IS~あの娘だけのヒーローに~<凍結>   作:カタヤキソバ

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第十四話

 倉持技研からの帰り道。

 本数の少ないバス待ちながら、一夏と簪は先程の出来事について話していた。

 

「まさか、起動したらISが完成するなんてな」

 

 一夏は右手に付けたガントレットを見ながら呟く。

 これは倉持技研に来るまで付けていなかった物なのだが、何を隠そうこのガントレットこそが一夏のIS『白式』なのだ。

 ヒカルノからは良く分からないけど大丈夫、というまったく安心出来ない言葉をもらって、いつも身に付けるようにと言われて一夏に返された。

 

 通常、ISは待機状態の時アクセサリーの形態を取るが、何故か一夏の白式はガントレットという防具の形を象った。

 これに深い意味が有るのかは分からなかったが、取り合えずアクセサリーと比べて実用的な代わりに、少々大きくて不便だというのが一夏の正直な感想だった。

 

「あんなの見たこと無かったから、びっくりした・・・」

「だよな。・・・この待機形態も、何かのアクセサリーなら良かったんだけど」

「大きいからね。ーーーけど、防具って一夏らしいと思う」

「そうか?」

「うん」

 

 そう言って簪が微笑みかけるから、一夏もつい笑顔になる。

 

 ・・・簪は強いと思う。

 簪の境遇を聞いたとき、俺より余程酷い環境だと思った。けれど簪はそんな環境でもISの代表候補生になるほど努力して、その地位を手に入れた。結局簪は家を飛び出したけど、まだその努力が報われないと決まった訳じゃない。

 簪は姉(刀奈というらしい)と向き合う為に、もう一度ISに乗ろうとしている。やっぱり、簪にとって姉ってのは色々な意味で特別な存在なんだと思う。

 幸い代表候補生という肩書きは残っていたし、さっきヒカルノさんと専用機の話もしてきた。

 俺が千冬姉とちゃんと向き合えた様に、今度こそ簪の思いが報われて欲しいって・・・そう思う。

 

 一夏がそんなことを考えていると、ようやくバスがやって来た。

 一夏はもうこのまま帰るつもりだったが、簪にはまだ用事があり、

 

「ねえ、一夏・・・?」

 

 簪は少し戸惑い気味に一夏に話しかけた。

 

「ん、なんだ?」

「少し寄って行きたい所が在るんだけど・・・良いかな?」

 

 簪は意を決して、一夏に提案した。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 ーユニコォォォォォォォォンー

 ーハルトォォォォォォォォォー

 ーライド!哀哭の宝石騎士アシュレイ"R"!!ー

 

 ポップな音楽が流れ、色々な映像が画面越しに流れており、子供たちがきゃっきゃと目を輝かせながらそれらを見つめる。

 二人が訪れたのは、デパートのおもちゃ売り場だ。

 

「へー、色々あるんだなぁ」

 

 一夏は物珍し気に辺りをキョロキョロと見渡す。

 家計にあまり余裕の無い幼少期を過ごした一夏にとって、滅多に訪れた事の無い場所だった。

 

「お、これ知ってるぞ! 小さい頃に見てたなぁ」

 

 一夏が手に取ったのは、最後の一人になれば願いが叶うという戦いに身を投じた、仮面でライダーな作品のソフビだ。

 

「私も見てた。・・・私はこっちのも、好き」

 

 簪が手に取ったのは人々の笑顔の為に戦い続けたヒーローのソフビだ。

 

「簪、ヒーロー好きだって言ってたもんな。今日はこれを買いに来たのか?」

 

 簪は首を横に振る。

 

「買いに来たんじゃなくて、こういうのが好きだって知ってもらいたくて・・・。あんまり、女の子っぽい趣味じゃないし・・・」

「ーーー何だ、もしかしてそんなこと気にしてたのか?」

 

 一夏は伏し目がちに話す簪の言葉を、少々飽きれ気味に否定する。

 

「一夏、そんなことって!」

 

 簪は少々声を荒げるが、一夏は意に返さない。

 

「俺は簪のヒーローになるって言ったんだぞ? その俺が、ヒーローを嫌う訳ないだろ」

「た、確かにそうだけど・・・。けど私、アニメとかも好きだし・・・」

「俺は別に気にしたりしないぞ?なんなら今度簪のおすすめの奴、一緒に見ようぜ!」

「ーーー・・・ありがと」

 

 迷いの無い一夏の言葉に簪は顔を赤らめ、胸が高鳴る。

 

 実を言うと、少し不安だった。

 自分の趣味が一般的じゃないと思っていたから、一夏に嫌な顔をされるんじゃないかって、内心ビクビクしてた。

 ーーーけど、勇気を出して良かった・・・。

 

 積極的に人と関わって来なかった簪の、これまで滅多にしなかった自己表現。好きな人に自分の事を知って欲しくて、でもそれで嫌われたらどうしようと。

 そんな不安をはね除けて、精一杯の勇気を出した簪の思いは報われた。

 

 一夏は簪の思いが報われて欲しいと思っていたが、自分の知らない間に、一夏自身が簪の頑張りに応えていた。

 

 あ、これも見たことあるぞ!

 それはーーー

 

 簪の心配は杞憂に過ぎず、逆にこの後二人は特撮関連の話で盛り上がり、楽しく買い物をして家路についた。

 

 夜。

 そう言えばあれってデートじゃん!と一人布団でバタバタニヨニヨして、簪は細やかな幸せを感じていた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 翌日。

 

「魔術師が扱う魔術には五大元素が関わっており、それぞれの魔術はいずれかの属性を帯びている。その結果、魔術師にも属性によって得意不得意が存在する。なお、例外も存在する・・・と。・・・桜さんはどんな魔術が使えるんですか?」

「私はその例外、虚数魔術ですね、私はあまり一般の魔術は得意じゃないんです。けど、姉は五大元素全てに適正が有るんですよ」

 

 簪は桜と一緒に魔術の勉強をしていた。知識だけで、扱える様にはならないとは言え簪は魔術の事を知るのが楽しかった。元々アニメなど見ていた簪にとって、空想の存在だった魔術を目の前にしてテンションが上がるのも当然だ。

 尚、一夏は士郎と道場に行っている。

 座っているより体を動かす方が、一夏には合っているらしい。

 

 衛宮家を後にする時、千冬も口にしていた。

 

「こいつはこう見えても喧嘩早くて、小さい頃はいつも傷だらけだったんだ。簪も手が掛かると思うが、よろしく頼むぞ」

 

 そう語る口調は柔らかくて、そういう所が可愛かったりもしたんだろうと思わされた。

 簪も、前回同様擦り傷だらけで戻ってくるだろう一夏の姿を想像すると心配もするけれど、それも男の子なんだろうと、微笑ましくも感じた。

 

「魔術師は、魔術を通して根元に至ることが最終目標なんです。その為に研究をするのが魔術師で、魔術を問題解決の為に使う人は魔術使いと呼ばれるんです。士郎さんのような人がそうですね」

「例外も存在する、という訳ですね。この家系が重要な意味を持つというのはーーー」

「魔術師は代を重ねるごとに強くなるんです。中には途中で断絶する家系も少なくないんですけど、例えば時計塔のトップの方々などは古くからずっと続いている一族の方だったりするんですよ」

 

 桜に魔術や魔術師について聞く傍ら、簪はふと思い出した。

 それは昔、更識家は稀に占い師を輩出していたという話だ。家の倉で古い古文書のようなものを見つけた時の事だったかなと考えてーーー

 

 ーーー結局簪は、その事を頭に隅に追いやった。倉に勝手に入ったのを見つかって、父親にひどく叱られた事を一緒に思い出したからだ。

 

 もしそうだったら面白いかな程度に考え、簪は桜との勉強に戻った。

 尚、やはり一夏は擦り傷だらけで帰ってきて、簪に消毒してもらっていた。




 お読み頂きありがとうございました!

~教えて、聖杯くん!~
いちか「せいはいくん、まじゅつについておしえて!」
聖杯くん「もう仕方無いなぁ一夏くんはーーーはい!」

ジャジャーン!! マジュツガヨクワカール~~~~

聖杯くん「こいつで全員殺せば、君が言う魔術が正しい魔術になるよ」

 ってなこと言いそうだなと思いました。


 私はライダーやウルトラマンなど、平成三部作の辺りがどんぴしゃです。特に私のヒーロー像はクウガや龍騎ですね。・・・何故かアギトは良く覚えていません。アナザーと勘違いされて責められるシーン?が酷く辛かった事は覚えてますけど・・・。

 批評や感想・質問などいつでもお待ちしておりますので、気軽にお願いします!

 では、次回をお待ちください!
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