百花繚乱クロニクルセブン-僕らのセカイとキミのミライ- 作:白鷺 葵
シキはメニューからカレーとダージリンティーを注文した。ミオにも何かを注文するよう促すと、彼女はオレンジジュースだけを注文する。
程なくして頼んだメニューがやって来る。「お昼は既に食べてきた」と語ったミオは、オレンジジュースを舐めるように飲み進めた。
そんな彼女を見つめながら、シキはカレーを食べつつ紅茶を飲む。企業内のカフェテリアだが、悪くない味である。
「シキは、イノリやリヒトたちの友達なんだよね?」
「ええ。そういえば貴女、イノリたちのことを知ってるの?」
「うん。リヒトが――3人が、わたしを助けてくれたんだ」
ミオは柔らかに笑って、先日の出来事を話し始めた。
訳有って有明へと訪れたミオは、セブンスエンカウントのプレミアムチケットを持っていたことが原因で、悪質なナンパにあったという。そこへ颯爽と現れたのが、東雲リヒトであった。彼は自分の持っていたチケットを相手に譲り渡すことで、穏便且つ迅速に事態を打破したそうだ。
しかし、自分のチケットを相手に譲り渡すということは、セブンスエンカウント内に入ることができないことを意味していた。次に困ったのは、施設内で友人と待ち合わせているリヒトである。恩を返すが如く名乗りを上げたのはミオだった。彼女は自分が所持していたプレミアチケットで、リヒトを助けたのである。
「それだけじゃない。ここにドラゴンが来襲したときも、3人は私を助けてくれた。他のみんなを守ろうとしてた。……帝竜なんて相手したら、死んじゃうかもしれないのに」
「ふふっ。実にみんならしいわ」
「え?」
「理不尽に対して、黙ってそれを受け入れることができない性質タチなんだ。私も、イノリたちも」
シキはくすくす微笑んだ。そのまま、残った紅茶を飲み干す。カレーは既に空になっていたが、まだ食べ足りない。
喫茶店は軽食系のメニューが中心だから、仕方がないのだろう。シキは再びメニューと睨めっこし、追加を頼む。
「すみませーん。パンケーキプレートと、フルーツサンドイッチと、日替わりケーキと、ダージリンティー追加お願いします」
「ええええ!? そ、そんなに食べるの!?」
「当たり前。イノリたちが戻ってくるのが何時になるか分からないんだから、今のうちにしっかり食べて、持久戦に備えないと」
「…………」
呆気にとられるミオを尻目に、シキは店員に注文を追加する。店員は営業スマイルを張りつけたまま会釈した。程なくして、テーブルの上はシキの追加した料理で埋め尽くされた。
フルーツサンドイッチを咀嚼しつつ、シキは現在時刻を確認した。13時30分を過ぎたばかりである。これから何時間待つことになるのか――シキは気合を入れるように、二口目をかぶりついた。
■■■
ミカゲが現実に帰還したとき、話し合いは既に終わっていた。ノーデンスとISDFの話し合いは、『ノーデンス側の要求すべてを持ち帰り、司令部との話し合いで検討し、後日その結果を報告する』という方向性で決着がついたらしい。肝心のヨリトモたちは、一端横須賀基地へ帰投することにしたそうだ。
「ISDF極東支部の総司令――アクツは、計算高い野心家よ。……それだけじゃない。自分の邪魔になりそうな存在は、どんな手を使ってでも排除する卑劣な男……!!」
『トマリくん……?』
ジュリエッタは忌々し気に吐き出す。握り締められた拳は小刻みに震えていた。目をかけていた後継者の様子に、ヨツミは思わず彼の名前を呼ぶ。
ヨツミの心配そうな眼差しに気づいたのか、ジュリエッタは慌てた様子で「なんでもない」と取り繕った。彼はこれ以上追及されたくないようだ。
(アクツ……?)
ジュリエッタが名指しした男の名前に、何となく覚えがあるような気がする。途端に、苛立ちと不快感が湧き上がった。
頭の奥で鈍い痛みが走る。ノイズ交じりの記憶が頭の中に浮かんだ。不敵に笑った男と、彼が指し示した対竜兵器の計画書。しかし、それ以上何も思い出せない。
“ミカゲが実体化した際、無茶をやらかした代償を支払った”ことはナガミミの話から聞いていた。代償として記憶を持っていかれたことも自覚している。
代償として持っていかれた記憶の中に、ISDF極東支部総司令――アクツに関連する記憶も含まれていたのだろう。その内容がどんなものだったのかは分からないが。
「奴らが等価交換に応じるとは思わない。もし、連中がフォーマルハウトの検体を差し出すとしたら……」
「そだね。十中八九、ポータルシステムの共有も要求してくるだろうね」
「そういうこと。最悪の場合、好き勝手使われるだけじゃ済まないわ。私たちが使う場合にも、監視がつくかもしれない。……現にISDFの連中、首都アトランティカ探索のためにポータルの使用許可を求めてきたし」
「ジュリエッター、そんなにカリカリしなーい。あまりピリピリしすぎるとストレスになっちゃうよ?」
「アンタが能天気すぎるんでしょうが! 一時的とはいえ、ISDFにポータルを占拠されるだなんて……!! ああもう、屈辱だわ……」
物々しい面持ちのジュリエッタとは対照的に、アリーは飄々とした笑顔を崩さない。まるで、Code:VFD成就のためなら取るに足らない犠牲だと言わんばかりだ。
ジュリエッタの場合は、“ポータルシステムがISDFによって徴収、あるいは悪用される”可能性を危惧しているように見える。2人の意識の差に、ミカゲは目を瞬かせた。
「でも、ユウマさんとヨリトモさんと一緒に戦えるというのは、心強いと思う。特にユウマさんは、一撃で帝竜を倒したし」
話題に入ってきたのはイノリだった。ユウマのことを語る彼女は、どことなく熱っぽいように思う。空色の瞳がきらきらと輝いて見えたのは気のせいではない。
いや、それよりも。ミカゲは思わず目を剥いた。
脳裏に浮かんだのは、穏やかに笑う優男――如月ユウマだ。
(帝竜を一撃で倒す? ……あの優男が?)
帝竜相手にヒイコラ言ってたミカゲにとって、その話はにわかに信じがたい。しかし、目を輝かせてユウマのことを語るイノリの言葉には嘘はなかった。
ミカゲが亡くなる以前、ISDFでは対竜兵器に関する研究が盛んに行われていた。以後も続けられていたとしたら、そんな兵器が出来上がっていてもおかしくない。
ISDFを歓迎するような発言に対し、アリーとジュリエッタは乗り気ではないようだ。特にジュリエッタは、ISDFに監視されることに対して嫌悪感を抱いている。
ミカゲは3人の会話に割って入った。
「イノリ。ユウマはどんな手を使って、帝竜を倒したんだ?」
「えっ? ……ええと、右手に力を貯めたあと、普通に殴ってたよ。ただ、そのとき、変なマナが漂ってた」
「どんなマナだ?」
「うーん……神々しいんだけど、毒々しいって感じかなあ。ゾッとするような……」
イノリは目を瞬かせ、何があったかを答える。
しかし、イノリはもどかしそうに唸った。
「言葉で説明するより、実際に見た方が早いと思うよ」
「しかし、映像関連は全部ISDFに持ってかれちまったからな。何も残っちゃいねェ。……ま、ISDFと共同作戦ってコトになりゃあ、嫌でも見れるだろうさ。フヒヒヒヒ……」
イノリの言葉に対し、ナガミミは注釈を入れてきた。その現場を見るまでのお楽しみということらしい。自分が亡くなってから8年の間に、ISDFは何やらきな臭い気配を漂わせる組織に変質してしまったようだ。
帝竜を一撃で倒す人間――その言葉に、得体の知れぬ寒さを覚えたのは何故だろう。ミカゲの頭の中で、激しく警笛が鳴り響く。
自分と同じ警笛を聞き取ったのはヨツミだった。彼は剣呑な表情を浮かべ、顎に手を当てる。その瞳には焦りの色が滲んでいた。
そんな自分たちの様子を尻目に、ナガミミはくるりとイノリたちへ向き直る。ウサギのマスコットは13班への連絡事項をてきぱきと伝えた。ドラゴン資材を投じて行われた改修が完了し、13班専用のレストフロアが完成したという。
「確か、報告では、あそこのテラスからの展望は絶景らしいわね」
「好きな子を誘ってみるのもいいかもよー? アリーも“あのヒト”を誘ってみようかなあ」
「えっ!? アリー、アンタいつの間にそんな人ができたの!? ……まさか、ずっと前に言ってた“ヤツ”!?」
「んふふー☆ ノーコメントで」
「ちょ、気になるじゃないの!! アンタを手ひどく振った“ヤツ”に、リベンジマッチでもするつもり!?」
テラス1つでコントを始めた上司2人に、ナガミミはやれやれと言いたげに肩をすくめた。
振った相手が云々と叫び散らすジュリエッタと、ノーコメントを貫くアリーを尻目に話を纏める。
今日はもう休むようにと言いかけたナガミミを遮るように、チカとリッカがアリーに声をかけた。
「社長。先程、セブンスエンカウントでS級判定が出た人がいたのです。その子、イノリやソウセイたちの友達だと言っていました」
「彼女、イノリたちから一通りの説明を受けたって言ってたんだ。でも、情報のすれ違いがあったら困るから社長と面談してもらおうと思って、暫く待機してもらってたんだ」
「オケオケ。ISDFも帰ったから、その子を通してほしいなー。お名前、なんていうか聞いた?」
「那雲シキって言ってたよ!」
那雲シキ――孫の名前を聞いた瞬間、ヨツミがいきなり駆け出した。一歩遅れてシラユキも走るが、俊敏性Sランクのヨツミに追いつけるはずもない。遠く離れた夫の背中を、妻が追いかける形になった。
『お、おい! 待てよヨツミ!』
「そういえば、13班に客が来てたぜ」
慌てて駆け出そうとするマサハルは、ナガミミの言葉に足を止めて振り返った。
ウサギのマスコットはリヒトに視線を向ける。心なしか、ニヤニヤと笑っているような気配を感じた。
「あのコムスメ、受付で問題起こしてたところを、チカとリッカに連れてこられたルシェの女に回収されたらしいぞ。社内のカフェテラスに3時間居座ってるって話だ」
誰かの名前を口走ったリヒトが駆け出す。聞き間違いでなければ「ミオ」と聞こえた。
その名前にも、ミカゲは聞き覚えがある。確か、ヨリトモの――そこまで考えて、ミカゲははたと気づく。
自分以外のムラクモ13班員は、実体化が不完全である。半透明の見た目だ。それを目の当たりにした人間は、どんな反応を示すだろう。
『……これ、何も知らない人が見たら、『幽霊だ』って騒ぐんじゃない?』
ジュリエッタを脱がそうとしてヨツミに迎撃され、沈黙していたヒイナが口を開いた。彼女の言葉を聞いた那雲夫婦以外のムラクモ13班員が『あ』と声を上げる。
他の面々も那雲夫婦やリヒトを追って外に出た。ムラクモ13班員は周囲に配慮して姿を消し、ミカゲやイノリたちの後に続く。
――はたして、そこには、予想通りの光景が広がっていた。阿鼻叫喚の人々と、孫と甥の孫に抱き付いてスキンシップを取る那雲夫婦の姿である。
祖母・シラユキから『大きくなったね』と褒められて泣きながら喜ぶ孫・シキと、英雄にして祖父の叔父・ヨツミに構い倒されるミオ。
後者は嬉しさよりも困惑の方が勝っている様子だった。さりげなくリヒトが割って入るが、ヨツミのマシンガントークに押し出され気味だ。
ひとしきり再会を喜んだシキとシラユキは、周囲の様子を見てハッとする。
「幽霊だ! ムラクモ13班の幽霊がいるぞ!!」
「あ、あわわわわわわわわわ」
「心霊現象キタコレ!」
「俺は幽霊なんて信じないぞ!」
「最近は激務続きだったから、夢を見ているに違いないんだ!!」
カメラ片手に連射する人間もいれば、腰を抜かしている人間もいる。受付嬢は泡を吹いて倒れ、研究者は己の目を疑っていた。中には、目の前の光景を夢にしようとする者もいた。
ノーデンスのエントランスは完全にカオスだ。シラユキは申し訳なさそうに頭を下げ、姿を消す。これで、問題の1つが片付いた。あとはヨツミの方である。
「ヨツミン」
ミカゲはヨツミを呼んだ。
『ミオくんも大きくなったなあ。その年頃だと、好きな子の1人や2人くらいはいるんじゃないか?』
「えっ!?」
『顔が赤いな。成程、キミも乙女ということか。……で、相手は? ミキオくんは把握してるのかね?』
「把握してたら、泡吹いて倒れちゃいそうな気がする」
『……あー……。それは、確かに否定できない事案だ。事実、ミハルくん――キミのお母さんのときも卒倒したし……』
ヨツミは聞く耳を持たない。ミオを構い倒している。
「ヨツミン」
ミカゲはもう1度ヨツミを呼んだ。
『ミキオくんのデートのときは大変だったなあ。『デートに着ていく私服の選び方が分からない』と泣きつかれたよ。私も研究畑一筋だったから、そういうのには疎くてね。結局シラユキ頼みになってしまった』
「へえ……! おじいちゃんにそんな一面があるなんて知らなかった。おじいちゃん、おばあちゃんとの馴れ初めの話は聞かせてくれなかったもの」
『ちなみに、キミのお母さんからは、私とミキオくん共々戦力外通告を言い渡されてしまってな……』
「あっ……」
『そう考えると、ミキオくんはキミの服を見繕えるようになったのか。感慨深いものがあるよ』
「違うよ。おじいちゃんに選んでもらうと碌なことにならないから、自分で選んでるんだ。おじいちゃん、未だに自分で自分の服を選べないんだよ」
『なんと……』
ヨツミは聞く耳を持たない。ミオを構い倒している。
「ヨツミン」
ミカゲはヨツミに声をかけ、肩を叩く。ここでようやく、ヨツミはミカゲに気がついた。
気持ちよく会話していたところに割って入られたため、彼の機嫌が急降下する。
ムッとした様子で振り返ったヨツミに、ミカゲはエントランスの惨状を指し示した。幽霊騒ぎの阿鼻叫喚を目の当たりにしたヨツミは、ゆっくりとミカゲへ視線を戻す。
「積もる話があるのは分かるが、場所を変えよう。な?」
『……その旨を良しとしよう』
潔く帰ってきた返事に、ミカゲは安堵した。
***
『成程。ミオくんが想いを寄せているのは、リヒトくんのようだな』
『ははっ。世の中、何がどう繋がるか分かったモンじゃないぜ』
まさか自分たちが親戚になるかもしれないなんて――と、ヨツミとマサハルの眼差しは語っている。彼らの視線の先には、リヒトの傷に薬を塗りたくるミオの姿があった。
イノリやソウセイにも治療を施していたミオだったが、リヒトに対しては特に気合を入れたらしい。真剣な表情と、リヒトに対する薬の消費量がすべてを物語っている。
ミオはペタペタ塗ったつもりだろうが、リヒトの手には白い軟膏がべったりと付着している。肌になじむのが遅いのか、手におしろいを塗ったような状態であった。
「うう、塗りすぎちゃったかも……。で、でも、これで綺麗に治るはずだよ!」
「ありがとうございます。これは確かに効きそうですね」
べたべたになった手をすり合わせながら、リヒトはにっこりと微笑んだ。ようやく薬が肌になじんできたらしい。
白い肌は元の色を取り戻す。ミオの言葉通り、リヒトの手の傷は完全に消えていた。傷跡があったなんて想像できない。
ミオとイノリたちが談笑を始める。和気藹々とした空気に、ミカゲは表情を緩ませた。――だが。
「……あのさ、どうだった?」
「何がですか?」
「やってみて、やっぱり辞めようって思わなかった?」
おそるおそるといった様子で、ミオは和やかな空気に一石を投じた。
「ミオ? 貴女、どうしたの?」
「シキも、こんなに傷だらけになったイノリやリヒトたちを見て、辞めた方がいいと思わなかったの? 痛い思いをたくさんして、それでも、まだ……アリーさんたちに協力するの?」
若芽色の瞳は、イノリやリヒトたちを憂いている。Code:VFD――時代を飛んで真竜を狩るという戦いが、どれ程大変なことなのか、想像するだけで気が遠くなるのは確かだ。
81年前に来襲したニアラ、80年前に来襲したフォーマルハウトを倒すだけでも薄氷を踏むが如くの辛勝だった。それ程苦戦した真竜を、残り4体分狩らねばならない。
ミオの語る以上――あるいは自分たちが予想する以上に、痛い思いをすることは明らかだ。一般人が戦場に飛び込むことの恐怖が如何程のものか、ユイや東雲兄妹はよく知っている。
そう考えれば、ミオの心配も当然のことだ。彼女はイノリたち――特にリヒトのことを心配している。大切な人々が自ら死地へ赴こうとしているときに、自分だけが何もできない。その歯がゆいさは、ミカゲたちにも覚えがあった。
脳裏に浮かぶのは、立ち去ってしまった者たちの背中。ガトウ、アオイ、タケハヤ、ショウジ、エメル――仲間を守ろうと立ち上がり、命を散らした人々の姿は、今でも鮮明に思い出せた。ずくりと胸が痛む。それは、自分たちが一生抱えていくものだ。
「そりゃあ、自分で決めたことだからな」
「私はみんなを守りたいと思ったから、戦うことを選んだの。後悔はないわ」
「私たちは死ぬために戦うんじゃないよ。大事な人と生きる明日を守りたいから戦うの。そう、自分自身で決めたんだ」
ソウセイ、シキ、イノリの答えを聞いたミオは、ハッとしたように目を見張った。
そんな3人の言葉を引き継ぐようにして、リヒトも言葉を続ける。
「実際、僕たちはてんで無力だ。……でも、だからこそ、自分ができること、自分で決めたことから逃げたくない」
「リヒト……」
「こんな僕たちにだって、きっと、何かできることがあるって信じているんです。現時点ではそれが、自分の決めたことに真っ直ぐ向き合うことだと、僕は思っています」
金色の双瞼は、どこまでも優しい。けれど、温和な眼差しとは対照的に、瞳の奥底には揺るがぬ意志が輝いている。
「……そうだよね。リヒトは自分にできることと、真正面から向き合ってるんだもんね」
「ミオ……」
「わたしも、わたしに出来ることを……わたしだけにしか出来ないことを、頑張らなきゃ」
ミオは決意を固めたように手を握り締める。次の瞬間、彼女は苦しそうに咳込んだ。
「ミオ、大丈夫ですか?」
「コホッ、コホッ……うん。だいじょうぶ」
リヒトは躊躇うことなくミオの背中を撫でる。ミオは暫し咳き込んだのち、落ち着いたのだろう。柔らかに笑い返した。
孫/親戚の様子を目の当たりにしたマサハル/ヨツミは、思わず顔を見合わせた。もう一度リヒトとミオへ視線を戻す。
『あれ、付き合ってないんだよな?』
『そうだな。どこからどう見ても熟年夫婦だな』
「この時点でくっついてないとするなら、くっついた後はどうなるんだろう」
『…………』
『…………』
2人の会話を耳にして、ミカゲはついぽろりと口走っていた。途端にマサハルとヨツミが顔を見合わせて黙り込む。顎に手を当てて、何かを考えている様子だった。
その脇で、ヒイナはメモ帳片手に何かを書き連ねている。『この純愛は汚せないわあ……』と言いながら、彼女は目を爛々と輝かせていた。
リヒトとミオの純愛を汚す気はなくとも、2人の恋愛で創作する気は満々らしい。勿論、マサハルとヨツミはヒイナの欲望を目敏く察知したようで、彼女を睨みつけた。
マサハルとヨツミの心配はよく分かる。ミカゲもまた、ヒイナの欲望に巻き込まれそうになった1人だったからだ。これ以上の被害者が増えるのは阻止しなくてはなるまい。
後継者たちは楽しそうに雑談に耽っていたが、外から差し込む夕日から時間経過を悟ったようだ。
今日はもう遅いということで、ミオは家に戻ることにしたらしい。
「わたし、もう少しだけ考えてみるよ。それじゃ、またね!」
「ええ。また」
ミオはそう言い残し、パタパタと去って行った。リヒトやイノリたちは少女の背中を見送る。ミカゲもまた、ミオの背中を見送った。
『コール、13班!』
『コール、13班!』
(……ミロク、ミイナ)
脳裏に浮かんだのは、ミカゲの大切な戦友/ムラクモ13班のナビゲーター――ミロクとミイナだ。那雲ミオは、あの双子の系譜を受け継ぐ“Nav.シリーズ最後の生き残り”である。
イノリ曰く、ミオはナビゲート能力Sランクらしい。マニュアルを丸暗記する記憶力、リトルドラグの異質性を見抜く着眼点と知識はずば抜けていたという。当然と言えば当然だ。
(こんな形で、お前等の系譜と対峙することになるとは思わなかったよ)
もしも、あの少女がノーデンスに協力することを選んだら――。
図らずとも、ミオはミロクやミイナと同じように、“13班のナビゲーター”になるのだろう。
彼や彼女の系譜を継いだミオならば、最後までナビ役として、リヒトやイノリを導き続けるに違いない。
あの双子は頑固だったからなあ――なんて、もう戻らない日々を想う。
「なあ、ユイ」
『なあに? ミカゲくん』
「
傍から聞けば、意味の分からない質問だろう。でも、ユイはこの言葉に込められた意味を理解したらしい。大きく目を見開いた後、穏やかに笑いながら答える。
『分からないね。本人に会ったら、訊いてみたらいいんじゃない?』
「塗り薬は大丈夫だってのは分かるけどな」
『そりゃあ、苦くも痛くもないもん。あの子たちもそうだったでしょう?』
「……だな。塗り薬だったらいいのにって、薬出されるたびに不満そうな顔してた」
最後まで、あの2人は13班のナビだった。延命手術を受けて力を失っても、ミカゲたちのサポートをしてくれた。文字通り、生涯現役を貫いたのだ。
目を閉じる。双子の明るい号令が耳を打った。遠い日の思い出をなぞるように、ミカゲはミロクとミイナの声を思い返す。何度も、何度も。
「
『分からないよ。本人に会ったら、訊けばいいと思うなぁ』
「食べたら懐かしい味がするのかもしれん。美味しいだろうな」
『懐かしい味がするかどうかは、食べてみなきゃ分からないでしょう。でも、美味しそうってのは確かだね。今度、作ってもらえばいいんじゃない?』
「……機会、ありゃあいいなあ」
『うん。……あるよ、きっと』
ミカゲはソファに身を沈めながら、ゆるりと目を細めた。ユイも微笑み、ミカゲの隣に寄り添う。
「今日の食事当番は誰にする?」
「僕がやります! 1万2000年前の大地で見つけてきた珍味を試したいですし!」
「おい馬鹿やめろ!」
眼前では、後継者たちが食事当番をめぐって阿鼻叫喚図になっている。理由は、大量のゲテモノ食材を掲げたリヒトが立候補したためだ。
彼が抱える食材は、ミカゲたちと出逢った場所――アトランティスの首都・アトランティカで倒したマモノから手に入れたのだと言う。
本来なら「妻にアトランティスの光景を見せてあげたかった」と言うであろうリョウスケは、ソウセイに加勢してリヒトを止めようとしていた。とても感傷に浸れる状態ではない。
マサハルも同じようにしてリヒトを止めようとしたが、取っ組み合いの最中に偶然スパイラルエキス(未調理)を飲み込んでしまい、ダウンしている。生食用ではなかったのだろう。
同じようにして戦線離脱したのはヒイナだった。口元を抑えて呻いている。流石のケダモノでも、ゲテモノはまずかったようだ。今度はヨツミが頭から花蜜を被り、悲鳴を上げた。
「第7真竜、VFD……」
この地球に迫る新たな脅威の名を呟きながら、ミカゲは目を閉じる。
なんてことはない、体のいい現実逃避であった。
■■■
ISDF横須賀基地に戻ったユウマたち3人は、竜因子戦術部門の研究室に赴いた。窓の向こうは――ブラインドで仕切られているが――Dインストールに関連する機材が置かれている。
普段は開けっ放しのブラインドが閉じられているのは、ユマに対する秘匿のためだろう。彼女の身分は、Dインストールの詳細を知るには足りないためだ。
それでも、アクツへの報告のためにユマが同伴したのは、ヨリトモの配慮である。ユマが部屋に入って早々、アクツが忌々しそうな表情をしたことから察するに、ユマの同伴で悶着が起きたことは明らかだった。
ユマも場の空気からそれを察したようで、真顔のままアクツと対峙していた。凛と佇むその姿は、彼女が育てているスノードロップの花を連想させる。……そういえば、ユマが花を育て始めたのは、雪待シズク一尉が殉職してからだ。
彼女が真剣な面持ちでアクツと向き合うようになったのも、丁度その頃だったと思う。アクツや彼の関係者から「ルシェ族の失敗作」と馬鹿にされても、彼女は決して揺らがなくなった。悪意に立ち止まる暇はないのだと叫ぶかのように。
「報告は以上です、アクツ総司令」
ヨリトモの報告を聞いたアクツは満足げに頷くと、顎に手を当てて唸った。
「奴らめ……やはり、アイオトの検体を持っていたか。だが、時空転送装置とは……想像以上だ」
「ノーデンスは我々の所有するフォーマルハウトの検体についても知っているようでした。『交換ならば、アイオトの検体を渡す』とのことです」
ISDFが検体を集めるのは、第7真竜に対抗するための力を得るためだ。その権化が、如月ユウマ自身である。Dインストールで真竜のデータと検体を使うために、ドラゴンの検体が必要なのだ。
「連中は、どうやらドラゴンクロニクルの研究継続を最優先としているようですよ?」
「ドラゴンクロニクル……100年前から続く、大いなる幻想ですね」
ユマの言葉を、ユウマが引き継ぐ。ノーデンスが検体収集に躍起になっているのは、ドラゴンクロニクルを解析するためである。80年前の神話で初めて登場したそれは、真竜ニアラを退け、フォーマルハウトを倒すに至った。
しかし、そんな兵器に関する情報はほとんど残されていない。僅かな資料から解析を試みた者もいたらしいが、結局は「実用的ではない」という結論に落ち着いた。故に、ISDFの人々は、不確実な神話に頼ることを辞めた。
現実路線を進むISDFに対し、ノーデンス――技術主任のジュリエッタ、ムラクモ13班の正当な継承者であるイノリたち、神話の時代を駆け抜けた張本人であるミカゲたちが、ドラゴンクロニクルという夢物語を真剣に追いかけている。
「フン……夢を追うのは、夢想家どもに任せておけ」
アクツは苛立たし気に呟く。彼の眼差しは、この場ではないどこかを見つめていた。黒い瞳には、強い憎悪が滲んでいるように見えた。
忌々しさを惜しみなく溢れさせるあたり、アクツと『夢想家』は蛇蝎の如く嫌い合う仲だったのかもしれない。あくまでも、ユウマ個人の想像に過ぎないが。
「今、人類に必要なのは第7真竜に立ち向かうだけの圧倒的な力だ。そしてそれを実現することが我々、ISDFの使命なのだ」
そこまで語り終えると、アクツはユウマへ向き直った。
「ユウマよ。海底の亡国に得るものはありそうか?」
「視察ついでに1匹狩りましたが、肩慣らしにもなりませんでしたよ」
「フフ……流石だな。こうでなくては意味がない」
ユウマの報告を聞いたアクツが満足げに微笑む。どうやら、今日の彼は機嫌がいいようだ。罵倒の言葉が飛んでこないのは随分マシである。
隣にいたユマも、アクツの罵倒がどれ程のものかを知っているようだ。ユウマを気遣うように、ちらりと視線を向けてきた。こちらもアイコンタクトで返す。
自分たちが目で合図していたことにアクツは気づいていなかったようで、彼はユウマに指示を出す。戦闘データの解析とバックアップを明朝まで終わらせろ、と。
それを聞いたヨリトモが眉をひそめる。ユマも眉間に皺を寄せた。
アクツの出した指示は明らかに滅茶苦茶だ。普通の人間にやらせれば、徹夜をしても間に合わないだろう。
幸いなことに、ユウマは情報処理能力S級の力を持っている。徹夜すれば、アクツの意向通りに間に合うはずだ。
「第7真竜の出現する予兆は、各地に広がっているのだ。第3時東京浸蝕……サードエンカウントは間もなく開始されるだろう。……そのときまでに、分かっているな?」
「ええ、当然です」
「よし」
淀みないユウマの返事を聞いたアクツは、納得したように頷いた。そうして、厳かな声で告げる。
「頼友東吾、如月優真、伊倉由真の3名に、ノーデンス社への駐留を命ずる! 開始時刻は明朝0700! 目的は第3真竜ニアラの検体確保!」
「ハッ!」
「連中を懐柔して、ポータルの使用を取りつけろ。必要ならば、フォーマルハウトの検体などくれてやれ」
何でもないように言い放ったアクツの言葉に、ユウマは内心耳を疑った。5年前の事故が発生した際、ISDFは多大な犠牲を払った。その犠牲に見合わないと不満を零していたあのアクツが、膨大な損害と引き換えに手にしたフォーマルハウトの検体を、あっさり手放すとは。
……いいや、違う。彼は、他の真竜の検体を手に入れ、ユウマにDインストールを施す方がいいと判断したのであろう。第7真竜の力は強大だ。雑魚竜の検体や他の帝竜検体、そしてフォーマルハウトの検体だけで太刀打ちできるとは思えない。そう言う意味では、真竜検体は喉から手が出るほど欲しいのだ。
ISDF腐敗の象徴ではあるが、腐っても政治家である。頭の回転が速いのは当然のことであろう。
(……懐柔、か)
アクツの言葉が、妙に頭にこびりつく。渡来イノリは、ISDF――特に、如月ユウマに対し、とても好意的であった。
手なずける必要性など見つからないくらいに、ISDF――如月ユウマという人間を受け入れてくれているように思う。
花が咲くような可憐な笑顔が脳裏に浮かぶ。それだけで、胸の底が淡く熱を持つのだ。ユウマは密かに口元を緩ませた。
「それから、ノーデンスの調査員……13班とか言ったな。そいつらについての情報は手に入ったか? 場合によっては、諜報部に任せる必要も出てくるだろう」
「先んじてはこれを。ISDFのデータベースにあったものを纏めました」
手元に揃えていた資料を手渡す。アクツはユマからそれを受け取り、ぱらぱらと資料をめくった。そうして、あるページで手を止める。
「渡来ミカゲ氏の孫娘だと?」
「ミカゲ氏だけではありません。ノーデンスの調査隊――13班に所属する面々のうち、4人がムラクモ13班の系譜を継ぐ者たちです」
ユウマの報告を聞いたアクツは酷く切羽詰った様子で振り返った。気のせいでなければ、書類を持つ彼の手が震えているように見える。
アクツの手に握られているのは、真竜の検体集めのために共同戦線を張ることになったノーデンスの13班員たちに関する資料だ。
彼の視線は、ノーデンス13班を率いるリーダー――渡来イノリの資料に向けられている。彼は忌々しいものでも見るかのように眉間に皺を寄せた。
「アクツ総司令……? 彼女たちのことを知っているのですか?」
「……いいや。だが、ミカゲ氏や那雲ヨツミ博士には、生前、大変世話になったからな。孫が居るとは聞いていたが、まさかこんな形で関わることになろうとは」
様子がおかしい直属の上司にユウマは問いかけた。アクツは“大変”の部分を強調すると、深々とため息をつく。彼の様子からして、いい意味での“世話になった”という表記ではないのだろう。むしろ、強い反感や憎しみが滲んでいるように思う。
これ以上は踏み込ませないと言わんばかりに、アクツは報告を促した。余計な詮索はするなという、言外の命令である。なのに、食い下がろうと口を開きかけたのは何故だろう。ヨリトモが報告を続けなければ、ユウマはアクツを質問攻めにしていたかもしれない。
彼の反応を見る限り、ヨリトモの判断――“渡来ミカゲを筆頭にしたムラクモ13班が現代に復活した”ことは可能な限り伏せておく――は正しいように思えた。もし、バカ正直に報告していたら、アクツが何をするのか分かったものではない。最低でも、社会的制裁はやってのけるに違いない。
『ISDFにヨツミ博士を渡すことは絶対にできない。その理由は、アンタたちが一番知っているはずだ!』
『
『……俺の予想が正しければ、この件は伏せておくべきだ』
般若のような形相で怒鳴ったドクター・ジュリエッタ、パンドラの箱を開けてしまったかのように鬼気迫った顔のヨリトモの言葉が脳裏によぎる。
自分が所属する組織に対して、ユウマは絶大的な信頼を置いている。勿論、公権力である自分たちが正義であると信じていた。――けれど。
アクツの反応は異常だった。ムラクモ13班の系譜を、彼は敵視している。彼が政敵を潰そうとするときに見せる眼差しが、鋭くぎらついていた。
(イノリ)
ユウマは思わず手を握り締める。手袋がざりりと小さく音を立てた。
アクツの眼差しを見て真っ先に思い浮かんだのは、ユウマに笑いかけてくれた渡来イノリの姿だった。
上司は、“渡来ミカゲの系譜を受け継いでいる”という理由だけで、彼女に強い敵意を抱いている。
彼が政敵をあの手この手で失脚させたり、再起不能に追い込んでいるという噂は耳にしていた。
もし、アクツの矛先が、イノリに向けられたら――考えただけで、寒気がする。
強大な公権力を有するアクツに踏み潰されることは明白だ。
それだけは、それだけは――。
「ご苦労だった。もういいぞ」
ユウマの意識を現実に引き戻したのは、アクツの言葉だった。アクツが自分たちに背を向け、ヨリトモとユマが部屋を出る。普段は躊躇いなく彼の背に続くユウマなのだが、今回はほんの一瞬、反応が遅れた。
彼に遅れて部屋を出る。扉が閉まるか否かのタイミングで、アクツの独り言が零れた。彼の言葉に、ユウマは弾かれたように振り返る。がちゃん、と、扉が閉まる音がした。扉を開けて飛び込みたい衝動に駆られたユウマだが、ヨリトモの声で引きもどされた。
ユウマは扉を眺めていたが、ややあって、すぐにヨリトモの背中に続いたのだった。
『――死しても尚、私の計画を阻むというのか……!』
アクツ総司令の独り言が、こびりついたかのように頭から離れない。
纏わりつくような寒気を感じて、ユウマは無意識のうちに身震いしていた。
***
「ユウマ、お前は休んでいろ。解析が完了次第、起こしてやる」
データを解析していたユウマに声をかけてきたのはヨリトモであった。現在時刻は午後11時。あと1時間で日付が切り替わる時間帯だ。
解析されていないデータはまだ残っている。しかし、この調子で行けば、アクツの指定した時間には間に合うだろう。
「提督こそ休んでください。もういいトシなんですから」
手を止めずにキーボードを叩きながら、ユウマはヨリトモを見返した。ニヤリと微笑んで見せれば、ヨリトモも笑う。
「生意気なことを」と語る声は苦みを含んでいるけれど、黒い双瞼はどこまでも優しい。
人工生命体であるユウマには“父親”なんてものは存在していない。だが、もしいたならば、きっとヨリトモのような人物なのだろう。
そんなことを考えながら、ユウマは一端手を止めた。ヨリトモに、訊ねてみたいことがあったからだ。
「ところで……提督はどう見ました? ノーデンスの調査員のこと」
「ノーデンスの調査員、13班か……」
ううむ、と、ヨリトモは顎に手を当てて唸った。イノリたちのことを思い返すヨリトモの表情は、どこか温かなものを感じる。
……当然か。ある意味でイノリたちはヨリトモの
「才能や度胸は並々ならないものがあるが、今はまだ未熟だな。渡来先生たちもいるわけだし、『今後に期待』と言ったところか。……だが、お前が他人を気にするなんて珍しいな」
「イノリ……いいえ、13班は、先日より戦闘能力が飛躍的に向上していました。一体どうやって――」
ドラゴンを難なく屠ったイノリの背中を思い浮かべながら、ユウマは顎に手を当てた。彼女の戦術や能力を分析しかけたユウマを遮るように、ヨリトモは深々とため息をつく。
「それは己の目で確かめろ。明日からの赴任地はハードだぞ。なんせ1万2千年以上前の世界だ」
そう語ったヨリトモの表情は、どことなくもどかしそうだった。言いたいことがあるのだが、ユウマの自由意志を尊重しようとして板挟みに合っているかのようだ。
ユウマの疑問をぶつける間もなく、ヨリトモは踵を返す。「無理をするなよ」と言い残して去って行く背中を見送った。そうして、ユウマは戦闘データへ向き直る。
明日から、任務が始まる。真竜検体を集める任務が始まれば、ノーデンスの調査隊・13班や旧ムラクモ13班の面々と行動を共にする機会も増えるだろう。
真竜との戦いに、13班――イノリと一緒の任務だ。そう考えると、何故かは分からないが、酷く浮足立ってくる。自然と口元が緩んだ。
自分が狩るべき相手との戦いが楽しみで仕方がない。同時に、イノリの眩しい笑顔が浮かぶ。――ああ、早く任務が始まらないだろうか。
そうしたら、そうしたら。
「アトランティス――面白くなりそうだ」
次の任務に想いを馳せながら、ユウマは中断していた作業を再開した。
構成を変えてシーンの一部を加筆した結果、無自覚に青春している人々の色合いが強くなりました。特にユウマは、ユマやヨリトモを巻き込んで、じわじわもだもだ進んでいく予定です。地雷原に足を踏み入れたばかりですから。
本編よりもアクツのド外道っぷりは際立っております。彼の暗躍や、彼がたどり着く末路も、生温かく見守って頂ければ幸いですね。一応拙作のアクツも、原作Chapter6の時間軸で“化ける”予定ですので。この世界の可能性を集めたしっぺ返しが待っています。