ソードアート・オンライン 仮想世界に降り立つ暁の忍 -改稿版-   作:鈴神

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第六十六話 トンキー

 

「うわぁ……邪神の背中から眺めるヨツンヘイムの景色って、結構綺麗ですね」

 

「……リーファ、現実逃避はその辺にしておけ」

 

 パーティーメンバーであるサスケとランから目を逸らし、棒読みに話すリーファを、サスケは憮然とした表情で窘める。隣にいるランは、苦笑するばかりである。リーファを現実へ引き戻しつつも、サスケは何故、こうなったと頭を痛めていた。

 ヨツンヘイムへ落ちたサスケ等三人が腰かけているその場所は、冷たい石畳の上ではない。灰色の短毛が絨毯のようにふさふさと生えた、邪神の背の上なのだ。

 

「ユイ……今更だが、本当に大丈夫なのか?」

 

「はい。今のところ、この子に敵意はありません」

 

「今のところ……か」

 

 リーファ達三人を乗せて移動する邪神は、他の邪神から一方的に攻撃されていたところをサスケに助けられた象水母型の邪神だった。サスケの機転により、邪神同士の戦いの場所を象水母の邪神にとって有利な湖へと誘導した結果、思惑通り形成は逆転。象水母は陸上で自身に攻撃を加えていた神像型の三面邪神を倒すに至ったのだ。

しかし、問題はその後だった。象水母の邪神が突然、サスケのもとへと接近してきたのだ。三面邪神を打倒したことで、次の獲物にサスケが指定されたのかと考えたサスケは、疾走スキルを行使して距離を置いた。途中、援護のために駆けつけたリーファとランと合流し、離脱を試みた。だがその途中、逃走を開始するサスケを、ポケットに入っていたユイが制止をかけたのだ。ユイの話によれば、襲い掛かってきたように思えた象水母の邪神に戦闘の意思は無いとのこと。AIであるユイが言っているのだから、間違いないのだろう。だが、接近してきている理由は分からないらしい。何らかのクエストフラグが立ったためとも考えられるが、迂闊に接近を許せば半端ではないリスクを負うことになる。だが、他に行く宛ての無いサスケ達は、目の前の象水母起こしたイレギュラーな行動に脱出の糸口を探るべく動くことにした。

 

「まさか、いきなり鼻で絡め取られてこうして乗せられるなんてね」

 

「はは、はははぁ~……」

 

 象水母の邪神が敵意無しに近づいてきた理由を知るべく、接近を許した結果、象水母は口吻をサスケ達へと伸ばしてきたのだ。まさか、いきなり攻撃に転じて来たのではと警戒したサスケとランは飛び退こうとしたのだが、目の前の邪神に愛着が湧いたらしいリーファだけは反応が間に合わず、長い鼻に絡め取られてしまったのだった。だが、呑み込まれたり、地面に叩きつけられるという結果には至らず、そのまま平たく広い背中の上にぽいっと投げられるのみだった。現実世界の象やラクダのように乗せられたリーファを見て、サスケとランも後を追うしかないと判断し、続けざまに鼻に絡め取られて背中へと乗ったのだった。

 

「そう言うな、ラン。正攻法での脱出が無理な以上、どの道全滅するのは必至だ。コンマ以下の可能性でも、賭けてみるほかない」

 

「でも、一体どこを目指しているんだろう?」

 

「願わくば、このままヨツンヘイムから地上へ通じる出口へ向かってくれればいいのだがな」

 

 希望的観測を口にするサスケ。だが、内心では望み薄だろうと考えていた。尤も、邪神が犇くヨツンヘイムの中を三人程度のパーティーが徒歩で歩き回れば、蹴散らされて数分足らずで全滅するのは必定なのだ。サスケのように規格外のプレイヤーがいても限度がある。それを考えれば、行く先が知れないとはいえ、他の邪神から標的にされない場所に陣取って移動できる手段が確保できているだけマシだろう。前進も後退もできない状況を打破することができている現状を鑑みれば、それ以上は過ぎた望みであるとサスケは感じていた。

 ともあれ、サスケ達を乗せた象水母の邪神は、湖から川へと北上を続けている。止まる気配が全く無い以上、あとは成り行きに任せて事態が動くのを待つしかないというのがサスケの見解である。同時に、邪神の目指す、どことも知れない目的地への到着まで時間がある以上、今の内にリーファへ言うべきことを言おうとサスケは考えた。

 

「リーファ」

 

「な、何?」

 

 唐突にサスケに名前を呼ばれ、思わずびくっとしてしまうリーファ。自分の犯した迂闊な行動について、また何か叱責を受けるのではと身構えたのだが、サスケにそんな気は全く無かった。

 

「さっきの事だが……お前の意思を軽んじたことについて謝りたい。すまなかった」

 

 正座して佇まいを直し、頭を下げるサスケ。対するリーファは、突然のサスケからの謝罪に戸惑いながらも言葉を紡ぐ。

 

「えっと……そんなに、気にしなくてもいいから。あたしこそ、足引っ張りっぱなしで……ごめんなさい」

 

 真正面から土下座するように頭を下げるサスケに対し、リーファもまた頬を掻きながら気恥ずかしそうに謝罪の言葉を返すのだった。互いに謝罪し、邪神の背中の上に流れる気まずい沈黙、それを破ったのはランだった。

 

「はい、それじゃあ二人とも仲直りね。良い具合にまとまったところで、これからのことを話し合いましょう」

 

 ランの仲裁によってその場はまとまり、象水母の邪神救出から立て続けに起こった事態によって流されるままだった現状を改めて見直すことになった。

 

「まず今後の行動方針だが、変わらずにヨツンヘイム脱出を目指す。脱出方法については、今は俺達を運んでいるこの邪神に賭けるほかない。地上に通じる出口へ案内してくれるか、或いは脱出の糸口を与えてくれることを祈るばかりだ」

 

「もし、脱出できなかったら?」

 

「こいつの背中から降りて、徒歩で出口を目指すしかないな」

 

 尤も、無事にこの邪神の背中から降りられるかも微妙だが。しかし、この先自分達を乗せている邪神が裏切りに該当する行為に走ったとしても、ヨツンヘイムを徒歩で歩き回る場合と比べて、リスクは大して変わらない。どの道全滅するのならば、邪神の背中に乗っているという、現在直面しているイレギュラーに望みを託すしかない。サスケはそう結論付けた。

 

「分かったわ。というか、それ以外に方法は無さそうだしね」

 

「私も異論は無いわ」

 

 サスケの打ち出した成り行き任せに近い指針に、しかし二人は反論しなかった。というより、できなかった。邪神の背から無理に降りようとすれば大ダメージは必至であり、後が持たなくなる以上、サスケの言うように象水母の目的地に賭ける他に手は無い。

 そこまで考えたところで、リーファがふと疑問に思ったことを呟く。

 

「そういえば、この邪神って名前あるのかな?」

 

「……必要なのか?」

 

 心根の優しい少女だとは思っていたが、その博愛精神はこの状況にあっても健在らしい。邪神の背中に真っ先に乗った次は、名前を付けたいと言いだす始末。サスケは呆れを通り越して関心すら抱いていた。

 

「あった方が良いに決まっているじゃない」

 

「そうね……まあ、こうして私達を乗せて行ってくれていることだし、名前くらいつけてあげても良いんじゃない?」

 

サスケの問いに、当然のように答えるリーファ。そして、同調するラン。別に名前を付けたところで不都合なことは無く、象水母の邪神が目的地へ到着するまでの時間も無駄にある。反対する要素が無い以上、とりあえず邪神への命名に協力することにするサスケだった。

 

「ユイ、参考までにこの邪神に固有名はあるのか?」

 

「ええとですね……分かりました。『プシューケー・カンピア』だそうです」

 

 ポケットに入っているユイから齎された情報に、揃って疑問符を浮かべる三人。サスケ達の記憶の単語帳には『プシューケー』も『カンピア』も無い。或いは、別の国の言語なのかもしれないが、現時点でその意味を理解することは不可能である。ユイにインターネットへアクセスしてもらえば話は別だろうが、ヨツンヘイムを脱出するまでは自分たちの元を離れられては困る。

 

「う~ん……何か、イマイチだなぁ。やっぱり私達で考えなくちゃ」

 

「でも、何かアイデアはあるの?」

 

「…………」

 

 象水母の名前を考えるべく、頭を捻る三人だが、中々上手い案が浮かばない。モデルとなっている生物がはっきりしているのならば、まだやりようはあるのだが、『象』とも『水母』ともつかないモチーフ不明の異形が相手では、思い付くものも思い付かない。

 

(象……か)

 

 ふと、サスケの脳裏に昔読んだ絵本が浮かんだ。タイトルは、『かわいそうなぞう』。第二次世界大戦末期、動物園へ猛獣を処分するよう命令が下り、飼育員たちは毒餌や注射で次々動物を処分していった。だが、優れた嗅覚で毒餌を嗅ぎ分け、注射器の通らない分厚い皮膚をもつ象だけは、処分することができなかった。故に、象だけは餓死させるしかなかった。象達は、餌を貰うために必死に芸をするものの、次々餓死していったという悲劇の実話である。

幼少期に母親から聞かされた際、一緒に聞いていた義妹の直葉は大泣きしていたが、サスケは別のことを考えていた。暴れる等の抵抗もせず、只管芸をしながら死んでいった象達。その姿にサスケこと和人は、前世の自分を連想したのだ。特に、最後に死んだ『トンキー』と名付けられた象は、仲間二頭が死んでも尚、節を曲げなかった点が印象に残っている。餌を貰うために本能的に芸をしたのだろうが、無抵抗のまま芸を続けたその姿には、どこか忍び耐えているように思えた。

 

「トンキー……というのはどうだろうか?」

 

 気付いた時には、そう口にしていた。それを聞いたリーファとランは、揃って目を丸く見開いて驚いていた。まさか、サスケが名前を提案するとは思わなかったのだろう。そんな二人の意外だと言わんばかりの反応に、名前を提案したサスケ本人は憮然とした顔で再度口を開いた。

 

「……何を驚いている?」

 

「えっと……まさか、サスケ君が名前思い付くなんて思わなくって……」

 

「名前を考えてくれと言ったのはお前だろうが」

 

「そ、そうだったね。でも、トンキーかぁ……あんまり縁起のいい名前ではないね」

 

「戦争で死んじゃった象だもんね」

 

 苦笑しながら言葉を紡ぐリーファとラン。サスケは若干心外だとばかりにむすっとした表情をするも、すぐにいつもの無表情へと戻った。同時に、今度はサスケが意外そうな顔で口を開いた。

 

「何だ、二人とも知っていたのか」

 

「戦争中の象の話でしょう?一応、あたし達も小さい頃にお母さんから聞かされているわ」

 

「私のお母さんなんか、動物虐待を訴えるには不十分だとか、幼稚園児だった私に法的見解を言っていたわよ」

 

 ははは、と笑い合うリーファとラン。ともあれ、二人とも他にアイデアが無い以上、サスケの出した名前が採用されそうである。

 

「よし、それじゃあトンキーでいこう。おーい、邪神君!君は今からトンキーだからね!」

 

「トンキーさん、はじめまして!よろしくお願いしますね!」

 

 同類に近い存在であるユイからの会釈だったからだろうか。象水母の邪神――トンキーの頭の両側の耳、もしくはえらと思しき部位がわっさわっさと動いていた。

 

(……さて、吉と出るか、凶と出るか)

 

 パーティーの蟠りは解消されたが、邪神――トンキーの背中から降りることができない以上、成り行きに任せるほかに手が無い状況は継続中である。期せずして名付け親になったサスケは、最悪の事態に至らないことを祈るばかりだった。

 そして、トンキーの背中に乗ることしばらく。湖を渡り、川を北上し、雪と氷に覆われたなだらかな丘の上へと到達し、そこで動きを止めた。どうやら、ここが終着点のようである。

 

「トンキーが動きを止めた以上、ここに何かある筈だ。周囲の動きに注意してくれ」

 

「了解」

 

 サスケの指示により、リーファとランはトンキーの背中の上をそれぞれ別の方向へ見張りに向かう。サスケはトンキーの目指した丘の先へと視線を向けていた。

 

(かなりでかい穴だな……底が見えん)

 

 アインクラッドにも底の見えない穴があったが、百メートル前後のロープを用いれば底へと辿り着けた。だが、トンキーとサスケの前に広がる大穴は、それ以上あるように思える。

 

「ユイ、この穴の深さは分かるか?」

 

「私がアクセスできるマップデータには、底部構造は定義されていません」

 

「底なし、か……」

 

 落ちれば、まず間違いなく即死は免れないということだけは分かった。だが、トンキーがこのような場所へと自分達を招き入れた理由は不明である。まさか、ここまで連れてきて恩人である自分達を穴へと放り込もうというのだろうか。サスケの脳裏にそんな可能性が過ったのだが、幸いそうはならなかった。

 

「あれ?……トンキー、どうしたの?」

 

 丘の上で停止したトンキーが突然、二十本ある触手を内側に折り畳み始めたのだ。異変に気付いたリーファが問いを投げるも、空いてはAIで動くモンスターであるため、返事は返ってこない。触手を丸めて雪の上に胴体を乗せた次は、ひゅるると短く鳴いて長い鼻も内側へと丸め込み、トンキーは完全に動きを停止した。

 

「……止まったな」

 

「ええ。でも、何がしたかったのかしら?」

 

 ランの疑問は尤もである。何らかのクエストの開始に伴い、自分達をここまで運んできたのならば、何が目的だったのか。皆目見当が付かない。だが、停止して肢が地面についている今ならば、安全に地上へ降りられる。一先ずサスケは二人と共に地上へ降り立つことにした。

 

「降りてみたけど……何も起こらないね」

 

「ああ。俺達をわざわざ運んで来たのだから、この場所には何かあると思ったのだがな……」

 

 トンキーが連れてきた丘にあるのは、只管広がる氷と雪の景色のみ。邪神がいないことは幸いだが、その安全もいつまでもつかは分からない。邪神救援のクエストには何か続きがある可能性も否定できないが、トンキーとはここで別れて自分達だけで出口を探すべきだろうとも思う。

 

「ねえ。トンキー……死んじゃったのかな?」

 

 サスケが今後の動向について思考を巡らせていた一方で、リーファは動かなくなったトンキーを心配していたらしい。サスケとランは、自分達もいつ全滅するか分からない状況にあって、トンキーを心配するあたり大した博愛精神だと思った。だが、何らかのクエストが続いている可能性もある以上、トンキーの具合を診る必要はあるだろうとサスケは判断し、再度トンキーのもとへ近づいていった。

 

「HPは満タンで、減少は無いな」

 

 黄色いカーソルに付随するHPゲージを確認したサスケは、続いてトンキーの毛で覆われた皮膚へと耳を当てた。

 

「音が聞こえるな……心臓なのかは分からないが、何らかの臓器が機能していることは明らかだ」

 

「ってことは……もしかして、寝てるだけ?」

 

 徹夜でヨツンヘイム脱出のために尽力している自分達を余所に、一人寝入っているトンキーに対するリーファの不服そうな呟きに、しかしサスケははっきりとは答えない。アルヴヘイムやアインクラッドに生息するモンスターは、一定のアルゴリズムによって動くプログラムであり、現実世界の生物のように睡眠を必要としないが、例外は存在する。眠っているかのように動作を停止しつつも、プレイヤーの接近や物音、攻撃行為をトリガーに動きだすよう設定されたモンスターは確認されているし、モンスターが休眠状態にあるイベントやクエストも存在している。だが、目の前で饅頭のように丸まって鎮座しているトンキーがそれに当て嵌まるかは定かではない。休眠しているように見えるだけで、全く別の意図をもった行動なのか、或いはこれもクエストの一部なのかもしれない。

 

「こいつがどうなったかは分からん。だが、いつまでもここにいるわけには……」

 

「パパ、東から接近するプレイヤーの反応があります。一人……いえ、その後ろから二十三人!」

 

「邪神を狩りに来たパーティーだな。恐らく目的は、トンキーだろう」

 

 サスケの言葉に、リーファとランの顔に衝撃が走る。だが、ヨツンヘイムで二十四人という大規模パーティーを組織して動く理由は他に無い。プレイヤーを一人先行させているのも、斥候として動いていると考えれば辻褄が合う。

 やがて、リーファとランの耳に雪を踏みしめながらこちらへ向かっている足音が入って来た。聴覚に優れたシルフでなければ聴き取れないほど微細な音ということは、隠行魔法を使っているのだろう。ランは看破魔法を使おうと手を翳したが、それより早く向こうから姿を現した。

 青みかかる程の白い肌に、水色の髪。水妖精族・ウンディーネのプレイヤーである。斥候タイプ故に軽装の出で立ちだが、纏っている装備のグレードは高い。斥候一人にして相当なハイランク・プレイヤーである以上、後から続く本隊も強力なプレイヤーで固められていることだろう。ウンディーネの男性プレイヤーは、リーファ達へと一歩近づくと、予想通りの問いかけがきた。

 

「あんたら、その邪神、狩るのか狩らないのか」

 

 男が言う邪神というのが、リーファ達の後ろで丸くなっているトンキーを指し示していることは明らかだった。最も恐れていた言葉なだけに、半ば以上予想していたにも関わらずリーファは動揺を隠せない。

 

「狩るなら早く攻撃してくれ。狩らないなら離れてくれないか。我々の攻撃の範囲に巻き込んでしまう」

 

 PK推奨のMMORPGであるにも関わらず、非常に親切な対応である。そして、リーファがその言葉に対する返答に窮している間に、斥候役として来たウンディーネの男が所属するパーティーの本隊が到着した。

 全員、蒼髪青眼のウンディーネである。武装も斥候の男同様ハイレベルであることから考えて、恐らくはウンディーネ族の精鋭部隊なのだろう。水妖精族の本拠からキャンプ狩りに訪れているのならば、説得して引いてもらうことは不可能だろう。だが、それでもリーファは諦めるわけにはいかなかった。

 

「マナー違反を承知でお願いするわ。この邪神は、あたし達に譲って」

 

「……ヨツンヘイムのような狩り場で、そんな要求が通ると思っているでゲソか?」

 

 パーティー本隊の中央に立っていたプレイヤーが、前へ出てくる。イカの頭部のように頭頂部の尖った兜を纏ったリーダーらしきプレイヤーは、声色からして恐らくは女性だろう。かなり変わった語尾だが、何らかのキャラ作りに準じているのだろうか。そんなことを頭の隅で考えていたが、今はどうでもいい。

 

「我々は、ウンディーネ族の代表として来ているでゲソ。種族の繁栄のために危険を承知で戦い続けている以上、そんな要求は呑めないでゲソ。そもそも、ALOで先取特権を主張するのは御門違いじゃなイカ?」

 

 リーダーの女性プレイヤーが畳みかけてくる正論に、リーファは返す言葉が浮かばない。サスケとランも、客観的に見て間違っているのは自分達であるという事をはっきり理解しているため、口を挟めない。ウンディーネのパーティーリーダーの指摘は、語尾のせいで色々と台無しだが、まだ優しい方だろう。先制攻撃を仕掛けて一気に畳みかけることができるところを、わざわざこちらの間違いを指摘して立ち去るよう呼び掛けてくれているのだ。

 

「十秒待つでゲソ。その間に、そこの邪神からは離れてくれなイカ?さもなくば、諸共に攻撃させてもらうでゲソ。メイジ隊、支援魔法開始でゲソ」

 

 最終警告と共に開始される、ウンディーネ部隊の詠唱。それに伴い、前衛の攻撃部隊の身体に各種ステータス強化が施されていく。

 

「十……九…………」

 

 同時に、ウンディーネの弓兵によるカウントダウンがなされていく。リーファはサスケとランと共に撤退をしようと、ウンディーネ隊に背を向けて二人の元へ歩み寄る。

 

「サスケ君、ランさん……」

 

「そういえば、まだはっきりと答えていなかったな」

 

「……え?」

 

 二人に下がろうと声を掛けようとしたところへ、サスケが割って入る。リーファはこの局面でいきなり口を開いたサスケに少し驚き、言葉を続けることができなかった。

 

「お前やランを助けようとした理由だ。義務感からの行動だと言ったが、本当は違う」

 

 どこか吹っ切れたかのような表情のサスケ。相変わらずの感情の読み取れない顔だが、トンキーを救い出す前までの彼とは別人のように思えた。

 

「“仲間だから”――――それが、お前達を助けようとした理由だ」

 

「サスケ君!」

 

 それだけ告げると、サスケはリーファの制止を振り切り、剣を引き抜いてウンディーネの部隊へと正面から突撃していった。

 

「野郎!」

 

「正気かっ!?」

 

 攻撃宣言をしたのだから、大人しく引き下がるだろうと考えていただけに、完全な不意を突かれてしまった。強化魔法を施されている最中だった前衛の剣士隊は、凄まじい敏捷で攻め込んでくるサスケに反応が間に合わず、乱戦に持ち込まれて対応に手古摺っていた。

 

「リーファちゃん、私達も行くよ!」

 

「ランさん!?」

 

「トンキーは勿論、サスケ君も私達の仲間よ。彼もそう思ったからこそ向かって行ったんだから、私達が続かなくてどうするの?」

 

 “仲間だから”という単純明快にして二人が最も求めていた答えを口にしたのみならず、その意思をもって戦いに出たのだ。同じく彼を“仲間”と思っている自分達が続かないでどうするというのか。ランに背中を押され、リーファもまた決意を新たにした。

 

「……行きましょう!」

 

「うん!」

 

 リーファは長剣を、ランは拳を構えてサスケが戦っているウンディーネ部隊のど真ん中へと飛び込んで行く。強化魔法を施された前衛相手に相変わらずの無双ぶりを発揮しているサスケと応戦していたウンディーネ達は、さらに浮足立つ羽目になった。

 

「やぁぁぁあああ!!」

 

「とりゃぁぁああ!!」

 

 サスケが前線の重装備プレイヤー達の至近距離からの攻撃を回避して次々カウンターを叩きこんで行く中、リーファとランは乱戦地帯を突破し、ウンディーネの支援部隊のもとへと飛び込んで行く。後衛のメイジ隊を潰せば、前衛を回復・支援するプレイヤーはいなくなる。サスケの実力を鑑みれば、支援を得られない前衛を殲滅するのは然程難しくはない筈。

 

「成程……よくもまあ、知恵が働くでゲソ!」

 

「くっ……!」

 

 だが、リーファとランの行方を遮る様に、先程のイカ甲冑の女性プレイヤー――イカ娘が現れる。左手に盾、右手に剣を装備してリーファとランのもとへと果敢に立ち向かう。

 

「スプリガンの彼に前衛を任せ、二人がかりで後衛を潰すって魂胆でゲソね?そうはさせないでゲソ!」

 

「そこを、どけぇええ!」

 

「聞けない頼みでゲソ!」

 

 リーファとランを同時に相手して全く怯まず、二人が繰り出す剣戟と拳打を捌き切ってみせる。ウンディーネの精鋭を率いている立場にある以上、相当な上級プレイヤーなのは間違いなかったが、まさかシルフ五傑と称されるプレイヤー二人を相手に互角以上の実力とは予想外だった。

 

(拙い……このままじゃ、メイジ隊の方へ攻め込めない!)

 

 イカ兜の女性プレイヤーは、リーファとランを相手に一方のみに感けるような真似は決してしない。片方が注意を引いている間にもう片方が後衛目掛けて突撃を仕掛けようとすれば、その背中を剣の斬撃が容赦なく襲う。かといって、二人で仕留めにかかろうにも、攻防自在の剣技にダメージが全く通らない。

 

「ゲソゲソゲソ……この私を相手に、なかなか頑張ったじゃなイカ。だが、これまででゲソ!」

 

「くっ……サスケ君っ!」

 

 イカ兜のパーティーリーダーが言った通り、ウンディーネの前衛部隊を押さえ込んでいるサスケにも限界が訪れつつあった。後衛のメイジ隊からバックアップを受けているウンディーネの前衛部隊が相手では分が悪すぎる。負けないだけでも精一杯なのに、トンキーを守るなど不可能である。現にサスケが防ぎ切れなかった攻撃が何発もトンキーのもとへ降りかかっていた。

 

「トンキー!」

 

「させるかぁぁああ!」

 

 イタチが押さえ切れなかった武器や魔法による攻撃が、トンキーのHPをみるみる削っていく。このまま硬直を続けるわけにはいかない。そう考えたサスケ、リーファ、ランはさらに激しく抵抗をするが、ウンディーネの部隊はなかなか止まらない。

 ここまでか、と三人の脳裏に諦めが過った。だが、トンキーのHPが尽きるまで戦いを止めるわけにはいかない。自分達がウンディーネの部隊を撃退するよりも先に、トンキーが討ちとられることを予測しながらも、三人は立ち向かい続けた。だが次の瞬間、聞こえてきたのはトンキーの断末魔ではなかった。

 

くぉぉぉぉおおおおおおん

 

「!」

 

「な、なに!?」

 

「何が起こったでゲソ!?」

 

 明らかに苦悶の声ではない、高らかな鳴き声を上げるトンキー。邪神がとった突然の行動に戸惑いを隠せない一同は、武器を振るうことも呪文を唱えることも止め、トンキーへと視線を向けた。

 一同が見守る中、饅頭のように蹲っていたトンキーの背中から亀裂が走っていった。ダメージによって身体がひび割れ、中から鮮血が吹き出すのではとリーファは懸念したが、そうはならなかった。亀裂から噴き出たのは“鮮血”ではなく、眩いばかりの“光”。ウンディーネ達は、トンキーが最後の反撃として自爆攻撃を仕掛けようとしていると考えたのだろう。メイジ隊が、攻撃魔法のスペルを唱えて撃破しようと考えたのだが……

 

「なっ!?魔法が消えただとっ!?」

 

「あの邪神の仕業なのか!?」

 

 ウンディーネ達の攻撃魔法のライトエフェクトが次々に煙となって霧散する。突然の事態に狼狽するウンディーネ達。そんな中でリーファだけは、目の前で起きている現象の正体を悟っていた。

 

(範囲解呪魔法(フィールド・ディズペル)!まさか、トンキーが!?)

 

 範囲解呪魔法とは、一部の高レベルボスモンスターが行使するスキルであり、文字通り一定範囲内でプレイヤーが発動する魔法を全て無効化するスキルなのだ。当然、ヨツンヘイムの低級邪神が発動するようなものではない。一体、トンキーの身に何が起こったのか。亀裂から光を漏らすトンキーを再度注視する一同。トンキーの身体に走った亀裂は今や全身を駆け抜け、次の瞬間には爆発するように身体を四散させた。だが、それで終わりではない。表皮が砕けた先で激しい光が迸り、その中から巨大な影が姿を現したのだ。

 

「くぉぉおおおおん!!」

 

 殻を突き破るように現れたのは、象水母型の邪神ではなかった。四対八枚の翼を羽ばたかせ、流線形の胴体から植物の蔓を彷彿させる触手を伸ばした邪神。ただ、象のように長い鼻を伸ばした頭部だけは、象水母だった頃と変わらず、サスケ達の目の前に浮かぶ邪神がトンキーであることを物語っていた。

 

「トンキー……なの?」

 

「間違いないだろうな」

 

 誰に問いかけるでもないリーファの呟きに答えたのは、ウンディーネの前衛部隊が密集していた地点から離脱して合流してきたサスケだった。ランも二人の近くに立っていた。

 サスケ達三人とウンディーネの部隊が見つめる先で、トンキーは十メートル程の高さに浮かび上がり、その翼から青い輝きが発せられた。

 

「まずい……二人とも伏せろ!」

 

 逸早く危険を察知したサスケは、リーファとランの肩を引っ掴んで雪の地面へと押し倒す。次の瞬間には、トンキーの胴から伸びた触手全ての先端から青白い稲妻が迸った。

 

「ぎゃぁぁああっ!!」

 

「ひぃぃいっ!」

 

 太い雷撃が雪原へ降り注ぎ、ウンディーネのパーティーメンバーのもとへ次々降り注ぐ。直撃を受けたプレイヤーはポリゴン片を撒き散らして消滅していった。前衛で防御の固いメンバーは生き残ってはいるものの、魔法が使えない後衛には身を守る術が無い。戦闘続行が不可能なのは明らかだった。そんな中、ウンディーネのリーダーであるイカ兜の女性プレイヤーが撤退の指示を飛ばす。

 

「撤退!撤退するでゲソ!」

 

 逸早く自分達の不利を悟った、適切な指示だった。既に目に見えただけでも四人のプレイヤーが雷に貫かれて爆散しているのだ。これ以上この場に留まれば、全滅は必至だった。指揮官適性・戦闘能力が優れているだけでなく、状況判断能力も高いのだろう。サラマンダーのユージーン将軍と互角足り得る実力者だと、サスケは考察した。サスケ達は稲妻が迸る丘の上から滑り落ちるように撤退していくウンディーネ部隊を見ながら、自分達が踏ん張ったお陰でトンキー窮地を脱することに成功した事を改めて実感していた。

 

「どうにか、生き残れたようだな……」

 

「ええ……」

 

 ウンディーネの部隊を相手に喧嘩を売ったのだから、今回ばかりは全滅してもおかしくないとサスケも感じていたのだろう。サスケの声色は安堵の色が濃かった。トンキーも、敵であるウンディーネを追い払ったことで落ち着いたのだろう。ようやく稲妻を発するのを止めてくれた。攻撃が止んだことを確認したサスケ達は、地面から起きあがり始める。

 

「それで、これからどうしようか?」

 

「……予想はできているんじゃないのか?」

 

 サスケの見つめる先にいるのは、ウンディーネを撃退して空中に浮かんだままのトンキー。声無きサスケの考えを察したのだろうか、三人のいる場所までわっさわっさと飛んでくると、長い鼻を伸ばして三人を絡め取った。サスケの言う通り、半ば予想できていたことなだけに、三人とも抵抗はせず、されるがままに任せることにした。そして三人は、先程と同様に揃ってトンキーの背中へと尻から落とされるのだった。

 

「さて、今度はどこへ向かうのやら……」

 

「ヨツンヘイムの外へ行ってくれたらいいのにね」

 

 リーファの呟きに、サスケもランも激しく同調するのだった。だが、果たしてどこまで上手くいくのか……サスケは未だに不安が拭えなかった。

サスケ達三人を背に乗せたトンキーは、やがて丘から飛び立つと、螺旋を描くように上昇を開始した。飛行不能なヨツンヘイムにおいて、この壮大な風景を視界に納めることができたのは、恐らくサスケ達三人が初めてだろう。期せずして眺めることができた氷雪世界の絶景を視界に納め、リーファとランは揃って感動した様子だった。一方サスケは、地上ではなくトンキーが目指しているヨツンヘイムの天蓋に視線を向けていた。

 

(一体、どこへ向かっているんだ?)

 

 ヨツンヘイムの出口を目指しているのならば、この地上同様に広い天蓋のどこかに、その出口が見える筈。目を凝らし、サスケはそれを必死に探していた。そんな中、サスケはあるものを見つけた。

 

「何だあれは?」

 

 思わず呟いたサスケの言葉に、リーファとランも何だろうと振り返る。サスケの見つめている先へと視線を移してみると、そこにあったのは巨大な氷柱だった。だが、ただの氷柱ではない。全長二百メートルを超える、ピラミッドを逆さに吊るしたような形状である。内部は階層状に区切られたダンジョンの様を呈している。どうやらこれは、上から下へと攻略していくタイプのダンジョンらしい。

 

「何あれ……あんなダンジョンが、ヨツンヘイムにあったの?」

 

「さあな。だが、あんな場所にある以上、こうしてトンキーのような邪神に連れてきてもらう他に到達する方法は無さそうだな」

 

「そうね。でも一体何があるのかしら?」

 

「ダンジョンの宝というのは恐らく、あの最下層にある光るものだろう」

 

 サスケの指摘に、逆ピラミッド型のダンジョンの最下層の部分へ視線を向ける二人。確かにサスケが指摘したように、ダンジョン最下層では、何かが天蓋の薄明りを反射して光っている。一体、何が置かれているのだろうかと気になったリーファは、遠見水晶(アイススコープ)の魔法を唱えてオブジェクトの正体を確認しようと試みる。魔法によって作った扁平な水晶を除きこみ、目的の場所へと焦点を合わせた途端、リーファが驚愕の声を上げた。

 

「わぁああっ!」

 

「どうした?」

 

「リーファちゃん、何が見えたの?」

 

 リーファのただならぬ反応に、一体何が見えたのだろうと疑問符を浮かべるサスケとラン。当のリーファは未だ驚きに口をぱくぱくさせながらも、どうにか言葉を紡いだ。

 

「れ、伝説武器(レジェンダリィ・ウエポン)の……聖剣エクスキャリバーが!」

 

 その言葉を聞いた途端、ランもまた驚愕に目を見開き、リーファの手にある水晶を覗き込んだ。ただ一人、サスケだけは冷静だった。

 

「聖剣エクスキャリバー……サラマンダーのユージーン将軍が使っていた魔剣グラムと同じ伝説武器か。確か、知られていたのは武器の存在のみで、入手方法は不明の筈だが」

 

「まさかこんな所にあるなんてね。入手方法が分からないわけだよ」

 

 興奮した様子でサスケの言葉を繋ぐラン。次いでサスケも、リーファの遠見水晶を覗き込んだ。その先には、確かに黄金の刀身をもつ、壮麗な一振りの剣が鎮座していた。写真は見たことは無いが、成程確かに伝説武器と称されるに相応しい武器だと思う。

 

「もしかして、トンキーはあのダンジョンまで私達を運んでくれているのかな?」

 

「かもしれないな。だが、今の俺達が行ったところで攻略するのは無理だな」

 

 サスケの指摘に項垂れるリーファ。伝説武器を手に入れるのは、大部分のプレイヤーの悲願とも言える。それはこの二人も例外ではない。目の前にアルヴヘイムにおいて至高の武器を手に入れるチャンスがあるのならば、躊躇無くチャレンジしたいと思っていた。だがサスケの言う通り、ウンディーネの部隊との激闘で疲弊し、各種装備もギリギリの現状で伝説武器を賭けたダンジョンへ挑むのは無謀以外の何物でもない。そもそも、サスケ達の最終目標はアルンへの到達であって、エクスキャリバーではないのだ。ここで欲の皮を張って無謀な行動に出れば、今度こそ全滅は免れないだろう。

 やがて、トンキーは氷柱ダンジョンから伸びるバルコニーへと到達した。ゆっくり飛行している今なら、ダンジョンの入口へ飛び移る事も可能だろう。リーファは恨めしそうに入り口を眺めるが、ランがその肩に手を置いて宥めるのだった。

 

「……また来ればいいさ。どうせこんな手段でしか来られないのだから、他のプレイヤーに先を越される心配は無い」

 

「サスケ君の言う通りだよ、リーファちゃん。今度はもっと味方をたくさん連れて攻略しに来よう、ね?」

 

「そ、そうよね!きっとチャンスはまだあるわよね!?」

 

「ああ。その時が来たら、俺も協力することを約束しよう」

 

 サスケの言葉に、リーファの顔に生気が戻り始める。その表情を見て、サスケは若干の罪悪感を抱いた。自分がやろうとしている、この世界の支配者たる須郷伸之の所業の摘発が成し遂げられれば、ALOもただでは済まない。人体実験の隠れ蓑とされた以上、サービスの停止は免れない筈だ。それを考えれば、“二度目”の機会を保証することはできない。或いは、今ここで真実を全て告げた方が二人のためなのかもしれないと思う。

だが、事情を説明するとなれば、自分がSAO生還者であることは勿論、竜崎ことLとの繋がりを含め、自分のリアルについて話すことが必要である。元より、信じてもらえるかも疑わしい話であり、二人の神経を逆なでする可能性も無きに在らずと言える。サスケの中では、やはり黙っているほかに無いという結論に至った。嘘を重ね、自分一人で全て片付けようとする……前世と同じ行動をとる自分に対して忸怩たる思いを抱きつつ、サスケには選択肢が無かった。

 

「お、そろそろ終着点が見えてきたよ!」

 

 リーファの言葉に、サスケとランもトンキーの飛ぶ先を見つめる。するとそこには、階段の付いた世界樹の根が垂れ下がっている。恐らく、あそこから地上に通じているのだろう。階段に寄せて滞空したトンキーの背から飛び降りた三人と一人は、リーファ、サスケ、ラン、ユイの順にトンキーの鼻と握手する。そして、別れを惜しむことしばらく。トンキーがヨツンヘイムの地底へと飛び去っていくのを見送ると、踵を返して階段を上り始めた。

 

「トンキー、また会えるといいね」

 

「ああ、そうだな」

 

「きっと会えますよ!」

 

「ふふふ……」

 

 互いに笑い合いながら階段を上ること十数分。一同は木の壁に開いたうろへと辿り着く。サスケとリーファが両サイドから扉を押しあけたその先に広がっていた光景は、ヨツンヘイムほど暗くはない、積層都市の夜景だった。そして、何より目を引くのは、街の中央から聳え立つ余りに巨大な大樹だった。

 

「あれは……」

 

「ああ、間違いない。世界樹だ」

 

 ALOのプレイ時間が相当に長い二人だが、アルヴヘイムのシンボルたる世界樹をこれ程近い場所で見るのは初めてらしい。イタチも改めて、自分が挑もうとしている最終関門を見上げ、その威容に僅かながら圧倒されていた。

 

「パパ、ここにママがいるんですよね?」

 

「ああ。必ず、会える」

 

 それこそが、自分がこの世界へやって来た最大の理由なのだから。目の前に佇む伏魔殿を前に、サスケは最終決戦の始まりを予感した。

決意を新たに、暁の忍は全てを取り戻すための戦いに身を投じていく――――――

 

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