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突然の問題発生
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まっさらなページ
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なあ、■■。今日は雪が積もっている。今は冬みたいだ」
白い服を着た少年は白い広い部屋の隅にある小さな窓から外をのぞかせる。外は辺り一面に雪が積もっており遥か彼方に見える山も、大地も白く染まっていた。窓から離れ少年は視線を変える。その先には黒い椅子に座って本を読んでいる黒い服を着た少年がいた。黒い服を着た少年が読んでいる黒い本には『しごとのどうぐ』と平仮名で書かれている。
「ねえ見てよ、□□!学校っていう所はホウキや黒板消し、レーキにデッキブラシとか道具がたっくさんあるんだって!」
黒い服の少年は目を輝かせて少年に語り掛ける。白い服の少年は興味なさそうにその本を覗いた。
「んなもん知っても何の役にも立たねーよ。普段オレたちが使っている道具よりも弱いじゃん。」
「そんなことないよ、□□!『ペンは剣よりも強し』って、あの人が教えてくれたんだ!あぁ、ボクも学校へ通えるようになって、たくさん勉強して、たっくさんのお友達とお話しをしたいなー」
黒い服の少年は興奮して熱弁をする。しかし、白い服の少年はもう一人の少年と裏腹に冷めたようにため息をついた。
「いいか、■■。ここから出ない限り学校なんぞ行くことすらできねぇんだぞ。自由になりたきゃ
「脱走するのはよくないよ。あの人に怒られちゃう。そうだ!いつも来てくれるあのおじさんに聞いてみようよ!きっと何とかしてくれる!」
すると白い服の少年はうきうきと楽しくはしゃぐ黒い服の少年の胸倉をつかみ睨み付けた。
「ダメだ、■■!あの男に関わったらだめだ!あの野郎がオレたちに何を与えたか忘れたのか!」
白い服の少年は右手首にある×印の傷を、黒い服の少年は左手首にある×印の傷を見た。その傷は深く刻まれており、その傷から翡翠色に光る
「だからこそ、今度あの野郎がオレたちのところに来たら今度こそ…」
白い服の少年が話している途中に部屋にブザーの音が鳴り響き、自動に部屋の扉が開いた。黒い服の少年はぱあっと大はしゃぎをした。
「来たよ、□□!今日もボクたちとお友達になりたい人が来てくれたんだよ!行こうよ、さっそく
黒い服の少年はウキウキしながら部屋を出ていく。そんな様子を見ていた白い服の少年は悲しくうなずく。
「ああ…
このままでいいのだろうか…。■■は何も知らない。オレたちはあいつらのいいようにされてこれからもずっと壊し続けるに違いない。だからこそ、オレが何かしなくちゃ。オレにできることは……
その時、髪の毛が思い切り引っ張られる感覚がした。
「おぉい、亨介ぇ。そんなにあたしの授業がつまんねーのかぁ?」
亨介は目を覚ました。気が付けば匡子がメチャクチャ怖い顔をして亨介の茶色い髪の毛を引っ張っている。
「んん…ここは、リアルではなさそうですね。ちょっとスリープモードになります」
匡子は思い切りげんこつをした。亨介は『ヒデブッ!』と情けない悲鳴をあげて頭を押さえている。
「ほら、これでリアルに戻ったろ?」
「嗚呼…現実は非常なり…」
*
「亨介、大丈夫かい?」
放課後になり綾斗が心配そうに尋ねた。綾斗は一日中ポケーっとしていた亨介が気になっていた。
「あ?ああ、ヘッチャラー」
「本当か?お前、授業中ずっとうなされていたぞ?」
ユリスもどの授業もうなされながら眠っていた亨介が心配になっていたようだった。亨介はニシシと軽く笑う。
「二人とも、サンキューな。心配せずとももう大丈夫だ。」
「そうか。私はてっきりお前の純煌式武装の代償か、疾風迅雷との勝負に負けて不貞寝をしていたのか気になったまでだがな」
「なるほど、やっぱ亨介<<<越えられない壁<<<綾斗なのね…アヤトスキーだもんな…」
「な、なんでそうなる!!」
ほほを赤らめてユリスは慌てて反論する。綾斗はそんなユリスの様子を見てハテナと首をかしげる。
「それにしても、刀藤さんはかなり強かったね」
綾斗のさりげない会話か、綾斗からの鶴の一声か、ユリスははっとして咳払いした後に綾斗と亨介に在名祭祀書を見せた。そこには刀藤綺凛のデータが映っている。
「確かにその通り。『疾風迅雷』、刀藤綺凛は今年この学園の中等部に入学してわずか3ヵ月で序列一位の座に上り詰めるほど、かなりの実力者だ。」
「フーン…ん?ちょっとユリスさん。今、中等部って言った?」
「?ああ。彼女は中学1年生だ。13歳であれほどの強さを持っているのには驚いたな」
亨介は目を見開き「マジで!?」と大声で驚いた。ありえない。13歳であのボンキュッボーンだというのだ。ドウイウコトナノ…?
「マジでか。ウソだと言ってよバーニィ!」
「まあ俺も聞いて驚いたよ。というかバーニィって誰?」
「しかし、どうして刀藤に関わったのだ?何か気でもあるのか?」
「まあな、ちょっと昔を思い出しただけ…。そうだ!新しい校章をクローディアからもらわねーと!じゃあなー」
亨介は素早く立ち上がり慌てて教室を出て行った。そんな遠くへと離れていく亨介の後姿を綾斗とユリスは見つめていた。
「…ユリス、俺も亨介と同じ立場だったら間違いなく決闘を受けていたよ」
「同感だ。彼女をいいように使うあの男は気に食わなかった。私も受けていただろう。…しかし、亨介の純煌式武装『翡翠の悪魔≪ジェード=ベリル≫』は気になるな。あんな純煌式武装は聞いたことがない」
「クローディアは知っているんでしょ?ちょっと気になるね…」
**********
「あのー、ここに来れば新しい校章を貰えると聞いたんだけど…」
「うふふふ、どうかしましたか?」
亨介はクローディアに会っていた。しかし、場所は生徒会室ではなく、さらにその上の階にある温室プールのある部屋であった。椅子に座って生徒会の仕事をしながら笑顔で迎え入れてくれたクローディアはセクシーな白いビキニを着ている。しかも下の方はエr、いやさらにセクシーであり亨介は目のやり場に困った。
「うふふ、驚きましたか?ここは生徒会付属のレスティングルームですわ?」
「そーなのね。俺はてっきり例のプー「あらあら、それじゃあ校章はいらないわね?」うそですごめんなさい。素敵なところですね!新しい校章をください!」
クスリと微笑むクローディアは立ち上がり、亨介に新しい校章を渡した。新しい校章をもらった亨介はありがとうと言おうとしていたが急に黙ってしまい何度も校章とクローディアを見た。
「なあ。この校章、ぬれてるんだけど?」
「あら?そうですか?」
「…もしかしてこれでナ(ry」
亨介がしゃべったその刹那、クローディアは無言の背負い投げで亨介をプールへ投げ飛ばした。バシャリと水柱がたつ。
「もう、ダメじゃないの亨介。女の子にそんなこと言うのは失礼ですわ」
「…アッハイ」
~*~
「…それにしても、まさか亨介が刀藤さんと決闘をするとは思いませんでした」
クローディアは再び生徒会の仕事を行いながら窓から外の景色を眺める亨介に話しかけた。
「まあな。なんつーかあのおっさんがむかついたから」
「刀藤鋼一郎氏ですか…なかなか厄介な方ですからね」
「ああ…。たしか俺らの学園の運営母体、統合企業財体のひとつ『銀河』の社員だっけ?ムカツクよなー」
クローディアは手を止めて亨介を驚くように見た。
「知っていたのですね…彼は学園のスカウトを管理し、かなり強い権限を持っています。でも、彼は更なる地位を欲しており、そのために彼は姪の綺凛さんを利用しているようです」
外の景観に飽きた亨介はクローディアの方を見た。
「じゃあ、彼女はあのおっさんに利用されて無理やり戦わされてんのか?」
「それはどうでしょう?彼女には彼女の目的があるそうですよ?」
「目的…か。ま、あのおっさんは成り上がるのは無理だろうな。我欲の強い野郎は出世はできねーし…単純で純粋な欲を持ってる野郎しか上に登れない」
亨介は深くため息をついた。彼の眼には深い心情を隠そうとしているのにクローディアは気づく。
「…私と同じく亨介もご存知でしたわね。さすが『あの方』の…」
「わりぃ、クローディア。あの連中のことは関わりたくねーの。そんじゃま帰ぜ」
亨介はいそいそとレスティングルームから出て行った。
「‥‥亨介。いくら過去を振り払おうとしても、いずれ貴方の前に立ちはだかるわ。その時、貴方は…」
その時遠くから「フハハハハ!!」と高笑いの声が聞こえてきた。レスティングルームにずかずかとサザンが押しかけてきたのだった。
「フハハハハ!!うっかり校章を無くしたから来てやったぞ、クローディア!!…ぬうっ!!?な、なんだその姿は!?ぐぬうっ、俺を誘惑して跪かせるつもりか!?こ、こ、こ、この帝王、決して惑わされんぞ!退かぬ!媚びぬ!!省み…ry」
クローディアの水着姿に跪きそうになったサザンは帝王三原則を叫ぼうとしたが、クローディアの無言の背負い投げでプールへ投げ飛ばされたのであった。
************
気が付けば外は日が暮れていた。亨介は右腕の翡翠色のブレスレットを掲げながら歩いている。掲げられた右手首につけているブレスレットは夕陽に照らされて光っているようであった。
「…昔のこと、か‥‥。いや、そんなのことよりもあの子はどうすべきか考えないとな!」
くよくよしないでこれからあの子をどうすべきか考えていたが、男子寮の入り口でたくさんの男どもが群がっているのに気づいた。なにやらわいわい騒いでいるようだが…。気になって歩みを止めている亨介の姿に綾斗と英士郎は気が付き声をかける。
「亨介、お客さんだよー」
「おいおい同志よ!まさかこんなかわいい子がいるなんて抜け駆けはずるいぞ!」
よく見ると野郎共の輪の中に刀藤がマスコットキャラのようにちょこんと立っていた。亨介に気が付いた彼女はぺこりとお辞儀をした。
「せ、千利先輩!よ、よろしくです!」
ひとまずこんなところで話すのも野暮なので応接室へ連れていった。亨介は湯呑にお茶を入れて飲み干す。迎いに座っている刀藤を見た。恥ずかしながらも何か言いたそうで、照れながらもじもじしていた。
「えーと、用事ってのは?」
「あ、あの!ありがとございました!」
突然刀藤が頭を下げたので亨介はきょとんとした。ドウイウコトナノ?
「せ、千利先輩は見ず知らずの私を伯父様から庇ってくれました。あ、あの後あんなことになってしまったのですが…本当に嬉しかったのです!」
いい子やん、めっちゃいい子やん。本当の気持ちを一生懸命に伝える彼女の姿に亨介は深く感心した。
「気にすんなって、結局力になれなかったのに…む?」
うーむ、ドアの向こう側からなにやら邪念が…。 亨介はゆっくりと立ち上がって刀藤に近づいた。
「ふえ?千利先輩…?」
亨介は彼女の頭を優しく撫でた。すると刀藤はさらに顔を赤らめて慌てる
「ふわあぁ!?せ、千利先輩!?あの…?」
亨介は口の前に人差し指を立てる。『静かに』という合図である。そして静かにドアに近づいて思い切りドアを開けた。すると英士郎含めその他野郎共が流れるように倒れこむ。
「ドーモ、英士郎サン。取材熱心デスネ」
「あ、あははは…ドーモ…」
亨介はやれやれとため息をついた。こいつらは綾斗に説教してもらわねばならないと考えてたその時、ちょうどよく綾斗が応接室に駆け込んできた。
「丁度よかった、綾斗。こいつらの説教をお願いしたいんだが…」
「ごめん、亨介!なんとか時間を稼ごうと思ったんだけど、やっぱり無理だった!」
それはどういうことか聞こうとしたそのとき廊下から「フハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」と笑い声が響いた。それを聞いた亨介と綾斗と英士郎はものすごく嫌な顔をした。
「…なんであいつが来たの?」
「あ、ごめん。ツイッターに場所を書きこんじゃったからもしかしたら見たのかも」
「英士郎のせいか‥‥」
「あ、あの…一体なんのことですk(ry」
刀藤が言い終わる寸前にサザンが壁をぶち抜いて飛び出してきた。
「ひゃわあああああっ!!?」
突然、壁からドヤ顔で飛び出してきたので刀藤は涙目になり驚いた。
「おい、サザン。何しに来たんだ!」
「フハハハハ、亨介。聞いたぞ、ここに序列一位がいると。亨介つよい→序列一位に負けた→序列一位は強い→帝王が序列一位に勝つ→この学園の帝王はこのサザンになるということだ!!いざ、あの時のリベンジを果たしてやろう!!」
恐ろしいほどのドヤ顔で挑むサザン。彼女のほうはというと尻もちをついて泣きそうになっている。もはや勝負どころではない。亨介は彼女と手をつなぎ、彼女を連れて外へ出ようとした。
「刀藤!ひとまず外へ逃げるぞ!」
「せ、千利先輩…は、はい!」
「ぬうっ!!この帝王からは逃れられんぞ!!」
「みんなー!刀藤さんを守るんだー!」
「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」」」」」
綾斗の合図とともに英士郎含め多くの野郎共がサザンを抑え込んだ。
「ここは一歩も通さねえぜ!!」
「ふっ、この戦いが終わったら刀藤さんにありがとうって言ってもらうんだ…」
「ここは俺が抑える先に行け!なに、すぐに戻るさ!」
「ヤローブッコロシテヤルー!!」
「ぬううううっ!!?」
亨介と刀藤は無事に外へ出ることができた。そのあと綾斗はユリスと紗夜とクローディアと風香を呼び英士郎含め6人がかりでサザンを捕まえて懲罰房へ入れたとのことである。
~*~
なんとか無事に出ることができた亨介はとりあえず刀藤を女子寮の入り口まで送ることにしたのであった。
「なあ、刀藤は緊張してるのか?」
亨介は気になっていたことを話した。亨介を見ては恥ずかしそうに少々ためらいながら話しているのである。
「は、はい!えと、ごめんなさいです…私、家族の人以外で男の人とこんなふうに歩くのは初めてでして。おとうさ…父が厳しかったものですから…」
「なるほどねえ…確か刀藤流は厳しいって聞くからなぁ…」
「え、ウチの流派をご存知ですか!?」
亨介が軽くつぶやいたのを聞いた刀藤は目の色を変えるように話しかけた。
「ま、まあな。鶴を折るが如しの剣技の刀藤流は知ってるさ。」
すると刀藤は目を輝かせて明るくなり、亨介にさらに話を続ける
「千利先輩のあの純煌式武装の扱い方、短槍術ですよね?」
「そうだな。けどあとのほとんどは我流だぜ?」
「いいえ、すごかったですよ!私の剣を防いだり、受け流してからのカウンターは短槍術とその他の武術を組み合わせたものでしたし、ブラシの先を刺叉のように使って刀を封じ込めようとしてたし、いろんな戦い方をしてくだいましたが、もっと剣を合わせれば…!!ってす、すみません。つ、つい!!」
いつの間にか亨介に熱く語っていたのに気づいた刀藤は慌てて亨介に謝った。しかし、亨介は気にせず彼女に優しく笑う。
「…刀藤は剣術が好きなんだな」
「は、はい!…私は、それしか能がありませんですから…」
刀藤は自分を蔑むように軽く笑う。
「いいや、そんなことはないさ」
「いいえ、本当なのです。私はドジで、臆病で…でも、そんな私でも剣を握っている間は誰かの役に立てるのです。」
刀藤は顔をあげて亨介を見て微笑む。
「だから、楽しいし、大好きです。」
亨介はそんな彼女をみて頷いた。しかし、『私も負けるわけにはいかない』という言葉が脳裏に浮かんだ。彼女はその笑顔の裏に重いもの抱え込んでいることを亨介は感じたのである。彼女の内にある感情と、『誰かの役に立てる』という言葉に彼女が戦う目的があると気づいた。
「なあ…もしかして刀藤の戦う理由は『誰か』の為なのか?」
亨介の問いに刀藤は頷きさきほどまで恥ずかしがったり、笑顔で喜んだりしていた表情と異なり真剣な眼差しで亨介に答えた。
「…父を助ける為です」
「父親…か。だからあのおっさんの言う通りにしてんのか?」
「…はい、伯父様は望みを叶える為に一番適切な道筋を示してくださいました。…とても感謝しているのです」
「…自分の為にしか使われていなくてもか?」
亨介の問いに、彼女は黙って刀袋を強く握りしめた。
「私は願いを叶える道筋を示してもらい、伯父様はその対価を得る。…これは対等な取引ですから…それに伯父様は星脈世代が嫌いですので」
「‥‥」
亨介は黙って刀藤を見つめていた。
「あの…千利先輩。私からもお聞きしてもいいですか?」
今の空気はまずいと刀藤は話を変えた。亨介はひとまず頷く。
「千利先輩は普段、どんなトレーニングをしていますか?」
「えーっと、朝は(急に押しかけて来るサザンのせいで)早く起きて、(サザンに追われながら)走り込みをして、(お昼のドーナツを巡ってサザンと)組手をして、主には(サザンのせいで)走っているな。」
「そ、その!よろしかったらですが、わ、私とトレーニングしてもらえないでしょうか!」
亨介はきょとんとした。(主にサザンのせいで)碌なトレーニングはしていないのに突然の誘いには驚いた。
「そ、そのこの学園に入ってから一人では不安でして、それに組手も一人ではうまくできなくて…」
「そっか、(サザンのせいで)うまくできていないのな?じゃあ一緒に朝練からやってみるか?」
「ふぇっ!?い、いいのですか!?」
刀藤は顔を赤らめて慌てた。亨介はニシシと笑う。
「ああ!一緒にトレーニングすれば、(サザンから邪魔されることなく)楽しくできるからな!」
「!!え、えっと…あの、よろしくお願いしますです」
亨介はこれで二人がかりでサザンを撃退することができると思い、刀藤は亨介と一緒にいられると思い笑いあった。
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朝練の時やトレーニングの時の刀藤の表情は明るく活き活きしていた。普段、恥ずかしながらためらいながらでいる彼女の性格は刀を持つことで切り替わり明るくはきはきしている。まずはこれから仲良くなって打ち解けていけばいい。それから彼女の本当の戦う理由を知ればいい。そうすればきっとこの子を俺と同じ道を歩まずに済むはずだ…亨介は深く考えた。
「それにしても今日はやけに霧が深いなぁ…」
今日の朝はトレーニングの服を着た刀藤と共に走り込みをしていた。いつもながら走るルートだが今日は珍しく霧が深い。
「この時期は霧が深い時もあるんですよ?…でも、千利先輩のシャツはかわいいですね?」
亨介は下はジャージで上はふ〇っしーの絵が描かれたTシャツを着ていた。以前、このシャツを見たユリスからは「ゲテモノ」といわれ、風香からは「悪趣味」と罵られたのである。これをかわいいと言ってくれた刀藤はまさに天使である。
「にしても深すぎるだろ…む?」
ふと茂みの方から殺気を感じた。同じく気配を感じた刀藤もすぐさま刀を抜いて構えた。
「千利先輩…何かいますね…」
「ああ、この気配はサザンじゃねえな…」
突如茂みから飛び出してきたのは大型犬ほどの大きさの角が生えたオオトカゲのようなモンスターだった。5頭のトカゲは二人を取り囲むように回り込んだ。
「こいつはウチのもんじゃねえな。」
「ええ…でもかわいいです」
「ああ…って、え!?」 Σ(゚Д゚ 川)
亨介はそんな刀藤を二度見した。2頭のトカゲは亨介めがけて襲い掛かった。亨介はすぐさま翡翠のブレスレットをデッキブラシに変え、トカゲを打ち払う。トカゲは切りごたえのない豆腐のようにぐしゃりと潰れるように真っ二つになったが、斬られた部位がスライムのようなゲル状になり残された部位とくっつき再生した。
「っげ!?こいつらめんどくせえな!?」
「斬られても再生するようですね。千利先輩、試してみたいことがあるんです。私にやらせてください」
刀藤は目の前にいるトカゲに向けて刀を構える。そのトカゲは刀藤めがけ襲い掛かる。
「…ごめんね…」
そうつぶやいた刀藤はトカゲを両断する。真っ二つになったトカゲはゲル状になり再生しようとするが刀藤が素早く刀で刻む。2分割、6分割、10分割とものすごい速さで切り刻んでいく。そして黒い球体が見えた。刀藤がそれを両断するとゲル状になったそれはただの液体になり動かなくなった。それを見たその他のトカゲは一目散に逃げていく。亨介は彼女の剣技に驚愕した。
「すんげえや。」
「やっぱりコアになる部分があったありましたね。星辰力の流れが妙でしたから…昔、そういうのに敏感なんです」
亨介は照れる刀藤に微笑んで真っ二つになったコアを拾い上げる。このコアを作れるのは知っている限りではアルルカントの連中しかいないだろう。
「…てか、なんでアルルカント?」
「そ、そうですね…そういえば星導館とアルルカントが共同開発をしているっていう話を聞きましたけど…」
うーむ、ますますわからん。なぜに狙ってきたのか理由がわからない。とりあえず、クローディアと風香に報告しようと決めたその時だった。再びトカゲたちがさらに数を増やして戻って来るや否や口から火球を亨介めがけて飛ばしてきた。
「ちょっ、こなくそが!!」
集中砲火で飛んでくる火球を亨介は走り回って避けた。目の前に飛んできた火球をジャンプして避け、着地と同時に足元のコンクリートが崩れた。
「は?」
下を見たらかなり深き暗闇しか見えない。このまま落ちるのかと冷や汗が背筋に流れる。落ちていく寸前、亨介の腕を刀藤がつかむ。
「千利先輩!今お助けします!」
彼女が亨介の腕を引っ張ろうとした。しかし、彼女を手元の場が崩れずるりと刀藤も落ちてきのであった。
「へ?」
「マジかよおおおおおおおおおおっ!!!」
亨介の悲鳴が虚しく響き刀藤ともに深い闇底へと落ちて行った。
~*~
「いやー、朝練をしている天霧綾斗君を襲撃しようと思ったらまさか『疾風迅雷』が引っかかってくれるなんてねー」
アルルカント・アカデミーの生徒、エルネスタはモニターで一部始終の映像を見ていた。同じく隣でみているカミラもうなずく。
「これで序列一位をつぶせるのなら構わないのだろう?」
「まあねー♪それに『データ』に載っていない純煌式武装を持ってる彼のデータも取れるし一石二鳥ってところかなー?ま、これからさらに追い打ちをかけるしね♪」
エルネスタはニシシと悪戯っぽく笑う。
「じゃあ、高笑いしながら底に落ちて行ったあの男もか?」
カミラが面倒くさそうに尋ねた。え?とエルネスタはモニターに目を向ける。モニターから見ることができなかったが穴から「フハハハハ!!」と高笑い声が響いた。
「‥‥あれはいいや」
ご愛読ありがとうございます。
タグには入れてませんでしたが…北斗ネタ、いちご味要素ありますかも
はやく言わんかいな>(o゚Д゚)=◯)`3゜)∵
それと皆さま賞味期限と生焼けの鶏肉には気を付けてください
死を覚悟する程の腹痛が襲い掛かります