ネトゲのオフ会で皆と出会って、俺の日常が変わった   作:秋鯵

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[]はチャット会話です。


はじめてのオフ会

「あー…疲れた…」

 

 

バイトが終わりマンションへ帰宅した俺はパソコンの電源を入れながら服を脱ぐ。一人暮らしの俺には少し広い部屋を歩いて洗面所に行くと、脱いだ服を洗濯機にぶちこんでパソコンのある部屋に戻る。パソコンは既に起動しており、アニメの背景にしてあるメイン画面が開かれていた。

俺は夕食のあんパンをかじりながらネットゲームのランチャーを開き、慣れた手つきでログインIDとパスワードを入力する。そしてギルドのメンバーがいつもいるサーバーにログインすると、ギルドチャットに書き込みをした。

 

 

悠[こんばんわっす。]

源十郎[おお、お帰り。]

フィーネ[あら、悠ちゃん。お帰りなさーい。]

悠[フィーネさん、俺は男なんですよ?しかも大学生の。]

ウィング[悠。フィーネに何を言っても無駄だ。]

フィーネ[あらひど~い。]

 

 

俺の発言にギルドの面々が返してくれる。源十郎さんはこのギルドのマスターで、親父みたいに親身に話を聞いてくれる。俺は親しみを込めて、源さんと呼んでいる。決して大工とか寿司屋じゃないぞ?

俺のことを悠ちゃんと呼ぶフィーネさんは、源さんの奥さん。二人ともネットゲームで出会ってリアル結婚したらしい。二人ともアニメとゲーム好きで、夫婦仲は良好のようだ。

俺を呼び捨てにしたウィングは、無愛想な男口調で話しているがリアルはかなりの二次元オタク。しかも百合好きでその話をSkypeで何時間も聞いたことがある。

 

 

CHRIS[あ、そうだ!悠にもあの話しようぜ、マスター!]

響希[そうそう!悠さんにも来てもらいたいし!]

源十郎[おう、そうだったな。]

 

 

CHRISと響希は姉妹のように仲が良い。CHRISは必死に否定するが、周りからはどう見てもなかが良さそうに見えるだけだった。

 

 

悠[んで、なんの話?]

源十郎[実はな、今週末にオフ会を予定しているんだ。皆に確認したところ、どうやら俺達はとても近くに住んでいるらしくな。]

悠[なんかスッゴい偶然だなおい…]

響希[それでね、悠さんも参加しないかなって。オフ会の場所は、秋葉原だよ!]

悠[普通に電車で行けるところじゃねぇか!]

 

 

何?俺達そんなに近いところに住んでたの!?

 

 

フィーネ[その様子だと、悠ちゃんも近いみたいね?]

ウィング[ほう、ならば丁度良い。後は予定だな。]

悠[いや、バイトは交代してもらえば良いからあけれるけど…]

CHRIS[決まりだな!んじゃ、分かりやすいように、全員でコスプレして参加ってことで。]

源十郎[ほう!それは面白いな!]

悠[ちょっとまてぇぇぇ!]

ウィング[わ、私はしないからな!]

響希[またまた~。ウィングさん、私知ってるんですよ?結構ノリノリでコスプレすること♪]

ウィング[響希ー!]

 

 

ロビーで追いかけっこを始めるウィングと響希を見ながら、俺はため息を吐く。コスプレは少し前にしたから道具はあるが…。これから取り寄せるのもめんどくさいし、それで行くか。

その後、俺はバザーでアイテムを売り払ってログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

週末の土曜日、俺はシャワーを浴びてから用意していた服を来てウィッグを被る。戦姫絶唱シンフォギアの天羽奏のウィッグなので、結構髪の毛の量があって鬱陶しい。裾にダメージが入ったショートパンツを履いて、パットが縫い付けられたブラジャーをつける。改めて見ると、俺は体が細すぎる。普通に女と間違えられることも何度もあった。

 

 

「やっぱこの髪鬱陶しいな…。」

 

 

一人ごちながら肌着を着てセーターを着る。服のなかに入った髪の毛を出すと目の前の鏡を見て少し声を作る。

 

 

「ゴホッゴホッ…あぁー…んんっ…よしっ、こんな感じかな?」

 

 

昔から声が高かった俺は、高校の頃か色んな声を出して一人で遊んでいた。その時に天羽奏の声…高山みなみさんの声を出せるようにしていたのだ。

約束の時間まで時間があるので、スマホを弄りTwitterを確認する。どうやら皆行動開始したようだ。

財布と携帯をポケットに入れ部屋から出て鍵をかける。

その鍵をポケットに入れると、俺は初めてのオフ会への思いを胸に、駅へ向けて歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

待ち合わせに指定された場所に近づきながらもTwitterを確認する。ギルドメンバーの呟きは、どれも楽しみと言うものばかりだった。

小さく笑みを浮かべながら歩いてふと顔をあげ、俺は歩みを止める。待ち合わせに指定された場所には、風鳴弦十郎と櫻井了子、そして立花響が居た。

 

 

「あー、まだかなまだかなー!」

「はははっ。落ち着きたまえ、響くん。焦ったところでまだ時間じゃないんだ。」

「うぅー、でもー…」

「はいはい、二人とも落ち着きなさい?」

 

 

何?もしかして源さんとフィーネさんと響唏?それとも別のお方なの?それにしても再現度高いなおい!特に弦十郎やってる人、声も図体もそっくりじゃねぇか!

俺がその場で固まっていると、今度は青髪長髪の人物が現れた。

 

 

「すいません、貴方は源十郎さんですか?」

「ん?あぁ、そうだが…」

「良かった。私はウィングです。よろしくお願いします。」

「あー!ウィングさんだー!しかも、翼さんのコスプレー!」

「わ、私はこれじゃなくても良いと言ったんだが、悠の奴が見たいと言ってな…。それにしても、皆シンフォギアなのだな。」

 

 

言ってませんそんなこと一言も。それとウィングさん、翼みたいな口調になってますよ。

 

 

「確かに…。CHRISちゃんは本当にクリスちゃんで来たりしてね?」

「誰かあたしの名前を呼んだか?」

 

 

そんな声と共に現れたのは、雪音クリスのコスプレをしたCHRISだった。

こうして揃ってるのを見ると、動画を撮って配信したくなるくらいに、皆再現度が高かった。

 

 

「ほう、CHRISくんもシンフォギアコスプレで来たか。」

「あぁ、あたしの素のしゃべり方も近いからな。」

「よし、後は悠ちゃんだけね?」

「誰でくるんだろう?シンフォギアコスプレで来たら面白いのにね?」

 

 

皆が楽しそうに談笑していると、姿が姿なだけに目を引くため、多数のオタクが写真を撮ろうとする。取り敢えず俺は合流して落ち着けるとこに場所を移そうと皆のいる場所に行った。

 

 

「ごめんごめん、ちょっと色んな人に写真要求されてさ。遅くなっちゃった。」

「……へ?」

「も、もしかして、悠なのか?」

「なーに言ってんのさ。この状況であたしが声かけるのはウチの面子だけだろ?」

「ま、まさか奏くんになってくるとは…」

「本当に男の子なの?私、少し疑っちゃうわ。」

 

 

口調も少し似せて喋る。こうして喋らないと俺が自分を保てない。

皆が信じられないといった目で見るなか、翼のコスプレをしているウィングだけは呆然とした表情で俺を見ている。

俺は口許に小さな笑みを浮かべると、以前Skypeで話されたウィングの好きなシチュエーションを試してやろうと目の前に立ち、小さく呟いた。

 

 

「ただいま、翼。」

「か、奏……?」

「あぁ、正真正銘あたしだ。」

「奏!」

「ちゃーんと足もあるって。泣き虫翼?」

「っ…泣き虫でもいい…!おかえり…奏…!」

「はいはい、ストップ。あたしはこのまま遊んでも良いけど、風鳴の旦那達おいてけぼりじゃないか。先ずは落ち着けるとこに行こう。」

「あ、あぁ。奏くんの意見に乗るとしよう。じゃあ皆、出発だ!」

「「「おおーっ!」」」

 

 

源さんを先頭に俺達は歩き出す。移動の最中も、ウィングは俺のそばを離れなかった。好きなシチュエーションで遊べたのはわかるが、なつきすぎだろ。

 

 

「しっかし、本当に男なのか?声までそっくりにするなんて普通はしないぞ?」

「ま、これは昔一人で遊んでるときに閃いたんだけどね?」

「本当に奏さんだー!しかも、見れなかった私服バージョン!」

「確かに、奏ちゃんなら着そうよね、そう言う服。」

 

 

そんな他愛のない話をしていると、先頭を歩いていた源さんが足を止めた。そこは、オタク学生リア充チャラ男ギャル御用達、天下のカラオケボックスだった。

 

 

「源さん、何でここにしたんだ?」

「やっと口調が戻ったな。ここなら自己紹介の場に持ってこいだろう?個室で飲み物があって食べ物も頼めて歌える。どうだ?」

「あ、はい。そうっすね。」

 

 

確かに理にかなってるが、と思いながらも源さんに着いて入ると、俺達が入った瞬間に視線が此方に集まるのを感じた。

ほら、秋葉原でやるとこうなるんだって。いや、秋葉原でやんなくてもこうなるけど。

 

 

「六名だが、空いているだろうか?」

「少々お待ちください。」

 

 

店員は慣れたように対応している。場所が場所なだけにコスプレで来る客も多いのか、等と考えていると、直ぐに部屋に通された。

各々自由に座るなか、俺は一番端に座る。俺の前には源さん、隣にはCHRIS、その隣に響希が座った。

 

 

「さて、腰も落ちついた所で各々自己紹介と行こうか。俺の本名は風弥(かざみ) 源十郎。キャラクターネームは源十郎だ。よろしくな。」

「じゃあ、私ね?私は風弥 櫻花。キャラクターネームはフィーネで、源十郎さんの妻よ♪」

「はいはーいっ!私は風弥 響希!16歳!彼氏いない歴=年齢で、好きなものはごはん&お肉!よろしくねー!」

「響希は二人の子供だったのか!?ってことは、源さんとこって…」

「親子二代でゲーマーだな。」

 

 

ハッハッハッと豪快に笑う源さんに、響希ちゃんもそれほどでも~と照れたように頭を掻く。

 

 

「今後が楽しみですね。」

「ハッハッハッ、ウィングもそう思うか?」

 

 

ウィング。目を輝かせてるところ悪いが、俺はウィング二世は絶対に作らせないからな。

 

 

「では、続いて私が…。美坂 玲奈だ。キャラクターネームはウィング…」

「ウィング、俺とSkypeするときのしゃべり方と全然違うだろ。」

「はにゃぁ!?にゃ、にゃにを言ってるの!?」

「そうそう、そのしゃべり方だろ?」

 

 

俺に素をバラされ滅茶苦茶焦るウィング…基、玲奈に生暖かい目線を送ってやる。そんな視線にアワアワと慌てて居たが、やがてシュンとして恥ずかしそうに口を開いた。

 

 

「ごめんなさい…美坂 玲奈です。その、皆さんと話すときはついついウィングの口調…風鳴翼の口調になってました。」

「ふふっ、ネットではよくあることよ。だから気にしないでね、玲奈ちゃん。」

「は、はいっ!」

 

 

櫻花さんに頭を撫でられ、ぱぁっと花が咲いたように笑顔になる玲奈ちゃん。うん、下手に気取ってる感じがやっぱり抜けたな。それにしてもやっぱり声似てるな…。

そんな玲奈ちゃんから視線を外すと、響希ちゃんが俺になにか言いたそうにしていたので、ジェスチャーでどうぞ、と促した。

 

 

「悠さんは玲奈さんの事知ってたんですか?」

「ん?あぁ、前にちょっとSkypeでな?」

「ふーん…。」

「言っとくが、変なことなんてしてないからな?」

 

 

疑いの視線で俺を見る響希ちゃんに一応の弁解はしておく。わかってますよぉなんて言ってるけど、にやにやしてて説得力が全くない。

俺がジト目で睨んでいると、次は隣のCHRISが口を開いた。

 

 

「ぐちぐち言ってないで、次はあたしの番だな。あたしは雪乃 真冬。キャラクターネームはCHRISだ。よろしくな。」

 

 

ふふんと偉そうにするCHRISこと真冬ちゃんに軽く目をやる。恐らく源さんを抜いた中で一番再現度が高い。細かい所作や声、言葉遣いまでクリスにそっくりだった。思わず見惚れてしまっていると、俺の脇腹にどぎつい一撃が叩き込まれる。

 

 

「なにぼさっとしてんだよ。最後はお前だろ。」

「…へ!?ちょ、俺トリなの!?」

「そうだな、悠にはついでに乾杯の音頭もとってもらうとするか。」

「源さんまで!?」

 

 

名案だと言わんばかりに提案する源さんに抗議をするも、良いからやっておけ、何事も経験だと言われてグラスを渡される。しばらく苦い顔をしていたが、やがて腹を括って立ち上がる。

 

 

「悠さん、その…か、奏で音頭を!」

「しないからな。」

 

 

玲奈ちゃんの言葉をバッサリと切り捨てる。この剣、可愛くない!

 

 

「えっと…立花 悠馬。キャラクターネームは悠で、大学生してる。今日はネトゲのオフ会なんだかシンフォギアレイヤーのオフ会なんだかわからなくなったけど、そんなことは関係なしに今日出会えたことを純粋に楽しみたいと思います!皆!思いっきり楽しもう!乾杯!」

「「「「「かんぱーい!!」」」」」

 

 

俺の音頭と共に、皆がグラスを当てて乾杯を始める。こうして、シンフォギアコスプレ集団の騒がしいオフ会は幕を開けた。

 




初めまして、秋鯵と申します。
こんな作品でも、読んでいただけたら幸いと思っております。
どうぞよろしくお願いします!
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