翡翠色のアスタリスク   作:サバ缶みそ味

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本編であるアスタリスクの7話は興奮しました

え?何に?それは(ry)うわなにをするやめくぁwせdrftgyふじこlp


〇純星煌式武装

×純煌式武装

‥‥なんてこった‥‥まあいいよね!(白目)








金づちと決意と時々覚悟

落ちたその先は地下水であった。バラストエリアとよばれ地下に溜まった水を管理する所謂貯水池のようなものである。その広さはまるで地下遺跡を思わせる程広大であった。亨介は立ち泳ぎをしながら見上げてどれくらいの高さから落ちたか確認をしており、刀藤は亨介の片腕にぎゅっと抱き着いていた。

 

「あの、ごめんなさいです。私、泳げなくて」

 

「なに、気にすんなって。それにしても…」

 

亨介は辺りを見回した。一応バラストエリアのような地下の場所はあると聞いたことがあるが、迷宮のような広さなのには困った。この大きな場所では出口も見つからない。

 

「ほんとにでけぇな」

 

「!!はうっ!!」

 

突然刀藤が顔を赤らめて亨介の片腕を強く抱きしめた。水に濡れた服が体に吸い付き豊満な胸をより強調させる。しかも柔らかい感触が片腕に伝わる。

 

「ごめんなさいです!ごめんなさいです!」

 

「あ、いや、バラストエリアのことだからね!バラストエリアだからね!あっはっはー!チクショーあのトカゲ共め、ありがた‥じゃなかった、やってくれやがって!」

 

 

13歳にしては豊満な胸の誘惑を必死に振り払おうとしていた。その時「グオオオオッ!!」と怪獣のような咆哮が響く。何事かと気づけば水中から先ほど襲ってきたトカゲ共よりもはるかに巨大な竜が現れ亨介達を睨み付けている。亨介はそんな竜を見て目を輝かせた。

 

「ちょ、なにこれ、ネッシー!?地下水路にはワニがいるっていう都市伝説よりもスゲーんだけど!?スッゲー!!」

 

「せ、千利先輩!落ち着いてください!あの竜、上にいた子たちと同じ感じがします」

 

あのネッシーも上にいたトカゲ共と同じくアルルカントの連中が作り出した人工物である。本物ではなく作り物だと知った亨介はすこししょんぼりした。

 

「マジか。男のロマンが…」

 

ネッシーは口を開けて牙をむき出し亨介たちに襲い掛かってきた。亨介は動ける右腕についているブレスレットをデッキブラシに変形させ防いだ。ネッシーのパワーが強かったため亨介は押されて石柱にぶつかる。ネッシーはさらに力で押し、片腕でしか使えないため亨介はさらに押される。後ろの壁にめり込まれるほどで壁はへこみヒビが入っている。このままではやられてしまう。だからと言ってもう片方の腕を使うとしがみついている刀藤を離すことになり泳げない彼女は溺れてしまう。

 

「くうっ…こんにゃろぉ!」

 

「千利先輩!私が足手まといになるのなら離してください!」

 

この状況を察したのか刀藤は突然言い出した。

 

「千利先輩がお怪我をすることになったら私、私…」

 

刀藤は震えてうつむいている。彼女は涙を流していた。

 

「もう嫌なんです…私なんかのせいで誰かが犠牲になるなんて…」

 

「刀藤!顔を上げろぉ!!」

 

亨介の一喝に刀藤ははっとして顔を上げる。亨介は怒っておらず真剣な表情で彼女を見ていた。

 

「何も心配するこたぁねえ。あと、私なんかって自分を責めんな。お前は本当は強くて、優しい素敵な女の子なんだんな」

 

亨介は優しく微笑んだ。そんな亨介を見て刀藤は悲しみがなくなり、笑顔に変わった。

 

「‥は、はいっ」

 

「よっしゃいい子だ。この偽ネッシー!さっさとそのどたまをどかしやがれ!俺はこの子をなでなでしてやりたいんだ!」

 

亨介はデッキブラシで思い切り押し返す。押し上げられた鎌首はぐなりと反対側へ反れてネッシーの体勢が崩れた。その時上の方から『フハハハハハ!!』と高笑いが響いた。誰かがネッシー目がけ落ちてきたかと思いきやその誰かの入水とともにネッシーの首がすぱりと落ちた。

 

「フハハハ!何やら面白い練習をしているではないか!!」

 

「サザン!なんで来たんだよ」

 

「ふっ!勘違いするでない!貴様を倒すのはこの帝王だからなぁ!!」

 

ドヤ顔で亨介に指さして高笑いをしていた。ああ、こいつ間違いなく『ドラ〇ンボール』を読んだな… 亨介はそんなサザンを呆れるように見ていた。その間にも首を落とされたネッシーは再生をし頭が再形成されていた。

 

「ぬっ。再生能力を備えているのか」

 

「はい、コアを破壊できれば倒すことができるのですが…」

 

亨介は頷き、デッキブラシで後ろの巨大な石柱を思い切り砕いた。石柱は『>』の形に削れ足場が形成された。

三人はすぐさまその足場へ上がる。

 

「亨介、あのネッシーを倒せるのか?」

 

「なに、タネがわかりゃ楽勝だぜ。いいか、邪魔すんなよ?」

 

「えー!これではオレが目立たぬではないか!」

 

「なにこの帝王、すっげえむかつくんだけど!」

 

亨介とサザンはギャーギャーと口喧嘩をする。そんな二人を見ている刀藤はあわわわと慌てていた。待ちくたびれてしびれを切らしたのかネッシーは雄たけびを上げて襲い掛かる。亨介はすぐさま星辰力を高めた。体から青いオーラを光らしたとたん、勢いよく駆けた。その速さは水上を駆けるほどであり、襲い掛かるネッシーの牙を躱しデッキブラシを素早く振るう。ネッシーの首は輪切りに切り刻まれ、亨介が思い切りデッキブラシを振るえば体は三分割に、再生をさせないかのようにさらに両断をする。そして行き場を失ったコアを見つけコアを砕いた。ゲル状になったネッシーは再生することなく液体になり地下水に溶けていった。

 

「千利先輩、すごいです!」

 

喜びの声を上げている刀藤にグッとガッツポーズを決めた。しかし星辰力を止め、走りを止めたため、まるでターミ〇ーター2の最後のシーンのごとくブクブクと沈んでいった。

 

********

 

「亨介先輩は…どうしてそこまでして戦うんですか?」

 

ひと段落付き、刀藤は亨介に尋ねた。亨介はサザンと共に彼女に背を向けて立っていた。それも仕方がない。刀藤の服はぬれており今は刀を物干し竿のように使って干している。今の彼女は下着姿である。後ろを振り向けばそこでアウトなのだ。

 

「‥‥ある人の為ってところかな?とっても大事な人なんだ。」

 

「そ、その人って好きな人ですか?」

 

突然の質問に亨介はすこし焦る

 

「うぇ!?あ、あーと、まあ異性とかじゃなくて仲間とか家族とかそんな感じで…」

 

「い、いえ、変なことを言ってしまってごめんなさいです。だったら私にも…」

 

「え?なんか言った?」

 

「な、なんでもないです!」

 

何かつぶやいた刀藤に伺ったが彼女は慌ててなんでもないと流した。

 

「あー、帝王もなにかしゃべりたいなー!帝王にも聞いてほしいなー!」

 

黙っているのは嫌なのかおしゃべりなのか、サザンは駄々っ子のようにごねた

 

「あ、あのサザン先輩は何のために戦うんですか?」

 

「フハハハハハ!!帝王になるためだ!」

 

帝王なのか、まだ帝王になっていないのか、はっきりしてほしい。ドヤ顔で答えるサザンに亨介は黙って足蹴をする。

 

「俺からも聞くが、刀藤は何のためにここで戦ってんだ?」

 

「私は罪人として収監されている父を助けたいのです」

 

刀藤の父親。たしか彼女の父親は刀藤流の師範であり、そんな彼がなぜ収監されているのか亨介は気になった。刀藤は話を続ける

 

「5年前、私と父がいたお店に強盗が入ったのです。そこで、人質にされそうになっ私を助けようと、父はその人を…」

 

刀藤は黙った。彼女からぐすりと咽び泣く声が聞こえた。亨介とサザンは察した。彼女の父親は助ける為に人を殺めてしまったのだ。

 

「本当なら正当防衛が認められる状況だったのですが…父は星脈世代だったのです」

 

法律上、正当防衛ならば免罪になるのであるが、普段の人よりも身体能力も力も長けている星脈世代だとなると話は別である。スーパーマンが人間を一方的に殺めるもの、力ある者は法に捕らわれてしまうのだ。

 

「今にして思えば8歳の私でも相手を倒せたのです。」

 

「えっ」と亨介とサザンはギョッとした。8歳で倒せる実力があるなんてまさに「ぅゎょぅι゛ょっょぃ」である。

 

「でも弱虫な私は体がすくんでしまって…このままでは父はあと数十年も出られません。そんな時伯父様が…」

 

だからこのアスタリスクに来たのか。父親を助ける為に伯父にいいようにされ今の地位にまで上り詰めたのであった。

 

「私は伯父様にすがるしかないのです。言う通りにしおけば私は何も…」

 

「刀藤、それは違う」

 

亨介は彼女の言葉を遮る。

 

「誰かの言いなりで作られた道は自分の為にはならない。その先は自身の破滅しかない。自分の力で道を切り開かない限りその夢は叶わないぞ」

 

「無理です…私一人ではそんな…」

 

亨介は振り向き彼女の瞳を見つめる。彼は真剣な顔つきで彼女に語り掛ける

 

「お前は一人じゃねえさ。俺が付いている。」

 

「フハハハハ!!なんだか面白そうなので、この帝王も貴様の力になろう!ただしその暁には一位の座はこの俺に譲がいい!!」

 

ドヤ顔で笑うサザンをスルーして亨介は刀藤を優しく撫でる

 

「まあこのアホも言ってるし、自分の選んだ道を進むなら、どんな時だってお前の支えになってやるさ」

 

「私の選んだ道…」

 

「しかし、亨介。やけに彼女に優しいではないか?」

 

「刀藤には俺と同じ道を歩んでほしくないだけだ。後悔のないように…あ」

 

刀藤は撫でてくれている亨介とドヤ顔で笑うサザンを見た。亨介は気づいた。今の彼女は白い下着一式の状態である。細い艶やかな身体と豊満な胸を強調させる。亨介とサザンはすぐさま後ろへ向きなおす

 

「わ、わりぃ!!」

「ぬうううっ!!?この帝王、惑わされぬぞ!!」

 

「そ、そんな私こそ!!」

 

刀藤も赤らめて身を縮ませる。その時彼らにライトが照らされた。見上げると風香が天井にぽっかり空いている穴から顔をのぞかせていた

 

「みなさーんご無事ですかー?」

 

そのあと救助の車が来て三人は無事に引き上げられた。刀藤は毛布を包んで濡れて冷えた身体を温める。亨介とサザンの前に風香が立ちため息をついていた。

 

「まったく、うちにきょーすけから連絡が来たや否や通信が途絶えるから何事かと思えば大変なことになってましたねー」

 

 

「ぬう…まさか風紀委員に借りを作られるとは…」

 

「わりいな、風香。助かったぜ」

 

そんな亨介に風香は微笑み、亨介とサザンの腕に手錠をかけた

 

「「…え?」」

 

「いやー、まさかあんたさんらが13歳と年端もゆかない少女に何してたんですかねー?みーっちり懲罰房でお取り締まりいたしやす」

 

~*~

 

「まったく、あまり心配をかけさせるな。」

 

制服に着替えた刀藤はその後中庭で鋼一郎と合流した。鋼一郎は呆れるように彼女をにらむ

 

「兎に角、次の決闘の件だが…」

 

「その前に一つお聞きしてもいいですか」

 

今の彼女はかつて怯える自分の姿はなく、凛として落ち着いて鋼一郎に尋ねた

 

「なんだ?」

 

「私を心配したとおっしゃいましたが、それは刀藤綺凛を、ですか?それとも刀藤綺凛という道具ですか?」

 

真剣に見つめる彼女の問いに鋼一郎は愚問かというように呆れるように答えた。

 

「ふん、私が必要としているのは貴様の力だけだ。…それより綺凛。貴様は近頃あの千利亨介という男に近づいているようだな?いいか、よく聞け。あのような雑魚にいると貴様の力が劣ってしまう。今後あの男には関わるんじゃないぞ?」

 

「それはお断りします」

 

きっぱりと即答した刀藤に鋼一郎は強く睨み付けた。

 

「…なんだと?」

 

「千利先輩は私に大切なことを教えてくださいました。そしてあの人からは学ぶことが私にはまだたくさんあります」

 

「ふん、くだらんな。お前は私の言う通りにしていればいいのだ!!」

 

「いえ、私は…っ!!」

 

刀藤の言葉を遮るように鋼一郎は彼女の頬をひっぱたいた。 こうすれば何も言えなくただ言う通りにしかできなくなる。私の道具に戻るのだと… しかし、彼女は涙を流して怯えることなく、寧ろさらに表情を強めて鋼一郎を見つめていた。その彼女に鋼一郎はたじろぐ。

 

「わ、私に逆らうというのか!誰がお前を序列一位にしたと思っている!私無しでは星武祭で優勝までたどり着ける訳がないだろう!!」

 

「はい、たぶん無理だと思います…ですが伯父様のやり方でそれを成し遂げられるとは思いません」

 

自分の出世への理想の道をずばりと否定された鋼一郎は怒り任せに彼女を殴ろうとした。しかしその拳は彼女の片手だけで止められた。刀藤は鋼一郎に怒らず、憎まず、彼を哀れむかのように悲しく見ていた。自分よりも年が幼い女に止められた鋼一郎はさらにたじろいだ。

 

「ごめんさいです、伯父様。ご助力には感謝しています。だけど、これからは自分のやり方で戦っていこうと決めました。そうじゃないと…いつかきっと後悔してしまいます」

 

鋼一郎の手を離し、刀藤はくるりと背を向けて歩き出した。

 

「ま、待て!これから1人でどうするつもりだ!?」

 

「そうですね…まずは戦おうと思います。自分で決めた相手と自分の意志で戦いに挑みます」

 

**********

 

亨介は辺りを見回した。たっくさんの生徒たちが自分といま目の前にいる刀藤綺凛を見ている。ここは星導館学園のスタジアム。つまりはこれから彼女と決闘をするのである。亨介は嬉しく驚いていた。まさか彼女から決闘を受けてくれないかと真剣な眼差しで訪ねてきたのだ。自分ひとりで勇気を出して言ってくれたのだ。

 

「いやー、『学園の序列一位、疾風迅雷、刀藤綺凛』対『学園の暇人、千利亨介』の決闘とか注目のカードでしょ!」

 

特待席ではカメラで録画する英士郎の他、綾斗やユリス、紗夜にクローディア、風香、さらにはレスターも観戦していた。最初に紗夜が口を開く

 

「ねえねえ、きょーすけは一回負けたんでしょ?とうどーに勝てるの?」

 

「わからねーですね。あの人はいっつもふざけてやがりますので」

 

「しかし、あいつの純星煌式武装はあのデッキブラシだろう?前回は真っ二つにされたが…」

 

風香とレスターは亨介を心配そうに眺める。ユリスは首を横に振り亨介をにらむ

 

「いいや。あいつは他にも手があるはず。あの純星煌式武装は何かあるはずだ」

 

「前回の亨介の闘い方を見るといろんな武術を組み合わせた技だった。おそらくここで本気を見せるはず。亨介はいま、負けるわけにはいかないからね…」

 

ユリスはクローディアに視線を向けた。クローディアは笑顔で首をかしげた

 

「そろそろあいつの武器について教えてもらおうか」

 

「あらあら、知りたいですか?試合を見て頂ければわかるはずですわ?」

 

皆、亨介の方に視線を向けた。

 

 

『試合、開始』

 

試合の合図と生徒たちの歓声とともに決闘が始まった。刀藤は刀を振るい、亨介は翡翠色のデッキブラシでそれを防ぐ。しかし刀藤の振るう刀の速さは前回決闘をした時よりも尋常に速い。くの字に刀を左右に切り下せば斜めへの袈裟切りの連撃、亨介は襲い掛かる連撃を左、右、正面と防ぐ。亨介が右へいなした隙を刀藤は見逃さなかった。彼女の突きが放たれる。亨介はその突きを躱しぎりぎりかすめるところは星辰力で防御をした。

 

「…さすがは千利先輩。すごい裁き方ですね」

 

「まあな。戦いなれてるもんでな。」

 

「それに『連鶴』を防がれたのも初めてです」

 

刀藤は嬉しそうに亨介を見た。

 

「あれが『連鶴』か」

 

「巣籠、花橘、比翼、青海波…刀藤流には49に及ぶ繋ぎ手の型があります。それを組み合わせることで完全なる連続攻撃に成す技が連鶴です」

 

刀藤は星辰力のオーラを高め刀を構える

 

「連鶴に果て無し…次は仕留めます!」

 

刀藤は一気に亨介の間合いへと駆ける。亨介はにやりと笑った

 

「そんじゃぁ…本気でいくぜ!」

 

亨介は何度か刀藤の剣撃を躱して大きくバックステップを踏んだ。それと同時に刀藤めがけてデッキブラシを投げ槍のように投擲した。

 

「っ!?純星煌式武装を手放した!?」

 

刀藤はこちら目がけて飛んでくるデッキブラシを斬り、亨介に迫る。相手は今は物腰。これで仕留めるとかけたその時、亨介が何かを持とうと手を構えていた。右手首から何かが光ったと思いきや亨介の手には先ほどより長い何かが持たされ刀藤めがけて突きを放つ。すぐに刀藤はそれを防いぎ、亨介が手に持っているものに驚いた。亨介が持っていたものは翡翠色のレーキ(ならし用の道具。とんぼともいう)を構えていた。

 

「驚いたか?変形できるのはデッキブラシだけじゃないんだぜ?」

 

「ええ、驚きました。ですが、奇策は奇策です!」

 

刀藤は亨介の手に怯むことなくすぐに刀を振るう。亨介は長いリーチを活かし突き、左右へ薙ぐ。そしてその攻めを防ぎ刀藤が間合いへ近づけば再び大きく後ろへ下がりレーキを思い切り投げつけた。刀藤はそのレーキを斬り亨介へ迫る。亨介の両手には翡翠色の大三角定規が握られていた。今度は亨介が迫り突きと袈裟切りの連撃をかます。先ほどよりも速い攻撃である。刀藤は自分が押されていることに焦りを感じた。

 

「っ!ですが、負けません!」

 

亨介の大三角定規の突きを刀で受け下段へ勢いよく切り上げる。大三角定規は空中へ飛ばされる。亨介に隙ができ刀藤は刀を振り下ろす。

 

(勝った!)

 

亨介はにやりとした、左手には翡翠色の黒板消しが握られていた。振り下ろされる刀を黒板消しで防いだ。防いだ黒板消しから翡翠色の煙幕が巻き上がり刀藤の視界を遮った。

 

「!しまった!?」

 

刀藤は驚き体勢を直そうとしたが時すでに遅し。煙幕を振り払われるほどの勢いで亨介の右手の突きが放たれた。刀藤の右胸に直撃し、刀藤は後ろへ倒れる。彼女は彼が右手に持っているものを見た。亨介の右手には翡翠色のペンが握られていた。

 

「ペンは剣よりも強しってな…大丈夫か?」

 

亨介は倒れている刀藤に手を差し伸べた。刀藤は微笑んで起き上がる。

 

「…千利先輩はすごいですね。色んな戦い方をしてくるんですから」

 

パキリと校章が砕け散る。刀藤は亨介に笑顔を見せた

 

「まいりました、完敗です」

 

 

『決闘終了、勝者 千利亨介 』

 

試合終了とともに歓声がスタジアムを包み込んだ

 

**********

 

「ふう、あの子はほんっとに強かったぜ」

 

亨介は深々とベンチに座り込む。

 

「まさか、本当に勝ってしまうとはな」

 

「おめでとう、亨介」

 

「きょーすけ、序列一位だよ」

 

控え室には綾斗とユリス、紗夜と風香が彼の勝利に感心していた。

 

「こんなに強いんなら明日からちゃんと風紀委員を務めてくだせーな」

 

「えー、やだー」

 

「しかし、亨介。まさかデッキブラシの他にも道具を形成するとはな。どういう仕組みなんだ?」

 

「えーとそれは…」

 

「いいのではないですか、私が教えてあげますわ」

 

亨介はどうしようか悩んでいるところにクローディアが刀藤を連れて入ってきた。刀藤は先ほどの試合の様子を移転してもじもじしていた

 

「亨介の純星煌式武装『翡翠の悪魔≪ジェード=ベリル≫』の能力ひとつは『構築』。彼が武器になると思う物なら武器として構築されるですよ」

 

「ちょ、言うなよー、照れるじゃねーかー」

 

「よし、これでどう戦えばいいか作戦が練れる。もうひとつは?」

 

「ユリス、お前は鬼や」

 

「それじゃあ明日からそれで学園中の草むしりをお願いしやすねー」

 

「風香、お前は鬼畜や」

 

「あ、あははは…そういえば刀藤さんは何か用があるのかな?」

 

亨介のやりとりに苦笑いしていた綾斗は刀藤に声をかけた。刀藤はあたふたと答えた。

 

「あ、あの…私!せ、千利先輩や天霧先輩の皆さまとお、お友達になりたいのですが!よ、よろしいでしょうかっ!」

 

亨介と綾斗達は目を合わせる。お互い頷き、笑顔で刀藤を見る。

 

「そりゃあ勿論おKだよな?」

 

「むしろ私たちの練習に来い、バッチコーイ」

 

ユリスは紗夜に慌ててツッコむ

 

「おい、なぜお前たちが答える!というかなぜ練習まで誘う!」

 

「そりゃあユリスさん、等価交換ですぜ?お友達になって一緒に仲良く汗を流す。青春じゃねーですか?あ、うちも参加しますので、まさかダメとは言うんじゃないでしょーねぇ?」

 

「うっ…だ、ダメではないが…綾斗はどうなのだ?」

 

「いいと思うよ。刀藤さん、こんな面子だけどいいのかい?」

 

「は、はい!ありがとうございます!」

 

刀藤は喜んで頭を下げた。その時、控室の扉を強くたたく音が響いた。モニターには鋼一郎が形相で扉を叩いていた。

 

『綺凛!ここにいるんだろう!出て来い綺凛』

 

刀藤は顔を曇らせ亨介は肩を下げる。まさかここまで追いかけてくるとは相当の執念である。扉が叩かれる音だけが響く。亨介はみんなの顔を見て尋ねた

 

「…扉を開ける。みんな、いいか?」

 

綾斗達は無言でうなずく。亨介は扉のロックの解除をする。扉は開かれ、ずかずかと鋼一郎が押しかけてきた。

 

「お前というやつはなんという愚か者なのだ!勝手に決闘をした挙句、寄りにもよってあんな無様な負け方をしおって!お前には私の力が必要なのだ!!」

 

鋼一郎は怒鳴り散らし無理やり刀藤の手を取ろうとしたが刀藤はその手を振り払った。

 

「…ごめんなさいです、伯父様。私は自分のやり方で戦っていこうと決めたのです。」

 

悲しそうに鋼一郎を見つめる刀藤に鋼一郎は怒りをこみ上げた。

 

「黙れ!黙れ黙れ黙れええっ!!お前は私の言うことを聞けばいい!!」

 

鋼一郎は刀藤を殴ろうと手を振りかざした。しかしその拳は彼女の前に立った亨介の顔面に当たった。しかし亨介は鼻から流れる血にも気にせず鋼一郎をにらむ

 

「おっさん、諦めろや…。こいつは自分で自分の道を切り開いて歩みだした。もうてめぇが手を出す野暮じゃねえんだ」

 

睨む亨介の威圧に押された鋼一郎はたじろぎ、喚きだした。

 

「い、いいか綺凛!貴様の父親の所業を隠蔽したのはこの私だぞ!!もし私の下に戻らぬというのなら全てをぶちまけて…っ!!」

 

「あら、面白いことをおっしゃるのですね?」

 

今まで黙ってみていたクローディアが口を開いた。彼女は黒い笑みで鋼一郎を見る。鋼一郎はクローディアを見て焦りだした

 

「なっ!?お前は、エンフィールドの…」

 

「彼女は星導館の生徒でもあります…学生の財産であり、統合企業財体の財産でもある彼女を私情で汚そうというのなら見過ごすわけにはいけません。おそらく私の母も同じ判断を下すと思いますわ?」

 

怯えてうつむく鋼一郎を追い打ちをかけるようにクローディアは話を続けた

 

「もう一ついいことを教えて差し上げますわ。亨介、千利亨介をあまりなめてかかっていたら危険な目にあいますわよ?なんたって彼は…」

 

クローディアは鋼一郎の耳元で囁いた。それを聞いた鋼一郎は目を見開いて亨介を見た

 

「ま、まさかこいつが…!?『あのお方』の…!?」

 

「おっさん、何を言われたか気にしねーけど、これ以上オレたちと上の連中をひっかきまわすと…消されるぞ?頼む、この子の為にも退いてくれねーか?」

 

鋼一郎は黙りうつむき彼らに背を向けて出て行こうとしていた。

 

「伯父様!私は伯父様に感謝しています。それは嘘じゃありません。…伯父様がいなければアスタリスクにも来ることも、そしてこの出会いもありませんでした…ですから…今まで…本当に…」

 

彼女は涙を流して去りゆく鋼一郎を見ていた。

 

「本当にありがとうございました!」

 

刀藤は頭を深く下げた。しかし、鋼一郎はそんな彼女を見るなく出ていき扉は閉まった。亨介は彼女の頭を撫でる

 

「あいつにも人の心があるならきっとわかってくれるはずだ…よろしくな刀藤。」

 

刀藤は涙を拭いて亨介に微笑む

 

「あ、あの千利先輩。二つほどお願いがあります。あ、あの…千利先輩のことを、お、お名前でお呼びしたいと…」

 

刀藤は顔を赤らめて亨介に聞いた。

 

「なーんだ、それは構わねーさ。もう一つは?」

 

「は、はい亨介先輩…わ、私のことも…お名前で呼んで‥くれますか?」

 

刀藤は上目遣いで亨介を見つめた。亨介はすれにずきゅんと来たのか照れながら答えた。

 

「あぁ。わかったよ、綺凛。よろしくな」

 

「はいっ!!」

 

綺凛は笑顔で答えた。亨介も皆も笑いあった。しかし風香は笑顔で亨介に手錠をかけようとした。

 

「…ちょ、風香?」

 

「はーい、きょーすけアウトー」

 

「いやいやいや、何もしてないんだけど?」

 

「きょーすけ16歳、綺凛ちゃんは13歳。わかります?」

 

「え?…あ…うそでしょ?ノータッチですけど!?」

 

亨介は急いで風香から逃げ出した。風香は笑顔で追いかけて行った。綺凛は綾斗達にも笑顔で頭を下げた

 

「綾斗先輩、それに皆さんもよろしくです!」

 

 





綺凛ちゃん イズ Angel

あ、ちなみにヒロインは未定です

次回からはいよいよ鳳凰星武祭へ!原作の方々だけではなくごちゃまぜのキャラも出てきます。

次回もよろしくお願い致しします!
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