百花繚乱クロニクルセブン-僕らのセカイとキミのミライ-   作:白鷺 葵

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U.E.77 クセモノども

 よく晴れ渡った蒼穹が、窓の外に広がっている。空からの日差しは燦々と降り注ぎ、蝉の鳴き声が遠くから響いていた。外からは運動部員の掛け声が聞こえてくる。校庭からも、少し離れたプールサイドからも、活気あふれる声は絶えることはない。

 70年以上昔に造られた暁学園は、戦闘技能および対竜関係に対する知識を学ぶための専門学校だ。竜戦役後に誕生した、世界初の“戦闘および対竜研究の担い手を育てるための学校”である。初代学長は嘗てのムラクモ13班――桐野ヒイナ氏だ。

 嘗ての英雄である渡来夫婦や、限られた特別期間内では■■リョウスケや那雲ヨツミが教鞭を取った学校としても有名だ。彼らの教え子たちは各部門で活躍している。いずれは自分たちも、羽ばたいていきたいものだ。

 

 新聞部の部室は、学校の情報管理室である。運動部員の喧騒から少し離れた、冷暖房完備の部屋。そこに、4人の少年少女が集っていた。

 

 

「セブンスエンカウント?」

 

「はい。今度、アメリカから上陸するアトラクションの名前です」

 

 

 赤毛に赤い眼鏡をかけた青年――東雲俐仁(リヒト)から手渡されたチケットを、黒髪ショートボブに花を象った髪飾りを付けた少女――渡来(イノリ)はおずおずと受け取った。

 件のチケットには、80年前に咲いていたとされる赤い葬送花――フロワロと、竜をデフォルメしたようなイラストと、2021年の竜戦役の最終決戦場であるスカイタワーが描かれている。

 

 

「ネットでも話題だったな。転売厨がバカみたいな値段で売りさばいているのを見たぞ」

 

 

 黒いマスクをつけた青年――風間創生(ソウセイ)はチケットを眺めながら、この場にキーボードを展開して画面を指示した。

 

 画面に浮かびあがったのは、セブンスエンカウントのチケットを取り扱っているネットオークションだ。値段を確認すると、一般の中流家庭では手が届かない値段を叩きだしている。0の数が1つ、もしくは2つ程多い。

 一般中流家庭の出であるイノリ、ソウセイ、金髪のルシェの少女――那雲四季(シキ)は思わず顔をしかめる。ただ1人だけリアクションが薄いのは、3人にチケットを手渡した張本人であるリヒトだった。

 東雲リヒトは、東京に本拠地を構える大財閥・東雲財閥の末っ子御曹司だ。まだ未成年で末っ子とはいえ、将来彼が受け継ぐであろう資産/現時点で彼が所有する資産は、一般の中流家庭とは比べ物にならない。

 

 最も、東雲財閥の人間たちは、“金持ちだからと言って、金でモノを言わせるような人間”ではない。金銭感覚は、下手すれば一般人よりもシビアな感性を持っている。

 リヒトにとって「金を使う」ということは「投資する」ことと同義だ。生半可なものにはビタ一文払わないし、価値を認めたもの/可能性を見出したものに対しては出資を惜しまない。

 

 

「1枚入手するだけでも膨大な金が飛んでいくのに、それを4枚も……。リヒトが出資するってことは、相当ってことね」

 

「そうですね。内訳としては、興味と期待半分、疑惑半分ってところでしょうか」

 

 

 ソウセイが具現化したウィンドウに表示される値段の羅列に、シキは表情を引きつらせる。

 伺うようにリヒトを見たシキに対し、リヒトは顎に手を当てた。その眼差しは、普段より鋭い。

 

 

「疑惑……とは、穏やかじゃないな。何か、そう感じるようなことがあったのか?」

 

「リヒトくんの語り口からして、なんだか物々しさを感じるなあ」

 

 

 物々しい響きを宿す単語に、ソウセイは表情を曇らせた。イノリも同意する。リヒトは2つ返事で頷き、言葉を続けた。

 

 

「ええ。ノーデンス・エンタープライゼスは、十数年前からいきなり台頭してきた企業です。元々は弱小のゲーム企業でしたが、買収されて社名を変更し、CEOが現在の人物になって以降、急速に成長してきました」

 

「確か、アリー・ノーデンスって人だったっけ?」

 

 

 イノリの言葉に、リヒトは小さく頷いた。自分たちの会話をしっかり聞いていたのだろう。ソウセイはキーボードを軽やかに叩いた。具現化されたウィンドウにノーデンス関係の情報が表示される。いくつもの写真やグラフが表示された後、1人の女性が映し出された。

 鮮やかなローズピンクの髪に、シャープな楕円淵眼鏡をかけた麗しきキャリアウーマン――CEOのアリー・ノーデンスだ。独特の口調と人懐っこい性格が特徴の人物であり、相手の地位や年齢、性別で態度を変えることがない大らかな女性である。

 「自由奔放な性格に振り回される」とは、社内ナンバー2の技術主任――ジュリエッタの談だ。だが、アリー・ノーデンスはその言動とは裏腹に、鋭い観察眼を持っている。ノーデンス・エンタープライゼスが発展してきたのも、経営の才能があったからこそだろう。

 

 社長のプロデュース能力があったからこそ、ジュリエッタが生み出してきた企画がヒットした。

 今回話題になっているセブンスエンカウントも、社長と技術主任のコンビがあったためだろう。

 

 

「そういえば、“ノーデンスが裏求人を募集している”という話を耳にしたことがあるな」

 

「裏求人って、物々しい言い方ね。そこはスカウトと言うべきでしょうに。……“セブンスエンカウントのハイスコアラーがスカウトされてる”らしいっていう噂話でしょ」

 

「む。……少々オーバーだったか? すまない」

 

 

 シキの指摘を受けたソウセイは、目を瞬かせた後視線を逸らした。それを見たリヒトは苦笑して肩をすくめた後、「話を戻します」と言葉を続けた。

 

 

「セブンスエンカウントは、“80年前に起きた竜戦役を再現した”という触れ込みで有名なバーチャルリアリティーゲームです。その技術力は以前から気になっていました。ついでに、ノーデンスが行っているスカウトについても」

 

「……“セブンスエンカウントが、何かの測定機である”という噂のこと?」

 

「そうですね。セブンスエンカウントでハイスコアを出すということは、その人物が卓越した戦闘技能の持ち主であるということと同義です。もし噂が本当だとしたら、ノーデンスは『戦力となる人物を欲している』ということになります。……ただのゲーム会社が、何故戦力を欲するんでしょうか?」

 

 

 イノリの問いかけに、リヒトは頷いた。彼の疑問は最もである。ソウセイが提示した情報を見る限り、ノーデンス・エンタープライゼスはただの一般企業だ。マモノや竜災害に備えて戦力が必要なISDFとは違い、マモノや竜と戦う必要はないだろう。話を聞く限り、なんともきな臭い気配が漂う。

 きな臭いと言えば、最近の東京情勢もだ。イノリの周囲には、風邪気味の人が増えている。街中ではISDFの制服を着ている軍人が絶えず巡回しているし、空を見上げれば翼竜の影らしきものがちらつく。ニュースを見れば、極東支部の役人たちが慌ただしく記者会見に臨んでいた。

 その裏側にある不穏を、断片的ではあるが、イノリたちは知っている。生前、祖父の渡来ミカゲが懸念していた“竜災害の再来”が近づいているのだ。ドラゴンの目撃例やISDFの巡回強化、風邪気味の人々――実際は、致死率100%の病/竜班病患者――の増加も、その影響だと言えるだろう。

 

 80年前に起こった近代神話、竜戦役。祖父たちが駆け抜けた時代は、遠い昔の御伽噺になりつつある。誰もが当時の痛みを忘れ、復興と安寧の中で生きていた。

 勿論、イノリたちも例外ではない。祖父たちが体感した生きるか死ぬかの絶望的な状況を、自分たちも肌で感じたことはないためだ。

 

 「父や兄、姉たちは考えすぎだと笑うんですけど」と、リヒトは苦笑しながら言葉を続ける。

 

 

「ウチの財閥に、件の会社が接近しつつあるんですよ」

 

「ノーデンス・エンタープライゼスがか?」

 

「ええ。ウチ主催のパーティにアリー社長が顔を出しましてね。ゲーム業界に進出している兄や兄の関連会社役員に、セブンスエンカウントへの出資等の話を持ちかけていたんです」

 

 

 ソウセイの相槌にリヒトは頷き、「だから気になって」と締めくくった。顔は苦笑そのものだが、彼の瞳はどこまでも鋭い。

 ノーデンスという会社が、東雲財閥にとって有益か否か/東雲財閥の理念に沿った企業かを見定めるかのようだ。

 

 

「……まあ、そうやって深く考えるのは僕だけですから。みなさんは気にせず、アトラクションを楽しむことに集中してください。僕自身、このゲームシステムを体験してみたいというのは本心ですし」

 

「だろうと思った」

 

 

 警戒を解いて悪戯っぽく笑ったリヒトに、ソウセイはふっと笑って肩をすくめた。東雲財閥御曹司とはいえ、リヒトも普通の青年である。新しいものに興味を示すのは当然だ。

 

 

「学生最後の夏休みは楽しいことになりそうだね!」

 

「人気アトラクションのチケットだもの。思い出作りにはぴったりじゃない」

 

 

 つられてイノリとシキも笑う。イノリたちは今年で最高学年だ。進路に関する状況も明らかになってきている。進路が決まった者、まだまだ考えあぐねている者、様々だ。

 イノリはISDFの隊員育成に関わる訓練所を受験しているし、シキは世界救済会の医師団に就職するため医学関連の学校へを受験している。結果が出るのは夏休み直前だ。

 リヒトはやりたいことが沢山あって、どうするか考えているという。どの道を選ぶか自体を楽しんでいるように見えた。“戦う技術者”を目指すソウセイも似たようなものらしい。

 

 

「それじゃあ、いつ遊びに行くかの予定を立てなくちゃ」

 

「ですね」

「ええ」

「だな」

 

 

 イノリの音頭に、リヒト、シキ、ソウセイは頷き、学生手帳を取り出した。校則や校内見取り図だけでなく、スケジュール帳としての機能を有した優れものだ。

 

 互いの予定を語らいながら、各々の都合のいい日時をピックアップしていく。

 4人は学生最後の夏休みに思いを馳せていた。最高の思い出ができると、信じて疑わなかった。

 

 

 

***

 

 

 

「イノリ、ISDFの士官学校受かったらしいな。おめでとう」

 

「しかも、試験の成績は実技含んでぶっちぎりの総合1位だったんですよね? 凄いです」

 

「流石イノリよね! 努力が実を結んだってことだもの。本当におめでとう!」

 

「えへへ。ありがとう、嬉しいよ」

 

 

 ソウセイ、リヒト、シキの賛辞を受け止めて、イノリは顔を赤らめながらはにかんだ。正直、試験に合格したという実感はない。だが、イノリが持っている合格通知書が、夢ではないことをしっかりと示していた。

 

 暁学園のカフェテラスは生徒たちでごった返している。ここで食べるために学食のお膳を持ってきた者、カフェテラスや売店で惣菜を購入してここで食べる者、持参した弁当をここで食べる者など様々だ。

 夏休みが目前に迫るとあって、生徒たちの悲喜交々が響いてきた。テストの結果、進路指導の内容、面接の合否、夏休みの予定――話題には事欠かない。ワイワイガヤガヤと、賑やかな声がひっきりなしに響いていた。

 

 

「でも、イノリのお父さん、イノリがISDFに入るの反対してたよね? 大丈夫だった?」

 

「そうだね。お父さん、ISDFに対して強い疑念を持っていたから」

 

 

 シキが不安そうにイノリを見つめる。イノリは苦笑しながら頷いた。

 

 今にも泣きだしてしまいそうな顔でこちらを見つめる父――(ツカサ)の姿が脳裏をよぎる。ツカサは、ISDFで発生した『事故』で、大切な人を3人失っている。1人はイノリの母である(ミコト)、もう1人は伯父のガイドナーを、そしてもう1人は義理の父でありイノリの祖父である渡来ミカゲを亡くしていた。

 ミコトは、U.E.61年に発生したISDF研究施設の地盤沈下に巻き込まれて作戦行動中に行方不明となり、死体が見つからないまま死亡扱いになった。ガイドナーは5年前に発生した対竜兵器の起動実験で作戦行動中に亡くなったという。ミカゲの場合は、ISDF研究所から脱走したマモノからイノリたちを守るために自爆特攻を行い、相打ちとなった。

 そのため、ツカサは自分の古巣であるISDFを嫌っている。特に、極東支部の司令であるアクツに対して、強い不信感を抱いている様子だった。件の事故が発生したとき、アクツが関わっているという噂を耳にしたためだ。実際、この事故が発生したときに、後始末を主導したのはアクツだったためである。

 

 

「ISDFの腐敗がどれ程のものか、その腐敗のせいで犠牲になった人たちのことを滾々と話して聞かせてくれたよ。いつもは絶対、その話題に触れないのにね」

 

 

 お前までISDFに殺されたらどうすればいいんだ、と、辛そうな顔で語った父の姿は一生忘れられそうにないだろう。

 でも、イノリは選んだのだ。嘗て祖父が理念をもって設立し、その理念を成すために戦った母と同じ組織に所属することを。

 

 

「だから私、言ったんだ。『ISDFという組織は、私たち家族と深い所以がある。おじいちゃんもお母さんも、お父さんだって、ISDFに所属して、人を助けようと奮闘していた。私も、おじいちゃんやお母さんみたいに、人を助けたい。ISDFはある意味で、私とおじいちゃん、お母さんとの絆みたいなものだ。だからもし、お父さんの言う通りISDFが腐敗していると言うなら、私は尚更、ISDFの腐敗を見過ごすことはできない。一士官となった私では微々たる力しかなくても、きっと、組織の浄化のために出来ることがあるはずだ』って」

 

「イ、イノリ……! カッコいい、カッコいいよ!!」

 

 

 イノリの話を聞いたシキが目を輝かせる。リヒトやソウセイも感嘆の息を吐いた。照れくさくて、イノリは苦笑しながらお冷を煽る。大層綺麗なことを言ったが、実際は喧嘩しながら叫んだため、もっと汚い言葉使いであった。

 

 

「そ、それより、シキちゃんの結果が出るのって来週だよね? 手ごたえは?」

 

「うーん……ちょっと微妙なラインね。結果待ちってところかな?」

 

 

 そう言って早々、シキは大きく口を開けてアボガドシュリンプサンドにかぶりついた。包み紙に垂れて落ちた具材も指で舐めとる姿は、餌を食べ終えた猫を連想させる。行儀が悪いと言われそうだが、幸せそうに表情を綻ばすシキを見ていると、なんだか笑って許せる心地になってしまう。

 彼女の昼食はアボガドシュリンプサンドだけではない。野菜やキノコ等がふんだんに使われたスパニッシュオムレツも、クルトンとバジルがアクセントになっているかぼちゃスープも、各種ベリーや生クリームがたっぷりと乗ったパンケーキも、大きなグラスになみなみと注がれたレモンティーも、すべてシキの昼食だ。

 

 イノリ、リヒト、ソウセイは顔を見合わせて苦笑した。シキの食べっぷりに触発された3人もまた、持ってきていた昼食に手を付けた。

 

 イノリの昼食はカフェのものだ。こんがりと焼き目のついたチキンステーキと、オーロラソースがかかったシーザーサラダ、ブルーベリージャムとマーガリンが乗ったブリオッシュだ。飲み物はバニラノフレーバーティーを使ったミルクティーである。

 リヒトの昼食は彼専属の使用人が作ったお弁当である。野菜や肉、卵やエビなどの具材が挟まったサンドイッチだ。彼がいつも持ち歩いているステンレス製のタンブラーには、甘くほろ苦い香りを漂わせるカフェラテが並々と注がれていた。

 ソウセイの昼食は学食のものだ。新鮮な鶏肉と卵を使った親子丼、野菜やワカメ、豆腐が浮かぶ具沢山の味噌汁、ゆずの香りが爽やかなおろし大根だれを使った焼き魚、キュウリやキャベツの浅漬けである。勿論、飲み物は緑茶だった。

 

 

「それじゃあ、リヒトくんはどうするの? 東雲財閥の役員になるの? それとも政治家?」

 

「……そうですねぇ。イノリが一士官としてISDFを正すなら、桜子(サクラコ)伯母さまのような政治家になって、一緒にISDFの腐敗を正すというのも悪くなさそうです」

 

 

 リヒトは静かに微笑みながら、カフェラテを啜った。彼の手に巻かれた腕時計は、亡くなった伯母がリヒトに贈ったものらしい。

 眞瀬時計店の特注品。リヒトの誕生祝であり、彼が健やかに時を刻んでいけるようにという願いが込められた代物だという。

 

 親子丼に箸を伸ばしたソウセイは、苦い顔をして呟く。

 

 

「ISDF、か。昔から、あそこは腐敗と隠蔽の温床だからな」

 

「そっか。ソウセイの叔母さん()……」

 

 

 ソウセイの様子から、彼女の叔母である華怜(カレン)が起こしたとされる事故のことを連想したのか、シキが暗い顔をした。「気にするな」と言って、ソウセイは苦笑する。

 

 

「誰も信じてくれないけれど、俺はちゃんと知ってるから」

 

 

 いつか、その事実を周りに知ってもらえるように努力したい――紅蓮の瞳はそう語っていた。

 祖父リョウスケから受け継いだ彼の能力なら、いずれそれを成すことができるだろう。

 

 

「最近は、ISDF以外の民間団体が武力を所有することに対してかなり厳しいからな」

 

「絶対支配が揺らぐのが怖いということでしょうね」

 

「確かに。この前も、総司令が取り締まり強化するって言ったわね。おかげでウチの両親や古菅(フルスガ)代表が頭を抱えてたわよ」

 

 

 ソウセイやリヒトからISDFのきな臭い話を耳にして、シキは深々とため息をついた。

 

 シキの両親は世界救済会に所属する役員であり、父の琥太郎(コタロウ)は技術者として、母の四織(シオリ)は医者として各地を飛び回っている。世界救済会の面々は、国境を超えた活動故に、マモノが跋扈する最前線や戦争が行われている地域に赴くことも多い。

 そのためにも、最前線で活躍する医師や技術者には、それ相応の自衛手段が求められるのだ。つまり、場合によっては武装する必要だって出てくる。しかしながら、ISDFは民間企業が武装することに関して難色を示していた。それも、世界救済会の活動に支障が出るレベルでだ。

 民間団体が武装する場合、ISDF側の特別許可が必要だ。許可を取るだけではなく、他にも様々な制約が課せられる。その厳しさは、「ISDFは“嘗てのムラクモ13班と自衛隊――民間団体が国家権力/軍隊よりも上に立つ”ような関係性になることを恐れている」とも言われているが、真相は定かではない。

 

 

四朗(シロウ)伯父さん、ISDFが間接的に世界救済会の邪魔をしてるんじゃないかって言ってたらしいけど、あながち嘘じゃないのかも。他にも人体実験や生物兵器にも手を出そうとしてるって疑ってたみたいだし……」

 

「まるでおじいちゃんが言ってたナツメ総長みたい。……総司令の人、阿久津(アクツ)だっけ? あの人はどこへ行くつもりなんだろう」

 

 

 眉間の皺を深くしたシキに、イノリは苦い表情を浮かべてミルクティーを煽った。丁度そのとき、学食内に置かれたテレビに件の人物――阿久津(アクツ)宗司(ソウジ)が映し出される。

 ISDFのきな臭さを体現するかの如き悪人面で、アクツは記者会見を行っている。大地の奪還計画が進み、新しく人が住まうことができる区域が増えたらしい。開発計画が急ピッチで行われるとのことだ。

 

 世界は確かに復興へと進んではいる。しかし、その奥底で、陰謀が渦巻いている気配があった。

 この場に満ちた喧騒は、薄氷の上に立っていることに気づかずにいる人々の集まりみたいだ。

 イノリはテレビ画面を訝しげに睨みながら、チキンステーキを口に運んだ。

 

 

 

■■■

 

 

 

「おばちゃん、牛丼1つ!」

 

「はいよ! おろしポン酢たっぷりだね」

 

 

 伊倉(イクラ)由真(ユマ)のオーダーを聞いた食堂のおばちゃんは、快活に笑った。彼女とは長い付き合いであり、ユマが何をどんな味付けで注文するかを把握している。今回も完璧に察してくれたようだ。ユマは表情を綻ばせつつ、自分が頼んだ昼食が出来上がるのを待つ。

 程なくして、出来立ての牛丼――おろしポン酢たっぷり――がお目見えした。今にも飛びかかってしまいたいのを堪え、ユマは牛丼を受け取る。今日のも美味しそうだった。ウキウキ気分でユマは席に座る。手を合わせて食事の挨拶をした後、早速一口頬張った。

 

 噛めば噛むほど味がジワリと染み出してくる。口元が自然に緩むのは当たり前だ。

 

 

「んー、最高ー。やっぱり牛丼にはおろしポン酢よねぇ」

 

 

 「堪りませんわぁ」とユマは大きく息を吐いた。二口目を口に運ぶのと同じタイミングで、お膳を持った好青年が、さも当然のようにユマの向かい側に腰かけた。

 普通だったら、無作法な乱入者に文句の1つでもぶつけてやる所であるが、自分たちの関係上、それこそ無作法極まりない。ユマはちらりと青年に視線を向ける。

 青年――如月(キサラギ)優真(ユウマ)は、当たり前のようににっこりと笑う。その笑みには明確な感情が乗っており、今回は強い念押しの意が込められていた。

 

 

「アンタ、いい加減に友達作りなさいよ。相変わらずぼっち飯で、私を見かけたときはべったりついてくるんだから。刷り込まれた雛鳥じゃああるまいし」

 

「それは難しい話ですよ、ユマ。俺の正体については、一般士官には秘匿されるべき情報ですからね」

 

「そうやって見えない壁を作るから、他の一般士官が近づいてこないのよ。まったく、1人くらい心許せる()()()()()はいないのかしら」

 

「俺には不要ですよ。俺はあくまでも()()なんですからね。余計なものは不要です」

 

 

 さも当然のように言ってのけたユウマに対し、ユマは無言のまま天を仰いだ。心なしか、大好物のおろしポン酢たっぷり牛丼の味が霞んでしまったように思う。

 この場から離脱しなかったことを褒めてほしい――なんて、()()()()()()に悪態をつく。勿論、その相手は()()()()()訳だから、返事が返ってくるはずもない。

 

 

(……まあ、戦闘を行うチームの仲間を「不要」と言ったり、傲慢な振る舞いをしたり、仲間と頻繁に対立したりしないだけマシなのかしら)

 

 

 一番最後に挙げた例は、安心すべきことであると同時に、最大の不安要素でもあった。

 

 ユマの教育で対人技能も伸びてきたとはいえ、ユウマは「誰とでも平均的に付き合う」ことに拘る。それは、戦闘や任務の際、的確な連携を取るために必要不可欠だからだ。裏を返せば、「戦闘や任務を滞りなく行える程度の人間関係さえ築ければ、あとはどうでもいい」ということに他ならない。

 実際、ユウマは他人に深入りすることをしないし、自分の領域に他人を踏み込ませるような真似もしなかった。素直に自身の領域を晒す相手は、似たような境遇を持つ教育係のユマと、ユウマに対して父親のように接する頼友(ヨリトモ)東吾(トウゴ)提督くらいではなかろうか。

 

 

「今日はやけに()()()()()()()()と主張するわね。何かあったの?」

 

「……何もありませんよ。俺の存在意義を改めて確認しただけです」

 

 

 若干笑みを引きつらせながらも、「何でもない」ことを主張する。ユウマは、ユウマ自身が思っているよりかは嘘が下手だ。

 そういえば、先程ユウマはアクツに呼び出されていたか。……おそらく、その際に、アクツから何かを言われたのであろう。

 彼は()()()()()()、兵器を効果的に運用しようと躍起になっている。最強の真竜――第7真竜復活が近いためだ。

 

 極東支部総司令がアクツから代替わりするよりも、第7真竜が目覚めるほうが早いだろう。

 ……いや、アクツにとっては、自分が総司令であるときに第7真竜と決戦になって欲しいに決まっている。

 

 そして、アクツが対竜戦闘における切り札として持ちだしているのが、生きる対竜兵器――如月ユウマ。もしユウマが真竜に対して有効であると成果を挙げれば、ユウマを生み出す計画を主導したアクツの立場は盤石なものになるだろう。

 

 

(根深いわね。また、『人間と同じような行動をするなら兵器不適合』だの、『廃棄処分を検討する』だのと言われたのかしら)

 

 

 アクツはユウマを定期的に叱責していた。いや、あれは脅しに近いとユマは思っている。作られた命にとって、アクツの言葉は恐怖心を煽る毒薬のようなものだからだ。

 彼は、ユウマがそこら辺の人間と同じレベルになってしまうことが許せない。自分が作った兵器が人間と同レベルだなんて、あってはならないと思っているのだろう。

 

 笑えないことに、アクツは自分が間違っているとは微塵も思っていないし、実際正しいのだ。()()()()()()()()()という観点から述べれば。

 アクツが定期的にユウマを追いつめるのは、ただ単に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。さしずめ、バグの排除と言うところか。

 ユウマの感情をバグだと言うならば、自分の野望のために命を弄んだアクツは一体なんだと言うのか。……突きつけたところで、奴は開き直るのだろう。

 

 ――『()()()()()()()。お前たちとは違う』と。

 

 悪人面の男がニタリと笑う。妙にはっきりと幻視してしまい、ユマはかぶりを振った。嫌なことを振り払うようにして、牛丼に箸を伸ばす。

 一士官である自分にできることは多くはないが、抵抗をやめてしまえば碌なことにならない。

 

 

(ISDFの絶対支配……そのために、()()()()()()()()()()()()()()を目指しているってことまでは掴んだけど)

 

 

 今のユマの階級と立場では、掴める情報はあまりにも少なかった。あと一歩が踏み込めない。残念なことに、情報処理能力は専門外だ。

 ひっそりとため息をついたユマは、ふと目を留めた。眼前では、ユウマが相変わらず昼食を食べている。

 

 

「今日もスタミナ定食?」

 

「何か問題でも?」

 

 

 ユマの問いに、ユウマはこてんと首を傾げた。彼の食べているスタミナ定食は、肉料理を中心とした和風の定食だ。肉料理やみそ汁は週替わりで、今週は豚の生姜焼きとアサリ汁である。ユウマが食堂を利用するようになってから、彼はずっとスタミナ定食ばかり注文していた。

 

 豚の生姜焼きには上質な肩ロースが使われていた。肩ロースはこってりとした味にマッチする部位であり、油が強く冷めても固くなりにくいという特徴があった。出汁醤油に赤ワインという珍しい組み合わせの味付けであるが、意外とファンが多い。肉とソースの間にひっそりと絡むのは、飴色になった玉ねぎだ。

 対して、付け合わせのサラダには、さっぱりとした味付けが特徴なしそドレッシングがかけられている。ほんのりと香るしその香りが心地よい。濃い味付けである生姜焼きを食べた後の口直しにはピッタリであろう。ドレッシングは当人の自由であることを考慮すると、ユウマはきちんと計算して選んだらしい。

 

 ああ、なんてことだ。思わずユマは口元を綻ばせた。ベジタリアン用ミールとカフェインタブレットで食事を済ませていたあの男が、今では肉に執着しているとは。

 食事というものは栄養と合理性重視だった男が、今では普通の食事を食べている。基本雑食性ではあるものの、好みの兆候まで出てきた。良い変化である。

 くつくつと笑っているユマの様子に違和感を覚えたのか、ユウマは眉間に皺を寄せた。その表情は、まるで子どもみたいだ。

 

 

「何ですか。突然笑い出して」

 

「思い出してたのよ。昔、カフェインタブレットとベジタリアン用ミールで食事を済ませ、栄養価が云々とご高説を垂れ流したオコチャマのこと」

 

 

 ユマが「今ではお肉に執着してるんだもの。何が起きるか分かったものじゃないわね」付け加えて笑えば、ユウマは「子ども扱いしないでください」と口を尖らせる。

 食べた分は使うのだから問題はないと主張するあたり、今日もシミュレーターで戦闘訓練三昧なのだろう。オンもオフもない単調なルーティーンを繰り返し続ける。

 

 最も、こんな風に思っていることが知れたら、訓練は無駄じゃないと喧しく主張することは目に見えている。この場合、その件について何も言わないのが正解だ。

 

 

「さて、私は行かなきゃ。午後から華の半日休暇を過ごす予定なの」

 

 

 以前から申請していた休暇だ。月に1回、この日は休むと決めている。ユウマもこの休暇の意味を知っているようで、ああ、と、静かに目を伏せた。

 「いい加減に忘れろ」と言わないあたり、ユウマは優しいヤツだ。ユマは食器を片付けて、彼に背を向けて歩き出す。

 

 

(いつかアイツも、心許せる()()()()()を得ることができればいいんだけど……)

 

 

 訓練室へ向かうであろうユウマの背中を思い浮かべながら、ユマはひっそりとそんなことを考えた。

 ひとりぼっちというのは、存外に苦痛である。人に縋ることが許されないと言うのは過酷な環境だ。

 おそらく、兵器であるユウマは、軍人として共に戦うユマやヨリトモに縋ろうとはしないだろう。

 

 いつか。

 いつかどこかで。

 

 如月ユウマを人間として繋ぎとめてくれる優しい存在が、現れてくれたなら――

 

 

『どうかそのまま、最後まで、()()()()()()()()くれ。……キミを想う、大切な人たちのために』

 

『あと、胸ポケットに入れてある栞……大事にするんだよ? ……エーデルワイスの花が、キミの導になるから。……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 ()()()()()()相棒の言葉が脳裏によぎる。相棒の遺言が正しければ、エーデルワイスの花が関わってくるのだろう。

 

 

「まったく、面倒ね」

 

 

 ユマは苦笑しつつ、オフの服装に着替えるため、独身寮へと向かったのだった。

 

 

***

 

 

 世界は今日も平和である――大抵の人間は、そう信じて疑わないのであろう。しかし、ユマは知っている。人類に迫る脅威も、同じ人類同士の中に蠢く黒い陰謀も。それは空を覆いつくす鉛色の雲のようだ。

 嘗ての自分だったら、「好奇心は猫をも殺す」をモットーにして踏み込まなかった。引き際というものに関しては、誰よりも心得ていると自負していたし、今でもそう思っている。……でも、もう、逃げると言う選択肢は存在しない。

 

 それに縋れるほど、ユマは強く――あるいは、弱くなりきれなかった。それ程、遺された愛と呪いは重い。

 

 

「すみません、モクレンの花で花束を作ってほしいんですけど」

 

 

 「亡くなった恋人へ贈るんです」と付け加えれば、店員は目を見張った。それは一瞬のことで、店員は曖昧に笑みを浮かべて花束作成に勤しむ。

 程なくして、モクレンを中心にした美しい花束が出来上がった。ユマはそれを受け取り、店を出る。雨が降り出しそうな空模様だ。

 濡れ鼠になる趣味は無いので、ユマは足早に目的地へ向かう。――ちょうど反対側に、緑色の髪の少年がモクレンを抱えて途方に暮れている姿が目に入る。

 

 少年もユマの存在に気づいたようで、惚けたようにこちらを見つめていた。ルシェ族という存在が珍しいためであろう。ユマはさっさと彼とすれ違おうとして――

 

 

「…………小猫丸?」

 

 

 キャスケット帽の中に押し込んだ耳が、ぴくりと震えた。それと同じタイミングで、小猫丸が聲を上げる。

 それに共鳴するかのように、別の聲が響く。聲の主は、少年の腰に下げられた打刀――和泉守兼定だ。

 

 2振りの様子からして、この2振りは同じ人物によって造り出されたものらしい。つまり、同じ刀工から生み出された兄弟と言えるだろう。

 

 だが、少年は訝しげに小猫丸を見つめている。彼の視線がユマを咎めているように思えて、堪らずユマは足を速めた。敵前逃亡……いや、敵ですらない誰かから、自分は逃げた。

 和泉守兼定の聲が遠い。彼は、少年が小猫丸のことに気づいていないことを不満に思っている様子だ。だが、少年が玉鋼の聲を聞けないことを思い出し、渋々引き下がる。

 

 

「『俺は今流行りの、格好良くて強い刀だからな』か。アナタの兄弟、随分と素晴らしい刀なのね」

 

 

 ユマが笑えば、小猫丸も自慢げに笑った。

 

 少年が持っていた和泉守兼定は、廃刀令の気配がじわじわと近づいてきた頃に打たれた和泉守兼定を雛型に、対竜戦闘を行えるよう造り出された刀だ。

 ()()()()()()男が残した資料に書かれていた名前を思い出す。■■リョウスケの娘、■■カレン。ISDFに所属していた、優秀な技術者だった。

 

 

「そう言う意味では、お前にとっても、アクツ総司令は不倶戴天の敵ってことかな?」

 

 

 当たり前だと小猫丸が意気込む。母親を理不尽に奪われた怒りは、未だに燃え滾っているようだ。ユマは何とも言えぬ気持ちになって、そっと柄を撫でた。

 暫く歩けば、崖が見えてくる。その先には大海原が広がっていた。遠い地平線に想いを馳せる。5年前、とある“事故”が発生した場所に一番近い陸地。

 5年前のあそこは忌まわしき“事故”――真竜フォーマルハウトの再出現、および決戦の舞台だった。その立役者にして最後の犠牲者の顔が脳裏をよぎる。

 

 

「……那由多(ナユタ)

 

 

 また会えたら呼んでくれ、と言われていた。

 死んだらもう会えないはずなのに、奴は確証を持ってそう言った。

 

 

「またなんて無責任なこと言って。……本当に、いつ会えるのかしらね」

 

 

 雪待(ユキマチ)(シズク)――本名は明星(アケボシ)ナユタのための花束を、崖から放り投げる。花束はそのまま波間に吸い込まれ、やがて見えなくなった。

 

 

 

■■■

 

 

 

「ごめんちょっと意味わかんない」

 

 

 黒いバンダナを頭に巻いた銀髪の青年は、蜻蛉の複眼を思わせるサングラス越しから相手を睨みつけた。

 奴はうとうとと微睡んでおり、話が通じそうにない。大欠伸をした奴を見ていると、何とも言えない気持ちになる。

 

 

「お前、それじゃあ何のために頑張ってたの?」

 

「それな」

 

「最終的に()()なると言うなら、俺の頑張りも無駄ってことになるよな!?」

 

 

 「知りたくなかったよ畜生!」と叫んで、青年は頭を抱える。奴もうんうん頷いていた。

 

 

「だからお前をここに突っ込むんじゃないか。喜べ、そして種を蒔け。新しい可能性もお前にあげるから」

 

「理不尽!」

 

「理不尽なのはお前だってそうだろう? 一部の輩から『優男絶対ぶん殴るマン』って呼ばれてるんだから。せっかくだし、俺の分も殴って来てよ」

 

 

 存在自体が理不尽の権化と呼ばれたことがある身故、あまり反論できない。

 それはお互い様のはずなのだが、どうしてか奴の調子に流されてしまう。

 

 

「あのなあ……!」

 

「時間が惜しいんだ。目的は同じなんだから、とっとと行って来い」

 

「待て。人の話を――」

 

 

 奴が面倒くさそうにため息をついた途端、青年は異空間へと放り投げられた。

 

 花満開、星空が美しかった世界が暗転する。刹那、真っ青な蒼穹が広がった。あまりの眩しさに目を庇う。建設中のビル群や行きかう人々のざわめきが響いてきた。

 ノーデンス・エンタープライゼス、セブンスエンカウント、ISDF、竜班病――飛び交う単語は聞き覚えがあった。何度も()()()()()()()()、何度も耳にしているものだ。

 因果が断ち切られる前の世界。奴がひっそりと種を蒔いた世界だ。どんな花が咲いているのか、青年はどんな種を蒔いて咲かせればいいのか、全くの未知数である。

 

 青年は暫く途方に暮れていたが、意を決して顔を上げる。

 目的地とすべきことは、既に決まっていた。

 

 




【参考および参照】
『COOKPAD』より『万能♡柚子風味のさっぱり大根おろしだれ♪(ramutomatoさま)』

―――
Chapter-X、これで完結。次からはゲーム本編の時間軸へと突入します。今回は新13班東京組とISDF勢、そして種蒔きを依頼された青年のお話。改定前とは構成を変え、大幅に加筆しました。
今回は日常、および食事シーンが中心です。出汁醤油に赤ワインは、実際私が生姜焼きを作る際に使っている味付けです。出汁醤油は昆布を使用。アルコールは苦手なので、酒類は専ら料理の味付けに使ってますね。
『未完のユウマ』編とゲーム本編の時間軸の違いを現すのに食事シーンをチョイスしたのは、ゲームでユウマが差し入れてくれるスタミナ弁当が理由です。ベジタリアン用ミールとカフェインタブレットで済ませていた彼が、仲間のために料理を振る舞うとは。
余計にスタミナ弁当食べられません。そして、肉に執着するようになったあたり、栄養価云々のこだわりは薄くなった――あるいは判定が甘くなったのかもしれませんね。「ちょっとくらいなら食べても大丈夫。その分訓練で消費すれば……」と、自分に言いきかせてる様子が目に浮かびます。
拙作内のユウマとユマは、ある意味姉と弟のような関係です。この2人はあくまでもコンビ扱い。ユマはシズク/ナユタを忘れませんし、ユウマもそれを重々理解しています。後にユウマにも春が来ますので、今度はユマが彼らを茶化して見守っていくようになるでしょう。
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