ソードアート・オンライン 仮想世界に降り立つ暁の忍 -改稿版- 作:鈴神
「それじゃ、行ってくるね。」
「ああ、気を付けてな。」
家を出てすぐの場所にある最寄駅の前で、和人と直葉は別れる。二人は共に中学生だが、通っている学校は異なる。直葉は公立の普通校であるのに対し、和人は私立の学校なのだ。桐ヶ谷家には、子供を名門校へ行かせるエリート教育の風潮は存在しない。にも関わらず、和人がレベルの高い私立校へ通っているのは、他でもない本人の希望によるものである。
うちはイタチとしての記憶を持つ和人にとって、義務教育の学習内容など取るに足らないレベルだった。故に、小学校より突出した成績を叩きだしてきたのも必然である。そして、和人自身も前世から勤勉な性格であり、より高度なカリキュラムを求めた結果、私立中学への入学を希望するに至った。加えて、和人の胸中には、実子ではない自分に愛情を注いでくれた両親を喜ばせたいという秘めた思いもあったのだ。
何はともあれ、和人のハイレベルの私立中学への入学希望を翠と峰嵩は承諾し、試験も見事パスするに至った。そして現在、和人は、直葉が通っている中学とは別の、電車による乗り降りを必要とする東京の私立中学に通っているのである。
「おう!和人、早いな!」
「お前もな。」
「おはようございます、桐ヶ谷先輩。」
「ああ、おはよう。」
電車を降りて、駅を出てからの道すがら、同じ中学の制服を着た何人かの生徒に声を掛けられる。彼等は和人と同じ、一般家庭出身の学生である。
和人の通う私立中学は、医者や政治家といった家柄の良い子供達が通うことで知られている。そのため、和人のような一般家庭出身は少数派であり、校内では肩身の狭い思いをしているのだった。中には、苛めにまで発展して転校を余儀なくされた生徒もいたそうだが、学校が家柄を重んじる傾向にあるため、そういった問題は一般家庭出身の生徒達が泣き寝入りするケースがほとんどだった。
そんな名家出身の生徒が幅を利かせる中に現れた和人は、校内のパワーバランスを崩す存在となった。偏差値の高い名門私立中学において成績は常にトップに位置し、あらゆるスポーツも完璧にこなす抜群の運動能力を持った生徒…それが和人だった。入学後、和人の知名度は本人の気付かぬ間に急上昇していた。一般家庭出身でありながら、他の追随を許さない能力は、多数派である名家出身の生徒に虐げられている生徒達の尊敬の的となっていた。だが、一方でそれを快く思わない人間もいる。
「おい、桐ヶ谷。」
「ちょっとこっち来い。」
和人が校門をくぐった直後、横から声がかけられる。そこに居たのは二人の男子生徒。恰幅の良さから、運動系の部活に属していることは明らか。さらに、身に付けている校章の色から、三年生であることが分かる。
二人の姿を見るや、和人は内心で溜息を吐く。無視して校内へ向かっても良いが、どうせ帰りも同じように待ち伏せされると分かっている以上、選択の余地はない。渋々二人のもとへ歩いてゆき、監視カメラや人影のない校舎裏へと連れていかれる。
「それで、何か用でしょうか?勝先輩、小泉先輩。」
用件は分かっているが、一応聞いてみる。和人の表情は無表情そのものだが、内心では目の前の二人に呆れ返っている。
「お前、この前の部活の時はよくも恥をかかせてくれたな!」
「先輩相手に顔を立てようとか、もっと考えねえのか!?」
この二人は、和人が所属している剣道部の先輩に当る人物である。ちなみに、両親はやり手の実業家である。中学時代最後の大会や受験を前に控え、部活・勉強共に伸び悩んでいたストレスを、一般家庭出身の下級生を中心に虐げることで解消していたのだ。ストレス解消の矛先は、当然のように和人にも向けられた。そして立ち合いの結果、二人を完膚なきまでに叩きのめしたのが恨みごとの始まりだった。
和人が二人の相手をしたのは、一方的に因縁を付けられてのことだった。わざと負けて現状のような問題を回避するという手もあったのだが、これ以上二人を付け上がらせても問題が肥大化するだけであり、一度叩きのめして頭を冷やさせるべきと考えたのだった。だが予想通り、二人はクールダウンするどころか、行状はエスカレートの一途を辿るのみだった。そうして現在、校舎裏に呼び出されるに至っている。
「こちとら大会控えてんだ!あんまり調子に乗ってんじゃねえぞ!」
「申し訳ありません。」
「もっと心を込めて謝れよ!」
後輩相手に、上級生の権威と名家の意向をかざしての理不尽な物言いに辟易する和人。反論しても会話にすらならないことを理解しているので、適当に相槌を打って答えるが、やっていられないというのが本音である。このままでは遅刻する羽目になりそうだ。そう思った和人は、そろそろどうにかして二人を煙に巻こうかと考え始める。と、そこへ…
「あなた達、何やってるの!?」
昇降口がある方の角から新たな人物が現れる。ちいさな卵型の顔で、両側には栗色の長いストレートヘアを垂らした、華麗な容姿の少女。大きなはしばみ色の瞳が鋭い光を放ち、こちらを見据えていた。
「チッ!…何でもねえよ!」
「行こうぜ、小泉。」
少女の姿を見るや、舌打ちしながらその場を後にする三年生の剣道部員二人。あとに残されたのは、和人と少女の二人だけである。
「ありがとうございます、結城先輩。」
彼女の名前は結城明日奈。三年生の現生徒会長である。名家出身でありながら、公平さを重視する真面目な性格で、校内の生徒達からは男女、出自を問わず人気のある女子生徒として知られている。
「いいえ…それよりも、最近あの人たちあんなことばっかりしてるの?」
「…そんなことはありません。」
生徒会長として、校内の風紀の乱れを見逃せないのか、明日奈は昇降口へ向かう和人の後を追いながら尋ねる。だが、和人は素気なく問題はないと返すばかり。ここで生徒会長である明日奈に告げ口すれば、あの二人をはじめとした剣道部員の粗暴な振る舞いが明らかとなり、何らかの注意や処分が下るのは間違いない。だが、そんなことをしてもあの二人をはじめとした3年生達が行状を改めるとは思えない。それどころか、軋轢が加速するばかりだろう。そう考えた和人は、明日奈の介入を止めるために嘘を交えて話す。
「俺が部活で図に乗ったことをしたことが原因です。あの二人はそれを注意するために…」
「本当に?桐ヶ谷君がそんなことをするなんて、信じられないんだけれど。」
だが、明日奈も疑り深い。和人の身を案じてのことだというのは、疑われている本人も分かっているが、有難迷惑である。名家出身の生徒会長と、一般家庭出身の和人が懇意にしているなどという噂が立てば、碌な事にはならないだろう。
「本当です。心配はいりません。」
「でも、あんな事があったんじゃ…」
校内へ入っても、詳しい事情説明を要求する明日奈。会話は平行線を辿るばかりである。そこで和人は、明日奈の神経を逆なでする冷たい態度に出ることで、突き放す策に出る。
「…結城先輩、これは剣道部の問題です。生徒会のあなたの力無しでも、自分の問題は自分で解決します。」
「でも………」
「本当に大丈夫ですから。それでは、もうすぐ教室なので。」
表面上は丁寧に断っているが、和人は明らかに自分を避けていると、明日奈は思った。恐らく、生徒会長であり、先程の二人同様名家出身である自分と関わることを忌避しているからなのだろう。明日奈もこの私立中学における、家柄の格差から生じる軋轢は理解していた。だからこそ、生徒会長になれた時には、家柄などを気にせず生徒同士が仲良くなれる学校にしたいと思っていた。だが、その想いは中々成果を見せず、目の前の生徒にも壁を作られる始末である。その原因を作っているのが他でもない、自分と同じ名家出身の生徒であるだけに、頭が痛かった。
「…分かったわ。でも、これだけは言わせて。」
「………」
「私は本当に、助けが必要なら、いつでも力になるから。」
明日奈の毅然とした態度で言ったその言葉に和人は足を止め、しかし振り向かずに立ち去って行った。和人が教室に入って行くのを見届けたのち、やがて明日奈も自分の教室へ向かうのだった。
午前の授業が終わり、昼食の時間となる。この中学の校則では、昼食中における席や教室の移動は禁止されており、各々の席で食事を取る。食事が終わると、昼休みである。生徒は各々自由に時間を過ごす。和人は特に教室を出ることもなく、席に着いたまま図書館で借りた本を読む。
と、そこへ
「桐ヶ谷、ちょっと良いか?」
「カズ、ここが分からないんだけど…」
教材片手に和人のもとへやってくる生徒が数人。和人と同程度の家柄出身の生徒達である。昼休みに和人のもとへ来る理由は見て分かる通り、勉強を教えてもらうためである。下級階層の家庭の生徒達は、生徒・教師両方に対して肩身の狭い思いをする環境にあるため、和人のように成績優秀で分け隔てなく接する生徒は重宝されている。素気ない性格であるが、勉強を教えて欲しいと言えば嫌な顔一つせずに教えてくれる。
こうして、基本的に時間を持て余す和人の昼休みは、ちょっとした勉強会が開かれることがしょっちゅうなのだった。
「そろそろ昼休みも終わりだ。皆、教室へ戻れ。」
和人の言葉に、教えを乞いに来ていた生徒達は素直に従って教室を後にする。和人も和人で、午後の授業に備えて教材を取り出し始める。
すっかり日常化した、それでいてこの学校では今までにあり得なかった一コマである。
「………」
午後の授業も終わり、大部分の生徒は部活へ向かい、少数の生徒は帰宅、もしくは塾などへ行く時間帯。今溜息を吐いた和人は前者に属し、所属している剣道部の部室に向かっているのだった。
(やれやれ…どうしたものか…)
今朝のこともあり、剣道部へ行く足取りは重い。だからといって欠席すれば、後日面倒なことになる。
大会を数カ月先に控えている以上、レギュラーメンバーを下手に刺激するのは得策ではない。極力接触を控え、立ち合いを避けて大人しく練習していれば問題は無いと考える。というより、これ以上妥当な対応の手段は浮かばない。
気付いてみれば、もう剣道部の部室の前。意を決して扉を開き、中へと入る。
「こんにちは。」
部室には、既に数人の三年生がいた。和人の挨拶に対して返ってきたのは、突き刺す様な非友好的な視線。敬遠されていることがはっきり分かる反応である。そんな露骨な態度に対して、和人は無表情を貫いたまま更衣室へ向かう。ロッカーには特に仕掛けもされていないことを確認し、スムーズに道着へ着替えて防具を身に付ける。準備運動を終えると、そのまま竹刀片手に剣道場へと出て日課の素振りを行う。
「おい、桐ヶ谷。」
五分ほど竹刀を振るっていると、案の定、今朝自分に絡んできた3年生二人――勝と小泉が現れた。
「お前、今朝のこと忘れてないだろうな?」
「…はい。」
「フン、相変わらずスカしやがって。ちょっとこっち来い。」
そう言って誘導されたのは、剣道場の中央。どうやら立ち合いをさせるつもりらしい。和人の正面に立つのは、大柄な小泉よりも大柄な勝である。
「部活始まる前にちょっと付き合え。」
「…分かりました。」
馬鹿に正直な立ち合いだな、と和人は思った。開けた剣道場の中心に呼び出された以外は何も異常はない。だが、面の下に覗く勝と小泉の口がつり上がっているのを確認するに、絶対に何かあると考える。桐ヶ谷家の朝稽古のように例をすることもなく、二人は竹刀を構える。
「ハァッ!」
先に仕掛けてきたのは、勝だった。鋭い突きが和人の“喉”目掛けて放たれる。小中学生の試合において喉の突きは禁止されている。連続で繰り出されるそれを和人は危なげなく避けていく。突きのスピードが落ち、そろそろ攻め込む頃合いかと隙を探し始める和人。
だが、
「オラァッ!」
「…」
やはり、といったところだろうか。立ち合いに横槍を入れてくる人間が現れた。和人の面目掛けて背後から竹刀を振り下ろしたのは、小泉だった。
「チッ!避けやがったか…」
忍の世界で生きた前世を持つ和人にとって、あまりにも分かりやすい奇襲だった。殺気を殺し切れていない小泉の動きなど、目で見るまでもなく対応できる。
「ま、次はそうはいかねえだろうがな。」
「………」
周囲の気配を探ると、どうやら自分を狙っているのは目の前の勝と小泉だけではないようだ。自分を囲むように竹刀片手に立つ四人の三年生の姿がある。隙が出来次第、随時奇襲を仕掛け、袋叩きにする算段らしい。そこまでして自分を叩きのめしたいのかと、和人ははたはた呆れ返る。
このままではキリがないので、和人は挑発を交えて周囲の敵に声をかける。
「…チマチマやらずに、全員でかかってきたらどうですか?」
「!!…テメェ、言ったな!」
「吠え面かいても知らねえぞ!!」
待機していた四人も立ち上がる。そして、和人目掛けて駆けだし、竹刀を振り下ろしていくのだった…
放課後の名門私立中学の剣道部で起こった、3年生六人がかりで2年生を袋叩きにするという、運動部にあるまじき問題。だがそれは、六人が返り討ちになるという結末に至った。
顧問が遅れながら剣道部の部室に到着した時には、襲い掛かった六人が気絶して倒れる中、袋叩きに遭った和人一人が立っている状況だった。顧問から事情説明を要求されたので、和人は簡潔に、個人的な感情を一切交えずに答えた。
3年生に因縁を付けられたこと、立ち合いで乱入されたこと、最終的には六人での袋叩きにされたこと…
事情を聞かされた顧問は頭を抱えたが、和人は「気にしていない。このことを公にするつもりはない」と答えた。このようなトラブルがあった以上、今日は部活を行うことなどできない。気絶した六人を保健室へ運びこんだ後、剣道部は解散となった。
(…何をやっているんだ、俺は…)
今回の騒動は、最初に和人に絡んできた3年生に非がある。だが、六人がかりで掛かって来いという言葉は、明らかに被害者としては過ぎた挑発である。苛立ちがあったことは否定しないが、忍として感情を隠してきた自分にはあり得ない行動だった。かつての忍だった自分に固執する必要など今となっては存在しないが、自分という人間が前世から乖離している気がしてならない。それは即ち、前世の自分を…犯した罪を忘れるということであり…
「桐ヶ谷君!」
そこへ、突然掛けられた声に思考を中断される。校門を出てすぐの場所で後ろを振り向いてみれば、そこには今朝会った栗色のロングヘアの華麗な容姿の少女、明日奈だった。和人は内心でばつの悪い表情をするも、明日奈に向き直った。
「…何かご用でしょうか?」
「さっき、剣道部から三年生が何人も保健室に運び出されていたけれど、もしかしてあなたがやったの?」
予想通りの話題だった。誤魔化し切れるものではないので、和人には正直に答える選択肢しかない。
「………そうです。今日の部活はそういう事情で解散になりました。俺に対する処分でしたら、後日改めて…」
「勝君や小泉君から仕掛けてきたんでしょう?あなたが謝ることなんてない筈よ。あの人達には、私が先生達にしっかり注意してもらうよう頼んで」
「いいえ、大丈夫です。」
和人のことを心配して、生徒会長として騒動の収拾を手伝うと言う明日奈。だが、和人はそれをきっぱり断る。自分のことを想っての気遣いであることは承知しているが、教師を含めて校風が家柄を重んじる傾向がある以上、彼女が出張ったところでどうにかなるとも思えない。それに、彼女の介入によって譬え和人が処罰を免れたとしても、それが後のトラブルの火種になる可能性が大きい。そうすれば今度は、“庶民に味方した生徒会長”として、明日奈が排斥対象にされかねない。これ以上騒動を大きくしないために、和人が選択した行動。それは―――
「これは剣道部の問題です。生徒会の出る幕はありません。」
「…どうしてそんなこと言うの?私は本当にあなたの力になりたいだけで…」
和人の突き離すような態度に、悲しそうな表情をする明日奈。生徒会長という役職に就いている彼女だが、他者と真正面から向き合うということには慣れていない。生徒会の実務をこなす優秀な能力はあっても、人を引っ張る牽引力や主張を通す意思力に欠ける面が、明日奈にはあった。
ほとんどの生徒が人柄や優秀さ故に気付かない明日奈の精神面の弱点を、しかし和人は知っていた。そして、このまま一方的にこちらの主張を述べ続ければ、明日奈が委縮して押し黙ってしまうことも。
「黙っていれば、こちらが泣き寝入りするだけで事は済みますが、あなたが出張れば問題が複雑化してしまいます。そうなれば、ご家庭にも迷惑がかかってしまうでしょう。たかが一生徒の揉め事に、生徒会長が動くなどあり得ないことです。」
「…そんな事はないわ。桐ヶ谷君は、家柄のせいで分かりあえないって思っているみたいだけど、きちんと話をすれば、あなただけが悪者にされることなんてない筈よ。私も協力するから…」
相変わらず無表情で冷淡に話し続ける和人に対し、明日奈の声はか細くなるばかりである。底冷えするような和人の視線や威圧感に、明日奈は強気に出られない。そんな彼女に、和人は遂に決定的な一言を放つ。
「余計なお世話です。」
その一言がきっかけになったのか、明日奈は遂に押し黙ってしまった。和人はそんな彼女に背を向けて家路に着く。明日奈に拒絶の意思を示すことで、彼女が火の粉を被ることは避けられる。結果として自分は嫌われるだろうが、和人にはそんなことは些細な問題だった。恨まれることや泥を被ることなど、生前から慣れていることだ。
(…結局、俺は“うちはイタチ”としてしか生きられないのかもな……)
今やっていること自体、生前の再現に等しいと和人は思う。和人の前世――うちはイタチが、自身が信じて全うした忍としての生き様、それは“自己犠牲”――一人の忍として、己を殺して里を救うために汚名を被り戦い続けてきたのだ。
この世界には、“里”もなければ“忍”もいない。しかし、前世における生き方を変えられない自分がいる。もしこのまま、前世と同じ道を歩むことになれば、自分はまた同じ過ちを繰り返してしまうのではないか?――そんな一抹の不安が、イタチの頭を過ぎっていた。
一方、一人残された明日奈の胸中は、遣る瀬無い思いでいっぱいだった。同じ学校に通う生徒として仲良くしたい、誰もが仲良くできる学校を作りたい。ただそれだけなのに、想いは通じず、和人には壁を作られ、全くと言っていいほど意志疎通はできていない。
(もっとしっかりしなくちゃ…)
生徒会長としても、今の校風をどうにかしたいというのは、嘘偽りのない本音である。そのためにも、落ち込んでいる暇はない。もっと意思力をもって接すれば、和人とも分かり合える筈。少なくとも、明日奈はそう信じている。俯いていた顔を上げると共に想いを新たに、明日奈は帰途に着くのだった。
イタチの自己犠牲精神を再現することに重きを置いてみました。初期版の投稿時には、イタチの内心の描写が少なく、苛立ちや嫌味を本気で露にしていると思われていたので、アスナを巻き込みたくない一心で突き放す態度を取っていたということを明確にしてみました。また、露骨に嫌味を言うのではなく、淡々と突き放すような口調に変えました。