二人は仲良し? ミント&ヤンヤン   作:新六毛

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二人は多分仲良し! ミント&ヤンヤン

(はぁ~ 何やってるんだろ、私… )

 

ブロンズ製の台座の上で、恥じらいながらもそれっぽいポーズを決めるミント

彼女は今、そこに居並ぶに彫像の1つに成りきっているのだ

「だからイヤだって言ったのに… 」

きっかけは今日もヤンヤンの思いつきだった

 

『スパイガールになって広域暴力団の秘密を暴きたい !』

 

パラシュートで広大な敷地を持つ某屋敷に侵入、唖然とする強面達の中、麻薬密売の現場を写メしたまでは良かった

だが恐るべき事に、ヤンヤンはその後の展開を全く考えていなかった

蜂の巣をつつく様な騒ぎとなった屋敷の中を、子猫の様に逃げ回るミントとヤンヤン

 

「あたしが助けを呼んで来る! アンタはここで待っていて!」

「や、いやよ! 1人にしないで!」

「アンタと一緒じゃ逃げ切れないわよ! 大丈夫、私に良い考えがある…!」

 

そのヤンヤンの『良い考え』がこれである

一糸纏わぬ姿となったミントに、ヤンヤンは台所から拝借した小麦粉や片栗粉を塗りたくる

白い少女の全裸像…

豪華なこの屋敷に点在する幾つもの彫像の1つに成りきり、助けが来るのを待つ…

果たしてこんな文字通りの子供騙しが通じるのか…?

 

(あぁ… 恥ずかしいよ… 見つかったらどうしよう… ヤンヤン早く! お願い、早く…!)

 

 

 

「おい、居たか!?」

「ダメだ! だが心配はねぇ この屋敷からは蟻の子一匹這いりゃしねぇよ」

「探せ! 秘密を知られた以上、生かしちゃ置けねぇ!」

「…………… 」

「おい? お前、どうした?」

「いや…… こんな所にこんな彫像、あったかのぉ…?」

「そう言や確かに… メスガキの像なんてオジキの趣味じゃねーなぁ…」

 

(あぁ ほらぁ…! あっさり見つかっちゃったじゃない! 怖いよ~…! 神様! お爺様! リオ! ヤンヤン! 助けて…! 私、殺されちゃう!)

 

「ねぇ やけに騒々しいけど、何の騒ぎ?」

「!? こりゃ坊っちゃん、スンマセン 鼠が入り込みましてね 」

 

眠そうに目を擦りながら姿を現した少年

組員から坊っちゃんと呼ばれる彼の姿を横目に確認したミントは、己の心臓が飛び出す様な感覚を覚えた

 

(えぇっ!? ジャック!? ど、どうしてアイツがこんな所に!!)

 

「ところで坊っちゃん、こんな彫像、お屋敷にありましたかのぉ?」

「えっ…!?」

 

ジャックはそれを見て思わず息を飲んだ

 

(ミント…… にそっくりじゃないか…! そ、それも… は、は、は、裸で…!)

 

思わず頬を赤らめるジャック

股間が無意識に熱くなるのを感じた

 

「えっと…… うん… あぁ… それ、僕の部屋に運んで… その… あの… お爺ちゃんが… 僕の絵のモデル…… 用に…… 買ってくれて…!」

「あぁ そうだったんだですかい …おい!」

「へい!」

 

自分でも無理のある嘘だと思う

だが、この像を見た瞬間沸き上がったまだ性欲と言うには青過ぎる己の好奇心を、どうしても抑える事ができなかった

 

 

 

(な、何をする気なのよ~…!)

 

ジャックが部屋の扉を閉めると、辺りはベッドのフッドランプだけが照すほの暗い世界になった

正体を明かし助けてを求めようかと思った

だが、それではジャックに一生、露出変態痴女のレッテルを貼られる事だろう

それだけはどうしても避けたかった

 

 

 

(ゴクリ… )

 

ジャックは生唾を飲み込んだ

見れば見る程、ミントにそっくりである

淡い光に照らされた彫像は、まるで生きているかの様な質感を醸し出していた

心無しか少し動いた様な気すらした

ジャックの視線が像の顔から首筋を過ぎ、小さな胸の突起に向けられる

 

「き、綺麗だ… 」

 

思わず呟いた その呟やきに反応するかの様に、また像が動いた気がした

 

(彫像の傑作は生きている様だと言うけど、まさにこれがそうなのかもしれない)

 

ジャックの視線が再び動く

ふっくらとした腹の中央に空いた臍穴を経て、遂に視線は目的地へと到達した

白い両太ももの付け根 そこから僅かに覗く小さな肉の割れ目…

 

(これが… 女の子の…… ミントも… これとおんなじ…… )

 

心臓がバクバクと脈を打つ 股間が痛い程膨張している

ジャックはゆっくりと右手の人差し指をその割れ目へと向けた

 

「はぁはぁ…… ミ、ミント………」

 

荒い息遣いと共に、意中のあの娘の名前を呟いた

同時に指先が割れ目を突く… 筈だった

 

(!?)

 

……それは明らかに動いた

気のせいじゃない 明らかにジャックの指先をかわした

 

「えっ……?」

 

ジャックは思わず像の顔を見遣る

間違いなく先程とは顔の角度が違う

 

「ええっ? き、君…… ひょっとして……?」

 

その時だった

床が微かに震えているのに気付いた

直ぐにそれは地鳴りを伴い、大きな横揺れとなる

 

「じ、地震だぁぁ! 大きいぞぉ!!」

 

誰かの叫びが屋敷に響いた

 

「大きい…!?」

 

ジャックも予想外の揺れに飛び上がる

 

「表に出ろぉ! オジキィ!? 坊っちゃん!?」

 

自分を呼ぶ組員の声に弾かれるする様に、部屋を飛び出すジャック

フッドランプが2、3度瞬いて、プツリと消灯した

 

 

 

小笠原沖を震源とするM8.1の地震 この街でも震度5を記録する

それはジャックと組員の心に、3・11の悪夢を呼び起こすには十分な威力だった

一同は念のために街の公民館に避難を実施する

日頃から防災に気を配っていた組は整然と避難を慣行し、地元住民から称賛され、後日、消防署より模範的行動として表彰される事になる

そしてヤンヤンは崩れた裏山の崖の中から、偶然ダマスカス鋼を発見し、ピッケル造りに大きなイマジネーションを得るのだった

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