百花繚乱クロニクルセブン-僕らのセカイとキミのミライ-   作:白鷺 葵

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運命は交錯する

 有明の海に太陽が沈む。寄せては返す波の音、空の向こうを悠々と横切る翼竜の影、遠くに輝きはじめた一番星――それらを、眞瀬ブンイチはぼんやりと眺めていた。ブンイチの隣には、相棒であるブラスターレイブンがぐったりと座り込んでいる。

 つい数時間ほど前まで、自分たちは東京に出現した帝竜たちを相手に大立ち回りを演じていた。勿論、周辺住民の避難誘導もばっちりである。帝竜退治もハードだったが、ISDFが来る前に撤収する方が大変だったように思う。

 

 

「元から持久力が無い方だったけど、最近はもっと酷いことになってるような気がするなぁ。調整はしっかりやってるはずなんだけど……限界が近いのかも」

 

 

 レイブンは掠れた吐息のような声で呟いた。目元が覆われているせいで表情がよく分からないけど、マスクの下には途方に暮れた深緑が揺れているのだろう。

 

 相棒同様、ブンイチも同じことを考えていた。欝々とした気持ちのまま、己の手を見る。傷だらけの手は、遠い昔の自分のものと何ら変わりない。

 傍から見れば、眞瀬ブンイチは普通の子どもに見えるだろう。外見から推測すれば、大体中学生~高校1年生程度の年齢と認識される可能性が高かった。

 実は、眞瀬ブンイチは病を患っている。真竜の瘴気が原因となる病であり、現代社会に蔓延っている竜班病とは“ルーツ違いの類似”であると言えるだろう。

 

 

「……タイムリミット、か」

 

 

 ブンイチは、自分の手の中にある書類に視線を向ける。自分が患う病が、『治療不能で死を待つだけ』という段階に入ったことが記載されていた。

 その書類のページをめくる。2枚目の書類は、前のページとは反対のことが記載されていた。『症状が飛躍的に改善しつつある』という内容である。

 

 

(ノーデンスのパートタイマー社員になってからだ。俺の病気が劇的に改善されたのは)

 

 

 2枚の書類を見比べつつ、ブンイチは眉間に皺を寄せた。

 

 本来、自分が患う病にはステージが2まであり、セカンドステージに移行すると身体機能が著しく衰弱して死に至る。ブンイチはセカンドステージに入った直後であり、症状を和らげる治療薬を大量摂取することで、帝竜と戦える状態だった。相棒の言う調整やエネルギー充填と似たり寄ったりである。

 パート社員の面接を受けたときも、履歴書や偽造戸籍に『U.E.16年に病を発症した』と記載していた。セカンドステージに関することは一切記載していなかったが、社長直々且つ強制的に医療フロアに放り込まれたことで発覚した。クビにされるかと戦々恐々したものの、アリーは気にせずブンイチを雇い入れた。

 因みに、ナガミミにはセカンドステージ云々に関する話はしていない。話したら嬉々としてクビにしようとする可能性が高いからだ。惚れた相手に会えないとなったら、ブンイチの寿命は一瞬で尽きるだろう。まったくもって笑いごとではないし、そんなことになってしまうのだけは避けたい。

 

 

「そう考えると、最近のブラスターキッズは絶好調だな! ……俺が居なくなっても、キミが居るなら大丈夫だ」

 

「――“■さん”」

 

 

 “正義の味方・ブラスターレイブン”の調子を崩さずに不謹慎なことを言ってのけた相棒に、ブンイチは咎める代わりに彼の名前を呼んだ。

 自分でも申し訳ないと思うくらい、不平不満を込めた恨めしい響き。どうしようもないと分かっているのに諦められない、未練がましい声色だった。

 

 レイブンはブンイチが何を言いたいのか、何を考えているのか、はっきりと察知してしまったようだ。恋愛関係のことにはてんで疎かったらしい男であるが、人の心――特に苦しみや悲しみ等を察知することには聡い。

 

 

「……ごめんね、“文一”。でも、これは“どうしようもないこと”なんだ」

 

 

 彼は困ったような、哀しそうな視線を向けてきた。当たり前の願いに答えてやれない、自分の不甲斐なさを詫びるかのように。

 相棒にそんな顔をさせてしまったブンイチは自己嫌悪した。彼に、そんな顔をさせたいわけではなかったのに。

 幾何かの沈黙の後で、ブンイチは絞り出すようにして謝罪の言葉を口にした。「俺の方こそ、ごめん」――何とも情けない。

 

 

「分かってる。ちゃんと分かってるよ。“■さん”だって、いつまでも、天下無敵のブラスターレイブンでいられるわけじゃない。何事にも終わりがやってくるんだから、俺もいつかは“眞瀬ブンイチ”を辞めなくちゃいけなくなる」

 

「“文一”」

 

「この調子で黒呪病が治った後、ISDFが放置したままのアイツを倒した後、あの人の代わりに『未完の命』を見届けた後、“■さん”がいなくなった後……考えなきゃいけないことは沢山あるってことも分かってるよ。想定しなきゃいけないことが沢山あるってことも分かってるんだよ。……だけどさぁ……!!」

 

 

 今までの自分を構成する要素の大半が、そのまま今の自分を構成し、突き動かす要素そのものだ。同時に、その要素も、物事の解決によって意味を成さなくなる。

 ブンイチにとって“要素がなくなる”ということは、これからを生きていくために必要な道標を失うことと同義だ。未来という荒野に、地図もなく放り出されることを意味する。

 

 託されたことを全うするために、“文一”は全身全霊を賭けた。それを全うするために何をすべきかを思案してきたけれど、終わった後のことは考えてなかった。明確な終わりが近づいてきているという事実が、今まで考えてこなかったツケとなって、“文一”の前に突きつけられている。

 

 自分の歩んできた軌跡を、自分が抱えてきた痛みを、自分が背負ってきた悲しみを、共有できる相手なんてどこにもいない。相談できる相手もいない。

 そんな相手を見つけるには、“文一”の人生は遅すぎるし、重すぎた。――まあ、“想い人ができた”という点は充分遅くないことだったが。

 

 

「……“文一”。僕はね、お前に幸せになってほしいんだ。幸せになってほしかったんだよ」

 

 

 レイブンは柔らかな声で言葉を紡ぐ。まるで幼子に語り聞かせるかのような口調で。

 

 

「僕や彼女たちみたいな“使命”とは無縁の、穏やかな人生を送ってほしかった。気の合う仲間や仲間や友人たちに囲まれて、誰かを好きになって、誰かと寄り添って、家庭を築いて、床の上で大往生するような、普通の人生を」

 

「“■さん”」

 

「お前になら、それができる。そんな未来が、目の前に広がっているんだ。――僕だったら、こんなチャンス、絶対に逃さない。死に物狂いで掴もうとするし、そういうチャンスが目の前にある人を見たら、その人に絶対掴んでほしいって思うよ」

 

 

 レイブンは柔らかに微笑む。そこにあったのは、後継者の幸せを一心に願う眼差しであった。目元がマスクで覆われているはずなのに、優しく細められた深緑が容易に想像できる。

 幼い頃から“文一”を見つめていた眼差しだ。そんな風に笑う“レイブンになった男”の表情が大好きだった。沢山苦労してきたのだから、これからは沢山笑ってほしかった。

 彼と一緒にやりたかったことがある。一緒に街に繰り出して、買い物なんかもしてみたかった。色んなところに旅行をしたかった。一緒にアルコールを飲んでみたかった。

 

 でも、それが叶わないことは、“文一”と“レイブンになった男”自身が一番知っている。

 

 こんな世界で幸せを手にしたいと願う理由がすでに失われていることだって、分かっているのだ。

 現在に至るまで、“文一”は多くのものを取り零してきたのだから。

 

 

「……()()()がいたなら、多分、俺はそうしたんだと思うんだ」

 

「!」

 

「でも、()()()()()()()

 

 

 ブンイチは鞄の中から端末を取り出す。映し出された写真は、ブンイチの友人たちが写っている。()()、友人たちは()()()()()。残ったのは、ブンイチただ1人。

 最後の親友が死んだという知らせが届いたのは5年前だ。彼はISDFが事故と処理した一件の犠牲者として、表舞台から葬り去られた。友がいない世界は、当たり前のように回っていく。

 

 端末の画面をタップすれば、親友が残したデータが入っていた。これが出回れば、親友たちを葬り去った相手を確実に破滅させることができるだろう。

 

 本当なら、今すぐにでもそうしたい。だが、それをしないのは理由があった。

 “『未完の命』の選択によって、適宜効果的に使え”――それが、亡き友の遺言だからだ。

 

 

(『未完の命』の選択次第で、これの使い方は変わるんだ。それまでは、情報の補強に努めるしかない)

 

 

 まったく難儀なことだ。自分たちは常に尻拭いのために奔走しているようなものではないか――なんて、ブンイチは苦笑する。それでも断り切れないのは、“相棒(■■)”譲りであろう。苦労すると言う点では、ブンイチとレイブンは似た者同士らしい。

 親友が命と引き換えに守り抜いたのだ。できることなら、『未完の命』たちには、親友の願いを体現できるような人間になってほしい。祈りにも似た思考を巡らせながら、ブンイチは画像を見つめる。映し出されていたのは、1組の少年少女だ。

 少女は銀の髪に海色の瞳を持つルシェ族の少女だった。その佇まいは、嘗てムラクモ機関が生み出したルシェクローンによく似ている。少年は鳶色の髪に深緑の瞳を持つ少年だった。心なしか、雰囲気が恩師に似ているような気がしなくもない。

 

 

「どうしてみんな、()()()()()()()()()()()()()()()んだろうね」

 

「“文一”……」

 

「どうしていつも、こんな難しい選択をする立場にならなきゃいけないんだろう。きっと、俺たち以上に正しい判断を下せる人なんて幾らでもいるはずなのに」

 

「……そうだね。でも、そうやって選択を任せてもらえるのは、信頼されてるという証なんだろう」

 

 

 レイブンは苦笑する。でも、どことなく嬉しそうだった。

 

 

「僕らは無力だ。だからこそ、託されたものに応えたいと思う。……託されたものに応えたいと願ったから、お前も()()()()()んだろう?」

 

「当たり前じゃないか」

 

「確かにみんなは、理想や願いを持って戦っていた。世のため人のために必死になっていたよ。……でも、それ以上に、互いの幸福を願っていた」

 

 

 レイブンの言葉は間違いではない。仲間の誰かに「恋人ができた」となれば、自分たちは盛大に祝福した。世話だって焼いたこともある。結婚すると聞けば、盛大に祝った。政治家として奮闘する仲間の応援に駆け付けたこともあったし、開発された武器のテスト役として奔走したこともある。

 命が尽きる直前、仲間たちがブンイチに想いを託したのは、正したいものがあったからだ。世のため人のために、成したいことがあったからだ。決して、戦いに敗れて命を落とした彼/彼女たちの復讐を成してほしいというわけではない。決して、ブンイチも「託した想いに殉じろ」と要求したわけではないのだ。

 

 

「分かってるよ。みんなが優しかったことは、俺が一番よく知ってる」

 

 

 脳裏によぎったのは、()()()()()()仲間たち。ブンイチを見つめる瞳はどこまでも優しく、みんな優しい笑みを湛えていた。誰1人としてブンイチを咎める者はいない。――だが。

 

 

「……でも、納得できるかどうかは別問題だよ。きっと俺は、亡くしたものや失ったものを置いて、幸せになろうとする自分自身を認めることはできない」

 

 

 ブンイチは大きく息を吐いて空を見上げる。視界いっぱいに、満天の星空が広がっていた。

 

 死んだ人は星になる――なんて話を、幼い頃に聞かされたことがある。大人になるにつれて、死者は土へ還るのだと、星にも命があるのだと学んだ。眩い星の光は、星の命の終わりであり、命の始まりへと繋がるという話も聞いた。

 恩師や仲間たちが繋いできた志も、この星のように輝いていた。彼/彼女の命の終わりが、『未完の命』や次世代の“狩る者”を表舞台に導いたのだ。最後に残された古参として、新人たちを見守るのは当然の結果と言えよう。

 

 ブンイチもきっと、彼らと同じ選択をするのだ。命を燃やし、輝かせ、未来へと繋ぐ。

 その果てに己の死が待っていたとしても、構わず突き進む。――いや、()()()()()()()()()()()()

 だから、立ち止まろうとする自分自身を許してやれない。幸せに目移りする自分の姿に、見てみぬふりはできないのだ。

 

 

「あーあ。俺って本当に中途半端だ」

 

 

 ブンイチは思わず自嘲した。戦うにしては勇気が無さ過ぎて、逃げるにしては責任感が強すぎた。

 だから余計に、面倒事に巻き込まれやすいのだと理解はしていた。その血の宿命(さだめ)と言ったところだ。

 

 感傷に浸るブンイチの肩を、レイブンは軽く叩いた。

 

 

「中途半端でも、無様でも、進もうと足掻くのは僕たちの専売特権だ。足掻いた末に答えが見つかることだってある」

 

「……“■さん”」

 

「だから、ゆっくり考えればいい。お前には、まだ多くの時間があるんだからね」

 

 

 ブンイチはレイブンを見上げた。

 相棒の口元は、静かに微笑んでいる。

 

 幸せになりなさいと相棒は言うけれど。

 きっと、友人たちもそう言ってくれたのだろうけど。

 “文一”の手の中は、幸せへの切符が握られていたけれど。

 

 ――眞瀬ブンイチ/“文一”には、どこへ行けばいいのか/このまま幸せになっていいのか、分からなかった。

 

 

 

■■■

 

 

 

 

「随分と機嫌が良さそうだな、ユウマ」

 

「え?」

 

 

 先程から頬を緩ませていた部下――如月ユウマに、頼友(ヨリトモ)東吾(トウゴ)は声をかけた。

 ユウマは目を丸くして瞬きした後、「分かりますか?」と苦笑する。

 

 

「実は、先程からずっと、口角が上がったまま下がらないんです」

 

「ほう」

 

 

 作り物めいた笑み――関係者以外が見ると“人当たりの良い爽やかな笑み”に見えるらしい――を浮かべていることが多いユウマには、珍しい変化である。よくよく見れば、彼の笑い方は普通の人間が浮かべるものと大差なかった。

 

 本人は自分の変化に驚いているようで、どうしたものかと持て余している様子だった。

 出自が出自なだけに、ユウマは情緒や一般の人間が経験するような物事に疎い。

 周りの環境もあってか、彼の佇まいはどこか危うく脆いように思える。

 

 

「何か、いいことでもあったか?」

 

「取り立てて言うような特記事項は、何も」

 

「こらこら、何も隠すことないじゃない。可愛い女の子と楽しくお喋りしてたでしょう?」

 

 

 告げ口するようにユウマを茶化した伊倉ユマに、ヨリトモは先程のこと――ノーデンス・エンタープライゼスに出現した帝竜スペクタスに関する出来事を思い返した。

 

 ISDFが現場に駆け付けたときにはもう、既に、一般人たちが帝竜を相手に奮戦していた。圧倒的な力に叩き伏せられても尚、3人の少年少女は戦おうとしていた。

 彼女/彼らの眼差しを目の当たりにしたとき、ヨリトモが真っ先に思い浮かべたのは恩師の渡来ミカゲである。恩師もまた、瞳に揺るがぬ意志を宿していたためだ。

 帝竜相手に奮戦していた3人は、今は亡き恩師の“想い”を継ぐ人間なのだ――ミカゲに師事していたヨリトモには、それがすぐに分かった。

 

 あの人は無茶苦茶なことばかりしていた。その無茶苦茶さを、あの若者たちは忠実に受け継いでしまったらしい。

 湧き上がった感情を、何と言えばいいのだろう。自身の後輩にあたる人間との出会いに、言葉にし難い感情が湧き上がったのは事実だ。

 

 

(想いはこうやって、受け継がれていくんだな……)

 

 

 暫しの間懐かしさに浸ったのち、ヨリトモは閑話休題とばかりに咳ばらいした。そうして、ノーデンスで起きた出来事をもう一度回想する。

 帝竜は普段通りユウマが片付けた。帝竜襲撃の事後処理を部下たちに指示していたとき、ユウマは無茶をやらかした一般人の元へ歩み寄って行ったか。

 

 彼はそのとき、一般人の少女と会話していたように思う。黒髪のショートボブに、花を模した銀の髪飾りを付けていた少女だった。

 

 年恰好は10代半ばから後半、制服の形状からして、彼女は暁学園の生徒だ。出身校までヨリトモと同じである。

 恩師の孫も、今なら丁度あの少女くらいの年頃だろう。葬儀で泣いていた女の子は今、どうしているだろうか。

 

 

「本当に珍しかったんですよ。普段はすましたお人形さんみたいな顔してるユウマが、女の子相手に照れ照れしていたんです。ユウマの周りに花が咲いているようでしたよ」

 

「……そう、なんですか? 俺は普通にしてるつもりだから、全然分かりませんけど……」

 

 

 ユマは嬉しそうに詳細を語る。先程の光景が余程微笑ましいものだったのだろう。ユウマを見つめる海色の瞳は、慈愛に満ち溢れている。

 対して、ユウマはしきりに首を傾げている。彼はまだ、自分の変化が何を意味しているのか分かっていないのだ。

 

 

「不思議なんですよね。あのとき、俺は彼女から目を離すことができなかった。……帝竜と戦うなんて無茶をした一般人は、他にも2人いたのに」

 

「ユウマ……」

 

「――また、会えるかな」

 

 

 他人のことに関心を示さないユウマが、思いもよらないことを口にした。ヨリトモは思わず目を瞬かせる。

 驚いたのはヨリトモだけではない。ユウマの言葉をすぐ近くで耳にしたユマも、口走ったユウマ自身も、はっと息を飲んだ。

 自分自身の発言に困惑し、ユウマはしきりに首を傾げる。暫し顎に手を当てていた青年は、助けを求めるようにヨリトモを見上げた。

 

 ヨリトモはふっと微笑む。

 

 

「きっと会えるさ。可能性が0ではない限り、な」

 

「……だと、いいですけど」

 

 

 天文学的な数値だろう――翡翠色の双瞼は、ヨリトモの言葉を希望的観測と取ったようだ。しかしユウマは、可能性は限りなく低いと知りながらも、0ではないという事実に拠り所を見出そうとしている。彼の瞳には、そうあってほしいという願望で揺れていた。

 ユウマはまだ、自身の感情を把握しきれていない。自分の言動が、彼の心の奥底にある想いに由来しているものだと気づいていないのだ。無意識に口元を綻ばすユウマの横顔を眺めながら、ヨリトモはひっそりと目を細める。ユウマには、若者らしい幸せを手にしてもらいたいものだ。

 

 

「それじゃあ、願掛けがてら、あの子とまた会ったら何を話すか考えとけばいいんじゃない?」

 

「ユマ、流石に気が早いですよ。彼女にまた会えると決まったわけでは……」

 

「だから願掛けって言ってるでしょう? それに、貴方のことだもの。いざあの子を目の前にしたら、何も言えなくなるんじゃないかしら? 黙りこくった貴方を見たら、彼女、幻滅するんじゃなくて?」

 

「……それは、嫌だな」

 

 

 ユマの言葉を聞いたユウマの表情が曇る。兵器としての意識が強いユウマにとって、幻滅されるということは耐えがたい恐怖だ。

 ヨリトモはユマを咎めようとしたが、悪戯っぽく笑ったユマの様子からして、彼女は()()()()()()地雷を踏んだらしい。軍帽に納められた狐耳がぴょこりと動く。

 教え子の反応が上々だったのか、ユマは更に笑みを深くした。……心なしか、ユマに黒い羽根と尻尾が見えたような気がする。こう、悪魔的なものが。

 

 

「あらあらー? あの子とは今回が初対面よねぇ? どうして嫌われたくないのかしらー?」

 

「えっ? ……わ、分かりません。何故だろう……」

 

「どうしてなのかしらねー? ほらほら、よーく考えなさい」

 

 

 ユウマは難しい顔をして首を傾げる。対して、ユマは猫のように目を細めてニヤニヤと笑っていた。海色の瞳は、どこまでも優しい。

 

 

「あんたの出した答え次第では、オコチャマから一端のオトコノコとして認めてあげてもいいわよー?」

 

「ユマ、俺を子ども扱いしないでください。俺は一人前なんです」

 

「自分のことを一人前だって主張している時点でどうなんだか。ほら、子犬とか、臆病気質のワンちゃんがやたら吼えるでしょう? 今の貴方、完全にそれっぽいし。どちらかというと前者よねぇ。あー可愛い」

 

「ちょっ!? 人の頭を撫でないでくださいよ!」

 

「情緒の発達も成長のうちよねぇ。なんだかしみじみしてきたなあ。可愛がっているペットのお見合いみたいで」

 

「俺を犬扱いしないでください! というか、何ですかお見合いって!?」

 

 

 教育係と教え子がじゃれ合う。ユマをユウマの教育係に任命したのはヨリトモであるが、双方が双方にとって良い影響を与え合っているようだ。

 相変わらず、ユウマは兵器としての側面が強い。だが、5年前よりはマシになってきた。……それでも、軍人であるヨリトモとユマには限界がある。

 

 先程自分たちが出会った少年少女たちは、何も知らない一般人だ。僅かな間とはいえ、ユウマが完全な赤の他人と関わったのは今回が初めてである。しかも、本人が自覚していないとはいえ、出会った相手に一目惚れをしてしまうだなんて。

 

 

『人には、誰にだって“運命の相手”がいるんだよ。良い意味でも悪い意味でも、その相手とは強烈に惹かれあうモンだ』

 

『少なくとも俺は、その“運命の相手”によって()()()()()人間だ。俺の嫁さんは()()()()側になるだろう』

 

『――お前にとってのミハルちゃんが、ミハルちゃんにとってのお前が、そうあるように』

 

 

(……渡来先生)

 

 

 自分が茨の道に足を踏み入れることなど、予想していなかった頃を思い出す。夕焼けの眩しい縁側、静かに伸びた青年――恩師の背中が脳裏によぎった。

 

 恋愛の話というのは、いつの時代も茶化す側と茶化される側に分かれるようだ。過去のヨリトモもまた、茶化される側であった。

 ヨリトモとミハルの一件もまた、沢山の人に見守ってもらっていた。当時のことを思い出し、ヨリトモは思わず口元を緩める。

 

 もう戻れない時間。もう帰らないと決めて、ヨリトモは茨の道を歩んでいる。

 すべては人類の未来のため、ひいては、愛娘が幸せに暮らせるようにするためだ。

 緩みかけた口元を引き締める。過去の感傷か、僅かに渋みを感じた気がした。

 

 

(…………ミオ)

 

 

 不意に、脳裏に少女の姿が浮かんだ。愛する人の面影を忠実に受け継いだ、若芽色の髪を束ねた少女――ミオ。

 泣き虫で怖がりな寂しがり屋で、でも、思った以上に頑固で、とても優しい愛娘。向き合うことを恐れて、背を向けた相手だ。

 ヨリトモが彼女に顔を合わせる資格はない。顔を合わせ、父親として振る舞う資格もないのだ。逃げ出した自分には、おこがましい。

 

 だが、大切な愛娘には、いつの間にか、やけに仲がいい男がいた。

 目撃者たちの話を総合すると、その男が少女を守るようにしてドラゴンと対峙していたという。

 

 関係者からそんな話を耳にしたことが一度もなかった。故に、寝耳に水どころか、自分の目前でテロが行われた並みの衝撃である。

 

 

(俺にはもう、それについて文句を言う資格などない。……だが、だが……!!)

 

 

 ヨリトモの握り拳が小刻みに震える。自分の胸中は、焦土の中で大混乱になっている人々と大差ない。

 今ならば、恩師が娘婿の家に得物片手で乗り込もうとしたときの気持ちがよく分かる。

 妻の関係者が、ヨリトモに対して最大威力の自爆特攻(エグゾーストサクリファイス)を仕掛けようとした悲壮感もよく分かる。

 

 分かりたくないのに、手に取るように理解できるのだ。自分もそんな年齢になったらしい。

 

 

「提督? そんなに難しい顔して、どうかしたんですか?」

 

「顔色が悪いようですが、何か心配事でも?」

 

「…………いや、なんでもない」

 

 

 ユウマやユマ、他の部下たちが聞いたら確実にしょっぱい顔をしそうな思考回路などおくびにも出さず、ヨリトモは粛々と返答した。

 余計なことを考えるのはやめる。ISDFの職務は帝竜退治だけではないのだ。今日1日の務めは、まだ果たされてはいないのだから。

 

 

 

 

 その日、ヨリトモは夢を見た。夢の内容はおぼろげで思い出せない。

 

 ただ、その夢が悪夢だったこと、自分が得物片手に誰かに襲い掛かろうとしたこと、恩師が魔王のような笑みを浮かべて誰かに襲い掛かろうとしていたのを止めようとしていたことだけは覚えている。

 目覚めたとき、ヨリトモの体は冷や汗でびっしょりだった。こんな恐怖を感じたのは、“学生時代、自分の鞄の中にとんでもない本が紛れていたこと”と、“恩師との実戦訓練”以来であったことを記載しておこう。

 

 

 

■■■

 

 

 

 まどろみの中に、夢は沈む。

 

 何千、何億もの意志が叫ぶ。生きたいと、生きるのだと、守りたいのだと。

 意志は四肢を動かす。想いは未来を創り出す。そうして――世界は。

 

 

「……派手にやってるなあ」

 

 

 とろとろとした眠気に船を漕ぎかけながら、()()は白い花を覗き込む。

 

 黒いバンダナを頭に巻き、銀髪の髪を無造作に伸ばしながら、蜻蛉の複眼を思わせるサングラスをかけた男が吼える。青い光を宿した美しい刀。切っ先は、軍服を身に纏った青年へと向けられている。

 青年は必死に「自分に身に覚えがない」と主張した。男は完全無視し、青年へと襲い掛かる。青年と共に戦っていたはずの連れ――屈強な男性としなやかな体躯の女性は、戦闘不能状態に追いやられていた。

 前者の得物は綺麗に地面へ突き刺さり、本人も腹を抑えて呻いている。後者の得物は手の中だが、担い手は地面に伏せって動けなかった。呻きながらも、2人は茫然と青年同士の争いを見つめていた。

 

 文字通りの阿鼻叫喚。

 怒鳴る、叫ぶ、吹き飛ぶ。

 

 

『よぉぉぉぉし、この浮気野郎! 楽に死ねると思うなぁぁぁぁ!』

 

『だから、浮気って何ですか!? 俺には身に覚えがないって――』

 

『今死ね、すぐ死ね、骨まで砕けろォォォォォォォォォォ!!』

 

『――う、うわあああああああああああああああ!!?』

 

「わーあ。天地まで絶っちゃったよ」

 

 

 「しかもそれ、別版権の台詞じゃん」と呟いて、()()は深々と息を吐いた。眼前には、焦土と化した地面と、転がったまま動かなくなったISDFの士官3人を見下ろす蜻蛉眼鏡。彼は満足したのか、頷いて刀を鞘に納めた。

 軍人たちは完全に気を失ってしまったらしい。男は鞘で青年をぺしぺし叩いて意識の有無を確認した後、手早く3人の治療を行った。勿論、傷跡も残さぬレベルで治療を終えた蜻蛉眼鏡は、彼らの意識が戻るより先にその場から撤退する。

 程なくして3人は目覚めたが、そのタイミングを待っていたかの如く端末から命令が入る。今自分たちが請け負っていた任務を別部隊へ引き継ぎ、大至急帰還せよというお達しだ。上司は粛々と、部下2人は何事かと会話をしながら戻っていく。

 

 「まるで悪夢でも見ていた気分だ」と呟いたのは、上司だったのか部下だったのか。

 ()()はとろとろとまどろみながら、ゆっくり視線を外した。

 

 件の軍人たちはこの後、帝竜退治のためにノーデンス・エンタープライゼスへ向かうのだろう。そうして、“運命に立ちあう選定者”と顔を合わせる。引き合う運命(さだめ)は、彼らを惹き付けてやまない。

 

 

「……()()()、どうするかねぇ」

 

 

 ()()が小さく呟いた途端、白い花に映し出されていた光景が変わった。軍人たちの姿は掻き消え、廃墟の中で1人佇む蜻蛉眼鏡が映し出される。

 嘗て、その廃墟は、人類最後の拠点として賑わっていた。()()()()()では、真の“狩る者”を決める戦いの舞台となり、残酷なる慈母との決戦の舞台となった。

 

 花の季節は終わり、周囲は緑のコントラストで埋め尽くされている。蜻蛉眼鏡は、まだ動かない。

 

 

『――来たか』

 

 

 蜻蛉眼鏡は小さく呟いて、天を仰いだ。白い翼竜――ホワイトドラゴンの群れが、ある地点へと向かって飛んでいく。その場所を、蜻蛉眼鏡は知っていた。

 だから、動かない。口元にはにんまりとした笑みが浮かぶ。ホワイトドラゴンの尖兵を差し向けたのは、赤い帝竜だ。悠然と空を翔る帝竜は、自分が捕食者だと信じている。

 だが、残念ながら、帝竜の方が捕食される側だ。今回は一撃のもとに叩きのめされる――()()と蜻蛉眼鏡は、帝竜が辿る結末をよく理解している。

 

 ……それと同時に、もう1つ。自分たちは知っている。

 物語の始まりを告げる出会いがあることを。

 

 

「今回は、どうなるだろうなあ。蜻蛉眼鏡の知らないところで蒔いた種が、あんな風に認識されることになるなんて思わなかった」

 

『今、滅茶苦茶スペクタスを応援したい。あの浮気野郎に、せめて一発は叩きこんでほしいな。……無理だろうけど』

 

 

 ()()のぼやきに呼応するかのごとく、蜻蛉眼鏡は呟く。彼の願いは叶うことなく、どこか遠くから帝竜の悲鳴が響き渡った。

 文字通り、文句なしの一撃必殺。蜻蛉眼鏡もそれを察したようで、『あーあ』と呟いて天を仰いだ。

 

 

『つまんないの。もうちょっと痛い目見てほしかったのに……――おかしいのは僕なんだ。大切な人の幸せを願えない僕がおかしいんだ。ああ、だからユマも――2人とも落ち着こう? あのとき、件の2人はまだ()()()()()()()()んだから。誤解かもしれないでしょう?』

 

 

 蜻蛉眼鏡は1人で会議状態である。この現象の意味を知っている()()は、懐かしさにそっと目を細めた。

 嘗ての()()も、似たような日々を送っていたことがあった。今はもう、()()に応える声は聞こえない。

 でも、嘗て()()に意見していた人々の気配は感じられる。何もできなくなった()()にとって、ささやかな救いだ。

 

 

(――さて)

 

 

 ()()は、蜻蛉眼鏡が映し出された白い花から視線を外す。のろのろと緩慢な動作で視線を動かした先には、赤の葬送花が咲いていた。その隣には、蒼の葬送花がまどろむように固い蕾を揺らしていた。

 赤は絶望を齎す。滅びの(とき)を待つ海洋帝国、および楽園の名を冠した大地に咲き乱れる。対して、蒼は悲哀と託宣、および命の真理を齎す。それはいずれ、楽園の名を冠する大地を埋め尽くすだろう。

 

 嘗て種蒔きを任せた青年は、()()が不本意、且つ、偶発的に咲かせてしまった黒い葬送花を枯らせた。

 同時に、黒い葬送花によって奪われる花の命を、自らの命をもってして救い上げたのだ。それが、蒔かれた可能性の1つ。

 力を得ることは可能性を切り開く最短ルートではあるが、思っている以上に制約は強い様子だった。閑話休題。

 

 ()()は赤い葬送花を覗き込んだ。透き通った青を基調にした光が輝く海洋都市が見える。そこは古の種族・ルシェが治める海洋帝国、アトランティスの首都、アトランティカであった。

 

 広場も居住区も赤い葬送花で覆いつくされている。住民たちの瞳には、がらんどうで底の見えない絶望の色だけがあった。誰も彼もが諦めたように俯いている。()()はうつらうつらとまどろみながらも、“探し物”を探して首をわずかに動かした。

 刹那、アトランティカの街並みがぐっと下になった。ややあって、層になって重なっていた街並みは遠くなり、ついには視認することすら難しくなった。代わりに広がったのは、アトランティスの最上部に建設された神殿――ベルク海洋神殿だ。()()が瞬きすれば、神殿内の一室へと光景が切り替わる。

 

 部屋の中にいたのは、2人だった。シンプルながらも上等な法衣に身を包んだ壮年の男性ルシェと、まだ若い乙女のルシェが睨み合っている。

 前者は揺るがぬ決意の中に、どこか縋りつくような悲哀を宿して乙女を見つめる。後者は怒りを孕んだ金の瞳が、男性を屹然と見返していた。

 

 

『……貴方は、どうしても私に“託宣を撤回し、玉砕派に下れ”と言うのですね』

 

『そうだ。今ならまだ間に合う』

 

 

 男性は諭すようにして、乙女へと語りかけた。

 

 

『“あいつ”の方は『勝ち目がなくても徹底抗戦する』と言って、エーグルらと貧民区の方へ行ってしまった。ああなってしまった以上、私は、立場上“あいつ”を首都から追放せねばならなかった。……だが、私はもう、見たくないのだ。お前たちがルシェ族の矜持ごと、ニアラによって引き裂かれてしまう姿なんて』

 

 

 男性の声は震えている。彼は仕えてきた王を、大切な弟と幼馴染を、沢山の同胞たちを失った。真竜ニアラによって踏みにじられたのだ。

 これ以上、何も踏み躙られたくはない。この命が滅びても、せめて種族の誇りだけは守りたい――男性の瞳は強く訴えている。

 

 だが、乙女は怯まなかった。金色の瞳には、最後まで生き抜いてみせるのだという意志が燃えている。それは、乙女の命そのものであった。

 

 

『だからといって、民や王女に死を強いるのは間違っています。未来を諦め、死に走るにはまだ早い。私の託宣なら、玉砕なんかしなくても、みな生き残れる未来があるんです! ですから――』

 

『――いい加減にしろ! もうこれ以上、民や同胞を惑わすな!!』

 

 

 男性は悲痛な声を上げてかぶりを振る。

 

 

『意味を成さない竜殺剣も、来るはずのない“遥かなる嚮後(きょうご)からの訪問者”も、希望なんてまやかしのために一喜一憂するのも! ……もう、沢山だ!!』

 

 

 男性の絞り出すような叫びは、ルシェ族が直面してきた絶望の権化だ。竜の到来を予知した巫女の教えを実践した結果が「竜殺剣は真竜を殺せず、逆に担い手の王が返り討ちにあった」のだから当然だろう。

 故に、男性は希望を信じられなくなった。ルシェ族に未来はないのだと、未来がないのならばせめて命の頂点に立った者としての務めを果たそうと、破滅へ向かって突き進む。未来を諦めず、未来を語る乙女とは壊滅的に相性が悪かった。

 

 幾何の沈黙の後、乙女は深々とため息をついた。

 それが“諦めと同意”とみなした男性は、ほっと表情を緩める。

 だが、次の瞬間、乙女は眦を吊り上げて一言。

 

 

『もういい! 頑固で人の話を聞こうともせず、未来のために戦うことを放棄した腰抜けの伯父上なんて、大嫌いです!!』

 

 

 それだけ言い残し、乙女は踵を返して駆け出した。

 

 一片の迷いもなかった金色の瞳から察するに、乙女はもう、男性の庇護下から飛び出していってしまっただろう。ニアラとの決着がつかない限り、彼女は二度とここに戻ってくることはあるまい。

 1人残された男性は、茫然とその背中を見送った。ややあって、男性はふらふらと歩みを進めた。入った先の部屋は、彼の私室である。扉を締めて鍵をかけた途端、男性は崩れ落ちるように膝をついた。

 

 

『う、うう、ううう……!』

 

 

 そのまま、べそべそと泣き始める。男性の姿をよく知る部下や民が彼を目にすれば、己の目を疑った後に後退りするだろう。

 乙女――姪の名前を呼びながら、男性はぐずぐずと涙を溢れさせた。……何とも情けない姿である。

 扉を通りかかった者たちは総じて何かを察したようで、素知らぬふりをして通り過ぎていた。

 

 ()()は生温かい笑みを浮かべて視線を逸らす。

 ()()が男性のためにできる、ささやかな優しさだからだ。

 

 当然だ。実子のいない男性にとって、姪は自分の娘同然だ。姪が幼い頃は、親以上に彼女の世話を焼いていたらしい。結果、「姪が初めて名前を読んだ相手が男性だった」という事件が発生して、妹夫婦と殴り合いの喧嘩になったと言う。閑話休題。

 

 

(第3者の善意が、こんなにもシュールに思えるとは……)

 

 

 直後、()()の眠気は一段と強くなった。引っ張られるようにして、()()の意識は引きこまれる。

 

 歯をくいしばって耐えたが、正直、限界だ。

 とろとろとまどろむ中、諦めようとしない人々の声が響いたような気がした。

 

 




これで、Chapter0編は完結です。次からChapter1へと突入します。全体的にちょくちょく加筆修正が施されており、ラストのシーンは書下ろしとなっています。気丈な姪と残念な伯父が出演しました。2人の正体は後々明かされる予定です。しばらくお待ちください。

追記(8/29)
本編に影響のない個所を修正しました。
弟夫婦と記載されていた個所を、妹夫婦に変更。
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