二人は仲良し? ミント&ヤンヤン   作:新六毛

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決着の時は近い ミント&ヤンヤン

ヤンヤンが劇団を立ち上げ、各地の養護施設をボランティアで回っていると聞いた時、ミントは何不自由なく満たされた日々を送って来た自分が、とても恥ずかしく感じた

だからミントはヤンヤン劇団への入団を希望した

自分も恵まれない子供達を笑顔にしたい!

そんな思いがミントを突き動かしたのだ

 

「劇団はアンタが思う程、甘いもんじゃないわよ!」

 

だがヤンヤンは、そんなミントを冷たくあしらった

曰く、苦労知らずの金持ちはプライドが高く、役にのめり込めない

所詮は子供向けのインチキ劇団擬き、などと思って貰っては困るのだと…

ミントは強く反論した

自分の情熱や根性も見定めず、何を言うのかと…!

そこまで言われて、遂にヤンヤンは入団試験を実施する事にした

近くの養護施設で実際に劇を行い、そこで素質を見極めると…

 

 

 

ヤンヤン劇団はミントとヤンヤンを加えても僅か5人の小所帯である

ヤンヤンがアドリブを利かせたナレーションを担当し、団員がそれに合わせて芝居をするのがスタイル

脚本の無い成り行き芝居 それが人気の一因でもあった

団員には機転と応用力が何より求められる

それが合否の基準となるのだ

 

この日の演目は【3匹の牝こぶた】

長女を一座の花形、らむねが担当 次女を燻し銀ティナが演じる

悪役の狼を雛菊、そして三女がミントの役となった

 

『ブゥゥゥゥゥ……』

 

ブザーがなって、緞帳が上がって行く

ヤンヤン劇団、第36回公演が幕を開ける

 

「ある所に、3匹の牝こぶたが住んでいました…」

 

普段の横暴なイメージとはかけ離れた、ヤンヤンの気品ある、澄んだ声が響く

最早ベテラン声優といった貫禄

それだけ場数を踏んで来たという事だろう

いよいよ無様な姿は晒せなくなった

ミントは気合いと緊張で武者震いをするのだった

 

「賢く美しい長女…」

 

その声にらむねが舞台に踊り出る

 

「働き者で気の優しい次女… 」

 

ティナがが後に続く

 

「愚かで醜い穀潰しの三女…」

『ハハッ… ワハハッ…』

 

観客の子供達の笑い事の中、ミントは舞台に飛び出す

早くもヤンヤンのアドリブは始まったようである

 

「三女はとても意地汚く、食いしん坊なので、いつも鼻を鳴らしてご飯を探しています…」

 

早速ミントの応用力が試される

これはミントの入団試験も兼ねた芝居なのだ

 

「ブゥ… ブゥブゥ… ブゥ……」

『ワハハハハッ…』

 

四つん這いになって豚の鳴き真似をするミントが子供達にウケる

 

「漸く見つけた犬のウンコを、美味しそうに頬張ります…」

 

ミントはウンコを拾って頬張る仕草を見せる

 

「パクパク… パクパク…」

『ドワッハッハッハッハッ!』

 

大爆笑の渦が広がる

 

「………………」

 

ミントは余りの恥ずかしさに顔を紅潮させる

 

(恥ずかしけど、これは試験なのよ 応用力を見せるのよ)

 

ミントは己を勇気づける

 

「そんな愚かしい妹に、長女が蹴りを入れます…」

「これぇ……!」

 

らむねの鮮やかなドロップキックがミントの顔面を捕らえる

 

「ぶほぉはっ!?」

 

全くの無防備だったミントは、舞台の上をゴム毬の様に転がる

 

「倒れた三女に、次女が怒りのボディプレス…」

「大ちゃーんす!」

 

助走をつけたティナの身体が高々と舞い上がる

 

「ぶしっっっ!?」

 

押し潰されたミントが危険な呻き声を上げた

 

「そこにたまたま通り掛かった、悪い狼さん…」

 

狼の着ぐるみを着た雛菊が舞台に上がる

 

「手にした鉈を三女に打ち突けます…」

「な~に~も~の~!」

 

背中に隠した鉈を振り上げ、ピクピク痙攣を繰り返すミントの頭に降り下ろす

 

「ギャッバッ!? 」

 

鮮血が舞台の上に舞い散る

観客の子供達が、また一人また一人と無言で立ち上がり、全力疾走で逃げ出していく

 

「更に長女がアイスピックを、ミントのお臍に刺し込みます…」

 

最早三女ですらなくなったミントの臍穴に、金属の長い鋒が飲み込まれていく

 

「ヒギィィィィィッッ!?」

 

殺虫剤を浴びせられたゴキブリの様に、手足をバタつかせて大暴れするミント

 

「止めにティナが濡れたタオルで顔を押さえ付けます…」

 

次女でもなくなったティナが、ミントの顔に濡れタオルを乗せる

透かさず、らむねと雛菊がミントの手足を押さえ付ける

 

「フガー!? フ、フガーッ!?」

 

ミントは身体をくねらせ、何とかタオルを外そうとする

だが3人はミントの身体をがっちり押さえ、それを許さない

徐々にミントの動きが鈍くなっていく

 

「貴女が憎かったのよ!」

 

ヤンヤンの絶叫が舞台に響く頃、ついにミントの身体はゆっくりと動きを止めた

 

 

 

 

 

「血圧20!」

「強心剤投与!」

「脈拍数依然0!」

「心臓マッサージ続けて!」

 

緊迫の緊急救命治療室

ミントは心肺停止の状態で担ぎ込まれ、必死の蘇生治療を受けていた

治療室の窓の外には【ドッキリカメラ】のプラカードを掲げたヤンヤンと劇団員が、ミントの迫真の演技に釘付けになっていた

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