑いを聞いたレスターもユリスもうんざりとした顔をしていた。一体何事かと綾斗は首をかしげていた。

 

「ムハハハハハハハハh・・・・ゲフッ!ゴホッ!」

 

「咽てないでさっさと出て来いよ!」

 

ツッコミを入れる英士郎にこたえるかのように茂みから勢いよく飛び出てきたのはレスターと同じぐらい筋肉質な大きな体躯でいかにも悪役のようなスマイルをした短い金髪で黒いタンクトップを着た男だった。

 

「フハハハハ!!レスター、そしてユリス!この帝王をよそによくもまあ小競り合いをしているものだなぁ?」

 

ユリスは即そっぽを向き、レスターはどう答えようか悩んでいた。それもお構いなくその男は高笑いしながら話を続ける。

 

「まぁよい。序列なぞにこだわっている輩よりもこの帝王が一番なのだからなぁ!フハハハハ!!」

 

「英士郎、もしかして間違えてうちにきた生徒ってこの人?」

 

綾斗は小声で英士郎に話しかけた。英士郎はうんざりしながら頷く。

 

「名前は南星・サザン。帝王と自称するアホ。てゆーか関わったら面倒クセーことになるぞ?」

 

「もしもし水無月?今アホの帝王に絡まれてるの。え?無理?風紀委員だろ!助けろよ!」

 

高笑いし続けているサザンを見て項垂れている英士郎と必死に携帯で助けを求めている亨介の様子を見て綾斗は納得した。確かに絡まれたら面倒なことになるな。ふと綾斗に気づいたサザンは彼に近づいた。

 

「ん?貴様は確かあのリースフェルトの王妃との決闘に勝っていた男か?」

 

「勝っていたかはどうかわからないけど、僕は天霧綾斗。よろしく。」

 

「フハハハハハ!この帝王が実力を認めているのだ!だが・・・勝つのはこのオレだけどな!ムハハハハ!!」

 

とりあえず握手をして高笑いしているサザン。その様子を見ていたユリスはむっとしていおり、綾斗を引っ張りこちらに寄せた。

 

「綾斗。このうるさいアホには関わるな。」

 

「そーだそーだ、綾斗はユリスのもんだー(棒読み)」

「ひゅー!さすがはユリスさん!さっそく綾斗にロックオンだぜぇ!」

 

後ろで茶化す亨介と英士郎をキッと睨み付けた。

 

「フハハハハ!さすがはリースフェルトの王妃。さっそく婿選びか?・・・・オレは許さんぞ!!」

 

「逆ギレ!?と、というよりそれは違う!!」

 

なぜか逆ギレをする帝王、顔を赤らめて否定をするユリス。もうなんだかわからない状況になった綾斗と亨介、英士郎はため息をついた。

 

「いいだろう!天霧綾斗、ユリス、あとついでに下郎ども!いずれこの帝王が引導を渡してやろう!フハハハハハ!!!」

 

そう言ったサザンは再び高笑いしながら走り去っていった。再び静寂を取り戻した中庭には四人のため息が響いた。

 

「なんというか、インパクトが強すぎる人だね・・・」

 

「綾斗、いいな?あいつには絶対に相手にするな。流石の私でもフォローできないぞ?」

 

「これで生徒会長が胃を痛めている理由がわかったろ?新聞部の俺でもあいつの記事はぜってー書かない。」

 

「てゆーかレスターまだいたのかよ。」

 

四人の視線がレスター達に刺さる。流石のレスターもこれには気まずいと思ったのか熱が冷めたのか落ち着いていた。

 

「・・・・必ずてめえらに勝つからな。」

 

そう吐き捨ててレスター達は去っていった。中庭には再び静寂が戻りユリスはゆっくりと長椅子に座った。

 

「まったく。今日は疲れた。綾斗といい、亨介といい、お前たちは本当に面倒事が好きだな。」

 

「ははは・・・余計なお世話だったかな?」

 

「面倒事が好きなんじゃない面倒事に巻き込まれているだけだ。」

 

キリッと胸を張って答えた亨介だがお腹の虫の音が響いた。それを聞いたユリスと綾斗は苦笑いをした。

 

「・・・本当にお前はいろいろ台無しにする。」

 

「いやもう腹減ったし、疲れたし。もう俺のおごりでいいからみんなでメシを食いに行かね?ほら、綾斗の歓迎もかねてさ!」

 

「おっ!あざーっす亨介!太っ腹だな!」

 

「いいのか亨介?」

 

「綾斗も遠慮すんなって!オレの財布とハートは寛大なり!あ、でも安いのにしてね?」

 

「そうだ、ユリスもいかないか?」

 

綾斗はユリスの様子を伺った。そんな綾斗を見たユリスはしばらく考えていたがふっと軽く笑い立ち上がった。

 

「いいだろう。行こうか綾斗。亨介、私の口に合うものを奢るんだな。」

 

「ちょ、フレンチとかやめろよ?高いのはやめろよ?」

 

ユリスが加わりさらに談笑は盛り上がった。その後、ちょっと高めのレストランで奢らされた亨介は財布の中身をみて財布の有り金を全部溶かしてしまった人の顔をしていたのは別の話である。

 

 

 

 

 

 




日常回でしたね。
駄文で申し訳ありません。
こちらのユリスさんは亨介と英士郎のせいでややフレンドリーになっています。
ん?閉まっている?なにぃ?聞こえんなぁ?

とりあえず学園内にお店もあるという設定で(小並感

もう何話か日常回が続きます。戦闘回はもう少し先になりそう・・・・(;´・ω・)
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