灰の荒野、最初の火の炉での火継ぎを巡る戦いは終わった。灰の英雄は立ち、薪の王の化身はその身を散らし消えようとしている。
幾多の王たちの化身として、火継ぎが迎える最後の選択に辿り着くまで果てしなく長い年月を重ねてきた。その火継ぎも、王を倒した灰の英雄によってまた新たな選択を示される。消え行く王にはもうその最後を見届けることはなく、その身をソウルとして英雄へと取り込まれるだろう。その刹那、王の中でふと駆け抜ける思いがあった。薪となり取り込まれた王より生じたものなのかは定かではない。だがその思いは純粋で狂おしいほど切なる願いであった。
「不死などいらない、人としての生と終わりが欲しい」
世界の火を守るため、その身を捧げてきた王たち。その中の火継ぎが不死の使命と呼ばれていた時代、不死の英雄達は各々の様々な理由を胸に秘め、薪となった。それらの一部の中で共通していたささやかな思いが消え行くこの瞬間に表出した。
聞き届くことなどないこの儚い思いを、しかし聞き受けるものがあった。最初の火の炉は今、消え行く火の力の影響によって時間も空間も、果ては次元の垣根さえ歪みその境を曖昧にしていた。その次元の彼方より王の力を欲し利用しようと働く力の流れがあった。それはこことは別の世界において、あらゆる滅亡の危機に際して働く人類の無意識が生み出す滅びへの反作用。合理によってあらゆる流れに干渉する力。その世界の魔術師はそれを、「アラヤの抑止力(カウンターガーディアン)」と呼んだ。
灰の英雄は訝しんだ。自身に入り込んでくる王の化身のソウルの中で一部が吸い込まれるかのように赤黒く染まる空の彼方へと消えていった。あのソウルはどこにいったのだろうかと不思議に思ったが、まあいいかと気を取り直す。これでこの旅の最後なのだ。気にすることもないだろう。そう思い最後の篝火へと向かおうとし、なんとはなしに灰の英雄は振り返った。見るのは先ほど王が消えた場所。最後に見た篝火の守り手だった王、その最後の姿はまるで届かない星に手を伸ばそうとする子供のようであったなと思い、再び篝火へと歩き出した。
「フォウ?フー、フォウ!」
顔を何かに舐められいる感触でぼやけた意識がはっきりとしてきた。まるで死んだあと篝火の前に戻ってきた感覚を覚え恐怖から跳ね起き体を確認した。
「フォウ!?」
「きゃっ!?」
何か白い毛むくじゃらやら白衣を着た眼鏡の少女やらが見えたがそんなことはどうでもいい。体がミイラのように干からびた肌で覆われていないか体中を触り確認する。それでも安心できず、自分はようやく尻もちをついてこちらへと驚きの表情を浮かべている少女に聞いてみた。
「変なことを聞くようだけど、僕を見て何かおかしなことはない?」
「はい?」
少女は何を言ってるんだこの人はと言わんばかりにこちらを見ながら、生真面目にも自分の体を一通り見てから答えた。
「いいえ、特におかしな様子はありませんよ。角も生えていないし尻尾もない健全なホモサピエンスだと思います」
どうやら本当にどうもなっていないようだ。意識もはっきりしだしようやく自分は寝ぼけて取り乱していたことに気づいた。とりあえず先ほどから迷惑をかけてしまった少女へと謝る。
「驚かせてしまってすまない。なぜ床に寝ていたかはわからないが挨拶もせず申し訳ない」
「いえ、まるで死体のように寝ていた人がバッタのように跳ね上がるのでびっくりしましたが貴重な体験でした。人間は倒れ込んだ姿勢から一瞬で立ち上がれるんですね」
なにやら変な感動を覚えているが気にしていないようだ。座り込んだ少女に手を貸し立ち上がらせる。
「ところでここはいったいどこなんだ?」
「・・・また驚きました。先輩はよくわからない場所に目的もなく雪山登山を敢行する趣味があったのですか?」
・・・皮肉ではないようだ。少女の顔には純粋な驚きで満ちている。話している内に段々と思い出してきた。今から遡って一週間前、突然国連の職員だと名乗る男が家に現れ「世界の危機を防ぐため資質のある人間を集めている。君にも参加してほしい」と言われ悪質な宗教勧誘かと思い再三断ろうとしたのだが、「一人でも資質のあるものが必要だ。
「・・・思い出した。よくわからない内に連れて来られたけど、要するにここは魔術師が作った施設で自分はマスターとやらになる為に集められたんだな」
「はい、やはり先輩はここに集められたマスターだったんですね。よかったです、もし関係のない不審者でしたらすぐさま警備員さんを呼ばなければいけないところでした。」
「フォーウ・・・」
少女と毛むくじゃらが安堵する。そういえば・・・。
「まだ自己紹介さえしていなかったんだよな。度々失礼した」
「い、いいえ、私こそそんな初歩的なコミュニケーションを失念していました。すみません、先輩」
ところでこの子はどうして自分を先輩と呼ぶのだろう。まあそれは置いておいて。
「私はマシュ・キリエライトと言います。こちらのリスっぽい生き物はフォウさんです」
「フォウ、フォーウ!」
「僕の名前は
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主人公:焔間 夜見(ほむらま よみ)
転生した不死達の女(時々男)。
ダークソウル3では薪の王の化身の一部として灰の英雄と戦い消滅するが、火の力が弱まり時間と空間の概念が曖昧となった影響で異世界間の垣根を超え抑止力のキャッチセールスへとサイン、複数の意思が混ざった存在として転生する。(あくまで王の化身内の普遍的な人生を送りたいと願った一部の不死人の意思が受諾されたものとし、アラヤサイドからの勧誘としています)
カルデアに呼ばれるまでは一般人と変わらない生活を送っており、新たな人生の価値を堪能しているものの、かつての世界から逃げ出してきたような境遇の自分に罪悪感も抱えている。そのため自身への不信から問題に積極的に関わろうとはしないものの最もソウルの強い不死人の意思の傾向からかお人好しな性格であるため頼み込まれると最終的に引き受けてしまう。
人理焼却の事態への対策として人類の無意識が送り込んだ外なる力。普通の人生は与えるけど、何かトラブルがあって力が復活しちゃったら仕方ないよね。契約前の注意事項は読み込まないと。(ありません)
冬木でのレイシフト時にシャドウサーヴァントの攻撃により死亡したことでダークリングが再び発現。不死の力を取り戻し蘇生するが同時に薪の王として取り込んできたソウルも解放され、他の特異点へと散らばってしまう。そのため、ソウルレベルはリセットされ1からスタート、持たざる者となってしまう。(ちゃんとカルデア制服は来ている。)
旅の目的として人理修復と同時に散らばったソウルや収集してきた武器・防具・魔法・道具の回収も含まれる。
篝火作成の問題は自身そのものといえる篝火の大剣を召喚したエミヤ先輩の投影で劣化複製してもらうことで解決している。
ちなみに性転換が可能(ソウルの業のちょっとした応用だ)
というわけでFGO主人公が前世デスループ型絶対前に進むマンだったらでした。(報われるとは限らない) 初めはサーバントとしての召喚を考えてオレTuee展開を想定していましたが、苦労しなきゃあダクソ主人公ではないと思い難易度引き上げのグランドオーダーにしました。これから行く先々でドラゴンやらデーモンやら理性を失った神々やらシャドウサーバントより厄介な人間性暴走マンやらが出てくることでしょう。ジャンヌオルタが眠り竜シンやらカラミットやらけしかけてきます。(スキル効果で攻撃力アップあり)